2009-02-14

寅と毘沙門天の山寺『朝護孫子寺』@平群

『朝護孫子寺』@信貴山

信貴山観光ホテルでのんびりと食事&温泉を堪能した後、すぐ近くの『朝護孫子寺』へ参拝してきました。

ここの来るのは2回目で、実は節分の日に「節分大法要鬼追式」という、ちょっと面白い豆まきがあると聞いていたので、それを見に行くつもりにしていたのですが、残念ながら当日は激しい雨・・・。素直に諦めて、改めて出直してきました。


『朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)』の縁起

『朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)』の縁起は、「582年ごろ、聖徳太子が物部守屋の討伐のため、信貴山に立ち寄って戦勝祈願をしたところ、空に毘沙門天王が現れて必勝の秘法を授けた」というところから始まります。

今では、「張子の寅」で有名になった朝護孫子寺ですが、寅を祀るようになったのも、毘沙門天王が現れたのが寅年・寅日・寅の刻だった、という言い伝えによるものです。

お寺の創建は594年のこと。信貴山という山の名前も「信ずべき山、貴ぶべき山」という意味を込めて名付けられたそうです。後の902年、醍醐天皇によって「朝護孫子寺」と名付けられました。

戦国時代には、山中の信貴山城が松永久秀の居城となりますが、織田信長に攻略され、朝護孫子寺ものとも全焼。豊臣秀頼の手によって再興されました。

現在は、戦勝祈願・福徳円満・家業繁盛の守護神「毘沙門天」を本尊とし、寅を守り神とするお寺として知られるようになっています。また、平安時代に書かれた「信貴山縁起絵巻(国宝)」が有名で、原本は奈良国立博物館へ寄託されていますが、複製を見ることができます。


巨大な「張子の寅」がお出迎え

朝護孫子寺は、信貴山の山腹に広がる山寺ですので、とにかく敷地が広大です。境内に入ると、すぐに大きな寅「世界一福寅」がお出迎えしてくれます。ここから先、どこへ行っても寅だらけ!様々な寅がいました。

ちなみに、この日「2009年2月14日」は、寅の月・二寅の日ということで、「二寅参り」という扱いになり、ご利益も倍増するのだそうです。偶然でしたが、いいタイミングでお参りできました(笑)


『朝護孫子寺』@信貴山-張子の虎-01

金剛生駒国定公園の中にある信貴山。その山腹には『朝護孫子寺』の広大な境内が広がっています。かなりの広さですので、全部見てまわるには2時間ほど必要かもしれません。また、アップダウンも激しいので、しっかりとした靴を履いて出かけてください

『朝護孫子寺』@信貴山-張子の虎-02
朝護孫子寺といえば「張子の虎」が有名です。これは境内で最も大きな「世界一福寅」。この前で色んなイベントなども行われるそうです

『朝護孫子寺』@信貴山-張子の虎-03
大きな寅の脇には、千両箱を抱えた中寅たちが。愛嬌があるというか、マヌケというか。憎めない顔をしていますね(笑)

『朝護孫子寺』@信貴山-張子の虎-04
山門が改修中でしたが、その上には「せんとくん」が。奉迎2010年「寅歳」記念の寅のキャラと並んでました。金剛組さん、ナイスです!


本堂は舞台造りの力強いタイプです

朝護孫子寺の「本堂」は、1951年に焼失してしまったものを、1958年に再建したのだそうです。特に華美な装飾などはありませんが、力強い舞台造りの建物でした。信貴山の一帯が見渡せるため、桜の季節には特に見事な眺めになるそうですし、ご来光を拝んだりするのにも最適なのだそうです。


『朝護孫子寺』@信貴山-本堂-01

朝護孫子寺の「本堂」前の石段。大きな桜の木があり、春になったら見事な光景が見られることでしょう

『朝護孫子寺』@信貴山-本堂-02
朝護孫子寺の本堂前。1951年に焼失したものを、1958年に復興したのだそうです。舞台づくりの力強い建築物でした

『朝護孫子寺』@信貴山-本堂-03
舞台造りの本堂からの眺め。この日は曇っていたため、それほどキレイに見えていませんが、信貴山からの夜景はかなり美しいそうです

『朝護孫子寺』@信貴山-本堂-04
本堂からの眺め。遠くには三重塔と並んだ「日本一大地蔵」が見えます。かなり遠くに見えますが、もちろん後であそこまで歩いていかなくてはいけません(笑)


