生駒山がご神体の火祭りの古社『往馬大社』@生駒市
10月第2日曜日の「火祭り」が有名な『往馬大社(いこまたいしゃ)』へお詣りしてきました。生駒山をご神体として祀る古社で、春日造りの本殿7社が並ぶ姿はとても凛々しい雰囲気です。
皇室ゆかりの火を司る神を祀る神社です
生駒市壱分町にある『往馬大社』。正式には「往馬坐伊古麻都比古神社(いこまにいますいこまつひこじんじゃ)」といい、生駒神社とも呼ばれている古社です。
創立年代は不詳ですが、大神神社や石上神宮と同様に、神奈備(かんなび)である生駒山をご神体として祀っており、最も古い記録では「総国風土記」の雄略天皇3年(458年)にその名前が見られます。
本殿の御祭神は、もとは生駒山の神である、産土(うぶすな)大神の2柱でした。
●伊古麻津彦命(いこまつひこのみこと)
●伊古麻津姫命(いこまつひめのみこと)
さらに、八幡信仰が盛んとなった鎌倉時代、八幡神にかかわる5柱の神が合祀されたそうです。
●気長足比賣尊(おきながたらしひめのみこと。神功皇后)
●足仲津比古尊(たらしなかつひこのみこと。仲哀天皇)
●誉田別尊(ほんだわけのみこと。応神天皇)
●葛城高額姫命(かつらぎたかぬかひめのみこと。神宮皇后の母君)
●息長宿禰王 (おきながすくねおうのみこと。神宮皇后の父君)
伊古麻都比古神・伊古麻都比賣神は、古代より火を司る神として信仰されています。天皇の大嘗祭に関わる「火きり木(火を起こす道具)」が献上された記録があります。昭和や平成の大嘗祭の「斎田點定の儀(さいでんてんていのぎ)」にも、ご神木の上溝桜が使用されました。
また、10月第2日曜日の「往馬大社火祭り」が有名で、奈良県内の龍田大社「風神祭」、廣瀬大社「水神祭」とともに、古来より崇敬されてきました。奈良県指定の無形民俗文化財に指定されています。
生駒市壱分町の『往馬大社(いこまたいしゃ)』。神奈備・生駒山をご神体として祀る古社です。境内を覆う鎮守の森は、宅地開発が進む生駒山麓地帯の様子を残しており、「往馬大社の社そう」として県指定の天然記念物になっています
往馬大社の御由緒。往馬大社に関する最も古い記録は458年のもので、その年が創建だとしてもゆうに1500年を超える歴史を持つ古社となります
古くから続く例祭「往馬大社火まつり」。10月第2日曜日の本祭、その前日の宵宮が執り行われます。勇壮な火祭りなのでしょう。ホームページには一部画像が掲載されています
鳥居から本殿までは、20mほどの石段を上がります。なお、社務所などは南側(この画像の左手)数十メートルの場所にあるようです。私は忘れてしまいましたが、御朱印をいただく方はそちらへ向かってください
春日造りの7社が並ぶ凛とした本殿
この日の往馬大社は、火祭りの半月ほど前でしたが、境内にはハイカーの方たちの姿が見える程度で静かなものでした。しかし、春日造りの7社が並ぶ本殿と拝殿前に立つと、凛とした空気が伝わってきます。
境内を歩いているだけでは、特に火を司る神社らしいところは感じられませんが、拝殿前の半分焼け焦げた御神木は迫力がありました。落雷と火災で焦げていながら、今なお青々とした葉を茂らせています。これも火の神を力なのかもしれませんね。
本殿に祀られている御祭神7柱はこの順番に並んでいます。中央には伊古麻津彦命が、その右隣に伊古麻津姫命が祀られています
拝殿の裏手には、春日造りの7棟の本殿がずらりと並びます。全体を見渡すことはできませんが、とても壮観な図ですね
拝殿前にあるご神木。幹が黒々と焼け焦げています。「この杉の木は落雷と火災という二度の災害に遭いましたが、今も枝から青々とした葉が伸びています。災いにも負けない強い生命力を持った御神木として参拝者の信仰を受けています」と説明書がありました
往馬大社の「北末社」。向かって右から豊受比賣社(豊受比賣神)、仁徳天皇社(大雀神)、神明社(天照大神)、春日社(天児屋根命)、大山祇社(大山祇神)と祀られています
北末社の隣に建つ「観音堂」。鎌倉末期~室町時代の十一面観音立像が祀られています
向かって左手が、事代主神を祀る「生駒戎神社」。右手が「南末社」で、右から伊弉諾社(伊邪那岐命、伊邪那美命)、住吉社(底筒男命、中筒男命、表筒男命)、猿田彦社(猿田彦神)、稲荷社(宇迦之御魂神)を祀ります
■往馬大社(往馬坐伊古麻都比古神社)
HP: http://www.ikomataisha.com/
住所: 奈良県生駒市壱分町1527-1
電話: 0743-77-8001
主祭神: 伊古麻都比古神、伊古麻都比賣神、氣長足比賣命、足仲津比古命、譽田別命、葛城高額姫命、息長宿禰王
創建: 不明(5世紀以前)
拝観料: 無料
駐車場: 無料駐車場あり
アクセス: 近鉄生駒線「一分駅」から徒歩5分ほど
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