2014-10-24

鳥毛立女屏風など名品揃い!『第66回 正倉院展』@奈良博

鳥毛立女屏風など名品揃い!『第66回 正倉院展』@奈良博

天皇皇后両陛下傘寿記念となる『第66回 正倉院展』(~11月12日)を拝見してきました。ふっくら美人「鳥毛立女屏風」を筆頭に、素晴らしい美術工芸品がそろい、見どころたっぷりでした!個人的なナンバーワンは、古代の四角い鏡「鳥獣花背方鏡」ですね。記事をアップするのがだいぶ遅くなりましたが、メモ代わりに簡単にまとめておきます。


人気の正倉院展も初日はゆったり

奈良国立博物館で開催中の『天皇皇后両陛下傘寿記念 第66回 正倉院展』(2014年10月24日~11月12日)。今年は初日に拝見しました。

天皇皇后両陛下傘寿記念 第66回 正倉院展-01
私たちは初日の平日に観覧しました。特に目立った混雑もなく、じっくり拝見できました。奈良の秋本番を実感しますね!

天皇皇后両陛下傘寿記念 第66回 正倉院展-02
15時前くらいのチケット売り場の様子。のんびりしたものでした。会期末が近づくほど混雑してきますし、週末は待ち時間が発生しています。覚悟して歩きやすい靴を履いてお出かけください。

天皇皇后両陛下傘寿記念 第66回 正倉院展-04
今年の主役は、ふっくら美人の「鳥毛立女屏風」。全6扇あり、奈良博では第2・4・5・6扇が出陳していています。第1・3扇は、東博「日本国宝展」に出張していましたので、東京と奈良をはしごして全6扇をご覧になった方もいらっしゃるでしょう。羨ましい!

天皇皇后両陛下傘寿記念 第66回 正倉院展-05
協賛の「読売新聞」さんのブース。各種展覧会のチラシを配付していたり、物販があったり。毎年、出陳の内容に合わせてちょっとしたゲームなどがあったりするんですが、今年は無し。ちょっと寂しいですね

天皇皇后両陛下傘寿記念 第66回 正倉院展-06
今年は、じっくり3時間ほどかけて拝見してきました!閉館の1時間30分前から販売する割安の当日券「オータムレイト」( 詳しくはこちら)などで入場すると、かなり空いているそうですから、混雑が苦手な方はぜひご利用ください(大人 800円など)


じっくりと見るほど感嘆する名品ばかり

天皇皇后両陛下傘寿記念 第66回 正倉院展-07

第66回の正倉院展の内容は、最初から最後まで、どこも満遍なく楽しめるようなものが揃っていた印象です。空いていたこともあり、「鳥毛立女屏風」の前でやや混雑していた程度で、均等に人が分散されていて、とても見やすく感じました

失礼な言い方ですが「粒ぞろい」というイメージですね。

もちろん、聖武天皇・光明皇后ゆかりの品々や、貴重な書・布もの・伎楽面など、どれもすごいです!「これを作るのにどれだけの時間がかかったことか」と思わせるような、素晴らしい細工の連続ですね美しい説明を読みながらじっくりと眺めていてもまったく飽きませんでした。


●聖武天皇が使用されたひじつき「紫檀木画挾軾」(したんもくがのきょうしょく)の丁寧な細工は見事!少し歪んでいるところもリアル。いかに長い間守られきたのかと、歴史を感じさせてくれます

●聖武天皇が大仏開眼供養の際に履いたとされる「衲御礼履」(のうのごらいり)。表面は美しい赤に染めた牛革、内面は鹿革の白革。爪先が反り上がっていて、サイズは31cmもあるとか!形も美しいですし、ガラス玉などで施された装飾が可愛いですね!これだけ歴史ある品物が「カワイイ」と言いたくなるデザインなんですから、たまりません!

●武器類が充実していました。手持ちの武器「手鉾(てぼこ)」2口。短い長刀鉾のような刃物で、見るからに非実用的。RPGの3つ目の村で1000Gで売ってそうな雰囲気が良かったです!

●今回の展示で想像以上に感動したのが、古代の四角い鏡「鳥獣花背方鏡」(ちょうじゅうかはいのほうきょう)でした。唐からもたらされた白銅製の「海獣葡萄鏡」です。奈良の博物館などでは、似たような古代の鏡はいくつも見かけますが(ほとんどが丸型ですが)、描かれた獣や葡萄の文様が鮮やかで、ここまで見事なものは見たことがありません。さすがは正倉院宝物だと驚きました!

●表紙絵のある経巻「梵網経」と、その木製の入れ物「檜金銀絵経筒」にも感動しました。端正な文字、この経巻を収めるために寸法を合わせて細密に作られた筒。美しかったです!


天皇皇后両陛下傘寿記念 第66回 正倉院展-08

チラシの裏面から。正直なところ、昨年の「漆金薄絵盤」などのような、遠目で見ても伝わってくるような華やかさは劣りますが、どれも間近で見ると素晴らしいんです!

