2013-03-10

第43代『元明天皇陵』(奈保山東陵)@奈良坂町

第43代『元明天皇陵』(奈保山東陵)@奈良坂町

奈良市奈良阪町にある、第43代の女性天皇「元明天皇陵(奈保山東陵)」の御陵にお詣りしてきました。周りの環境が寒々しくて、ちょっと興ざめな感はありましたが、すぐ西側に娘の第44代「元正天皇陵」もありますので、合わせてお詣りしてください。万葉集に収められた歌とともにご紹介しておきます。


奈良阪町に並ぶ、母と娘の天皇御陵

奈良市奈良阪町には、2基の天皇御陵が並んでいます。東側にあるのが、第43代の女性天皇「元明天皇陵(奈保山東陵)」で、西側にはその娘の第44代「元正天皇陵(奈保山西陵)」です。

場所としては、『奈良ドリームランド跡地』の少し北側。44号線を挟んで2つの陵墓が東西に並んでいます。


聖武天皇の祖母。陵墓の環境はいまひとつ…

第43代天皇「元明天皇」(Wikipedia)は、天智天皇の娘で、天武天皇と持統天皇の子・草壁皇子の正妃にあたります。夫が早くに亡くなり、息子が42代の文武天皇として即位しますが、こちらも若くして亡くなってしまいます。その後を引き継いで第43代の天皇として即位しました。

在位期間は、707年~715年まで。平城京への遷都、和同開珎の鋳造、風土記の編纂などがありました。中央政界は藤原不比等が台頭してきており、息子である文武天皇の崩御から、孫に当たる首(おびと)皇子(後の聖武天皇)への中継ぎ的な存在とされやすい天皇です。

元明天皇は、自らの死に際して葬送の簡素化を命じています。火葬された後、すみやかに埋葬されたようです。元明天皇陵は山の形そのままの形状で、それほど大きな規模のものではありません。天皇御陵の表示がなければ、ただの小さな岡に見えるでしょう。

しかし、すぐ目の前が資材置き場になっていたり、周りの道路が細い上に大型車の通行も多く、決して静かな場所ではありません。かなり残念な環境になっていますね。


第43代「元明天皇陵」(奈保山東陵)-01

奈良市奈良坂町にある、第43代「元明天皇陵(奈保山東陵)」。自らの死の直前に薄葬を命じた方の陵墓だけに、航空写真で見ても現地へ行っても、普通の岡に見えます。娘に当たる第44代「元正天皇陵(奈保山西陵)」は、ここから西へ500mほどの位置にあります

第43代「元明天皇陵」(奈保山東陵)-02
宮内庁の看板。「元明天皇 奈保山東陵」の表示があります

第43代「元明天皇陵」(奈保山東陵)-03

第43代「元明天皇陵」(奈保山東陵)-04

第43代「元明天皇陵」(奈保山東陵)-05
元明天皇陵の前の道。道幅が細く、行き止まりのようになっていますので、車の方はご注意ください

第43代「元明天皇陵」(奈保山東陵)-06
御陵を背にして見たところ。すぐ真向かいに建築資材などが置いてありますし、一段高いところに民家が並んでいたりしますので、決していい環境では…


万葉集に平城京遷都の歌が収められています

元明天皇が遺した歌が、万葉集に収められていますので、簡単にご紹介しておきます。

ますらをの 鞆(とも)の音すなり 物部の
大臣楯(おほまへつきみたて)立つらしも
元明天皇 万葉集 巻1-76
ますらおたちの鞆の音が聞こえてくる。物部の大臣が楯を立てているらしい(※訳は諸説あり)

和銅元年(708年)の即位の年に詠まれたとされる歌です。「大臣楯(おほまへつきみたて)」の部分が分かりづらく、即位に際して行われた大嘗祭の儀式のことを詠んだ歌か、などと想定されています。710年の平城京への遷都の時のものと考えるとよりイメージが合いそうですよね。

飛ぶ鳥の 明日香の里を 置きて去(い)なば
君があたりは 見えずかもあらむ
元明天皇 万葉集 巻1-78
明日香の里を後にして行ってしまったなら、あなたのいらっしゃるあたりは見えなくなってしまうのでしょうね

和銅3年(710年)、藤原宮から平城京遷都を行った際に、御輿(みこし)を長屋の原に停めて、ふる里をかえりみて詠んだ歌とされています。藤原京から移ったのですが、別れを惜しむ地名としては生まれ育った明日香になるんですね。当時の人々は、飛鳥の地へ本当に強い思い入れがあったことが分かります。



より大きな地図で 元明・元正天皇陵 を表示


■元明天皇陵(奈保山東陵)

HP: http://www.kunaicho.go.jp/ryobo/guide/043/index.html
住所: 奈良県奈良市奈良阪町
駐車場: ほぼ無し
アクセス: 近鉄奈良駅からバス「奈保山御陵」下車。徒歩すぐ

※実際にお詣りしたのは「2013年2月1日」でした


■参考にさせていただきました

元明天皇陵 - 奈良の名所・古跡
阿閉皇女


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