2009-03-10

西国三十三所の満願札所『華厳寺(谷汲山)』@岐阜県

華厳寺(谷汲山)@岐阜

西国三十三所の秘仏ご開帳巡りを続けている私たちですが、「3月1日-14日まで」の期間で、何と52年ぶりにご開帳になる『華厳寺(谷汲山)』へお参りしてきました。

奈良からだいぶ距離のあるお寺ですので(片道3時間以上かかりました)、かなり大変でしたが、無事に秘仏のご本尊にお会いすることができました。


『谷汲山華厳寺』の縁起とは

『華厳寺(けごんじ)』は、山号を「谷汲山(たにぐみさん)」といい、岐阜県揖斐郡揖斐川町にある、西国三十三所の三十三番目の満願札所に当たるお寺です。

創建は798年のこと。会津出身の豪族「大口大領」が、都の仏師に十一面観音像を依頼し、それが完成した帰路、突然、観音像が歩き出したのだとか。そして、現在の岐阜県大垣市の辺りに差し掛かったとき、「我、これより北五里の山中に結縁の地があり、其処にて衆生を済度せん」と延べられて北へ向かい、現在の谷汲の地で動かなくなってしまいました。その地に草庵を建立し、これが後の華厳寺となりました。

西国巡礼中興の祖とされる「花山法皇」は、10世紀ごろ、西国三十三所の霊場を徒歩で巡幸しましたが、華厳寺を第三十三番の満願札所と定め、笈摺・杖、そして三首の御詠歌を奉納したそうです。

その後、1334年の足利氏と新田氏の戦乱などにより、幾たびとなく伽藍を焼失してきましたが、ご本尊や脇侍は山中に隠し、難を逃れてきたのだそうです。

西国三十三所の順番というのは年代によって変わってきましたが、現在は満願所として、多くの参拝客で賑わうようになっています。


駐車場から仁王門まで1kmあります!

奈良から片道3時間以上かけてドライブして、ようやく辿り着いた『華厳寺』は、ほぼ半世紀ぶりのご本尊のご開帳ということもあって、平日だというのに、本当に沢山の参拝客で賑わっていました。

岐阜の山奥にあるお寺ですが、比較的石段でのアップダウンは少なめです。その代わり、入口付近にある駐車場から「仁王門」までが1kmもありますので、脚力に自信の無い方は、行きは無料バスを使用して、帰り道に参道のお土産物屋さんを見ながら歩く、というくらいのプランでもいいかもしれません。


華厳寺(谷汲山)@岐阜-01

岐阜県揖斐川町にある『谷汲山華厳寺』前の参道。山門をくぐってすぐの駐車場に車を停めたのですが、そこから徒歩10分くらいかかります。この写真には写っていませんが、なかなか渋いお店が並んでいます

華厳寺(谷汲山)@岐阜-02
華厳寺の「仁王門」。二階建ての入母屋造りの、重厚な門ですね。「52年ぶり」のご本尊のご開帳となるため、とにかく大混雑でした

華厳寺(谷汲山)@岐阜-03
仁王門前の巨大な草鞋(わらじ)。西国三十三所の最後となる「満願札所」のためか、これだけ沢山の千羽鶴が納められていました

華厳寺(谷汲山)@岐阜-04
華厳寺の「吽形」。仁王門自体もそうですが、仁王像も木の質感が伝わってきていいですね。奈良県民にも見慣れたタイプで、落ち着く感じがします


秘仏のご開帳は・・・あまりよく見えず・・・

小さなお堂が点在する参道を歩いていくと、ようやく正面に石段と、その先に「本堂」が見えてきます。

本堂の向かって右手には納経所が、正面には半世紀ぶりのご開帳となったご本尊が、左手には「戒壇巡り」の入口があるのですが、どこも大混雑!ご朱印をいただくために30分以上も並ぶことになってしまったため、今回は戒壇巡りは遠慮させていただきました。

そして、肝心のご本尊「十一面観世音菩薩(秘仏)」ですが・・・、実はあまり良く見えませんでした(笑)

それというのも、この仏様は、厳重に管理されている秘仏中の秘仏で、写真も公開されておらず(書籍に掲載させたことも無ければ、もちろん絵葉書なども売られていません)、制作年代や構造を調べたことも無いため、正確な大きさも不明なのだそうです!

