京都御所近くの札所『行願寺(革堂)』@京都府中京区
西国三十三所の秘仏ご開帳巡りの京都編の第一弾として、まずは19番札所の『行願寺(革堂)』さんへお邪魔してきました。とっても小さなお寺なんですが、変わった手を持つ秘仏「千手観音立像」の姿が面白かったです!
「革堂(こうどう)」の呼び名の由来は?
行願寺とは、山号を「霊ゆう山(れいゆうざん)」、別名を「革堂(こうどう)」と言います。創建は1004年でしたが、幾度も戦禍や火災に見舞われて所在地を移転。1708年の大火の後に現在の土地へ移ってきました。
開基した行円上人は、仏門に入る前は狩猟を業としていましたが、ある日のこと、身ごもっていた雌鹿を射てしまい、そのお腹から子鹿が誕生する様を見たことから殺生をやめ、仏門に入ったという言い伝えがあります。
そのことから、行円上人は常に鹿の革衣を身につけるようになり、人々から「革上人」と呼ばれたため、行願寺も「革堂」と呼ばれるようになったのだとか。
行願寺では「幽霊絵馬」と呼ばれる絵馬もあり、毎年8月22日-24日までの間だけ公開されます。宝物館は同期間にだけ公開され、行円上人が着ていたとされる鹿皮の衣なども見られるそうです。
行願寺の縁起を記した立て看板。1004年創建、1708年に現在地に移転、現在の本堂は1815年に再建された、などの説明があります
街中にあるひっそり小さなお寺です
西国三十三所の第19番札所となる『行願寺(革堂)』は、京都市役所と京都御所の間ほど、京都の街中にひっそりと立つお寺です。京都の街は、ちょっと角を曲がると、普通にお寺があるようなところですが、革堂もなかなか意外なところにありました。
街並みの中にひっそりと立っていますし、とても小さなお寺ですので、西国三十三所の札所だとは思えないほどでした。
京都市中央区にある『行願寺(革堂)』。普通の街中にポツリとある小さなお寺です。奈良や京都の大き目の観光寺を想像して行くと、拍子抜けするかもしれません
行願寺の門を別角度から。すぐ奥に見えるのがもう本堂ですから、本当にこじんまりとしています
千手さんは、変わった手をしていました!
行願寺の本堂は、1815年に再建されたもので、とてもシンプルで力強い印象があります。木の色合いが落ち着いているため、見ていて安心感がありました。
この日は、秘仏のご本尊「千手観音立像」のご開帳日でしたので、内陣まで入ってお顔を拝見してきたのですが・・・、やや距離があったため、それほどよく見えるワケではありませんでした。
千手さんなんですが、数が少ないタイプ(多分42本でしょう)です。お厨子の中にいらっしゃるので、その手先などはよく見えませんでしたが、腕自体に妙な違和感を感じるのです。最初はまるで「戦車のキャタピラみたいだ」と思ったのですが、よーく見てみると、腕の部分に小さな手の平がいくつも刻んであるんですよね。
これは言葉で説明するのは難しいのですが、通常であれば、腕の先に手の平がついているものですが、この千手さんは、その腕の部分にも隙間なく手の平があり、腕一本にいくつもの手の平が連続して彫られているのです!
