2009-11-04

天平の空気を感じる鑑真の古刹『唐招提寺』@西ノ京

天平の空気を感じる鑑真の古刹『唐招提寺』@西ノ京

奈良市五条町(西ノ京)にある、鑑真和上が開基の古刹として知られる『唐招提寺』。ようやく「金堂平成大修理」を終え、ようやく本来の姿を取り戻しました。

さすがに見どころの多いお寺ですので、この日は時間をかけてゆっくりとお参りさせていただいてきました。


鑑真和上開基。奈良を代表する古刹です

奈良市五条町(西ノ京)にある『唐招提寺』は、759年、唐の高僧・鑑真和上が新田部親王(にいたべしんのう)の旧宅跡を朝廷から譲り受けて寺とした、「日本最初の私寺」といわれるお寺です。

鑑真の日本への渡航は何度も失敗し、6回目の計画でようやく来日に成功するエピソードが有名です。来日当初の5年間は東大寺で過ごしていましたが、現在の地に戒律を学ぶ人たちのための修行の道場を開き、南都六宗の一つである律宗の総本山として、多くの僧を輩出しました。

2000年から「金堂平成大修理」を行っていましたが、その作業もようやく終了。有名な唐招提寺の「鴟尾(しび)」も、新たに「平成の鴟尾」に乗せかえられ、再び井上靖さんの「天平の甍」に描かれたような威容を見せてくれるようになりました。

唐招提寺「金堂」に関しては、こちらに詳しく書きましたので、ぜひ合わせてご覧ください。

大修理を終えた「金堂」は大迫力『唐招提寺』@西ノ京


唐招提寺(金堂)@西ノ京-22

ようやく大修理を終えた、唐招提寺「金堂(国宝)」


広々した奈良時代の国宝建築「講堂」

唐招提寺・金堂の北側に建つ「講堂(国宝)」。奈良時代(8世紀後半)の建築で、入母屋造、本瓦葺の堂々とした建物です。平城宮の「東朝集殿(ひがしちょうしゅうでん)」を移築した、平城宮の唯一の遺構なのだそうです。

中に入ると、中央部分に仏さまが安置されていますが、天井もスッキリと高く、全体的に広々と感じられます。あまりに広いため、どことなく物足りない印象まで受けてしまいますが、「講堂は学問の場であり、仏さまをお祀りする金堂とは違うため」とのことでした。


●弥勒如来坐像(重文)- 鎌倉時代作・像高283.3cm・木造
講堂の御本尊の弥勒さまは、目鼻立ちもはっきりとした、堂々とした仏さまです。金色の彩色もまだ鮮やか。光背の周辺には、飛天などが透かし彫りになっていて、本当に見事でした!間近で見ると、顔の中心部に亀裂が入っているのが痛々しい感じもしましたが、大きな講堂の御本尊に相応しい、迫力ある巨像でした。

●持国天立像(重文)- 奈良時代作・像高132.5cm・木造
●増長天立像(重文)- 奈良時代作・像高128.2cm・木造
御本尊よりも制作年代が古い、ややずんぐりした体型の一木造り。足下の邪鬼たちが、どちらもいい表情をしていました。お寺の方に「四天王の残り2体はどこへ?」と質問してみたところ、「某お寺へ行ったきりです」とのこと。トラブルになるので・・・と、某お寺の名前は明かしてくれませんでした!


講堂の中に入って、仏さまを間近から拝見するのもいいですが、少し離れて講堂の外側の通路部分から見るのも、また表情が変わって楽しいものです。色んな角度からじっくりと眺めてみてください。


唐招提寺@西ノ京-01

唐招提寺・金堂の北側に建つ「講堂(国宝)」。平城宮の「東朝集殿(ひがしちょうしゅうでん)」を移築・改修されたもの。奈良時代の宮廷建築の唯一の遺構です。当初は、屋根は切妻造りだったそうですが、移築の際に現在の入母屋造りに直されたのだとか

唐招提寺@西ノ京-02
唐招提寺の講堂には、御本尊の「弥勒如来坐像」を中心に、その脇に梵天・帝釈天立像が。その両脇を四天王像のうちの持国天・増長天立像の二体がいらっしゃいます(全て重文)。建物の広さの割には仏さまの数は少なめですが、元々講堂は学問の場であり、金堂とは性格が違うためなのだそうです


金堂の東側には「鼓楼」「礼堂」が

唐招提寺の金堂東側には、「鼓楼(国宝)」と「礼堂(重文)」が並んでいます。

2階建ての「鼓楼」は、鑑真和上が請来した仏舎利「金亀舎利塔(国宝)」を安置しています。毎年5月19日に開かれる「中興忌梵網会(ちゅうこうきぼんもうえ)」(通称:うちわまき)の舞台ともなり、ここから1,500本のうちわが撒かれます。

そのすぐ脇にある「礼堂」は、元はこの鼓楼の仏舎利を礼拝するための建物で、内部には清凉寺式の「釈迦如来立像(重文)」が安置されています。こちらは、毎年10月21日-23日の3日間だけ特別公開されます。

