古墳だらけ!不思議な群集墳『新沢千塚古墳群』@橿原市
橿原市の国指定史跡『新沢千塚古墳群』。小さめの古墳が600基以上(!)も集まった群集墳で、古墳の間を自由に散策できるようになっています。どこか別の惑星にでも迷い込んだような不思議な空間ですから、隣接する『歴史に憩う橿原市博物館』と合わせてどうぞ!
『歴史に憩う橿原市博物館』のすぐ隣です
橿原市川西町にある国指定史跡『新沢千塚古墳群』(にいざわせんづかこふんぐん。Wikipedia)。合計600基以上もの小さな古墳が集中する群集墳で、かなり不思議な雰囲気のエリアです。
史跡公園として綺麗に整備されていますし、ここの出土品の詳しい解説が見られる『歴史に憩う橿原市博物館』(紹介記事)に展示されていますので、ぜひ合わせて回ってほしいスポットです。
jこの丘の一帯に群集墳『新沢千塚古墳群』があります。これは『歴史に憩う橿原市博物館』の駐車場側から見たところ。周辺の整備を行っていましたので、駐車場はさらに増えると思います
博物館から行くには、この階段を上がって「老人福祉センター 千寿荘」の玄関前を横切ります
老人ホームのすぐ脇には、こんな風景が。ポコポコと盛り上がっているのはすべて古墳です!これすべてに人が埋葬されていたかと思うと、ますます不思議な光景ですね
小さな古墳が600基以上!貴重な副葬品も
奈良の古墳というと「大きな前方後円墳」のイメージが強いですが、この『新沢千塚古墳群』では、もっと小さなサイズのものが、橿原市の南側、高取町との境界となる「貝吹山(かいぶきやま)」の低い丘陵を埋め尽くすように、ぎっしり600基以上も並んでいます。
このエリアに古墳が造られ始めたのは4世紀の終わり頃。500号墳・213号墳などが初期のもの。築造のピークは、5世紀後半~6世紀前半にかけて。6世紀の終わり頃までの約200年にわたって古墳が造られ続けました。
どの氏族の埋葬地だったかは不明で、大伴氏・漢氏・蘇我氏など諸説あるそうです。まさに「死者の丘」と呼ぶような場所で、一族の者が眠る墓地のような感覚だったのかもしれません。
また、単に死者をまとめて埋葬するだけではなく、豪華な出土品も見つかっています。美しい瑠璃色のガラス皿など、ペルシャや中国、朝鮮半島からもたらされた126号墳の副葬品は、「新沢千塚126号墳出土品」として国の重要文化財にも指定されています。
国指定史跡『新沢千塚古墳群』は、ちゃんと環境も整備されていて、こうした説明もしっかりと設置されています
博物館でいただいたマップ。この黒い丸に見える部分がすべて古墳です!全部を廻れるわけではありませんが、有名な「126号墳」まで歩いて10分くらいでしょうか。気軽なお散歩気分で出かけられます。なお、マップ右下の大きな前方後円墳は「宣化天皇陵」(鳥屋ミサンザイ古墳)です
小さな古墳の脇をのんびりと歩けます。目の前の小さな丘も古墳、向こう側に見える丘も古墳!
やや大きめの前方後円墳も。新沢千塚古墳群では、もっとも多いのは円墳ですが、四角い方墳や、四角が2つ合わさった前方後方墳、前方後円墳もいくつかあります
こんもりとした古墳の間を縫うように歩道が整備されています
左右どちらを見回しても古墳だらけ。はるか昔の死者が埋葬されている墓所ですから、不思議な気分になりますね
『歴史に憩う橿原市博物館』から10分ほど歩くと、豪華な副葬品が見つかったことで知られる「新沢千塚126号墳」にたどり着きます。背後に見えるのは畝傍山。出土品は一括して国の重文に指定されていますので、この「新沢千塚126号墳出土品」のページからご覧ください。すごいですよ!
しっかりと解説付きです。●築造時期は5世紀後半ごろ ●東西約22m・南北約16mの長方形墳 ●高野槇を利用した割竹形木棺(床面には赤色顔料が遺存) ●鉄刀・青銅製熨斗・ガラス製の皿と椀・耳飾りなどが見つかった など
比較のため、126号墳の墳丘の頂上に立ってみました。意外と大きいです。立ち入りは禁止されていませんので登ってみるのは自由ですが、あくまでもお墓ですから、しっかり手を合わせておきましょう
古墳の間を散策できる不思議スポットです
新沢千塚古墳群は、どこを歩いても不思議な雰囲気のある場所ですが、「新沢千塚126号墳」の近く、畝傍山がきれいに見渡せる場所からの展望が、特に面白かったです。見晴らしが良くなると、古墳がハザード(障害物)のように見えて、どことなくゴルフコースのような雰囲気になるんですね(笑)
こんな光景を横目に見ながらお散歩できるような場所は、日本全国でもそういくつも無いと思いますので、ぜひ気楽に散策してみてください。楽しいですよ!
大和三山のひとつ、畝傍山を見晴らせる場所から。目の前にも、中景にもポコポコッとしているのは、すべて古墳です!ちょっとした異次元ですね
こうやって見ると、どこかゴルフコースに見えないこともないかも
もちろん、その間も歩けます
成長した木々の間に古墳。新沢千塚古墳群はすごいです!
これは「第81号墳」。全長約40mあり、この古墳群の中でもっとも規模の大きい「前方後方墳」だとか。墳丘の形はそれほどはっきりと残っていないので、やや分かりづらいですね。マップを片手に歩けば、色んなタイプの古墳があることに気づきますので、歴史に憩う橿原市博物館でもらっておくといいでしょう
ただの小さい丘のようですが「第109号墳」です。こちらも前方後方墳で、双方に2名が埋葬されていて、2種類の銅甲(どうよろい)などが見つかったとか。説明書きがあったので気づきましたが、言われなかったら絶対に気づきませんよね(笑)
■国指定史跡 新沢千塚古墳群
HP: http://www.city.kashihara.nara.jp/kankou/own_bunkazai/bunkazai/spot/niizawasenzuka.html
所在地: 奈良県橿原市川西町
駐車場: 無料
アクセス: 近鉄「橿原神宮前駅」下車、奈良交通バス 近鉄御所駅行「川西」バス停下車、徒歩2分
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