2022-07-17

當麻寺(葛城市)国宝「東塔・西塔」初層特別開扉など

當麻寺(葛城市)国宝「東塔・西塔」初層特別開扉など

奈良国立博物館の特別展『中将姫と當麻曼荼羅』にあわせて、當麻寺(葛城市)では、国宝「裏板曼荼羅」の御開帳、国宝「東塔・西塔」初層の特別開扉(※土日祝のみ)などが開催中です。古から美しく並び建つ2つの三重塔を、間近から拝見できる貴重な機会です。ぜひ見比べてみてください!


奈良博『中将姫と當麻曼荼羅』開催中

「東塔・西塔」初層特別開扉@當麻寺(葛城市)-00

奈良国立博物館で特別展『中将姫と當麻曼荼羅 ―祈りが紡ぐ物語―』が開催中です(2022/7/16~8/28)。

二上山の麓に位置する「當麻寺(たいまでら)」(中之坊奥院・ - 西南院護念院)は、古代の女性・中将姫が蓮糸を用いて一夜にして織り上げたと伝わる「綴織當麻曼荼羅」(国宝)を本尊としてお祀りしています。

當麻曼荼羅と中将姫への信仰は、鎌倉時代以降、全国的な広がりを見せ、當麻曼荼羅の写しも盛んに作られました。今回の特別展では、そのうちの1つ、江戸時代の延宝7年(1679)に描かれ、貞享3年(1686)に霊元天皇の宸筆を得て完成した「貞享本當麻曼荼羅」(重文、當麻寺蔵)の修理完成を記念したものです。

詳しくはまた別のところで書きますが、興味深く素晴らしい内容でしたので、ぜひ足をお運びください。


本堂では「裏板曼荼羅御開帳」も

「東塔・西塔」初層特別開扉@當麻寺(葛城市)-01
この特別展の期間中(7/16~8/28)、當麻寺では、特別公開が行われています。

●本堂・曼荼羅堂で「裏板曼荼羅御開帳」(拝観料500円)※全日
●国宝「東塔・西塔」初層特別開扉(無料)※土・日・祝日のみ

「裏板曼荼羅」とは、當麻曼荼羅を安置する巨大な厨子「曼荼羅厨子」(国宝)の裏扉です。かつて曼荼羅をこの板に貼り付けていたため、うっすらとその図様が残っています(詳しくはこちら)。貴重な機会ですのでぜひ!

「東塔・西塔」初層特別開扉@當麻寺(葛城市)-02
こちらは、當麻寺の国宝「東塔・西塔」初層の特別開扉の現地でいただけるプリントです。とてもわかりやすいだけではなく、図面的なデザインがかっこいいですよね。額装して飾りたいくらいです!

簡単に見比べポイントをまとめると、色んな違いがあることがわかります。

●建立時期:【東塔】奈良時代 【西塔】初層は平安前期、二三層は平安後期
●安置仏:【東塔】大日如来(金剛界)2躯 【西塔】大日如来(胎蔵界)、阿弥陀如来2躯、僧形八幡神
●構造:【東塔】初層三間、二三層二間【西塔】各層三間
●高さ:【東塔】24.39m【西塔】25.21m

なお、塔の頂部の相輪(そうりん。輪っか状のもの)ですが、一般的には九輪ですが、當麻寺は両塔とも八輪なのだとか。さらに、西塔の相輪の下(心柱の頂部)からは、舎利容器なども埋めこまれていて、奈良博の特別展で展示されています。

「東塔・西塔」初層特別開扉@當麻寺(葛城市)-03
【参考画像】當麻寺の西塔(手前、平安時代)・東塔(奥、奈良時代)大雪の日に撮影した一枚です。
古代の寺院では、奈良・薬師寺などのように東西に塔を構える伽藍配置が多くありました。しかし、そのほとんどが自然災害などで失われていますが、當麻寺の双塔は揃って現存している日本唯一のものです。そんな貴重な塔を、今回は間近で拝見させていただけます(しかも無料で!)。


