2010-02-02

国宝級の副葬品が見つかった『藤ノ木古墳』@斑鳩町

国宝級の副葬品が見つかった『藤ノ木古墳』@斑鳩町

国宝級の副葬品が見つかったことで一躍有名になった『藤ノ木古墳』。法隆寺の近く(斑鳩町の役場の裏手です)にあるため、中宮寺を拝観した帰り道に立ち寄ってみました。


法隆寺から西へ徒歩5分ほど

法隆寺から西へ徒歩5分ほどの位置にある『藤ノ木古墳』。1985年の発掘調査により、未盗掘の状態で2体の被葬者と豪華な副葬品が見つかったことで一躍有名になりました。現在は国指定の史跡として整備されており、藤ノ木古墳の説明やベンチなどが設置されています。


藤ノ木古墳@斑鳩町-01

奈良県生駒郡斑鳩町にある『藤ノ木古墳』。法隆寺から西へ徒歩5分ほどの位置にあります。1985年の発掘調査により、未盗掘の状態で2体の被葬者と豪華な副葬品が見つかりました。現在は国指定の史跡として整備されています

橿原考古学研究所附属博物館-05
【参考画像】「橿原考古学研究所附属博物館」に展示してあった、藤ノ木古墳から発見された「金銅製靴」のレプリカです。この他にも金銅製の冠などが見つかり、出土品一式は国宝に指定されています


2体の被葬者と豪華な副葬品(国宝)が

藤ノ木古墳は、6世紀後半の円墳で、直径50m以上、高さ9m。1985年以降の調査では、全面に朱が塗られた石棺や、金銅製の豪華な鏡や刀など豪華な副葬品が確認されました。



又、埋葬後、攪乱を受けていない東枕にした2体の被葬者が確認され、そのそばには、鏡や刀など豪華な副葬品が確認されました。東アジアでもまれにみる優れた意匠や彫金技術を施したもので、金具などにパルメット文など共通の文様を用い、鞍金具には竜・鳳凰・象・などの禽獣文や鬼神像などを透かし彫りし、東アジアの様々な文様が集合したもので、仏教的要素・四神思想などの呪術的な世界の影響をみることができます。

出土した金銅装鞍金具などの馬具類、金銅製の冠や沓(くつ)、銀製塗金空(うつろ)丸玉やガラス小玉などの玉類などおびただしい量の副葬品は、現在 橿原考古学研究所附属博物館で常設展示されています。なお、これら出土した副葬品の複製品(レプリカ)はいかるがホールで常設展示しています。
藤ノ木古墳-法隆寺iセンター・斑鳩町観光協会より


藤ノ木古墳の被葬者は、「ミササキ」「ミササキ山」と呼ばれていたことから、崇峻天皇陵と記すものもありましたが、斑鳩地方に勢力を持った物部氏・蘇我氏・平群氏など諸説あり、まだ定説化したものはないそうです。

石室の一部の作りが雑であったり、本来なら一人用の石棺に二人が埋葬されていること(=かなり造営を急いだ)、そして他に類を見ない金銅製の馬具や冠などの副葬品が見つかったことなどから、当時の相当な権力者であったことは間違いないようです。


藤ノ木古墳@斑鳩町-03

藤ノ木古墳の調査前と、1985年の第1次調査の様子。当初は特に注目を集めるような古墳ではありませんでしたが、未盗掘であることが判明。続いて世界的にも珍しい「金銅装透彫鞍金具」などが発見され、大騒ぎになったのだそうです

藤ノ木古墳@斑鳩町-02
藤ノ木古墳発掘調査の様子の説明書きも多数あります。これは1988年の第2・3次調査の模様。石棺の内部が鮮やかな朱に塗られている様子が分かります。他にも金銅製の靴や冠が見つかりました

藤ノ木古墳@斑鳩町-09
藤ノ木古墳の石室の写真。南東方向に開口する「両袖式」という横穴式石室です。全長は約14m。壁面の石に割れなどが生じ、「少しバランスの悪い積み方となっています」なんだとか

藤ノ木古墳@斑鳩町-10
石室羨道と刳抜式家形石棺の写真


石室内部も少しだけ見られます

現在、藤ノ木古墳の内部に入ることはできませんが、扉に近づくと自動的にライトが灯され、石室の内部が少しだけ見えるようになっています。もちろん、それほど派手なものではありませんが、国宝級の副葬品が続々と見つかった古墳がこうして見られるのですから、興味のある方には堪らないでしょう!

