2014-11-22

民俗博物館や古民家も!『大和民俗公園』@大和郡山市

民俗博物館や古民家も!『大和民俗公園』@大和郡山市

大和郡山市の矢田丘陵に位置する広大な公園『大和民俗公園』。中心に奈良の民具などを展示した『奈良県立民俗博物館』(ならみんぱく)があり、さらには15棟の江戸時代の建物を移築し、エリアごとに観られるようになっています。吉野地区の独特の古民家など、他では見られない貴重なものが拝見できて、想像以上の楽しさでした!


梅林やしょうぶ園もある「大和民俗公園」

大和郡山市の矢田丘陵の東部、「26.6ha」という広大な敷地を持つ『大和民俗公園』。自然の里山を活かしながら「みんぱく梅林」「みんぱくしょうぶ園」など、四季折々の花々が咲き、奈良県内各地から集めた江戸時代の15棟の建物を移築・復原しています。

その中心となるのは『奈良県立民俗博物館』(通称:ならみんぱく)。1974年の開館で、大和に暮らす人々が育み、改良を重ねて使用してきた民具の数々を収集し、展示保存している博物館です。


奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-01

大和郡山市の『大和民俗公園』のマップ。私たちもこの日が初めてでしたが、想像以上の大きさで驚きました。公園内には梅林やしょうぶ園、芝生広場、移築された古民家、民俗博物館などがあります。博物館以外は無料で利用できます

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-02
公園内には、大和の江戸時代の民家が移築してあり、一般公開されています。写真は公園の中央に位置する「町家」エリア。旧臼井家、旧鹿沼家が移築され、内部を自由に見学することができます。この時代の町家建築は、奈良市内や今井町など、奈良県内でいくつも観られますが、まだまだこれだけではありません!


「ふるさとフェスタ」で賑わっていました

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-03
なお、この日(2014年11月15日)は、奈良民俗公園を会場として「ふるさとフェスタ」というイベントを開催していました。園内でさまざまな催しがあって、たくさんの人で賑わっていました

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-04
町家エリアにある旧鹿沼家の土間では、もちつきが。「奈良市西九条町の千本餅つき」という名称で、来場者に振る舞われたようです

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-05
お向かいの旧臼井家では、月ヶ瀬奈良晒保存会の方による「奈良晒の紡織技術-実演と体験-」と「苧績み(おうみ)体験」という有料イベントが。時間の関係で参加できませんでしたが、とても楽しそうでした!

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-06
芝生広場を会場として、物販飲食ブースの出店も。地元・大和郡山の人気店さんや、奈良市のお店などが出店していました、こちくやさんの金魚すくいコーナーなども!

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-07
パスタやパン、ウィンナーなど、いろんなものを買い食いして楽しみました!

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-08
ならみんぱくの企画ですから、郷土芸能の演舞もあります。この日は「御杖村桃俣の獅子舞」が演じられ、たくさんの観客の喝采を浴びていました。貴重な芸能を目の前で観られていいですね!


渋くて楽しい『奈良県立民俗博物館』

奈良県立民俗博物館』は、奈良で使用されてきたたくさんの民具を展示している博物館です。この日は「関西文化の日」だったため、入館料無料で一般公開されていました。

館内はなぜか写真撮影禁止のため、詳しくはお伝えできませんが、大和で古くから行われていた農業・漁業・林業・お茶づくりなどの様子を、ジオラマを用いたり、道具類を展示したりして伝えています。懐かしい民家や古瓦に関する展示など、楽しく拝見しました。

ちなみに、この施設は、奈良出身の漫才コンビ・笑い飯さんのネタ「歴史民俗博物館」で有名になりました。このネタは奈良時代の人の模した動く人形の真似から入るのですが、じつはこんな人形はありません。どうぞご注意ください(笑)

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-34
大和民俗公園内にある『奈良県立民俗博物館』。通常は有料ですが、この日は無料開館日でした。初めて入りましたが、大人が楽しむような渋くて興味深い内容ですね。私のような北陸生まれの者にとっては、水が貴重だった場所の稲作の様子や、大規模な林業の様子など、珍しいものも少なくありませんでした


国中から吉野まで。4つのエリアの古民家が

個人的に大和民俗公園でもっとも楽しかったのは、奈良県各地の古民家が観られたことです。江戸時代の町家建築は他でも観られますが、ここはさらに「国中(奈良盆地)」「宇陀・東山」「吉野」エリアの建物も含め、全部で15棟が見学できるようになっています。

それぞれのエリアの特徴的な建物が集められていて、地域によって、住んでいた方の家業によって、それぞれ造りが違うんですね。説明を読みながら歩くと、はっきりと違いが分かって面白いです。

