2015-12-10

聖徳太子と達磨大師を祀る禅宗寺院『達磨寺』@王寺町

聖徳太子と達磨大師を祀る禅宗寺院『達磨寺』@王寺町

王寺町の『達磨寺』は、聖徳太子と達磨大師にまつわる伝説のある禅宗寺院です。達磨大師の御廟と伝わる古墳の上に本堂が建っていて、聖徳太子の愛犬「雪丸」の石像、戦国武将・松永久秀の墓なども見られるなど、見どころの多いお寺です。本堂に三尊像形式で祀られる聖徳太子坐像・千手観音坐像・達磨大師坐像の3躯の仏像も素晴らしいです!土日には予約無しで本堂を拝観できますのでぜひ!


聖徳太子「片岡飢人伝説」の場所

北葛城郡王寺町の『達磨寺(だるまじ)』(Wikipedia)は、「片岡山」と号する臨済宗南禅寺派の禅寺で、聖徳太子と達磨大師の伝説が残っています。

「日本書記」の推古天皇21年(613年)のくだりに、聖徳太子の「片岡飢人伝説」が登場します。この年の12月、聖徳太子が道端に伏せっていた飢人を見つけ、食べ物や衣服を与えましたが、その人は亡くなってしまいます。手厚く葬った数日後、埋葬したはずの飢人の遺体が消え、墓の上に太子が与えた衣服がきれいに畳んで置かれていました。

つまり、この飢人は仏の化身であり、太子はそれを見抜くほどの力が備わっていたということを強調する説話です。達磨寺の本堂下には「達磨寺3号墳」と呼ばれる古墳があります。この古墳こそが聖徳太子が助けた飢人の墓だとして、鎌倉時代の初めごろに寺院が建立されたようです。

さらに、聖徳太子が中国の高僧・慧思禅師(えしぜんじ)の生まれ変わりだという説があり、奈良時代の書物には「達磨大師が慧思禅師に対して東方(≒日本)で仏法を広めることを勧め、自ら先に東方へ去っていった」という記述も見られるため、この飢人は達磨大師の化身だったと考えられるようになっていきます。

その後、次第に荒廃していきますが、12世紀末、笠置の「解脱上人貞慶」(Wikipedia)が再興します。しかし、興福寺の僧兵や松永久秀の兵火にかかり、多くの堂宇を失いました。再建された後、徳川家康から30石の朱印地が与えられていました。


本堂拝観は土日に。平日は要事前予約

現在の達磨寺は、2004年に本堂を建て替え、門前を通る国道168号線の拡張工事も終わりました。建物としては本堂・方丈のみですが、境内にはさまざまな見どころがあります。

なお、本堂の拝観(無料)は、土日は王寺観光ボランティアガイド友の会の皆さんが開けてくれます(15時まで)が、平日の拝観を希望する場合は事前予約が必要となります。境内はいつでも自由に拝見できますが、本堂内も素晴らしい仏像や宝物が拝見できますので、できれば週末に訪れてみてください。


達磨寺@王寺町-01

達磨寺の「本堂」。2004年に建て替えたばかりで、まだ真新しいです。座禅体験なども開催なさっているそうですので、興味のある方はお寺へ問い合わせてください

達磨寺@王寺町-20
達磨寺の「方丈」(県指定文化財)。築350年近くが経過し、建物全体に歪みが出ています。この修理のため、王寺町では一般から寄付を募るクラウドファンディング「達磨寺方丈の修理プロジェクト~聖徳太子の愛犬「雪丸」が倒壊のピンチを救う!」を開催中です。ぜひリンク先をご覧ください

達磨寺@王寺町-03
境内の端にある「案内所」。御朱印の受付、お土産の購入などはこちらで。おそらく土日のみボランティアガイドの方たちが開けてくれているのだと思います


本堂下に「達磨廟」と伝わる古墳が

達磨寺@王寺町-05
達磨寺の本堂内。真新しい建物で、壁面にはずらりと寺宝が展示してあります。本堂の拝観料などもとらず、写真撮影も自由。「SNSなどで宣伝してください」とのことでした。嬉しいですよね