天皇皇后両陛下傘寿記念 第66回 正倉院展-09
楽器系の主役「桑木阮咸」(くわのきのげんかん)。四弦の楽器で、「竹林七賢」の一人の阮咸に由来すると言われています。会場では、実際にこの楽器を鳴らした音が放送されていました。中央に碁を楽しむ三人が描かれていて、じっと目を凝らせばその姿がちゃんと見えました!


今年も奈良博「パスポート」購入しました

ちょっとした余談になりますが、今年の正倉院展を拝見する際に、「年間パスポートを買うかどうか」で悩みました。

私たちは毎年、購入した日から一年間有効の「パスポート」(一般3,100円など)を購入しています。

●奈良博、さらに東京・京都・九州の国立博物館の「平常展(名品展)」などが何回でも拝観可能
●特別展・共催展などは、各館の各展覧会ごとに1回、 合計6展覧会まで拝観可能

使い方に制限もありますが、「東博などもふくめて6回の展覧会が観られて、平常展は自由に何度でも観られる」というシステムです。とっても便利なんですが、今現在、奈良博・なら仏像館は長期休館中のため、「奈良博の平常展をいつでも何度でも」という恩恵は受けられません。例年よりもややお得感が薄れてしまいます。

しかし、来年夏、奈良博で『開館120年記念特別展 白鳳』が開催されることが判明!この手の企画展は1回千円前後と考えて、「白鳳×1回、正倉院展×2回」を拝見すればもとが取れることになります。

さらに、12月からは「おん祭と春日信仰の美術」、来年2月からは「お水取り」がありますし、京博では2015年春に「桃山時代の狩野派 -永徳の後継者たち-」の開催も発表になっています。

そんなことをあれこれと考えた結果、「やっぱりパスポートは必要だ」という結論に達して、おとなしく購入しました(笑)

パスポートの購入は、旧館「なら仏像館」の窓口部分で手続きできますよ!


天皇皇后両陛下傘寿記念 第66回 正倉院展-10

2015年夏、奈良博で開催される『開館120年記念特別展 白鳳』のチラシ(2015年7月18日~9月23日)。私の好みのど真ん中です!左から、法輪寺「虚空蔵菩薩立像」(重文)、法隆寺「阿弥陀三尊像(伝橘夫人念持仏)」(国宝)、薬師寺「聖観音菩薩立像」(国宝)!

天皇皇后両陛下傘寿記念 第66回 正倉院展-11
チラシ裏面。東京・深大寺「釈迦如来坐像」(重文)、島根・鰐淵寺「観音菩薩立像」(重文)、「大阪・野中寺「弥勒菩薩半跏像」(重文)、兵庫・鶴林寺「観音菩薩立像」(重文)なども!長谷寺の国宝「銅板法華説相図」なども拝見できます!

天皇皇后両陛下傘寿記念 第66回 正倉院展-12
奈良博のチラシ。12月は恒例の「おん祭と春日信仰の美術」(2014年12月9日~2015年1月18日)

天皇皇后両陛下傘寿記念 第66回 正倉院展-13
続いて、こちらも恒例の「お水取り」展(2015年2月7日~3月15日)


最終日「11月12日(水)」は無料観覧日!

なお、『天皇皇后両陛下傘寿記念 第66回 正倉院展』では、最終日の「11月12日(水)」は無料観覧日となっています(展覧会カレンダー)。

ただでさえ混雑する正倉院展が、無料で拝観できるのですから、いったいどのくらいの人出になるのか想像もつきませんが、嬉しいことですよね。天皇皇后両陛下の傘寿を記念して設けられた無料拝観日ですから、ぜひお出かけください!



■奈良国立博物館

HP: http://www.narahaku.go.jp
住所: 奈良県奈良市登大路町50番地
電話: 050-5542-8600(NTTハローダイヤル)
休館日: 月曜日(休日の場合は翌日休み)
開館時間: 9:30 - 17:00
駐車場: 周辺の有料駐車場を利用
アクセス: JR・近鉄「奈良駅」から、市内循環バス外回り(2番)「氷室神社・国立博物館」バス停下車すぐ(近鉄奈良駅から徒歩約15分)

※奈良国立博物館「なら仏像館」は、2014年9月より、建物内外の改修工事のために休館しています(2016年3月まで予定)。


●天皇皇后両陛下傘寿記念 第66回 正倉院展

HP: http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2014toku/shosoin/2014shosoin_index.html
会期: 2014年10月24日(金)~11月12日(水)
休館日: 正倉院展の会期中は無休
開館時間: 9:00 - 18:00(金土日祝は19時まで)
観覧料: 大人 1,100円、大学生・高校生 700円、中学生・小学生 400円

※閉館の1時間30分前から販売する割安の当日券「オータムレイト」などもあります(大人 800円など)。詳しくは ホームページ でご確認ください。


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