2016-01-14

巨大松明が燃え盛る『陀々堂の鬼はしり』@念仏寺(五條市)

巨大松明が燃え盛る『陀々堂の鬼はしり』@念仏寺(五條市)

五條市・念仏寺の国の重要無形民俗文化財『陀々堂の鬼はしり』を拝見しました。父鬼・母鬼・子鬼の3匹の鬼たちが、燃えさかる巨大な松明を掲げる勇壮な行事で、室町時代から途切れること無く続けられています。木造・茅葺きの本堂を燃え尽くさんばかりの巨大な火、壁が打ち鳴らされる音などが混ざり合い、大迫力でした!


室町時代から500回以上続く伝統行事

五條市大津町の「念仏寺」の本堂(通称:陀々堂)で、毎年1月14日に行われる『陀々堂の鬼はしり』(Wikipedia)。室町時代から途切れること無く続けられている法要で、2016年で531回目を迎えました。1995年には国の重要無形民俗文化財に登録されています。

父鬼・母鬼・子鬼の3匹の鬼たちが、燃えさかる巨大な松明を掲げる勇壮なもので、年頭に五穀豊穣などを祈願する「修正会(しゅしょうえ)」の結願の行事に当たります。大きな松明を灯して火の粉で心身と場を浄める「達陀(だったん)」の行法の一種で、東大寺・二月堂の「修二会(お水取り)」を模して始められたものなのだそうです。

茅葺きの屋根を焦がさんばかりに松明が燃え盛る、夜の鬼走りのシーンが有名ですが、16時からは松明に火を灯さない「昼の鬼はしり」、16時15分からは町内のお子さんがほぼ同様に法要を執り行う「子ども鬼はしり」なども行われています。

1月14日 修正会結願

13:30- 大般若経転読
16:00- 昼の鬼はしり(松明無点火)
16:15- 子ども鬼はしり
16:30- 福餅まき
19:00- 息災護摩供(堂内)
19:30- 柴灯護摩供(境内)
21:00- 鬼はしり(たいまつ点火)

なお、現在は念仏寺は無住のお寺となっており、陀々堂の鬼走りは「念仏寺鬼はしり保存会」の方々によって執り行われています。以前に裏側に密着したドキュメンタリー番組を拝見したことがありましたが、大変なご苦労があるようでした。ぜひ次世代まで守り伝えていってほしいですね。


上野公園から無料シャトルバスも運行

陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-01
私たちは「夜の鬼はしり」(21時~)を拝見しました。念仏寺から800mほど離れた「上野公園駐車場」が開放されていて、そこから無料シャトルバスが出ています。徒歩でも10分ほどの距離なので、車のかたはこちらを利用しましょう。また、JR「大和二見駅」からタクシーで10分ほどだそうです

陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-02
真っ暗な中、念仏寺へ到着。陀々堂の鬼走りを目当てに、たくさんの方々が来ています。今年は風もなくて暖かでしたが、最大限の防寒で挑みましょう

陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-03
参道沿いにあった、鬼走りモチーフの灯り。雰囲気あります!

陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-04
会場に貼ってあったポスター。3匹の鬼が主役のお祭りですが、この鬼たちは邪気を払い、福をもたらす存在のため、表情も穏やかです。現在の鬼の面は1961年から使用しているとか。それ以前の500年近くも使われた面は、修復されて「五條市立五條文化博物館 」に展示してあるそうです

陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-06
境内の様子。開始30分前くらいでもかなりの人垣になっていました。この背後には大きな脚立を設置したカメラ愛好者さんの列も。念仏寺の本堂「陀々堂」は茅葺き屋根で、今にも燃えそうです。しっかりと水をまきながら行うとはいえ、見ていてはらはらしてしまいました

陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-07
陀々堂を脇から見たところ。すぐ間近のベストポジションには、まだ明るい時間からずっと法要を見続けていたかたもいらっしゃったとか。なお、同じ日にお隣の御所市・吉祥草寺で「左義長(茅原大とんど)」(紹介記事)が催されています。こちらもぜひ!

陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-08
お堂の脇では、壁を木の棒で打ち鳴らし、音で邪気を祓うこともできます。拍子木のようにリズミカルに打ち鳴らされ、とても威勢がいいですね。境内には数軒の屋台も営業していますので、事前に腹ごしらえしておくといいでしょう


夜の鬼走りは21時から始まります

夜の鬼走りは21時から始まります。まずは、お堂の正面から松明が入堂します。その後、「火天(かって)」役のかたが、燃えさかる松明を「水」の字を書くように振り回す「火伏せの行」が行われます。火を用いて水の字を描き、それが火伏せとなるというのが複雑ですね(笑)

私たちは30分前くらいに並んだため、やや遠くて、こうした様子はあまりよく見えませんでした。しかし、僧侶の読経、修験者の法螺貝の音、半鐘が鳴らされ、壁を板で打つ壁打ちに音などが入り混じり、すざましい迫力です!現地でなければ体験できないライブ感がありました!


陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-09

松明の入堂のシーン。人垣の後ろのほうだとこのくらいしか見えませんでした


3匹の鬼と巨大松明。大迫力でした!


【YouTube動画】奈良県五條市 念仏寺 陀々堂鬼走り 鬼走り

陀々堂の鬼走りの行については、ぜひこの動画をご覧ください。いい位置から美しく撮影されていて、迫力が伝わってきます!


陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-10

鬼走りは、3匹の鬼が主役です。父鬼(斧を持った赤い鬼)、母鬼(捻木を持った青い鬼)、子鬼(槌を持った茶色の鬼)が、重さ60kgほどもある巨大な松明をかかげ、見得を切るように静止します。それを手助けするのが「佐(すけ)」役のかた。大きな炎に焦げそうになっています

陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-11
お堂をぐるりと周って、向かって左から父鬼・母鬼・子鬼と並びます。それぞれ左の膝に松明を乗せ、右手は斧などの得物を高く振り上げます。最後に定位置につく子鬼を佐(すけ)役がヘルプして……

陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-12
3匹の鬼がそろって見栄を切ります。このまましばらく静止するのですが、重い・熱いの巨大松明ですから、この体制をキープするだけでも大変な体力が必要だとか

陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-13
これはお堂3周分繰り返されます。火が燃え広がらないように、水天(かわせ)の役のかたたちが水をまいたりして、消火にあたります

陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-14
先ほどと同じく、父鬼・母鬼・子鬼の順番にスタンバイして……

陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-15
ビシっとポーズ!

陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-16
カメラで撮影した画像も。天井を焦がさんばかりの炎と、CGかと思うような煙が大迫力です!これが茅葺の木造建築の中なのですからすごいですよね!

陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-18
陀々堂の鬼走りが終わった後の堂内。薄暗くて見づらいですが、水びたしです。焦げた匂いも充満していました


近くから撮影した写真もどうぞ

なお、この日は私たちの友人たちがしっかりと法要を拝見していたので、何枚か写真をお借りしました。

●「奈良旅手帖」の発行者であり、旅とくらしの玉手箱フルコト奈良の雑貨とカフェBAR ことのまあかりの主である「生駒あさみ」さん

奈良の雑貨とカフェBAR ことのまあかりのスタッフであり、編集ユニット「掬日堂」としても活動している「伊藤多恵」さん

16時~の「昼の鬼はしり」、16時15分~の「子ども鬼はしり」なども拝見して、夜の鬼走りも比較的近い位置から見ていたとのことで、とても分かりやすく迫力のある写真になっていました!


陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-19

「昼の鬼はしり」の様子。松明にはまだ火が灯されていません。その分だけ、どのような所作が行われているのかが分かりやすくなっています。比較的空いているそうですから、ぜひこちらも拝見したいですね

陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-20
斧を持った赤い父鬼がポーズをとったところ。かっこいい!熱気まで伝わってきそうです。間近で見たら迫力があるでしょうね

陀々堂の鬼はしり @念仏寺(五條市)-21
中心は青い母鬼。煙の起こり方がすごい!背後には読経している僧侶の方々、法螺貝を吹き鳴らす山伏姿の方々の姿も見えます



■陀々堂の鬼はしり(念仏寺)

HP: 参考サイト:五條市
場所: 奈良県五條市大津町177
開催日: 毎年1月14日
電話: 0747-22-4001(五條市企業観光戦略課)
駐車場: 無料駐車場あり
アクセス: JR「大和二見駅」からタクシーで10分ほど(徒歩約30分)

※念仏寺の近くに無料駐車場はありますが、鬼はしりの当日は混雑します。近くの「上野公園駐車場」からシャトルバスが出ていますので、そちらを利用するようにしましょう


■参考にさせていただきました

陀々堂の鬼はしり - Wikipedia
大和路アーカイブ [念仏寺(五條市)]
ええ古都なら|念仏寺・陀々堂の鬼はしり


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