土間の一角に馬小屋があったり、縁側の突き当りに簡素なトイレがあったり。また、吉野へ行くと建物の素材から違ったり、崖に沿って立つ「吉野建て」という形式があったりします。

ここでは詳しくは説明しませんが、興味のある方は「移築復元民家(民家の集落)」というページをご覧ください。丁寧に特徴や来歴がまとめてあります(「次へ」をクリックしていくと次々に見られます)。


奈良盆地にある「国中集落」の建物

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奈良盆地に位置する「国中(くんなか)」エリア

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橿原市中町に所在していた「旧吉川家」(県指定文化財)。国中(くんなか)の自作農家で、入母屋造り、上屋は茅葺き、下屋は瓦葺きになっています。この日はこの建物で「かまどカフェ」としてぜんざいなどをいただくことも出来ました!

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もと桜井市下に所在していた農家「旧萩原家」

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-13

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-14
香芝市狐井にあった「旧赤土家離れ座敷」


大和の東部「宇陀・東山集落」の建物

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-15
奈良県東部にある「宇陀・東山」エリア

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-16
都祁村針にあった「旧八重川家住宅」。代々農業を営んでいた家で、19世紀初期の建築と考えられるとか。茅葺屋根は、方角によって高さを変えていることが分かります

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この弓矢は、家を建てた時に大工が魔除けとして取り付けたのだとか

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-18
「簀の子(すのこ)天井」という形式。並べた竹を藤つるで編み、その上にむしろを敷いて、さらに暑さ5cmほどの土を載せているそうです

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-19
室生村黒岩にあった「旧岩本家住宅」(重要文化財)。農業や林業を営み、庄屋年寄りも務めた家のものだったそうです。重厚な農家建築ですね

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奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-23
もと宇陀郡室生村上笠間にあった「旧松井家住宅」。ウチの嫁方がこの辺りの出で、古くは本家がこんな雰囲気だったとか。どこか懐かしさを感じる造りのようでした

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-24


大和の南部「吉野集落」の建物

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-25
奈良でも山深くに位置する「吉野」エリア。奈良北部の建物は、瓦または草葺き・居室に土間が付く・土壁を多用するといった特徴がありますが、十津川や吉野では、杉皮で葺いて石を乗せる・妻側の端に雨よけをつける・土間と土壁がなくすべて板張りにする、といった特徴があるとか

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-26
十津川村大字旭字迫にあった「旧木村家住宅」。農林業を営んでいた家で、母屋部分は1821年に建てられています。山深い土地のため、山の傾斜地に石段を築きながら建てています。明らかに盆地の建物とは違った系統ですね

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-28
室内部分。土壁ではなく板壁です。なお、大和民俗公園で公開されている古民家は、無料で拝見できますが、基本的に室内には上がることはできません。外から眺めるようになっています

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-27
納屋部分。牛小屋と便所があります。林業が盛んな土地だけに、屋根も杉皮葺で土壁ではなく板壁です

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-29
吉野町吉野山にあった「旧前坊家住宅」。主屋・渡廊下・離座敷が移築されています。金峯山寺の仁王門と発心門(金鳥居)の間にあり、吉野水分神社の神官を務めたと伝わる家です。あまりの大きさに驚きます!

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-30
主屋部分は通りに面しており、1844~47年ごろに建てられたもの。後方にある渡廊下・離座敷は、後に建て増しされたようです。離座敷側は急斜面に沿って建てられる「懸造(かけづくり)」で、この地域の民家によく用いられるため「吉野建て」と呼ばれるとか

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-31
離れ側から主屋を見たところ。室内だとこの距離感が掴みづらいですが、かなり長く伸びた建物です。本物を見たらきっと驚きますよ!

奈良県立民俗博物館・大和民俗公園@大和郡山市-32
床下の納屋部分には大量の農機具が!無造作に置いてあるのがすごい(笑)



■奈良県立民俗博物館

HP: http://www.pref.nara.jp/1508.htm
住所: 奈良県大和郡山市矢田町545
電話: 0743-53-3171
休園日: 月曜日(祝日の場合は開館。次の平日が休み)
開館時間: 9:00 - 17:00
観覧料: 大人200円、大学生など150円
駐車場: 無料駐車場あり
アクセス: JR大和路線「大和小泉駅」から、奈良交通バス「矢田東山」下車、徒歩10分


■大和民俗公園

休園日: 終日入園可能
観覧料: 無料

■古民家

休園日: 月曜日
開館時間: 9:00 - 16:00
観覧料: 無料

※実際に拝見したのは「2014年11月15日」でした


■参考にさせていただきました

奈良県立民俗博物館 - Wikipedia
奈良県立民俗博物館・民俗公園






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