2013-03-11

翁舞と樟の巨樹のお社『奈良豆比古神社』@奈良市奈良阪町

翁舞と樟の巨樹のお社『奈良豆比古神社』@奈良市奈良阪町

奈良市奈良阪にある『奈良豆比古神社(ならつひこじんじゃ)』にお詣りしてきました。万葉歌人としても有名な「志貴皇子」などを祀った古社です。毎年10月8日に奉納される舞『翁舞』は重要無形民俗文化財に指定されていますし、境内裏手には、樹齢千年を超える天然記念物の「樟(くすのき)」の巨樹があったりと、とても見どころが多い神社でした。


万葉歌人「志貴皇子」らが祀られています

奈良豆比古神社』は、平城山の東の端、京都とつながる古の幹線道路・奈良街道(京街道)に面しています。かつては「奈良坂春日社」と称していて、石灯籠にも「春日社」と刻まれているものがあるとか。社格は式内社です。

創建は771年(宝亀2年)。第49代・光仁天皇(Wikipedia)の父である「志貴皇子(しきのみこ)」(Wikipedia)が病気療養のために隠居した奈良山春日離宮の地に、死後この方をお祀りするお社が建てられたのが始まりとされます。

本殿には三社が祀られており、向かって右手からこのような並びになります。

●施基親王(しきのみこ)- 天智天皇の第7皇子であり、光仁天皇の父。「志貴皇子」とも。田原天皇、春日宮天皇とも称されました
●平城津彦神(ならつひこのかみ)- 奈良豆比古神とも。奈良山で古くから祀られた産土神
●春日王- 志貴皇子の第二皇子。白壁王(後の光仁天皇)の兄弟


また、毎年「10月8日」の夜に行われる『翁舞(おきなまい)』は、2000年に国指定重要無形民俗文化財に指定されたもの。能や狂言が発達する前の古い形が遺されいる貴重なものです。境内裏手には、樹齢千年を超える、天然記念物の樟(くすのき)の巨樹があります。


『奈良豆比古神社』@奈良市-01

平城山の東端に位置する古社『奈良豆比古神社』。重要無形民俗文化財に指定された「翁舞」が演じられることで有名な神社です。駐車スペースはほぼありませんのでお気をつけください

『奈良豆比古神社』@奈良市-02
奈良豆比古神社前の道路に面して、「高札場(こうさつば)」が復元されていました。江戸時代に奉行所からのお達しを知らしめるための掲示板のようなもので、交通の要所であったここ奈良坂村を含め、奈良周辺に14ヶ所あったそうです。猿沢池の近くにもありますね


能や狂言以前の古い大和猿楽が残る『翁舞』

奈良豆比古神社の国指定重要無形民俗文化財『翁舞(おきなまい)』(Wikipedia)は、毎年10月8日の「秋祭宵宮」の夜に篝火の中で舞われます。

その模様は、幽黙さんのブログ「奈良豆比古神社・翁舞 2012/10/08」や、以下の動画をご覧ください。幽玄な雰囲気がたっぷりと感じられます。


【YouTube動画】翁舞@奈良豆比古神社


奈良豆比古神社の翁舞は、志貴皇子の子・春日王の病気平癒を願い、息子の浄人王(きよひとおう)が舞ったの起源とされており、天下泰平を祈願して舞われます。能や狂言が発達する前の、古い大和猿楽の形を残しているとされます。

現在の翁舞は「千歳の舞」「太夫の舞」から始まり、翁の面をつけた3人が一緒に舞う「翁三人舞」は奈良豆比古神社独特のものだとか。その後、互いに向き合わずに問答が始まるのも、古い形式そのままなのだそうです。詩や舞は口伝の形で伝わっており、今でも保存会の方たちによって演じ続けられています。

祭神でもあり、この舞の起源となった春日王は、猿楽を発達させた芸能の神様として崇められ、歌舞音曲の役者たちが興行前にここを詣でていたとか。奉納された見事な額からも、信仰の篤さが伝わってくるようでした。いつか実際に観てみたいですね。


『奈良豆比古神社』@奈良市-03

「翁舞」を描いた大きな額が奉納されています

『奈良豆比古神社』@奈良市-04
その様子は、何枚もパネルで紹介されていました

『奈良豆比古神社』@奈良市-05
奈良豆比古神社の「翁舞」について説明した案内


圧倒的なゆるさ!可愛らしい「狛犬」も!