整った伽藍を持つお寺を見慣れてしまったためか、唐招提寺の鼓楼の位置はやや不自然さを感じてしまいましたが、この並び方にはちゃんと意味があるんですね。過去には、礼堂と東西対象となる位置に、藤原仲麻呂が寄進したという「食堂(じきどう)」が建っていたそうですが、今はもう現存していません。礼堂のような立派な建物が対になっている光景はさぞ見事なものだったと思いますので、いつの日か再建して欲しいものですね。


唐招提寺@西ノ京-03

唐招提寺の金堂の東側には、手前に「鼓楼(国宝)」、その隣に「礼堂(重文)」が並びます。伽藍が整ったお寺を見慣れているせいか、鼓楼の位置が唐突な印象があって、少し違和感を感じました

唐招提寺@西ノ京-04
唐招提寺「鼓楼(国宝)」は1240年の建築。2階建てになっていて、鑑真和上が請来した仏舎利「金亀舎利塔(国宝)」を安置しているため「舎利殿」とも呼ばれます。毎年5月に行われる「うちわまき」はここで行われます

唐招提寺@西ノ京-05
唐招提寺「礼堂(らいどう)(重文)」。南北19間の細長い建物で、元は僧房として使用されていたそうです。隣の鼓楼に安置された仏舎利を礼拝するためのお堂で、内部には清涼寺式の「釈迦如来立像(重文)」がいらっしゃいます

唐招提寺@西ノ京-06
唐招提寺「礼堂」を別のアングルから。とにかく細長い建物で、同じデザインの扉がズラリと並ぶ様子はとても美しいものでした

唐招提寺@西ノ京-07
礼堂は、南側8間が礼堂、北側10間が東室とされ、その間の1間が「馬道(めどう)」と呼ばれる通路になっています。馬道と東室の部分は、軒先に腰掛けてることもできるようになっていますので、ちょっとした休憩にもどうぞ。日差しを浴びてのんびりできます


「高床式校倉造り」も間近で見られます

礼堂の東側には、「経堂」と「宝蔵」(ともに国宝)の二つの高床式校倉(あぜくら)造りの建物が並びます。ともに8世紀の建築で、やや小さ目の経蔵に至っては、唐招提寺の建立以前からこの地に建っているものなんだそうです!

校倉造りの建物としては、東大寺の正倉院が有名ですが、さすがに遠目に眺めることしか出来ませんので、ここまで至近距離から眺められるのは感動ですね。

ちなみに、経堂の中には、14世紀の南北朝時代に作られた「文殊五尊像」が祀られているそうです。一般公開はされていないようですが、ホームページからその姿を拝見することができます。


唐招提寺@西ノ京-08

唐招提寺の礼堂の東側に並ぶ、二つの高床式の校倉造りの建物。手前が「経堂(国宝)」で、奥が「宝蔵(国宝)」です。いずれも奈良時代(8世紀)の建築で、よくこれほどの古いものがそのまま現存していた・・・と、驚くばかりですね

唐招提寺@西ノ京-09
「経蔵」は、唐招提寺の創建以前にこの地にあった新田部親王邸の米倉を改造したものといわれており、唐招提寺でも最も古い建造物、そして日本最古の校倉なのだとか。軒下の部分に補修の跡が見えます

唐招提寺@西ノ京-10
奈良には校倉造りの建物はいくつか残されていますが、ここまで至近距離から見られるものは、他にはなかなかありません。今から1200年以上も昔に、こんな建物が建てられたと考えると、不思議な気分になります


奈良時代の仏像が立ち並ぶ「新宝蔵」

唐招提寺の「新宝蔵」(拝観料は別途100円が必要)は、それほど広い空間ではありませんが、奈良時代・平安時代の仏像が15体ほども並んでいました。

中央にいらっしゃる、像高352.7cmの木造「大日如来坐像(重文)」を中心に、左右にずらりと仏さまが立ち並ぶのですが・・・。やはり古いものばかりですので、腕が無かったり首が無かったり・・・と、欠損が目立ってしまいます。

しかし、平安時代作・像高154.0cmの「如来形立像(重文)」は、残念ながら、顔も両腕も失われているのですが、「唐招提寺のトルソー」とまで呼ばれる優美なプロポーションを持ち、本当に美しい仏さまでした。腰から下のふくよかさと、流れるような衣紋の表現は、とてもしなやかな印象です。

また、金堂平成大修理によってその役目を終えた、金堂の「天平の鴟尾・鎌倉の鴟尾」も展示されており、手の届くような距離で見ることができますので、ぜひまじまじとご覧ください。


唐招提寺@西ノ京-13

唐招提寺の「新宝蔵(拝観料100円)」。1970年に建てられた収蔵庫で、通年公開されています。体の一部が欠損してしまったものも多いのですが、15体ほどの仏さまが展示されていました。金堂平成大修理で役目を終えた、金堂の「天平の鴟尾・鎌倉の鴟尾」も展示され、間近に見られました!

