2009-03-16

ビルに囲まれた札所『頂法寺(六角堂)』@京都府中京区

頂法寺(六角堂)@京都

西国三十三所の秘仏ご開帳巡りは、「行願寺(革堂)」さんに引き続いて、18番札所の『頂法寺(六角堂)』さんへお邪魔してきました。

コチラもとっても小さなお寺なんですが、136年ぶりにご開帳された秘仏のご本尊さまといい、その立地条件といい、色んな意味で驚きの大きなお寺でした!


「聖徳太子」開基と伝わるお寺です

頂法寺は、山号を「紫雲山(しうんざん)」、別名を「六角堂(ろっかくどう)」と言います。

言い伝えによると、開基は聖徳太子とされています。物部守屋との争いに勝った後、戦前に仏に誓っていた四天王寺を建立するための用材を探しに当地へ来た際に、持仏だった観音像がこの地から動かなくなってしまったのだとか。そこで、その像を安置するために建てられたのが頂法寺だったといいます。

その時の像とは、頂法寺のご本尊である「如意輪観音像(秘仏)」です。この像は、聖徳太子が幼い頃、淡路島の岩屋に流れ着いてきた箱を開けると、中から黄金に輝く一寸八分の如意輪観音像が出てきたため、それ以降、太子の持仏として大切にしてきたものでした。

六角堂の名前が資料に登場しはじめるのは、平安時代末期のこと。それ以降は、若い頃の親鸞が修行をしたりしています。幾多の災害にあっており、何度も焼失してきましたが、そのたびに建て直されてきています。

また、頂法寺は「いけばな発祥の寺」とされています。境内にある池(聖徳太子が沐浴したとされるもの)のほとりには、花の名手とされる僧「池坊専慶」が住んでおり、その僧坊が「池坊」と呼ばれていました。後年になったそれが体系化され、池坊の家元が頂法寺の住職も勤めるという、深い関係にあるそうです。


背の高いビルに囲まれた市街地のお寺

『頂法寺』は、三条通りから徒歩5分という、京都の繁華街の真ん中にあるお寺です。このため、頂法寺のそれほど広くない境内を取り囲むように、マンションやオフィスビルなど、高層ビルが立ち並んでいるんです!こんな不思議な光景は他では見たことがありませんでしたので、この時点でかなり驚きました。

同じ敷地内にはいけばなの「池坊」の本部もあるため、その関係者らしき方も多数お参りしていて、どことなく不思議な感じがありました。


頂法寺(六角堂)』@京都-01

西国三十三所の第十八番札所『頂法寺(別名:六角堂)』。京都のど真ん中にあるため、お寺を取り囲むように高層ビルが建っています!驚くほどミスマッチですね!

頂法寺(六角堂)』@京都-02
頂法寺の山門の様子。とても簡素で、詳しい資料はありませんが、それほど時代が古くないものだと思われます


秘仏「如意輪観音像」は約5.5cmの小像です

この日は、頂法寺の秘仏「如意輪観音像」さまが、何と「136年ぶり(!)」にご開帳されるということで、私たちもそれを楽しみにお邪魔しています。拝観受付に行ってみると、特別拝観料「1,000円」とあり、やや痛い出費ではありましたが、もちろん迷うことなくご本尊にお会いすることにしました。

その姿は、パンフレットに写真が掲載されていますので、そちらをご覧いただくのが早いのですが、その大きさは「一寸八分(=約5.5cm)」という小ささです!言い伝えによると、この仏様は、淡路島にいた聖徳太子の下に流れ着いて、ずっと持仏として大事にされていたそうですから、当然、持ち運び可能なこのくらいのサイズになります。

1メートルほどの距離を置いて、色んな角度から眺めてみていたのですが、小さいながらもとてもキレイな仏様でした。聖徳太子の持仏という言い伝えは事実かどうかは分かりませんが、小さくて愛らしい印象もありながら、どこか凛としていらっしゃいました。

また、本堂には「毘沙門天立像(重文)」もいらっしゃったはずなんですが、あまりにもご本尊に夢中になっていたため、正直、全く拝見した記憶がなくて・・・。残念です!


頂法寺(六角堂)』@京都-03

本堂の「六角堂」前には、見事な柳の木が。観光客も多いらしく、おみくじが沢山結ばれていました

頂法寺(六角堂)』@京都-04
六角堂を横から眺めたところ。複雑な六角形になっているのですが、このアングルからだとまだ分かりにくいですね

頂法寺(六角堂)』@京都-05
頂法寺の本堂前。「観音菩薩」の大きな提灯が目立ちます。この日は、秘仏の「如意輪観音像」が136年ぶり(!)のご開帳となっていました。観音様とご縁を結べる紐が繋がっています

頂法寺(六角堂)』@京都-06
本堂の脇の小さな階段から本堂内部を拝観します。秘仏のご本尊のご開帳ということで、特別拝観料「1,000円」!ややお高いような気もしますが、十分にその価値はあったと思います


隣のビルのエレベーターから見下ろせます

頂法寺のすぐ隣には、近代的なガラス張りのビルが建っていて、「お寺の隣にスターバックス」という、何とも奇妙な光景が見られます。そのビルのエレベーターを上がると、六角堂の名前の由来にもなっている、六角形のお堂を見下ろすことができます。