今回のご開帳では、かなり遠い位置から厨子の中にいらっしゃる仏様を拝見できたのですが、上からかかっている垂れ幕が顔のあたりまで隠していたため、どれだけ体制を低くしても、ほとんどお顔や手先などもは見ることはできませんでした・・・。

仏像好きとしては寂しいことですが、これだけ大切にされている仏様ですからね。その一部だけでも拝見できたのですから、幸せなことだったといえるでしょう!


華厳寺(谷汲山)@岐阜-05

本堂前の石段。それほど段数は多くありませんが、移動距離は長めです。右手のカラフルなポールは、ご本尊と紐で結ばれていて、ここからも結縁をいただくことができます

華厳寺(谷汲山)@岐阜-06
本堂前の石碑と石灯籠。本堂の前がすぐに石段のため、本堂の全景が見える写真はありません。ちなみに、この石灯籠、よく見ると、ハートマークがたくさん入ってます!何の意図があるのか分かりませんが、珍しいですね

華厳寺(谷汲山)@岐阜-07
華厳寺の「本堂」の様子。ものすごいお線香の煙ですね。人だかりのずっと先には、今回ご開帳された秘仏「十一面観世音菩薩」がいらっしゃるのですが、遠いし垂れ幕がかかっていてほとんどお顔も見られませんでした・・・

華厳寺(谷汲山)@岐阜-08
本堂の組物。明治時代に再建されたもので、華やかな模様がいい具合に落ちかけてきていて、とてもシックでした


満願札所らしい光景が見られます

華厳寺は、西国三十三所の最後「満願札所」ですので、本堂裏手にある「笈摺堂(おいずるどう)」に、笈摺や朱印を奉納できるようになっています。また、本堂前の左右の柱には、銅製の「精進落としの鯉」があります。満願を達した方が触るものだそうですので、コチラもどうぞお忘れなく。

西国三十三所巡礼にも、色んな巡り方があると思いますが、無事に満願を達した時には感激もひとしおなんでしょうね。恥ずかしながら、私たちは全く正統的な巡礼者ではありませんし、満願となるのもまだまだ先の日になると思いますが、いつかその日がきたら、改めて参拝させていただこうと思います。


華厳寺(谷汲山)@岐阜-09

本堂の裏手にある「おいずる堂」。花山法皇ゆかりのお堂で、満願の際に、笈摺や朱印を奉納するのだそうです。ここも千羽鶴の数がすごいですね

華厳寺(谷汲山)@岐阜-10
華厳寺「おいずる堂」の中は、大量の笈摺や朱印帳が納められていました。その量に圧倒されますね。左手奥に見えるのは「子安堂」。沢山のよだれかけが奉納されています

華厳寺(谷汲山)@岐阜-11
本堂前の左右の柱に打ち付けてある「精進落としの鯉」。西国三十三所の満願を達した方が、精進落としとしてこの鯉を撫でるのだとか。満願にはほど遠い私たちですが、しっかりと触れてきました!

華厳寺(谷汲山)@岐阜-12
本堂裏手には、1枚10円のお札が販売されています。これを、目の前にいらっしゃる仏様に、自分の体の悪い部分と同じところに貼り付けると快方するとのこと。私も腰痛持ちですので、さっそくお願いしました

華厳寺(谷汲山)@岐阜-13
これが、お札を大量に貼り付けられた仏様。これだけ全身お札だらけだと、何だか申し訳ない気分になりますが、腰の部分に貼らせていただきました!

華厳寺(谷汲山)@岐阜-14
本堂裏手にあった小さなお堂。由来はよく分かりませんが、何故か沢山の大黒様と布袋様が。ここだけ床の間みたいな雰囲気でした(笑)


見どころは色々ですが、お時間が・・・

仁王門から本堂までの間にも、色んなお堂があったのですが、あまりにも細かくなりますので省略させていただきます。本堂の裏手からは時間がある方は、山道を徒歩40分ほど歩くと「奥の院」などもあるそうですので、散策がてら歩いてみるのもいいかもしれません。


華厳寺(谷汲山)@岐阜-15

参道途中にある「明王院」でも、特別ご開帳が。愛染明王さんなどと一緒に、キツネに乗った小像「だきに天」さんがいらっしゃったのが感激!初めて生で拝ませていただきました

華厳寺(谷汲山)@岐阜-16
参道途中にあった手水舎。仏様が持つ水瓶から水が落ちるデザインになっています。ドラゴンタイプよりも、ありがたみが増すような気がしますね

華厳寺(谷汲山)@岐阜-17
本堂近くの寺務所のようなところにいた、のっぺりした謎のキャラクター。公家さん風なのは分かりますが、誰だろう?