1世紀ぶりの大修理を終えた「西塔」

「東塔・西塔」初層特別開扉@當麻寺(葛城市)-04
こちらは當麻寺・西塔(国宝)です。2016年ごろから始まった約1世紀ぶりとなる大規模な修理が、2020年に終わり、美しい姿が再び見られるようになりました。

「東塔・西塔」初層特別開扉@當麻寺(葛城市)-05
現地では、ボランティアスタッフの方が簡単な説明をしてくださいます。
西塔は、初層から三層まですべて三間(柱の間が3つずつ)で、下から上まで大きく太さは変わりません。初層は平安前期、二三層は平安後期とややずれがあり、しばらくは初層のみで放置されていたのでしょう。不思議ですね。

「東塔・西塔」初層特別開扉@當麻寺(葛城市)-06
初層の扉が開いています。仏さまの写真撮影は基本禁止ですが、大日如来(胎蔵界)など4躯が四方に安置されています。いずれもそれほど(奈良のお寺の基準としては)古いものではない印象でした。

「東塔・西塔」初層特別開扉@當麻寺(葛城市)-07
組物もはっきりと観察できます。美しい!


奈良時代から建つ優雅な「東塔」

「東塔・西塔」初層特別開扉@當麻寺(葛城市)-08
もう一方の當麻寺・東塔(国宝)です。周囲が竹林などに囲まれていて、この方面からは見えづらくなっています(庭園から美しい姿が拝めます)。

「東塔・西塔」初層特別開扉@當麻寺(葛城市)-09
東塔は、西塔より先立って奈良時代に建立されました。初層は三間、二三層は二間と、上へ行くほど細くなっています。西塔よりもシュッとスマートに見えます。

「東塔・西塔」初層特別開扉@當麻寺(葛城市)-10
東塔の初層には、大日如来(金剛界)2躯が安置されています。

「東塔・西塔」初層特別開扉@當麻寺(葛城市)-11
対となる2つの古塔ですが、見比べてみるとたくさんの違いがあるものです。ぜひこの機会に間近からじっくり観察してみてください!


塔頭・中之坊では「中将姫展」も

「東塔・西塔」初層特別開扉@當麻寺(葛城市)-12
また、當麻寺の塔頭寺院・中之坊の霊宝館では「中将姫展」を開催中です(詳しくはこちら→春季特別展『中将姫展』)。中将姫さまが書写された「称讃浄土佛摂受経」(奈良時代)、中将姫さまの舎利入「持蓮華」(鎌倉時代)など、貴重な寺宝が展示されています。奈良博の展示とあわせてどうぞ。

「東塔・西塔」初層特別開扉@當麻寺(葛城市)-13
中之坊を拝観すると、庭園「香藕園(こうぐうえん)」から東塔を見上げたこんな光景も見られます。絶景!

「東塔・西塔」初層特別開扉@當麻寺(葛城市)-14
お庭の池では、蓮の花が見頃を迎えていました(午後遅めの時間だったので開いてませんが)。午前中がおすすめです!



■當麻寺

HP: 
中之坊 - http://www.taimadera.org/
奥院 - http://www.taimadera.or.jp/
西南院 - http://taimadera-sainain.or.jp/
護念院 - https://taimadera-gonenin.or.jp/

住所: 奈良県葛城市當麻1263
宗派: 高野山真言宗・浄土宗
本尊: 当麻曼荼羅
創建: 7世紀前半ごろ
拝観料: 境内は無料(伽藍:500円、中之坊:500円、西南院:300円、奥院:300円、護念院:300円)
拝観時間: 9:00~17:00
アクセス: 近鉄南大阪線「当麻寺駅」から徒歩約12分


■當麻寺 特別公開

●裏板曼荼羅御開帳
・期間:2022年7月16日(土)~8月28日(日)の全日
・拝観料:500円(税込)

●国宝「東塔・西塔」初層特別開扉
・期間:20227月16日(土)~8月28日(日)の毎土・日曜日及び祝日
・時間:10:00~16:00
・拝観料:無料

※奈良国立博物館と當麻寺を巡るスタンプラリーも開催されています


■関連する記事






  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