古代史好きな方は、ぜひ法隆寺観光の際に足を伸ばしてみてください。


藤ノ木古墳@斑鳩町-04

現在の藤ノ木古墳は、きれいに整備されています。残念ながら石室に入ることは出来ませんが、外から内部を眺めることができます

藤ノ木古墳@斑鳩町-05
石室の扉の貼り紙。「この扉の人感センサーが反応しますと、石室内の照明が一定時間点灯し内部が見られます(点灯時間 午前9時から午後7時まで)」

藤ノ木古墳@斑鳩町-07
ガラス越しに撮影してみましたが、これが限界。鉄製の通路の先には、石室と朱色がかった石棺(本物かな?)が見えます。決して派手な眺めではありません(笑)

藤ノ木古墳@斑鳩町-08
周りは何もありません!畑と民家の間にある、ちょっとした丘ですね



大きな地図で見る


■藤ノ木古墳

HP: http://www4.kcn.ne.jp/~ikaru-i/spot2/huzinokikohunn.html
住所: 奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺西2-1795
駐車場: なし
アクセス: 法隆寺から西へ徒歩約5分




※ 2008/03/27 追記

3月に行われた「国宝藤ノ木古墳出土品里帰り展」に行ってきた模様です。

この企画は、「斑鳩文化財センター」のオープンに合わせて行われたもの。法隆寺と藤ノ木古墳の中間ぐらいに誕生した新施設で、映像ホールと実物大の凝灰岩製の石棺レプリカ、そして藤ノ木古墳の主な出土品のレプリカ(馬具類・刀剣類・装身具類・土器類)が展示されています。

この日は、国宝に指定されている本物の馬具などが見られ、本当に面白かったですね。金色の色彩が鮮やかで、描かれた鬼や象なども文様もクッキリ!迫力がありました。藤ノ木古墳の石室内部も特別公開されており、本物の迫力に圧倒されました!

古墳からの出土品を展示する施設は数多くありますが、藤ノ木古墳のものは飛び抜けて鮮やかですので、見ていて全く飽きることがありません。斑鳩文化財センターは、通常は無料で利用できますし(特別展などの開催時は有料)、ぜひ法隆寺へ行った際に立ち寄ってみてください。


藤ノ木古墳-追記-01

2010年3月、藤ノ木古墳近くにオープンした「斑鳩文化財活用センター」。藤ノ木古墳から出土した貴重な文化財のレプリカの展示、ビデオ上映施設などが設置されています。この日は「国宝藤ノ木古墳出土品里帰り展」が開催され、本物の出土品が拝見できました!

藤ノ木古墳-追記-02
「斑鳩文化財活用センター」の全景。向かって左手が展示施設で、右手がオフィスになっています。法隆寺からも徒歩で行ける距離にあるため、足を伸ばしてみてください

藤ノ木古墳-追記-03
「斑鳩文化財活用センター」前に置かれた「家形石棺」の復元品。朱色が鮮やかで、屋根には二対の縄掛突起がついています。1988年の発掘調査では、未盗掘のままの発見され、男性二人の被葬者がそのままの姿で見つかりました

藤ノ木古墳-追記-05
斑鳩文化財活用センターのエントランスの様子。スタッフの方が特産品の販売などを行っていらっしゃいました。ちょっとした休憩スペースと資料も置いてありましたので、考古学ファンの方には嬉しい施設でしょう

藤ノ木古墳-追記-04
「国宝藤ノ木古墳出土品里帰り展」のポスター。藤ノ木古墳の内部の見学、そこから発掘された貴重な国宝の馬具などが展示など、充実の内容でした

藤ノ木古墳-追記-06
展示スペースへの通路部分。石を模した壁紙がそれっぽいですね。この先は撮影禁止ですが、とても充実した展示内容でした。普段は出土品のレプリカなどが置かれるようですが、それでも十分に楽しめると思います!

藤ノ木古墳-追記-07
藤ノ木古墳も石室の特別公開が行われていたため、行列になっていました。地元の名産品を販売するテントなども登場して、ちょっとした賑わいです

藤ノ木古墳-追記-09
整理券を配布するほどの人気ぶりでしたが、幸いほとんど待ち時間なし。石室内部には係の方がいらっしゃって、じっくりと説明を伺えました。こんなチャンスはなかなかありませんので、本当に面白かったです!


■斑鳩文化財センター(斑鳩町文化財活用センター)

HP: http://www4.kcn.ne.jp/~ikaru-i/spot10/ikarugabunnkazaisennta.html
住所: 奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺西1-11-14
電話: 0745-70-1200
定休日: 水曜日
営業時間: 9:00 - 17:00
駐車場: 無料






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