実際にそれで千本になるのかは分かりません。しかも、決して見た目に美しい・・・とも言えません。でも、他ではまず見られない面白い表現方法ですね。
行円が発案したものを、1345年の火災の後で再興した像だと考えられているそうです。像高は8尺、年に一度公開されているそうですので、ぜひ見に行ってみてください。
行願寺の「本堂」。1815年に再建されたもので、簡素ながら堂々としたお堂です。本堂もそれほど大きなものではありません
本堂を別角度から。木の質感がいいですね。西国三十三所めぐりの方は多くいらっしゃいますが、京都の市街地とは思えないほど静かな雰囲気でした
線香台にも「革堂」、大提灯にも「革堂観音」の文字が見えます。開基した行円上人が、常に鹿の革衣を着けていたことから「革上人」と呼ばれたため、このお寺も革堂と呼ばれるようになりました
軒下までいい具合に煤けています。千社札はまだ比較的新しいものもあるようです
本堂前には、多数の扁額が。どれも古い歴史がありそうです。小さなお堂ながらも、ギュッと凝縮された感じがあって、とても愛らしいお寺でした
本堂脇にかけられている提灯には、「西国第十九番札所 革堂行願寺」の文字。凛として美しい光景でした
都七福神の「寿老神」もいらっしゃいます
革堂はかなり小さめなお寺で、本堂以外に小さなお堂が3つほどあるだけですから、拝観はそれほど時間は掛かりません。
ぜひ見ておきたいのは、カラフルなのぼりが目印の「寿老神(じゅろうじん)」でしょう。京都の「日本最古 都七福神まいり」の一つで、老子が仙人となった姿を表すのだそうです。人々の難を払う団扇を持っているとされるため、福財・子宝・諸病平癒・長寿の功徳あるのだとか。
仏像自体は、それほどよく見えるワケではありませんが、しっかりと拝んでおくと功徳をいただけるかもしれませんね。
本堂に向かって左手を見たところ。正面と左手に小さなお堂があり、右手は寺務所になっています。これが全てですので、お参りもそれほど時間はかかりません
境内北側にあるお堂と鐘楼。お堂の提灯には「鎮宅霊符神」の文字が見えますが、内部はよく見えず・・・
「日本最古 都七福神」のカラフルなのぼり。行願寺では、中国の老子が天に昇ってなったという仙人「寿老神」を祀っています
都七福神ののぼりの後ろには、七福神さんの石像がいらっしゃいます
この小さなお堂にいらっしゃるのが、都七福神のお一人「寿老神」。薄暗いお堂を覗いてみると、仙人さんらしい仏様がいらっしゃいます
小さいながらも、さすが京都の雰囲気
革堂の中では、寺務所の建物がとてもいい雰囲気でした。屋根の作り方だとか、窓の取り方だとか、本当にちょっとしたことなんですが、どことなく京都らしさが感じられていいんですね。
この日は、さすがに秘仏のご本尊のご開帳期間でしたので、参拝客が引っ切り無しに訪れていましたが、普段はもっと静かなことでしょう。境内の参拝などは無料ですので、ぜひ気軽に立ち寄ってみてください。
行願寺さんの寺務所。煙だしの小屋根が付いていたりと、とても味のある建物でした。「ちょっと住んでみたい」と思うくらい素敵です(笑)
本堂と寺務所の連結部分。丸窓の感じなど、何気ないデザインがいいですね
とても美しい格子細工なんですが、ところどころ破損の跡が見られるのが残念・・・
灯篭と手水舎。小さいながらも、そして京都のど真ん中にありながらも、静かで落ち着けるお寺でした
行願寺の手水舎。門と本堂までは20メートルほどしかありませんが、ちゃんとその間に設置してあります。シンプルで実用的(?)なタイプで、戦前の長屋の水場のようにも見えますね
本堂のすぐ脇には、異様に現代的な鉄筋の建物が。法要などを行うためのもののようでしたが、現在は使われていないようでした。お寺の雰囲気とのミスマッチ感がすごかったですね
行願寺でいただいたご朱印です。力強い!
■行願寺(革堂)
HP: http://www.saikoku33.gr.jp/19/index.htm
住所: 京都府京都市中京区寺町通竹屋町上ル行願寺門前町17
電話: 075-211-2770
宗派: 天台宗
本尊: 千手観世音菩薩
創建: 1004年
開基: 行円上人
拝観料: 境内無料
拝観時間: 8:00-16:30
駐車場: なし(近隣の市営駐車場を利用)
アクセス: 京阪電車「神宮丸太町駅」より徒歩10分
※西国三十三所の第19番札所