2011-07-10

五重塔が美しい南山城の古刹『海住山寺』@木津川市

五重塔が美しい南山城の古刹『海住山寺』@木津川市

京都南部の南山城にある『海住山寺(かいじゅうせんじ)』へお詣りしてきました。すっきりと美しい姿の「五重塔(国宝)」に美しい仏像など、聖武天皇の勅願寺とされる古刹らしく、数多くの寺宝が拝見できました。


三上山の中腹から恭仁京を見晴らす山寺

古くから奈良とも縁の深い南山城の地にある『海住山寺』(山号:補陀洛山)。740年からわずかな間だけ営まれた都「恭仁京(紹介記事)」があった瓶原の地を一望できる、海住山(三上山)の中腹に位置しています。

735年、 盧舎那仏(東大寺の奈良の大仏)の造立工事の無事を願った聖武天皇の勅願により、東大寺の初代別当として知られる「良弁(ろうべん)」が十一面観音像を祀った「藤尾山観音寺」が始まりと伝わっています。その後、1137年には全ての堂宇が焼失。1208年、笠置寺の貞慶(じょうけい)がこの地に草庵を営み、「補陀洛山 海住山寺」と名乗りました。

最寄り駅のJR関西本線「加茂駅」から、ぐんぐん山道を上っていくため、車の運転にはくれぐれも注意が必要です。車のすれ違いもできないような細い道ですから、観光シーズンには特にお気をつけください。


海住山寺@木津川市-01

三上山の中腹に建つ『海住山寺(かいじゅうせんじ)』への道のり。ここは、エンジンが悲鳴をあげるほどの急坂ゾーンです。この手前には、道幅が車一台分しかないような細い道が続きます

海住山寺@木津川市-02
無料の参拝者用駐車場から、急な石段が伸びています。大した長さではありませんが、ゆっくり登れる迂回路もありますので、脚力に自信がない方もご心配なく

海住山寺@木津川市-03
山門をくぐって、境内を見渡したところ。向かって左手には美しい「五重塔(国宝)」、正面に「本堂」が。さらに右手には、「文殊堂(重文)」「奥の院」などがあります。特別公開の期間以外は、拝観できるのは本堂のみです


裳腰がついた美しい「五重塔(国宝)」

海住山寺のシンボルは、国宝に指定されている、鎌倉時代(1214年)の「五重塔」です。屋外にある木造五重塔で、文化財指定を受けているものの中では、室生寺の五重塔に次いで小さいものなのだそうです。

五重塔 国宝(鎌倉時代)

鎌倉時代の五重塔の貴重な遺構であり、総高17.7mと、室生寺に次いで小さい。貞慶が舎利を安置するために建立を始め、その没後建保2年(1214)に完成した。全体的に細身だが、初重に設けられた吹放ちの裳階が安定感を与える。また内陣を厨子風に造り、8枚の扉に一体ずつ、華麗な彩色で梵天・帝釈天などの天部や比丘像が描かれる。


パッと見ると六層に見えますが、一番下の屋根は「裳階(もこし)」と言われる、耐久力を増すための飾り屋根になっています。裳腰つきの五重塔は、現存するのは法隆寺(紹介記事)とここだけなのだとか。写真で見比べてみるとだいぶ雰囲気は違い、海住山寺の五重塔は軽やかに見えますね。上の層へ行くに従って細くなっていく割合(逓減率)も大きめに感じられ、塔の姿を優美に見せています。

さらに、通常こういった塔では、初層から「心柱」が建てられます。この心柱が塔のご本尊にあたり、建物の構造を強くする役割も果たします。しかし、海住山寺の五重塔は、初層からではなく、その上の二層目から心柱が伸びているのだそうです。塔の内部は特別公開時期されることもあるため、また改めてその姿を確認してみたいですね。


海住山寺@木津川市-08

海住山寺のシンボル「五重塔(国宝)」。一番下の屋根が「裳腰(もこし)」で、六層に見えますが五重塔です。高さは17.7mと大きなものではありませんが、すっきりと美しく見えます

海住山寺@木津川市-09
別角度から。隣にある巨木よりも低いようです

海住山寺@木津川市-10
初夏ですが、赤く色付いたモミジがあったため、こんな景色も見られました。秋の紅葉シーズンにはさらに美しいんでしょうね

海住山寺@木津川市-11
組物と鬼瓦

海住山寺@木津川市-12
青空に映える相輪


本堂で「六牙象」など拝見しました

海住山寺の「本堂」は、明治時代の建築です。2011年4月20日から本堂のお厨子の修復工事を行っており(2011年9月中旬までの予定)、この日はご本尊の「十一面観音立像(重文)」にはお会いできませんでした。こちらは平安時代の作で、像高167.9cm。パンフレットなどで画像を見る限り、やや暗い表情で、もっと古い時代のもののように見えます。

