2010-03-12

奈良盆地を一望!閻魔様と五色椿の『白毫寺』@奈良市

奈良盆地を一望!閻魔様と五色椿の『白毫寺』@奈良市

奈良三名椿の一つ「五色椿」で有名な『白毫寺(びゃくごうじ)』にお参りしてきました。奈良市の中心部からはやや離れますが、奈良盆地を一望できる高台にあり、迫力のある「閻魔王坐像」などがいらっしゃる、面白いお寺でした。


高円山に建つ眺めのいい花の寺

白毫寺は、奈良市東部の高円山の山麓に建つお寺です。その創建は715年のこと。天智天皇の皇子である志貴皇子の没後、その山荘を寺としたと伝えられています。鎌倉中期に、西大寺で真言律宗をおこし、多くの寺の復興に関わった叡尊によって復興されます。1261年には、叡尊の弟子である道照が、宋から「大宋一切経」の摺本を持ち帰ってからは「一切経寺」とも呼ばれ、庶民信仰の場として栄えました。

現在の白毫寺は、「関西花の寺二十五霊場」の第十八番札所(萩)として知られています。


白毫寺@奈良市-01

奈良市東部の高円山の山麓に建つ『白毫寺』。奈良盆地を見渡せる高台の上にあり、萩や椿が咲く花の寺として、「関西花の寺二十五霊場」の札所にもなっています。お寺へ続く道は道幅が狭いので、観光シーズンには特にご注意ください

白毫寺@奈良市-02
奈良のお寺にしては長めの石段が続きます。場所によって、植え込みは萩と椿に分かれています。椿(3月-4月)と萩(9月中旬ごろ)の見頃には、見事な眺めとなるそうです

白毫寺@奈良市-03
白毫寺の石段を登りきったところからの眺め。やや霞んでいましたが、奈良盆地が一望できました。この両脇は、秋になると萩の花で埋め尽くされます


奈良三名椿の一つ「五色椿」があります

伝香寺「散り椿」、東大寺・開山堂の「糊こぼし」と並び、【奈良三名椿】の一つに数えられる白毫寺の「五色椿」。この日は、先に伝香寺の散り椿を見てきた後に伺ったのですが、まだ満開にはだいぶ早かったようでした。

この「五色椿」の木は、興福寺の塔頭「喜多院」から移植されたものとされており、樹高は約5メートル。一つの樹に、白色・紅色・紅白絞りのなど、様々な色合いの花をつけるのが特徴です。花は大輪の八重ですので、満開の時期には見事でしょうね。


白毫寺@奈良市-05

白毫寺の「五色椿」。伝香寺「散り椿」、東大寺・開山堂の「糊こぼし」と並び、【奈良三名椿】の一つに数えられます。この日はまだ満開には程遠く、やや寂しい印象でした

白毫寺@奈良市-06
白毫寺の「五色椿」は、樹齢およそ400年で、県の天然記念物です。花は大輪の八重で、白色・紅色・紅白絞りのものなどが、同じ木に咲くのは珍しいのだとか。満開の時期に見ると、見事な色合いなんでしょうね

白毫寺@奈良市-07
五色椿の根元には、すでに散った花が落ちていました。椿は花ごとポロリと落ちるため、もう少しシーズンが深まると、儚げな姿が見られることでしょう

白毫寺@奈良市-08
五色椿の隣にある、白毫寺の「大椿」。こちらも開花状況はまだまだでした


本堂には躍動感のある阿弥陀三尊像が

白毫寺のお堂は、「本堂」「宝蔵」「御影堂」の3ヶ所です。

本堂の作りは簡素ですが、穏やかな表情の御本尊「阿弥陀如来像」を中心として、脇侍の勢至菩薩像と観音菩薩像がいらっしゃる三尊像が祀られていました。この脇侍のお二方がなかなか面白い造形で、坐像なのに前傾姿勢になっており、今にも立ち上がりそうな動きを感じます(観音菩薩像は片膝立ちです)。腰の辺りの裾も風になびいたような表現になっていて、躍動感のある素晴らしい仏さまでした。

手を伸ばせば触れられそうな至近距離から拝見できるのも嬉しいところで、角度を変えて時間をかけてお参りさせていただきました。


白毫寺@奈良市-09

白毫寺の「本堂」。阿弥陀三尊像が祀られています。穏やかな表情の阿弥陀如来像を中心に、脇侍の勢至菩薩像と観音菩薩像が。お二方とも前傾姿勢になっていて、特に観音菩薩像は片膝を立て、今にも動き出しそうな勢いが感じられました

白毫寺@奈良市-10
白毫寺の境内。手前に見えるのが「本堂」で、奥が重要文化財の諸仏が収められた「宝蔵」。その間に建つ小さなお堂が、白毫寺の中興の祖・空慶上人を祀った「御影堂」です


冥界の主、大迫力の閻魔王などがズラリ!