唐招提寺@西ノ京-15
販売されていた「新宝蔵の仏像」の絵葉書。欠損が目立つのが残念ですが、奈良時代・平安時代の貴重な木造仏が、これだけ多く収蔵されているのは驚きでした。特に「唐招提寺のトルソー」と呼ばれる「如来形立像(重文)」は必見です!


御廟・御影堂など、鑑真和上ゆかりの施設

唐招提寺の境内の北東側には、鑑真和上の墓所「開山御廟」と、国宝の肖像彫刻「鑑真和上坐像」を祀る「御影堂(重文)」などがあります。

御影堂の内部は、「開山忌」を挟んだ毎年6月3日-7日の間しか公開されないため、この日は見ることができませんでした。天平彫刻の代表作とされる有名な仏さまがいらっしゃるお堂ですから、ぜひまた日を改めてお邪魔してみたいと思います。

また、金堂の西側には「戒壇」があります。唐招提寺の創建当初からあった施設とされ(鎌倉時代に造られたという説もあるそうです)、今では石壇が残されるのみですが、この一角だけ古い時代の仏教施設の雰囲気(大陸っぽいんです)が感じられて面白かったです!


唐招提寺@西ノ京-18

「開山御廟」前。鑑真和上の墓所となります。土壁に囲まれた、落ち着いた雰囲気の一角にあります

唐招提寺@西ノ京-19
門をくぐると、美しい緑の苔が地面を覆っていました。唐招提寺の境内の中で、最も静かで落ち着いた空気が感じられる場所でしょう

唐招提寺@西ノ京-20
「開山御廟」の様子。周りは八角形の低い壁に囲まれていました。この日も多数の参拝客が手を合わせていらっしゃいました

唐招提寺@西ノ京-17
唐招提寺「御影堂(重文)」前の様子。1962年、旧興福寺一乗院門跡の建築物が移築されたものです。「鑑真和上坐像(国宝)」を安置しており、開山忌前後の6月3日-7日のみ一般公開されます。東山魁夷画伯が描いた障壁画があることでも知られています

唐招提寺@西ノ京-12
礼堂の北側に建つ「旧開山堂」。御影堂が移築される前は、ここに鑑真和上坐像がいらっしゃったのでしょう。現在は「聖武天皇坐像」が祀られているそうです。しかし、つっかえ棒が必要なほど老朽化しており、やや物寂しい姿に。旧開山堂の前には、松尾芭蕉の句碑もあります

唐招提寺@西ノ京-21
唐招提寺の金堂の西側にある「戒壇」。門の周囲から見るだけで中に入ることはできません。戒壇とは、出家者が正式の僧となるための儀式を行う場所で、創建時には作られていたとされています。元は建物がありましたが、1851年の火災で焼失。石壇のみが残されています

唐招提寺@西ノ京-22
戒壇の様子。元からあった3段の石壇の上に、1980年、インド・サンチーの古塔を模した宝塔が築かれました。周囲には木が生い茂り、この一角だけ日本ではないような雰囲気が漂っていました


天平時代の空気が感じられるお寺です

唐招提寺は、京都の大寺院ほどではありませんが、奈良のお寺としてはかなり規模が大きく、境内の至るところで奈良の古刹らしい落ち着いた風情が感じられました。ぜひカメラを片手に、天平の雰囲気を探してみてください!


唐招提寺@西ノ京-23

礼堂の瓦。一つ一つに「唐招提寺」の文字が刻まれていました

唐招提寺@西ノ京-24
青空に映える鬼瓦。ずっと変わらない古都・奈良の風景です

唐招提寺@西ノ京-25
新宝蔵の近くの石畳。丸と四角を組み合わせたモダンデザインでした

唐招提寺@西ノ京-26
古式そのままの土壁。寺社の境内でもなかなか見かけないものですが、唐招提寺にはしっかりと残されていました

唐招提寺@西ノ京-27
境内の北西側にあった石碑。特に文字が刻まれたようでもありませんでしたが、この丸と四角の組み合わせ、先ほどの石畳と一緒です。何か理由があるんでしょうか?

唐招提寺-ご朱印
唐招提寺でいただいたご朱印です。御本尊の「廬舎那仏」とありますが、書が少し弱めかも・・・



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■唐招提寺

HP: http://www.toshodaiji.jp/
住所: 奈良県奈良市五条町13-46
電話: 0742-33-7900
宗派: 律宗(総本山)
本尊: 廬舎那仏(国宝)
創建: 759年
開基: 鑑真
拝観料: 600円(新宝蔵は別途100円)
拝観時間: 8:30 - 17:00
駐車場: 有料駐車場あり(500円)
アクセス: 近鉄橿原線「西ノ京駅」から徒歩10分

※世界遺産に登録されています
※唐招提寺「金堂」については、こちらをご覧ください
大修理を終えた「金堂」は大迫力『唐招提寺』@西ノ京








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