2012-07-09

恵心僧都源信の真筆「板仏」ご開扉『福応寺』@香芝市

恵心僧都源信の真筆「板仏」ご開扉『福応寺』@香芝市

奈良県香芝市は、「往生要集」を著した高僧・恵心僧都源信の生誕の地です。毎年7月9日に香芝市狐井の『福応寺』では、恵心僧都の真筆と伝わる秘仏「板仏」がご開扉されますのでお参りしてきました。また、その近辺にある恵心僧都ゆかりの地を何箇所か巡って来ました。


阿弥陀三尊が描かれた平安時代の「板仏」

香芝市狐井にある浄土宗寺院「福応寺」。応永年間(14世紀末~15世紀ごろ)に亮光上人が創建し、正保年間(17世紀中頃)にお堂が大破したため、中興の倫誉西休和尚が改造しました。1681年の「大和名所記」では、「恵心院源信僧都の地を狐井村とし、その地に一宇の堂がある」と記されているそうです。

福応寺のご本尊は、毎年7月9日の板仏大法要の時にだけ公開される秘仏「板仏」です。平安時代中期の高僧で、「往生要集」を著したことでも知られている恵心僧都「源信」(Wikipedia)の真筆と伝わっているとか。

その由来は、恵心僧都が44歳の時、この狐井(または当麻)に帰省した際、川の畔で念仏を唱えながら洗濯をしている婦人の姿を見かけます。心に感ずるものがあり、念仏を唱えていた理由を尋ねると、「私は理屈がわかって念仏を唱えているのではありません。日頃、徳の高い方から念仏を唱えなさい、必ず仏の救いがあると教えてもらっております。」と答えました。その言葉に感得するものがあり、彼女が踏んでいる板には阿弥陀さま・観音菩薩さま・勢至菩薩さまの姿が見え、恵心僧都は瞬く間に三尊の姿を板の上に写しました。それが「板仏」として福応寺に伝わっているそうです。

この板仏は、高さ133cmのそれなりに大きなものです。法要の直前だったため、間近には拝見できませんでしたが、遠目からでもはっきりと美しい色彩が見て取れました。3枚の板を接ぎ、表面に5枚の薄い紙を貼って、その上に朱・えんじ・緑青・藍・金泥などの極彩色を描いています。2001年に檀家さんや地域の方々の協力を得て、保存修復が行われたとか。こんな美しい仏さまを残してくださって、ありがたいことですね。


福応寺(板仏大法要)@香芝市-01

香芝市狐井にある「福応寺」。年に一度7月9日のみ、ご本尊の秘仏「板仏」が開扉される板仏大法要が催されます。車のすれ違いも難しいような道幅の狭い旧道に面していますが、この日の夜は屋台が立ち並びます。昼過ぎに自転車でお詣りにいったのですが、この周辺は準備で大騒ぎになっていました

福応寺(板仏大法要)@香芝市-02
参道脇に建っている「恵心僧都直筆 本尊板佛」の碑。隣の扇風機は見逃してください(笑)

福応寺(板仏大法要)@香芝市-03
福応寺の板仏は、正式には「板地紙貼彩色 阿弥陀三尊来迎図」といいます。この板仏は、高さ133cm、幅75.8cm。3枚(2枚とも)の板を接ぎ、表面に5枚の薄い紙を貼って、その上に朱・えんじ・緑青・藍・金泥などの極彩色で描かれています。毎年7月9日のみ開扉のため、今でもほぼ当時のままの彩色が残った貴重な像です

福応寺(板仏大法要)@香芝市-05
福応寺の本堂。ちょうど昼過ぎから始まる法要の直前だったため、本堂内の遠目からしか拝見できませんでしたが、板仏は遠くからでもはっきりと美しい色彩が見えました。夕方になると間近に拝見できるようですので、遅めの時間にお参りしてみるといいでしょう

福応寺(板仏大法要)@香芝市-06
福応寺のすぐお隣の「杵築神社」境内では、お祭り準備の真っ最中。この近辺は、車を停めるようなスペースはありませんのでお気をつけください


恵心僧都生誕の地の石碑と阿弥陀橋も

香芝市の狐井や当麻の地は、板仏を描いた天台僧「恵心僧都源信」(Wikipedia)の生誕の地です。幼名は「千菊丸」といい、幼い頃には現在の香芝市から二上山に沈む夕日を目にして、そこに阿弥陀如来の来迎を観て、その思想を感得したとされています。

後に著した「往生要集」(Wikipedia)では、極楽往生するためには、一心に仏を想い念仏を唱える以外に方法はないと説き、浄土教の礎を築きました。その思想は貴族や庶民に広く普及し、後の鎌倉仏教の思想的な基盤ともなっていきます。

そんな恵心僧都の生誕の地として、2ヶ所の石碑が建っています。いずれも良福寺にあり、1ヶ所は「ぽっくり寺」としても知られる『阿日寺(あにちじ)』の前。もう1ヶ所は、そこから南東500mくらいの路肩にあります。

さらに、そのすぐ近くには、幼い頃の恵心僧都が阿弥陀像を彫り、橋の下に流して魚を済度したと伝えられる「阿弥陀橋」があります。まとめて恵心僧都源信ゆかりの地を訪ねてみるのもいいかもしれませんね。


恵心僧都の誕生の地@香芝市-01

ぽっくり寺として知られる、香芝市良福寺の『阿日寺(あにちじ)』。その参道前には、「恵心僧都誕生霊地」という石碑が建っています

恵心僧都の誕生の地@香芝市-02
こちらは、香芝市良福寺にある別の石碑。1934年に建立されたものだとか。道路に面しているのですが、その周辺が開発されてしまって、ちょっと残念な姿になっています

恵心僧都の誕生の地@香芝市-03
石碑には「恵心僧都誕生之地」とあります。周りの環境は残念ですが、ちゃんと花が手向けてありました

阿弥陀橋@香芝市良福寺-01
こちらも香芝市良福寺にある「阿弥陀橋」。もとの阿弥陀橋に使われていた、長持形石棺蓋石と石室天井石片なども安置されています。この辺りでは、石棺の蓋が橋に転用される例は少なくありません

阿弥陀橋@香芝市良福寺-02
恵心僧都(幼名 千菊丸)が、阿彌陀仏を掘って祀ったとされる橋ですが、1969年の改修工事で、南西5mから今の位置へ少しだけ移動したそうです

阿弥陀橋@香芝市良福寺-03
横から見たところ。貴重な文化財がちゃんと遺されたことに感謝したいですね


より大きな地図で 恵心僧都源信ゆかりの地 を表示


■福応寺(福應寺)

住所: 奈良県香芝市狐井581
電話: 0745-79-5570
宗派: 浄土宗
本尊: 板仏
創建: 応永年間(14世紀末~15世紀ごろ)
開基: 亮光上人(または恵心僧都源信)
駐車場: なし
アクセス: 近鉄「五位堂駅」から徒歩約15分

※ご本尊の「板仏」のご開帳は、毎年「7月9日」のみです


■参考にさせていただきました!

ええ古都なら|おすすめエリア|恵心僧都ゆかりの地
源信 (僧侶) - Wikipedia
阿日寺(あにちじ) 奈良県香芝市 : 古社寺見聞










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