2021-11-09

リニューアルした『橿原考古学研究所附属博物館』@橿原市

リニューアルした『橿原考古学研究所附属博物館』@橿原市

2021年11月にリニューアルオープンした『橿原考古学研究所附属博物館』。石器や土器などの展示は地味になりがちなものですが、以前よりも見やすく、よりわかりやすく進化しています。天理市・黒塚古墳の三角縁神獣鏡が全33面揃った特別陳列なども開催中ですのでぜひ!


ほぼ3年ぶりのリニューアルオープン

奈良県内の埋蔵文化財の調査・研究を行う「橿原考古学研究所」。その出土資料などを展示する施設が『橿原考古学研究所附属博物館』が、2021年11月3日にリニューアルオープンしました。

同館では、常設展「大和の考古学」のほか、春秋2回の特別展、夏の速報展「大和を掘る」などを開催し、奈良県内の多くの遺跡からの貴重な出土資料を目にすることができます。

※基本的に館内は撮影可能ですが、一部の展示品は撮影不可となっています。ご注意ください。


橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-01

リニューアルを果たした『橿原考古学研究所附属博物館』。空調設備など施設改修のため2018年12月末から休館していましたが、ほぼ3年ぶりの再開となりました。

エントランスには、いきなり大きな石造物が。飛鳥京跡苑池から出土した「流水施設」と「石槽(せきそう)」で、古代の都を彩った貴重な流水設備の本物が目の前で見られます!さすがですね!


特別陳列「黒塚古墳の鏡」を開催中

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-02
有料エリアでは、リニューアルオープンを記念した特別陳列「黒塚古墳の鏡」も開催中です。
天理市・黒塚古墳(Wikipedia)から出土し、「卑弥呼の鏡」などと呼ばれたりもする、33面の三角縁神獣鏡(と画文帯神獣鏡1面)がずらりと並ぶ、圧巻の一室です。

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-03
33面のすべて、それぞれ少しずつ文様が違います。じっくりと見比べてみるとなかなかユニークです。

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-04
三角縁神獣鏡と聞くと、やはり人気ドラマ『鹿男あをによし』を思い出しますね!

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-05
こちらは黒塚古墳のものではなく、常設展示の「方格規矩鏡」と「内行花文鏡」です。館内には県内各地から出土したたくさんの美しい鏡が展示してあるので、ぜひ比較してみてください。


縄文時代はカワイイの宝庫!

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-06
橿原考古学研究所附属博物館の常設展示は、大きく3室あります。第1展示室は、旧石器時代・縄文時代・弥生時代を扱います。ここの展示が、可愛くていいんですよ!

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-07
土偶のパーツを円形に展示していたり、
(※これらの土偶は壊れてしまったのではなく、呪術的な意味であえて壊してから埋葬したという説もあります。)

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-08
橿考研附属博物館のアイドル的(?)な存在でもある、橿原市・観音寺本馬遺跡から出土した土偶(縄文時代晩期)がいたり、

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-09
動物の意匠を表現したという、面白い土器類が集めてあったり、

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-10
その文様が橿考研のシンボルになったという、橿原市・橿原遺跡から出土した滑車型耳飾(縄文時代晩期)の美しさを観察できたり。詳しい知識がなくても楽しめます!


模型やジオラマでわかりやすく

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-11
第2展示室は、古墳時代へと移ります。展示の中央にあるリアルタイプのジオラマでは、古墳時代の人々が“まつり”を行っており、手前の方は銅鐸を鳴らしています。また、奥のユニークな服装で空を見上げている人は、

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-12
天理市・清水風遺跡(弥生時代中期)出土の土器に描かれた「鳥葬の巫女」の復原イメージです。この他にも「高床建物」や「鹿」が描かれた土器なども展示されています!

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-13
こちらは、桜井市・ホケノ山古墳(古墳時代前期、紹介記事)の中心埋葬施設を復元した模型です。日本でも最古の時期に築造された前方後円墳で、石舞台古墳など後の時代の古墳よりもかなりシンプルだったことが、ビジュアルで理解できます。

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-14
それに合わせるように、ホケノ山古墳の副葬品の鉄製品なども展示されています。こういう展示を見てから現地へ行くと、ますますイメージが膨らみますね!

