77年に1度の馬頭観音様ご開帳『松尾寺』@京都府舞鶴市
西国三十三所の秘仏ご開帳巡りの流れで、京都府舞鶴市にある『松尾寺(まつのおでら)』まで出かけてきました。
西国三十三所の中で、唯一「馬頭観音」さんをご本尊に祀っているお寺であり、通常は77年に一度(!)しかご開帳されない貴重な仏像を拝見できました!
『松尾寺』の縁起とは
松尾寺は、708年に唐の高僧「威光上人」が、青葉山に草庵を結び、馬頭観音を祀ったのが起こりと言われています。この話を聞いた時の元明天皇が、堂宇を建立し、寺院としての基礎が築かれていきました。
10世紀末ごろには、一条天皇の詔によって馬頭観音像が造立され、平安時代には、鳥羽天皇などの行幸もありました。しかし、戦国時代になると織田信長の軍勢により伽藍は焼失。現在の堂宇は、江戸時代に再建されたものです。
松尾寺では、毎年「5月8日」に行われる「仏舞(ほとけまい)」が有名です。大日如来・釈迦如来・阿弥陀如来の面をつけた舞は、奈良時代に唐から伝わったとされ、重要無形文化財に指定されています。
残念ながら「宝物館」は閉まってた・・・
京都府舞鶴市の細い山道を進んでいくと現れる『松尾寺』。西国三十三所霊場巡りのお寺の中でも、かなり小さ目のお寺でしょう。地方の山奥にあることもあって、門前にもほとんど商店などはなく、本当に田舎のお寺という寂れた風情です。
松尾寺には、快慶作の「阿弥陀如来坐像(重文)」や、国宝の仏画「普賢延命菩薩像」など、貴重な文化財が多数残されており、それらを展示する「宝物館」も新設されています。しかし、残念ながら通年営業ではなく、観光シーズンのみ公開されるようですので、私たちは拝見できませんでした。
松尾寺に出かけられる方は、事前に公開スケジュールを確認しておいた方が安全でしょう。
京都府舞鶴市の『松尾寺(まつのおでら)』。周りに何も無いような山の中にありますが、地元の腰の曲がったおばあちゃんがトコトコと元気に歩いてらっしゃいました!
松尾寺の石段途中の手水。秘仏のご本尊「馬頭観世音菩薩」ご開帳ののぼりが揺れています。松尾寺の石段は、かなり乱れていて上りにくいため、注意が必要かもしれません
松尾寺の「仁王門」。簡素で力強い門ですが、肝心の仁王像はいらっしゃいませんでした。門もかなり痛みが激しいようでしたので、仁王像も修復中だと思われます
新設された松尾寺の「宝物館」。ただし、観光シーズンのみの公開となるようで、残念ながらこの日は閉鎖されていました(拝観料は不明)。快慶作の「阿弥陀如来坐像」や、国宝の仏画「普賢延命菩薩像」などが収蔵されています
本堂へ続く石段。境内は広くはないので、それほど時間はかかりません。一軒だけ屋台も出ていました
どこかユーモラスな「馬頭観音像」
松尾寺の本堂は、1750年に再建されたもので、宝形造の二層屋根を持つ、やや変わったお堂でした。ところどころ傷んだ様子も見えましたが、簡素で堂々たる姿です。
この日は、77年に一度しかご開帳されない秘仏のご本尊「座像馬頭観世音菩薩」を拝見することができました。三面三目八臂で片ひざ立ての仏様で、怒りがピークに達したような憤怒の表情なんですが・・・、どことなくユニークな印象なんですよね。
過去のご開帳の際に何度か塗りなおされているようで、馬頭観音さんは金色に輝いていらっしゃいますし、肝心の頭上のお馬さんは真っ白!怒りの表情というよりは、どことなくユーモラスな雰囲気すら感じました。
ちなみに、松尾寺さんのホームページでは、この馬頭観音さんをモチーフにしたゆるい感じのキャラクターが登場していて、名前を公募した結果「フク松君」という、また何ともゆるーい名前に決定したそうです!ぜひ見てやってください(笑)
また、この本堂自体も、脇侍がいるはずのところに、何故か光背だけを残して仏様がいらっしゃらなかったりと、かなりゆるーい感じです。しっかり整備された観光寺とは真逆の、ゆったりとのどかな雰囲気をお楽しみください!