奈良豆比古神社の境内は、本殿前に舞台(舞殿)がしつらえてあり、その周囲を社務所などで取り囲んでいます。舞殿が中心のちょっと不思議な空間でした。しかし、舞台はそれほど広くありませんし、周囲との距離も近いので、ここで舞を見たら臨場感がありそうですね。

また、本殿前の可愛らしい狛犬たちにも注目してみてください。強面の狛犬とは正反対の、思わず微笑んでしまうようなゆるさです(笑)


『奈良豆比古神社』@奈良市-06

奈良豆比古神社の境内は、本殿前に「翁舞」が奉じられる舞台が設けられており、その周りを社務所や寄合所が取り囲む、ちょっと不思議な作りになっています。まさに「翁舞のために作られた空間」のようでした

『奈良豆比古神社』@奈良市-07
横から見たところ。舞台は想像していたよりも狭く感じました

『奈良豆比古神社』@奈良市-08
舞台の後ろには本殿が。●施基親王(しきのみこ)●平城津彦神(ならつひこのかみ)●春日王の三柱が祀られています。個人的に、万葉歌人としての志貴皇子が大好きなので、お参りできて嬉しかったです!

『奈良豆比古神社』@奈良市-09
本殿前の狛犬(吽形)。ちょっと驚くほどの簡素さで、神をお守りするという迫力はほぼ感じられません(笑)。背後の灯籠に「春日社」とあるのが見えます。かつては「奈良坂春日社」と呼ばれ、春日大社とつながりが深かった名残だとか

『奈良豆比古神社』@奈良市-10
奈良豆比古神社の狛犬(阿形)。ちょっと信じられないくらいの可愛らしさですね!


樹齢千年を超える天然記念物「樟の巨樹」

また、奈良豆比古神社の本殿裏手には、樹齢千年を超える天然記念物「樟(くすのき)」の巨木があります。私はこの樟の存在を全く知らなかったのですが、想像以上の大きさと巨樹が持つ威厳に圧倒されました!


天然記念物 樟の巨樹

今から1200余年前、光仁天皇の父田原太子が病気療養のため、那羅山にある一社中に隠居せられる……とあるその一社こそ当奈良豆比古神社であって、その樹齢千年余、土際の幹囲約12.8m、目通り幹囲約7.5m。樹高約30m、枝張り約20mで、地上約7mのところで南北二枝幹に分岐し、更に北枝幹は3m、南枝幹は4mのところでそれぞれ二分岐し、古色蒼然たる樹相千歳樟である。樹姿は極めて良く、類例の少ない巨樹として保護すべきである。
(後略)

境内の説明より


視線の高さの太さが約7.5m、樹の高さは約30mというのですから圧巻ですね。霊木として祀られてきたと思いますが、これだけの樹齢の木が、奈良の都からこれだけ近い距離にあることに驚きました。県庁所在地にこれだけの巨木が遺されているのも、奈良の懐の深さですね。

この威厳あふれる佇まいは、ぜひ間近で体感して欲しいと思います。奈良の中心部からはやや距離がありますが、ぜひ足を伸ばしてみてください!


『奈良豆比古神社』@奈良市-11

「天然記念物 樟の巨樹」の説明書き。鳥居の前からでは巨樹の存在は分かりづらいですが、本殿を向かって左手から回り込んだ位置にあります

『奈良豆比古神社』@奈良市-12
樟の巨樹を子どもたちがグルリと取り囲んだ写真が飾ってありました。地面から出た部分が、周囲約12.8mもあるというんですからすごいですね

『奈良豆比古神社』@奈良市-13
奈良豆比古神社の天然記念物「樟の巨樹」。ちょっと離れた位置から撮影していますが、全体は収まりきれません

『奈良豆比古神社』@奈良市-15
大人が入ると、その大きさが伝わりやすいでしょう。まさに聖なる木という迫力すら感じます

『奈良豆比古神社』@奈良市-14

『奈良豆比古神社』@奈良市-17



大きな地図で見る


■奈良豆比古神社

HP: 参考サイト「大和路アーカイブ」
住所: 奈良県奈良市奈良阪町2489
電話: 0742-23-1025
主祭神: 平城津比古大神、春日宮天皇、春日王
創建: 771年(宝亀2年)
開門時間: 9:00 - 17:00
拝観料: 境内無料
駐車場: 無し
アクセス: JR・近鉄奈良駅から「州見台八丁目・青山住宅行」バス13分、奈良阪下車、徒歩5分


■参考にさせていただきました

奈良豆比古神社・翁舞 2012/10/08: 久延毘古 独言 ―幽黙庵の囲炉裏端―
奈良豆比古神社 2012/03/06: 久延毘古 独言 ―幽黙庵の囲炉裏端―








" width="480" numposts="5" colorscheme="light">


  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