2022-05-31

古代の太鼓の完全体!宮古平塚古墳「太鼓形埴輪」@田原本町

古代の太鼓の完全体!宮古平塚古墳「太鼓形埴輪」@田原本町

田原本町「宮古平塚古墳」(6世紀前半)から出土した、完全な形の太鼓形の埴輪。『唐古・鍵考古学ミュージアム』での無料展示を拝見してきました。太鼓型埴輪は、ほぼほぼ欠損のない完全体で、誰がどう見ても太鼓です。「こんなものがまだ足元に眠ってるんだ!」という驚きもありますね。奈良ってすごい!


今の太鼓と形はほぼ同じです

太鼓形埴輪@宮古平塚古墳(田原本町)-01
田原本町の「宮古平塚(みやこひらつか)古墳」(6世紀前半)から、完全な形の太鼓(たいこ)形の埴輪が出土し、考古学的なビッグニュースとなりました。
唐古・鍵考古学ミュージアム』で無料公開(期間:2022/5/31~8/31)が始まった初日に、さっそく見学へ行ってきました。

太鼓形埴輪@宮古平塚古墳(田原本町)-02
見るからに太鼓型の埴輪。真ん中が太くなった円筒形で、革の端の部分を線を刻みし、両端の革をとめる鋲は小さな粘土を貼り付けて表現しています。

●サイズや表現など
・大きさ - 長さ 28cm、胴部径 25cm、鼓面径(両面とも)17.5cm
・胴部中央の穴 - 長軸 8.5cm、短軸 7.5cm
・円形の小さな粘土を両端に、それぞれ14個・12個ずつ貼り付けて、革止めの鋲(びょう)を表現。革の端の部分を線刻で表現している。
・筒状の胴部を作り、両端を粘土板で蓋をするように成形した。

太鼓形埴輪@宮古平塚古墳(田原本町)-03
アップで。表面の模様もくっきりしています。鋲が取れている部分があるものの、ほぼ作られた6世紀当時のまま、割れもせず欠けもせずにそのままの形で見つかるですからすごいですね。あまりにもしっかりとし過ぎていて、最近作られた物のようにさえ見えてきます。

太鼓形埴輪@宮古平塚古墳(田原本町)-04
裏側には穴があいています(8.5cm×7.5cm)。穴を下向きに置くと安定しそうですが、別途、太鼓を置くための台や埴輪があった可能性もあるかも……とのことです。

太鼓形埴輪@宮古平塚古墳(田原本町)-06
マスコミで大々的に発表された直後ということもあり、たくさんの人が観覧に訪れていました。


「宮古平塚古墳」ってどこ?など

太鼓形埴輪@宮古平塚古墳(田原本町)-05
展示室にあった説明です。要点をまとめておきます。

●田原本町「宮古平塚古墳」について
・6世紀前半、1辺約20mの方墳。北西側に造り出しが付くと想定される。
・所在地は、田原本町宮古。「スーパーセンターオークワ田原本インター店」(田原本町十六面)の北側。
※古墳の近くを車で通り過ぎましたが、ただの作業現場です。工事が進められており、古墳や発掘現場は見学できません。
・以前から存在は知られていたが、遺跡としては登録されていなかった。今回の調査結果より「宮古平塚古墳」として新規登録された。

●太鼓を表現した埴輪について
太鼓を表現した埴輪は、これまで国内で3例が確認されている(すべて破片)。
・今城塚古墳(大阪府高槻市、6世紀前半)
※今城塚古墳は、宮内庁の治定は受けていないが。第26代・継体天皇の真の陵とも見られている古墳です。
・百足塚古墳(宮崎県新富町、6世紀中ごろ)
・井辺八幡山古墳(和歌山県和歌山市、6世紀前半)
完全な形が残っているのは、宮古平塚古墳のものが全国初。そして最古級。

●出土の状況など
・2022年4月の調査で、古墳東側の周濠から出土。中に土が詰まっていたため、割れずにそのままの形が残されていた。
・他の太鼓型の埴輪の出土例では、太鼓とそれを叩く人物埴輪がセットになった例もある。今回は周囲から盾形の埴輪などは見つかっているが、人物埴輪は見つかっていない。

●考察など
・『日本書紀』には「鼓」の記述も見られる。当時の太鼓は [1] 儀礼の場で、[2] 軍楽器として、[3] 葬儀の場で、といった使用方法が考えられている。
・太鼓は中国でも古くから用いられてきた。『三国志』では戦場で使用したシーンなども見られる。
・埴輪に穴があいていることから、太鼓を置くための台や埴輪があった可能性もあるかも。


■太鼓形埴輪の展示

場所: 唐古・鍵考古学ミュージアムの入口
会期: 2022年5月31日(火)~8月31日(水)
観覧料: 太鼓形埴輪のみの観覧は無料
※解説テキストはこちら(PDF)


常設展(有料)もぜひご覧あれ

この太鼓形埴輪は無料で拝見できますが、せっかくですから『唐古・鍵考古学ミュージアム』の常設展示もぜひご覧ください(大人 200円、高校生・大学生等 100円)。

常設展では、唐古・鍵遺跡に建てられた「復元楼閣」のモチーフとなった、くるっと丸まったパーツが素敵な建物が描かれた絵画土器など、美しい土器や埴輪が見られます。

太鼓形埴輪@宮古平塚古墳(田原本町)-07

太鼓形埴輪@宮古平塚古墳(田原本町)-08

太鼓形埴輪@宮古平塚古墳(田原本町)-09

太鼓形埴輪@宮古平塚古墳(田原本町)-10

太鼓形埴輪@宮古平塚古墳(田原本町)-11

太鼓形埴輪@宮古平塚古墳(田原本町)-12

太鼓形埴輪@宮古平塚古墳(田原本町)-13

太鼓形埴輪@宮古平塚古墳(田原本町)-14
【余談】施設1階部分には、『少年アシベ』(と埴輪)が描かれたサイン入りタペストリーが展示されています。これは、作者の森下裕美先生が奈良県のご出身ということで、2021年に作品展を開催されたときのもの。ファン必見!



■唐古・鍵考古学ミュージアム

HP: http://www.town.tawaramoto.nara.jp/karako_kagi/museum/
住所: 奈良県磯城郡田原本町阪手233-1(田原本町生涯学習センター2階)
電話: 0744-34-7100
休館日: 月曜日(祝日の場合は開館、次の平日が休館)・年末年始
開館時間: 9:00~17:00
観覧料: 大人 200円、高校生・大学生等 100円
駐車場: 多数あり(無料)
アクセス: 近鉄「田原本駅」「西田原本駅」から徒歩約20分


■参考にさせていただきました
完全な太鼓の埴輪、全国初「古代から形変わらず」 奈良 - 産経ニュース
完全な太鼓形の埴輪みつかる、最古級 奈良・田原本町 : 日本経済新聞


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