ご朱印は「三つで一組」と決まっています

こんなご開帳の日に行ったからなのか、満願札所だから常にそうなのかは分かりませんが、とにかく納経所の混雑ぶりはすごかったですね。お寺の方も、受付・朱印書きと、総勢8人体制くらいで対応しているのですが、週末には1時間くらいかかることもあるそうです。参拝時間には余裕を見ておいた方が良さそうですね。

また、華厳寺では、ご朱印は必ず「三つで一組」となっているそうです。本堂・満願堂、笈摺堂が、それぞれ現在・過去・未来を意味するのだとか。

もちろん、ご朱印代も通常の「300円×3=900円」となりますし、「一つだけなら行列もスムーズに進むのに・・・」などと思ったりもしますが、華厳寺は境内の拝観は無料ですから、その分で相殺していると思って、気長に待ちましょう(笑)


華厳寺(谷汲山)@岐阜-18

三十三所ツアーのツアーコンダクターさんたち。ツアー客の朱印帳や納経帳・納経軸・笈摺をまとめて預かるのですから、大変な作業ですね。ツアー数も多かったので、この日のご朱印も、待ち時間30分ほどでした・・・

華厳寺(谷汲山)@岐阜-ご朱印1
華厳寺のご朱印です。何とこちらは「三つで一組」となっていて、花山法皇が詠んだ三首の御詠歌にちなんだものなのだそうです。これは「現在」を表す本堂(観音堂)のもの

華厳寺(谷汲山)@岐阜-ご朱印2
華厳寺のご朱印2つ目。これは「過去」を表す満願堂のもの

華厳寺(谷汲山)@岐阜-ご朱印3
華厳寺のご朱印3つ目。これは「未来」を表す笈摺堂のもの


参道も華やかで楽しかったです!

また、華厳寺の参道もかなり面白かったです。

本堂へ向かう時に行列となっていたのが、ういろ屋「三枡屋」さん。地元では有名なお店らしく、帰り道に買おうと思っていたら、もうその場で完売となってしまいました。これが14時くらいの出来事ですので、混雑する日には早めに購入しておいた方が安全なのかもしれません。

また、この辺りが産地だという珍しい石「菊花石」を売っているお店が多いのも面白かったですね。

そして、かなり立派な仏像を販売している「水谷美術」さんというお店も、覗いてみると楽しいですよ。工芸品レベルですので、私たちには手が出ませんが、スゴイの一言でした。今回のお土産として、掛け軸のおもり(風鎮:ふうちん)を購入してきましたが、左右一組で500円でした!安いですね~(笑)


華厳寺(谷汲山)@岐阜-19

駐車場から仁王門までの1kmを往復する無料バス。廃線になった旧名鉄谷汲線の車両「モ五一〇形」を模したデザインになっているのだとか。なかなか凝ってますね

華厳寺(谷汲山)@岐阜-20
参道の中でひときわ長い行列になっていたのが「三枡屋」。地元では有名な「ういろ」のお店だそうです。ぜひ食べてみたかったのですが、この写真を撮った直後に「本日分は完売です」との声が。ここに写っている方も、ほとんど手に入れられなかったようでした

華厳寺(谷汲山)@岐阜-21
華厳寺の門前通りにある「水谷美術」さん。失礼ながら、こんな田舎にこんなに大きな仏像などのお店があるとは思ってもみませんでした!さすがにお値段も立派なので、手が出せませんが、見ているだけでも楽しいですね

華厳寺(谷汲山)@岐阜-22
水谷美術さんの店内の一部。手前にあるのが「菊花石」という石。この一帯が有数の産地なのだそうです。菊の花っぽい模様ですが、もちろん菊の化石ではありません



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■華厳寺(谷汲山)

HP: http://www.kegonji.or.jp/index.php
住所: 岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲徳積23
電話: 0585-55-2033
宗派: 天台宗
本尊: 十一面観世音菩薩(秘仏)
創建: 798年
開基: 豊然上人、大口大領
拝観料: 境内自由
拝観時間: 8:00-17:00(納経は16:30まで)
駐車場: 町営駐車場あり(300円)
アクセス: 名神高速「関ヶ原IC」「大垣IC」「岐阜羽島IC」から、車で約60分(それぞれ約35km)

※西国三十三所の第33番札所






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