本堂内の左手には、立派な役行者像(鎌倉時代)、寸詰まりの可愛らしい四天王像(江戸時代)、牙が6本の「六牙象」(平安~鎌倉時代)などの仏さまがいらっしゃいました。


工事中ということもありますが、秋ごろに行われる「文化財特別公開」の時期に拝観するのがベストでしょう。普段は奈良国立博物館へ寄託されている、十一面観音像や四天王立像(ともに重文)などがお寺に戻り、五重塔の内部なども公開されます。私たちもまた特別公開期間中に行き直したいと思います。


海住山寺@木津川市-04

海住山寺の「本堂」。明治時代の建築で、造りは簡素で重厚なもの。ただし、外見からは分かりませんが、この日は本堂内陣の修復工事を行っていたため、ご本尊の平安時代の作となる「十一面観音立像(重文)」は拝見できませんでした

海住山寺@木津川市-05
本堂脇には巨木が。三上山の中腹にありますが、空の抜けが素晴らしいですね

海住山寺@木津川市-07
海住山寺の境内地から、麓を眺めたところ。かつては日本の中心だった場所です

海住山寺@木津川市-06
海住山寺の拝観パンフレットより。向かって右手が、ご本尊「十一面観音立像(重文)」。左手の小画像が、奈良国立博物館に寄託されていて、特別公開の時だけお会いできる「十一面観音立像(重文)」。下の画像が、こちらも通常は奈良博にいらっしゃる、五重塔を守護する「四天王立像(重文)」。この日は、ご本尊にはお会いできませんでしたが、ガラスケースに入った四天王像を間近で拝見できました


小さな美仏「四天王立像」特別公開中

ご本尊にお会いできない代わりに、この日は普段は奈良国立博物館に寄託されている「四天王立像(重文)」が本坊で特別公開されていました。鎌倉時代の四天王像で、小さなサイズながらも、彩色も美しく残った美しく凛々しい仏さまです。

某テレビ番組で、東大寺・大仏殿に安置されていた、慶派の手による今は亡き四天王像をCGで復元するという企画がありました。その際に参考にされたのが、同じ時期に造像された、海住山寺の四天王像でした。ずっと五重塔に安置されていただけに、彩色が美しく残り、本当に見事なお姿です。ガラスの陳列ケースに入っていますが、すぐ目前で拝見できますので、仏像好きな方はあえて今お会いに行くのもいいかもしれません。

本坊では、これ以外にも、中心の仏が十一面観音という珍しい「二十五菩薩来迎図」(室町時代)、歴史を感じさせる「補陀落浄土図」(室町時代)といった寺宝も展示されていました。


海住山寺@木津川市-14

海住山寺の「本坊」。ご本尊にお会いできない代わりに、普段は奈良博へ寄託されている「四天王立像(重文)」がここで公開されていました

海住山寺@木津川市-15
海住山寺・本坊から「借景式庭園(江戸時代)」を眺めたところ。お庭の向こうには「仏生寺山」というありがたい名前の山があり、その姿が借景になっています。日差しが強くて暑い日でしたが、風が爽やかでした。このお庭も、普段は公開されていません


鎌倉時代の「文殊堂(重文)」なども

その他、海住山寺の境内には鎌倉時代の「文殊堂(重文)」などがあります。色鮮やかな「なすのこしかけ」など、願掛けアイテムも置いてありますので、願い事を成就を祈願してみるといいですね。


海住山寺@木津川市-16

本堂の手前に建つ「文殊堂(重文)」。鎌倉時代のシンプルな建築物で、もとは経堂だったものだそうです

海住山寺@木津川市-13
五重塔の背後には、こちらも色鮮やかなお社が。お稲荷さんをお祀りしてあるようです

海住山寺@木津川市-17
境内には、持ち上げると願いが叶う「もち上げ大師」さんや輪廻塔、その裏手に「苦ぬき観音・苦ぬき地蔵」なども

海住山寺@木津川市-18
不思議だったのが、願いを叶えるという「なすのこしかけ」。茄子の花は一つの無駄もなく実を結び、「成す」と語呂が同じこともあり、縁起がいいのだとか。そこで、このナスに座ると願いが叶うのだそうです。なかなか珍しいアイテムですね(笑)

海住山寺-ご朱印
海住山寺でいただいた御朱印です。なかなか個性的です



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■海住山寺

HP: http://www.kaijyusenji.jp/
住所: 京都府木津川市加茂町例幣海住山20
電話: 0774-76-2256
宗派:  真言宗智山派
本尊: 十一面観音(重要文化財)
創建: 735年(伝)
開基: 良弁(伝)、聖武天皇 勅願
拝観料: 本堂拝観 300円、その他入山 志納100円(特別展の期間中は別料金)
拝観時間: 9:00 - 16:30
駐車場: 無料
アクセス: JR関西本線「加茂駅」から、車で約10分(約3Km)

※京都府の南端にあり、古くから奈良との縁が深い「南山城(みなみやましろ)」地区では、この土地の十一面観音像を巡る「南山城十一面観音巡礼」という巡礼も行われています


■参考にさせていただきました!

海住山寺 - Wikipedia
海住山寺(かいじゅうせんじ) - 京都府木津川市のホームページ










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