真の暗闇が味わえる「戒壇巡り」

朝護孫子寺の本堂では、本堂下の真っ暗な廻廊を歩いて一周する「戒壇巡り(@100円)」が出来ます。

戒壇巡りが体験できるお寺は日本各地にありますが、最も有名なのは長野の「善光寺」でしょう。奈良は古いお寺が多いためか、他にはあまり聞いたことがありません。・・・とはいえ、基本的には真っ暗な廻廊を壁伝いに手探りで一周するだけ、という内容のため、それ自体は特に楽しいものでもないのです(笑)

しかし、目を瞑っていても開けていても一緒、そんなレベルの真の暗闇なんて、現代ではまず経験できませんからね。私はそんなものは平気なタイプだと思っていたのですが、どことなく恐怖心が湧いてきてしまいました。

そう考えると、それなりに有益な宗教体験になっていたのかもしれませんね。


『朝護孫子寺』@信貴山-戒壇巡り-01

本堂のすぐ脇には「戒壇巡り(@100円)」の入り口があります。全く灯りの無い本堂の地下を手探りで一周する・・・という、かなりストイックなイベントです

『朝護孫子寺』@信貴山-戒壇巡り-02
戒壇巡りの説明書き。九間四面の真っ暗な回廊を歩きます。見どころは2箇所で、生まれ年の守本尊たちと、覚鑁上人にゆかりのある錠前。ストイックです(笑)


複製の「信貴山縁起絵巻」も味があります

何故か写真は撮り忘れてしまいましたが、本堂のすぐ脇には、平安時代に描かれた国宝「信貴山縁起絵巻」の複製が展示してある「霊宝館(@200円)」があります。

本物は奈良国立博物館へ寄託されていますので見ることはできませんが、改めて複製を眺めてみても十分に面白いものなんですよね。信貴山で修行した命蓮上人の説話を描いたものですが、有名な「飛倉巻」では、空を飛ぶ倉や米俵などが生き生きと描かれていて、とても興味深いものです。

パソコンの壁紙に登録しておきたいくらいの斬新さが感じられますので、本物じゃないから・・・などと思わずに、ぜひご覧になってみてください。意外と楽しめます。


馬上で弓を構えた武官系「聖徳太子像」

これ以外にも、凛々しい聖徳太子の像があったりしますが、とにかく色んなタイプのお堂が次から次へと現れますので、後で思い出すのに苦労するほどです。ここからはコメント短めで画像だけ掲載していきます。

『朝護孫子寺』@信貴山-01
聖徳太子が創建したと伝えられお寺だけに、馬に乗って弓を構える珍しい聖徳太子像がありました。武官っぽいイメージに作られた像は、なかなか見られません

『朝護孫子寺』@信貴山-02
聖徳太子像前の手水舎。お狐さまの口から水が出ているタイプは初めてみました。しかし、相当悪い顔をしてますね(笑)


「成福院」周辺にはのぼりが多数!

『朝護孫子寺』@信貴山-03
朝護孫子寺の「成福院」。境内内にあるいくつかの別院の一つです。願い事を書いて奉納する「融通ひょうたん」というものがあるそうです

『朝護孫子寺』@信貴山-04
成福院から本堂へ続く参道沿いには、朝護孫子寺のご本尊でもあり、武を司る「毘沙門天(=多聞天)」に奉納されたのぼりで埋め尽くされていました

『朝護孫子寺』@信貴山-05
のぼりを見ていたら、何と柔道無差別級の金メダリストで、格闘家に転向した「石井慧」さんのものを発見。武運を祈ってでしょうか、「人類最強」の文字がひときわ目立ってました