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-15
葛城氏の長であった葛城襲津彦の墓との説もある、御所市・宮山古墳(古墳時代中期)から出土した、大きな埴輪たち。家や人の形をしていたり、筒状だったりと、不思議な形状です。亡骸の周囲を守るように、さまざまな形状の埴輪が配置されていたんですね。

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-16
この展示の前にも、石室と埴輪の配列をわかりやすく復原した模型があります。

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-17
この他にも、奈良県内の各地で出土した埴輪たちがずらりと並んでいます。鹿や人、家など、いろんな形がありますね。裏側の超巨大な円筒状の埴輪は、桜井市・メスリ山古墳(Wikipedia)出土のものなど。迫力があって楽しいです!

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-18
斑鳩町・藤ノ木古墳(Wikipedia)出土の、金色に輝く馬具類も、本物が展示されています。展示ケースの前では、発掘調査のドキュメント映像なども流れていて、あの大発見の興奮が伝わってくるようでした。

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-19
馬が歩くたびに揺れながら煌めいたであろう、豪華な飾りも。この美しさのまま現代に残っているなんて、本当にすごいことです!

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-20
これら以外にも、美しい勾玉や首飾りなどが見られたり、

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-21
各地で出土した武具類が並んでいたりします。


日本最古の将棋の駒なども

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-22
第3展示室は、飛鳥・奈良時代・平安~室町時代の品々の展示で、一気に仏教色が強まります(撮影不可なものも多いので手短に)。こちらは飛鳥宮跡から見つかった木簡類の複製品など

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-23
奈良市・興福寺の旧境内から見つかった「将棋駒」。平安時代(11世紀)のものと考えられ、現在のところ日本最古の将棋の駒となるのだとか。今でもすぐに使えそうなほどのリアルさです。将棋ファンの方は必見ですね!

橿原考古学研究所附属博物館@橿原市-24
土器に墨で絵を描いた「戯画皿」たち(平安~鎌倉時代)。紹介しきれませんが、これ以外にもすごいもの・楽しいもの・美しいものは多数展示されています。
また、ミュージアムショップも以前よりさらに充実しましたし、そのお隣の情報室には、パソコンの画面を操作して石室や石棺の内部を360度映像でぐるりと見られる新サービスも登場しています!ぜひ遊んでみてください!



■橿原考古学研究所附属博物館

HP: http://www.kashikoken.jp/museum/top.html
住所: 奈良県橿原市畝傍町50-2
電話: 0744-24-1185
定休日: 毎週月曜日、年末年始
※月曜が休日にあたる場合は開館しその翌日休館
開館時間: 9:00~17:00
拝観料: 大人 400円、学生(大・高校生)300円、小人(中・小学生)200円
駐車場: あり(無料)
アクセス: 近鉄「畝傍御陵前駅」から徒歩約5分。また「橿原神宮前駅」からは徒歩約15分です。


<余談>13年前の記事を読み返して

上記の記事は今から13年前に初めて橿考研附属博物館へ行った際に書いたものです。久々に読み返してみたら、「写真撮影できない(※当時は不可でした)」「地味だ」「よく分からない」など、ひどいくらい言いたい放題ですね 笑

実際のところ、この当時の私はまだ奈良へ引っ越してきて数年目、社寺や遺跡へ興味を持ち始めたばかりで、ほとんど基礎知識はありませんでした。その貴重さや美しさがわかりやすい仏像などへの関心は高まっていたものの、こうした考古的なものについては「関心はあるものの、どうお近づきになればいいのかわからない」という状態でした。

そんな私も、実際に史跡や古墳を訪ね歩いたり、初心者向けのものから関連する本を読んでいったりするうちに、こうした展示を拝見するのが楽しくて仕方ないくらいまでには成長しました。

古代の人物でも古墳でも、きっかけは何でもいいんですが、ぜひ少しでも興味をお持ちの方は、橿考研附属博物館に訪れてみてください。きっともっと深い沼にはまっていけますよ!






  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