松尾寺の「本堂」前。やや見づらいですが、宝形造の二層屋根のやや珍しいもの。前に唐破風が出ています。1750年の再建で京都府指定の文化財になっています
松尾寺の本堂前の様子。ご本尊「座像馬頭観世音菩薩」は、77年に一度しかご開帳されない貴重な秘仏です。三面三目八臂で憤怒の表情、片ひざ立ての馬頭観音さまでした
松尾寺の本堂外陣の様子。お線香に燻されて、煤けているのも迫力ですね。ご開帳期間中のみ、内陣に入って馬頭観音坐像を目前で拝見できました
本堂内部には、多数の扁額と千手札。薄暗くて見えない部分も多いですが、改めてみると面白いものです
ご本尊が馬頭観音ということもあり、松尾寺のトレードマークは馬です。馬のお守りがあったりしましたが、私はお安くなっていた「開山1300年記念Tシャツ」を購入。「グンゼ製」ということを妙に強調されたのですが、地元企業なんですね(笑)
西国三十三所の版画も販売中
本堂から渡り廊下で繋がる「(おそらく)大師堂」では、西国三十三所にまつわる版画展が開催されていました。残念ながら作者名などは忘れてしまいましたが、とても味のある版画で、お値段も一枚2,000円~。
このイベントの開催期間は不明ですが、松尾寺は拝観料もかかりませんし、お布施代わりだと思って購入するのもいいかもしれませんね。
松尾寺の大きなお堂はこの2つだけで、後は小さ目のお堂があるくらいですので、参拝にはそれほど時間もかからないでしょう。
本堂脇にある「(おそらく)大師堂」。とても簡素な建築で、中では西国三十三所に関する版画の展示販売が行われていました
本堂と講堂は、この渡り廊下で繋がっています。しかし、老朽化のためか使用禁止。ここを歩けたら、味があっていいんですけどね
お堂の隅にポツリといらっしゃった役行者像。色といい形といい、何やら不気味な雰囲気すら感じられるほど・・・。顔立ちがピエロのようです(笑)
西国三十三所に関連した版画展が開催されていました。開催期間は不明ですが、一枚2,000円ということでしたから、思わず欲しくなっちゃいましたね
松尾寺のご本尊「馬頭観音坐像」の版画。なかなか味がありますね
本堂の向かって左手にあるお堂。薄暗くて何が祀ってあるのか分からないため(パンフレットなどもありません)ので、正式名称は不明です
本堂前には、堂々たる馬の銅像が。ご本尊が馬頭観音様ですので、お馬さんも祀られるのでしょう
松尾寺の境内にあった、杉の巨木。この一本だけが雄々しくそびえ立っていました。見事なものです!
松尾寺の手水舎。ゴツゴツとした岩を削りだした、なかなか野趣あふれる作品でした
宝物館公開日を確認してからどうぞ
最後に、「本坊」に立ち寄ってご朱印をいただいてきました。
コチラで、寺宝の絵葉書を拝見したのですが、快慶作の「阿弥陀如来像」は、やはり凛々しく涼やかな表情をされているようですので、ぜひ拝観してみたかったですね。
そんな心残りはありますが、77年に1度しかご開帳されない貴重な秘仏「座像馬頭観世音菩薩」は、2009年9月いっぱいまでお会いできるそうです。ぜひこの期間中に行ってみてください。
松尾寺の納経所「本坊」。お守りなどの販売とご朱印もここでいただけます
絵葉書セットの内容。快慶作の阿弥陀如来像や、数々の仏画など、できれば宝物館が開いている時に来てみたかったですね
納経所の入り口脇には、こんなキレイな花が植えられていました。奥の寺務所のような建物も、拝観はできませんが、かなり堂々とした立派なものでした
松尾寺でいただいたご朱印です。細くてしなやかな書体は、ご朱印としてはやや珍しいかも
■青葉山 松尾寺
HP: http://www.matsunoodera.com/index.html
住所: 京都府舞鶴市字松尾532
電話: 0773-62-2900
宗派: 真言宗醍醐派
本尊: 座像馬頭観世音菩薩
創建: 708年
開基: 威光上人
拝観料: 境内無料
拝観時間: 8:00-17:00
駐車場: 400円
アクセス: JR小浜線「松尾寺駅」下車、徒歩50分
※西国三十三所の第29番札所
※市街地からはかなり遠いため、2時間貸切タクシー(@5,000円)を利用するのもあり
(舞鶴トラベル:0773-62-2662)