『朝護孫子寺』@信貴山-06
「成福院」の脇にある八十八所の七福神のお堂前。デフォルメされた金の寅・銀の寅がお出迎えしてくれます


力を合わせて回転させる「一切経蔵」

『朝護孫子寺』@信貴山-07
霊宝館の前にある「一切経蔵」。中には回転式の経蔵があり、それを一周させると全てのお経を読破したのと同じだけの功徳があるのだそうです

『朝護孫子寺』@信貴山-08
極彩色に彩られた「一切経蔵」の中。回転式の経蔵には、この下に持ち手があり、力をあわせて回してみたのですが、あまりの重さに三人ではムリ・・・。半周も出来ずにギブアップしました・・・(男三人ならいけると思います)

『朝護孫子寺』@信貴山-09
「一切経蔵」の中は極彩色の装飾が。四隅では四天王さんがしっかりとお守りしていました


とにかく色んな要素がてんこ盛りです!

境内を歩いていくと、「玉蔵院」へ向かう道が風情があって良かったですね。頭上を渡り廊下のようなものが横切っているのですが、失礼な言い方をすると、どことなく「遊郭」のような作りに見えて面白かったです。ここでは大広間などもあるそうですので、何かの集まりにどうぞ。

その先、朝護孫子寺のかなり高いところには「日本一大地蔵尊」があります。総丈「14.5m」のかなり大きなお地蔵さんで、まだシルバーに光る真新しいものでした。大仏さんにありがちなことなんですが、この一帯だけは妙に「異空間」の雰囲気が感じられるのも面白いですね。

とにかく、色んな宗教的な要素(&寅)が次々に出てくるお寺ですので、見ていて飽きませんね。ややゴチャッとした印象はありますし、最後には歩き疲れてしまいましたが、かなり楽しいお寺でした!


『朝護孫子寺』@信貴山-10

竈の神様とされる「三宝荒神」などを祀った「不動明王」。建物の名前が不動明王というのもおかしな話ですが、マップにも「不動明王」として掲載されています

『朝護孫子寺』@信貴山-11
「玉蔵院」へ向かう参道の様子。玉蔵院は食事の出来る大広間なども完備しているそうで、法事などの際に利用されるようです。石段と渡り廊下がいい雰囲気ですね


『朝護孫子寺』@信貴山-12

色鮮やかな三重塔と「日本一大地蔵尊」。鮮やかな色と大きな仏像という組み合わせは、どことなくトンデモ宗教を連想させますが違います(笑)

『朝護孫子寺』@信貴山-13
巨大なお地蔵さんと三重塔。色合いが華やか過ぎて、どことなくタイっぽい印象がありますね

『朝護孫子寺』@信貴山-14
大日如来が祀ってある「多宝塔」。こんな密教的なものもあります。朝護孫子寺では、色んな要素がどんどんと飛び出してくるので、最終的にかなり混乱させられます(笑)

『朝護孫子寺』@信貴山-15
三寅の胎内くぐり。寅の長ーい胎内をくぐり抜けるだけなんですが、ちょっとしたアトラクション気分です。この寅は、かなり「ネコバス」に似ていると評判です!

『朝護孫子寺』@信貴山-16
「千手院」脇にある地蔵堂。まだ新しいものだとはいえ、これだけのお地蔵さんが並ぶとかなり壮観ですね

『朝護孫子寺』@信貴山-ご朱印
朝護孫子寺のご朱印です。「毘沙門天」の文字が力強くていいですね!



大きな地図で見る


■朝護孫子寺(信貴山)

HP: http://www.sigisan.or.jp/
住所: 奈良県生駒郡平群町信貴山
電話: 0745-72-2277
宗派: 信貴山真言宗
本尊: 毘沙門天
創建: 不明
開基: 聖徳太子(伝)
拝観料: 境内無料(霊宝館:200円、戒壇めぐり:100円)
拝観時間: 入山は24時間可能
駐車場: 有料駐車場有(500円)
アクセス: 西名阪道路「法隆寺I.C」または「香芝I.C」より車で20分

※「大和七福神」の一つ(毘沙門天)
※大和十三仏霊場11番(玉蔵院)など






  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