達磨寺@王寺町-06
本堂の真ん中に鎮座しているガラスケースは、建て替えの際にこの真下から発見された石塔や舎利容器などです。この本堂が建つ場所は、もとは古墳時代後期の直径約16mの円墳(達磨寺3号墳)で、13世紀ごろにこの石塔を埋めたのだとか

達磨寺@王寺町-07
本堂内にあった「達磨寺石塔埋納遺構」の写真。飢人が葬られたと伝わる塚に仏舎利を埋めてお堂を建てて……と、かなり珍しい事例なのかもしれません

達磨寺@王寺町-08
達磨寺の本堂を脇から見たところ。基壇が高くなっているのは、この下に古墳が眠っているためです。横穴式の石室もそのまま埋め戻されているそうです

達磨寺@王寺町-09
1602年に徳川家康から発せられた朱印状。寺領30石と境内竹林を寄付することを認めたもので、これ以降、将軍の代が替わるごとに発給されたそうです。ご本尊の後ろには、江戸幕府の歴代将軍の位牌が並んでいました。また、達磨寺に逗留した経験のある「冨田溪仙」からの年賀状など、珍しいものもいろいろと展示してありました


3躯の御本尊、どれも素晴らしいです!

達磨寺@王寺町-10
手前から、聖徳太子坐像・千手観音坐像・達磨大師坐像。達磨寺では、この3躯を御本尊としています。鎌倉~室町時代の像ですが、台座などの細部まで凝っています。奈良ではそれほど多くない禅宗寺院だけに、装飾なども目新しく感じます

達磨寺@王寺町-11
達磨寺の「木造聖徳太子坐像」(国重要文化財)。銘文より、鎌倉時代(1277年)に院恵・院道という院派の仏師が制作したことが判明しています。三十三間堂の千体千手観音の制作にも参加している大仏師の手によるものです。巾子冠をかぶり手に笏を持つ「摂政像」。力強くたくましく、堂々とした体躯です!

達磨寺@王寺町-12
角度を変えて。台座から光背部分から、素晴らしい細工が施されています。太子像はいろんな年代のものが伝わっていますが、時代によってイメージが違っていて面白いですね

達磨寺@王寺町-14
達磨寺の「木造達磨大師坐像」(国重要文化財)。聖徳太子が彫ったといい伝承もありますが、室町時代(1430年)に足利義教の命で造像されたものだとか。彩色は、有名な水墨画家・周文が担当。衣は鮮やかな朱色に塗られていました。禅宗様の椅子にゆったりと座り、衣を前に垂らす裳懸座(もかけざ)としています。衣が朱色のままだったら、より迫力があったでしょうね

達磨寺@王寺町-15
お顔の部分をアップで。達磨大師は、中国禅宗の開祖とされる6世紀前半のインド人僧侶です。目をしっかと見開いて、遠くを見据えるよう。唇の朱が鮮やかです。厳しさと優しさ、両方を帯びた表情にも見えます

達磨寺@王寺町-16
達磨寺の「木造千手観音坐像」(王寺町指定文化財)。詳しい調査が入っていないのか、後から大きく修復されているのか、国からの文化財指定を受けていても不思議のない、とても美しいお像です!手の数は現在は「392」。もとは500本あったと考えられているとか。手のひらには水晶で目を表現してあるそうです

達磨寺@王寺町-17
台座の部分も変わっていて、木の根本部分をそのまま使用したのかもしれません。荒々しく何本もの根がはえていて大迫力です。手の本数を多く作る千手観音坐像といえば、大阪・葛井寺の千手観音坐像(参考)が有名ですが、こちらはオーソドックスな蓮華の花をかたどった蓮華座です。だいぶ印象が違いますね

達磨寺@王寺町-18
千手観音さまの表情は厳しく、一心に諸衆を救うことを考えていらっしゃるかのよう。頭上の化仏(けぶつ)もほぼ憤怒の表情のものが多いです。頭頂の化仏に二重の簡素な光背がついていて、本体の光背とで三重になっていたりするのも面白いですね

達磨寺@王寺町-19
左側の手の部分。千手観音像の手は42本で表現されるものが多いですが、ここまで密集すると迫力があります。じっと見ていると目眩がしそう。本当に素晴らしいお像でした!