そして、貴重な重要文化財に指定された仏さまを収めているのが「宝蔵」です。

迫力のある「閻魔王坐像」を中心に、その両脇には「司命半跏像」「司録半跏像」(全て重文)がいらっしゃいます。さすがに地獄を司る方々だけあって、表情は険しく体格もご立派!頭部が大きめで、本当に裁きを下しているかのような力強さを感じます。脇侍のお二方が座る台座部分に虎の毛皮を模した彩色があるのもいいですね。

さらに、冥界の十王のお一人である「太山王坐像(重文)」もいらっしゃいます。こちらは運慶の孫・康円の1259年の作。奈良にはこうした閻魔さま系の仏さまは少ないため、本当に貴重な像を拝見できました。

また、同じ宝蔵には、鎌倉時代作の「地蔵菩薩立像(重文)」がいらっしゃいます。こちらもとても美しい仏さまでした!お地蔵様には素朴なものが多いですが、こちらはとても凛々しい表情です。彩色も鮮やかで、本当に見事ですので、ぜひじっくりとご覧ください。


白毫寺@奈良市-11

白毫寺の「宝蔵」。奈良のお寺には珍しい「閻魔王坐像」や、脇侍の「司命半跏像」「司録半跏像」、運慶の孫・康円の作である「太山王坐像」(全て重文)などが収められています。仏さまとの距離も近く、迫力ある姿がじっくりと拝見できました

白毫寺@奈良市-12
白毫寺の境内で販売されている絵葉書セット。片膝立ちになった観音菩薩像、迫力のある閻魔王坐像、彩色も美しく残された見事な地蔵菩薩立像など。それほど大きなお寺ではありませんが、素晴らしい仏さまがいらっしゃいました


萩のシーズンにお参りしてください

白毫寺の境内の隅には、「石佛の路」という小さな石仏が並ぶ場所もありました。それほど規模の大きなお寺ではありませんが、とても雰囲気も静かで、花の季節には特にいいでしょうね。やや奈良市の中心部からは離れますが、ぜひ立ち寄ってみてください。


白毫寺@奈良市-13

本堂前の手水舎。残念ながら水は出ていませんでした

白毫寺@奈良市-14
白毫寺にある「石佛の路」。小さな石仏が十数体並んでいます

白毫寺@奈良市-15
斜面にいらっしゃった仏さま。素朴な雰囲気でいいですね

白毫寺@奈良市-16
石佛の路の近くにいらっしゃった不動明王像。白毫寺の境内で、ここにだけ奉納されたのぼりが立っていて華やかでした

白毫寺@奈良市-18
白毫寺のお土産物には、名物の椿がモチーフになった鈴などがありました

白毫寺@奈良市-19
迫力満点の「えんま大王手ぬぐい(@1,000円)」。白毫寺のお土産物といえばやはりコレでしょう!

白毫寺@奈良市-20
見事に咲いていた紅色の椿

白毫寺@奈良市-21
黄色く可憐な「山茱萸(サンシュユ)」の花

白毫寺-ご朱印
白毫寺でいただいたご朱印です。やや独特な書ですね



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■白毫寺(一切経寺)

HP: http://narashikanko.jp/kan_spot/kan_spot_data/w_si42.html
住所: 奈良県奈良市白毫寺町392
電話: 0742-26-3392
宗派: 真言律宗
本尊: 阿弥陀如来(重要文化財)
創建: 715年(伝)
開基: 勤操(伝)
拝観料: 400円
拝観時間: 9:00 - 17:00
駐車場: 民間の有料駐車場あり(600円)
アクセス: 近鉄「奈良駅」から奈良交通バス「高畑町」下車、徒歩約20分

※「関西花の寺二十五霊場」の十八番札所(萩)






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