この六角堂の本堂は1877年の建立と、比較的新しいものです。その屋根を見てみると、とにかく複雑に入り組んでいて、六角形のお堂に入母屋と礼堂の庇が組み合わさった、かなり複雑な構造になっていました。

高層ビルに囲まれたお寺って風情が無いように感じますが、こんなメリットがあるんですね(笑)


頂法寺(六角堂)』@京都-07

境内にはたくさんのお地蔵さんが。その背後には、ガラス張りのオシャレなビル。しかも、1階部分はスターバックスです!お寺とお地蔵さんとスタバ。ある意味では、京都らしいミスマッチなのかもしれませんね

頂法寺(六角堂)』@京都-08
頂法寺のすぐ隣にあるビルは、エレベーターがガラス張りになっているため、ここを上がると六角堂を上から見下ろすことができます

頂法寺(六角堂)』@京都-09
エレベーターが上昇中。六角形のお堂に、複雑に屋根が組み合わさっている様子が見られます

頂法寺(六角堂)』@京都-10
エレベーターがさらに上昇。ちなみに、六角堂を囲むように建っている背の低い建物は、頂法寺と縁の深いいけばなの「池坊」の施設です。本当に変わったお寺ですね

頂法寺(六角堂)』@京都-11
途中の階から見下ろしたところ。はっきりと六角形の屋根が見えます。屋根の繋ぎ方がパズルのように複雑ですね。よく雨漏りしないものだと思ってしまいます


たくさんのミスマッチを感じてください

頂法寺はかなり小さなお寺ですので、本堂以外には、小さなお堂などがいくつかある程度です。全部見て周るのに10分も掛からないかもしれません。

一つひとつを見ると、特にそれほど面白味も感じられないものなんですが、隣のビルの壁のギリギリに建っている「不動堂」や、何故か白鳥が泳ぐ池に建つ「太子堂」など、小さな違和感を感じるものばかりです。

京都の真ん中に、しかもスターバックスの隣に、お地蔵さんや十六羅漢像がある姿なんて、他では決して見られませんので、ぜひその違和感も含めて楽しんでみてください!

なお、同じ敷地にある池坊のいけばな資料館なども拝観できるそうですので(無料:要事前予約)、興味のある方はどうぞ。


頂法寺(六角堂)』@京都-12

本堂前にある「納経所」の建物の中。外から見るとただの地味な小屋に見えるのですが、どことなく昭和っぽい雰囲気が漂う、レトロな空間でした

頂法寺(六角堂)』@京都-13
納経所と、すぐ脇にいらっしゃる多数の観音様たち。京都の真ん中にあるとは思えないほどの落ち着いた雰囲気です

頂法寺(六角堂)』@京都-14
境内にあった、(多分)雨水を受けるための石にも「紫雲山 頂法寺 六角堂」の文字が。渋いですね

頂法寺(六角堂)』@京都-15
頂法寺の「不動堂」。二つの小さなお堂ですが、隣のビルとの隙間はわずか数センチ!こんなにギリギリに建てなくても良さそうなものですけどね(笑)

頂法寺(六角堂)』@京都-16
「不動堂」の中には、小さな石のお不動さん。京都の街角にありそうな小さな祠で、とてもキュートです!

頂法寺(六角堂)』@京都-17
本堂の背後には、何故か白鳥(!)が泳ぐ池があり、そこには「太子堂」が建っています。中にはもちろん太子像が祀られていました

頂法寺(六角堂)』@京都-18
池に悠然と泳ぐ白鳥たち。一年中いるものなのかは分かりませんが、こんなところで白鳥を見るとは思いもしませんでした!

頂法寺(六角堂)』@京都-19
近代的な建物の前に立つ「十六羅漢像」と「合掌地蔵」。背後にあるのはしだれ桜のようです

頂法寺(六角堂)』@京都-20
京都のお寺はどこもそうですが、とにかく鳩が多いんですよね。本堂には鳩よけネットが張り巡らせてあるので、見た目がイマイチ美しくありません。奈良のお寺には鳩は少ないんですが、この違いは何なんでしょうね?

頂法寺(六角堂)』@京都-21
六角堂の手水舎。かなりシンプルですが、背後にビルが建っている構図が新鮮です!

頂法寺(六角堂)』@京都-22
頂法寺の「鐘楼」は、道路を挟んだ向かい側に建っています。古くは、京都に災害があったときには、この鐘をついて急を知らせたのだそうです

頂法寺(六角堂)-ご朱印
頂法寺でいただいたご朱印です。「六角堂」ですね



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■頂法寺(六角堂)

HP: http://www.ikenobo.jp/rokkakudo/
住所: 京都府京都市中京区六角通東洞院西入堂之前町248
電話: 075-221-2686
宗派: 天台宗(単立)
本尊: 如意輪観音(秘仏)
創建: 聖徳太子(伝)
開基: 587年(伝)
拝観料: 境内無料
拝観時間: 6:00-17:00
駐車場: なし(近隣のコインパーキングを利用)
アクセス: 京都市営地下鉄「烏丸御池」から徒歩3分

※西国三十三所の第18番札所






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