「雪丸」の石像と埋葬された古墳も

達磨寺@王寺町-23
達磨寺の境内には、この他にもさまざまな見どころがあります。本堂が拝観できなかったとしても、境内を散策してみる価値はあるでしょう。これは聖徳太子の愛犬「雪丸(ゆきまる)」の石像。江戸時代の「奈良名所絵図」にもこの像が描かれていました。狛犬のような特徴もありつつも、ちゃんと犬として作ってあるそうです

達磨寺@王寺町-24
後ろ姿。体の下に巻き込んだしっぽがいいですね。雪丸は現在、王寺町のマスコットキャラクターとして大人気ですが、その原型といえるのがこの石像です

達磨寺@王寺町-25
本堂の北東にある「達磨寺1号墳」は、別名を「雪丸塚」といい、雪丸の墓と伝わっています。古くは石像もこの脇にありました。人の言葉を話せた雪丸は、「本堂の下の達磨廟を守るため鬼門にあたる東北隅に埋葬してほしい」と遺言したのだとか。石室は開口していて、奥行き5mほど。水が溜まっていて中には入れませんでした


松永弾正久秀の墓など見どころたくさん!

達磨寺@王寺町-21
門をくぐってすぐのところに生えている「一夜竹」は、達磨大師がここに竹を挿したところ、一夜にして芽を出したと伝わるものだとか

達磨寺@王寺町-26
本堂の脇に丁寧に残してある「問答石」。613年に聖徳太子と達磨大師が歌を詠み交わした場所とされています。横に伏せているように見えるこの石は「達磨石」。約10m離れて「太子石」があります

達磨寺@王寺町-28
戦国時代に上牧町にあった片岡城を攻めた「松永久秀」のものと伝わるお墓。久秀の墓と伝わるものは、京都にもあるようです。そのすぐ横には、片岡城の城主で、城を守る側だった片岡春利の墓などもありますが、天国では仲良くしているのでしょう(笑)

達磨寺@王寺町-31
本堂の裏手に立つ「達磨寺中興記石幢」(国重要文化財)。高さ185cmの八角石柱で、1448年建立されたもの。各面に達磨寺の由緒が刻まれています

達磨寺@王寺町-32
写真だと分かりづらいですが、今でも銘文はくっきりと見えます。何が書いてあるかは理解できませんが

達磨寺@王寺町-33
本堂再建の際、この石碑の下から見つかったのが、本堂内に陳列されている「備前焼大甕」です。高86.7cmという大きな甕ですが、この中には「青磁香炉」だけが入っていました。遺骸が収められていたのかと思いきや、そういった形跡もなかったのだとか。不思議!

達磨寺@王寺町-34
達磨寺でいただいた御朱印です。あらかじめ書いてあった別紙のものをいただきました。ご住職が日付を書き入れてくれるはずですが、時間の関係でそのままいただきました


■達磨寺(だるまじ)

HP: http://www.darumaji.jp/
住所: 奈良県北葛城郡王寺町本町2-1-40
電話:  0745-31-2341
宗派: 臨済宗南禅寺派
本尊: 千手観音・達磨大師・聖徳太子
創建: 613年
拝観料: 無料
拝観日: 本堂の拝観は、土日は王寺観光ボランティアガイド友の会の皆さんが開けてくれます(15時まで)。平日の拝観は事前予約が必要です
駐車場: あり(無料)
アクセス: 王寺駅南口から徒歩15分ほど

※実際にお詣りしたのは「2015年12月5日」でした


■参考にさせていただきました

達磨寺|王寺町観光協会
達磨寺 (北葛城郡王寺町) - Wikipedia
奈良県 ・ 達磨寺「扇状に広がる千手観音の巻き」 - ひたすら仏像拝観






  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