2011-02-21

山の辺の道の小寺『玄賓庵(げんぴあん)』@桜井市

山の辺の道の小寺『玄賓庵(げんぴあん)』@桜井市

山の辺の道沿いの大神神社と檜原神社の間にあるお寺『玄賓庵(げんぴあん)』。ひっそりとした小さなお寺ですが、世阿弥の作とも伝わる謡曲「三輪」の舞台となった、由緒ある古刹です。また、この日は拝見できませんでしたが、重要文化財に指定されている「不動明王坐像」などもいらっしゃいます。


大神神社から徒歩15分ほどの距離です

大神神社から山の辺の道を15分ほど北上したところにある『玄賓庵(げんぴあん・げんぴんあん)』。

あえてここを目的地として行くような場所ではありませんが、檜原神社と徒歩5分くらいの距離にありますし、山の辺の道を散策しながら立ち寄るにはちょうどいいですね。道も険しくありませんので、のどかな風景を楽しみながら歩いてください。


玄賓庵@山の辺の道-01

大神神社から山の辺の道を北上すると、15分くらいで『玄賓庵(げんぴあん・げんぴんあん)』へ到着します。途中には万葉歌碑などがあるくらいですが、道も険しくありませんので、のどかな風景を楽しみながら歩いてください

玄賓庵@山の辺の道-12
山の辺の道を、大神神社から玄賓庵まで歩いただけでも、色んな見所が見つかります。万葉集でも詠まれた「狭井川」が静かに流れていました

玄賓庵@山の辺の道-13
大神神社の近くにある「月山日本刀鍛錬道場 記念館」。日本刀の工房が見学できるようです。入館料は無料ですが、開館しているのが3月~11月(ただし8月は除く)の毎週土曜日のみ。問い合わせは「月山記念館 0744-43-7330」までどうぞ

玄賓庵@山の辺の道-14
額田王が近江遷都の際に詠んだ、有名な万葉歌。「味酒(うまさけ) 三輪の山 あをによし 奈良の山の 山際に い隠るまで 道の隈(くま) い積もるまでに つばらにも 見つつ行かむを しばしばも 見放けむ山を 情(こころ)なく 雲の隠さふべしや」三輪山への愛情が伝わってくる歌ですが、現地で見るとよりいっそうグッと来ます

玄賓庵@山の辺の道-15
山の辺の道も、一部はこんな石畳に整備されています。土のままと石畳、どちらが当時の姿に近いんでしょうか?

玄賓庵@山の辺の道-02
大神神社から、15分強歩くと玄賓庵に、そこから10分弱歩くと檜原神社に到着します

玄賓庵@山の辺の道-03
玄賓庵の前の通り。のどかな山の辺の道も、ここだけは石畳と石垣になり、少し表情が変わります


玄賓僧都のお寺で、謡曲「三輪」の舞台に

『玄賓庵』は、9世紀ごろに僧・玄賓が隠棲した庵が始まりとなったお寺です。かつては山岳仏教の寺院として三輪山の檜原谷にありましたが、明治時代の神仏分離のため、現在の土地へ移されました。

また、世阿弥の作とも伝わる謡曲「三輪」の舞台となったことでも知られています。

大和国三輪山の麓に庵室をかまえている玄賓僧都のもとへ、毎日樒と閼伽の水を持って来る女があります。一度素姓を尋ねてみようと玄賓が待っていると、やがて女は訪れ、秋の夜寒をしのぐ衣を賜り給えと請います。玄賓が快く衣を与え、その住居を問うと、女は「我が庵は三輪の山本恋しくは訪い来ませ杉立てる門」の古歌をひき、杉立てる門を目印においでなさいと言い残して姿を消します。 玄賓が女の言葉を頼りに草庵を出て、三輪明神の近くまで来ると、不思議なことに二本の杉に先程女に与えた衣が掛かっており、その裾に一首の歌が書いてあります。それを読んでいると、杉の木陰から御声がして、女姿の三輪明神が現れます。そして和歌の徳を讃え、三輪山の杉にまつわる昔話を聞かせ、天照大神の岩戸隠れの神話を物語り、神楽を奏しますが、夜明けと共に消え行きます。(「宝生の能」平成9年10月号より)

本堂には、藤原時代作の重要文化財「木造不動明王坐像」や、阿弥陀如来像・大日如来像、さらに玄賓像などが祀られているようです。この日は拝観時間が合わなかったため(10時~15時)、残念ながらお参りできませんでした。


玄賓庵@山の辺の道-04

玄賓庵の山門。「三輪山奥之院 玄賓庵密寺」とあります。真言宗醍醐派の寺院で、200円を収めれば本堂の拝観も可能なようですが(10時~15時)、この日はすでに人気がありませんでした

玄賓庵@山の辺の道-05
玄賓庵の説明文。「ここは玄賓僧都が隠棲していた廬で、ここには重要文化財の木像不動明王坐像が伝わっています。謡曲で有名な「三輪」は玄賓と三輪明神の物語を題材にしたものです。玄賓は弘仁九年(818年)になくなりました」

玄賓庵@山の辺の道-06
門をくぐってすぐには、枯山水のお庭がありました。奥には修行大師さんの像も立っています

玄賓庵@山の辺の道-08
玄賓庵の本堂。簡素な仏堂です。この中には、重要文化財に指定されている不動明王坐像が安置されているそうですが、またの機会にお会いしたいと思います

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本堂上にかけてある板書きによると、阿弥陀如来さまと大日如来さまもいらっしゃるようです

玄賓庵@山の辺の道-10
お庭には、正面の不動明王像の前で護摩行を行うスペースがありました

玄賓庵@山の辺の道-11
その隣には「三輪龍神」を祀る祠がありました。しかし、その前にある池の水が干上がっていたのがちょっと残念・・・


帰り際には「大美和の杜展望台」にも

この日の帰り際に、素晴らしい眺望が得られる「大美和の杜展望台」にも立ち寄ってみました。

風が冷たくてとても長居できるような状態ではありませんでしたが、大和三山と大鳥居に夕日が差し込んで、それは美しい光景でした。狭井神社からそれほど距離もありませんので、三輪山へお参りに来た際にはぜひ立ち寄ってみてください。


玄賓庵@山の辺の道-17

玄賓庵@山の辺の道-18

玄賓庵@山の辺の道-19



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■玄賓庵(げんぴあん)

HP: 参考サイト(るるぶ)
住所: 奈良県桜井市大字茅原373
電話: 0744-42-6447
宗派: 真言宗醍醐派
本尊: 不動明王坐像(重要文化財)
創建: 9世紀ごろ
開基: 玄賓僧都
拝観料: 200円
拝観時間: 10:00 - 15:00
駐車場: なし
アクセス: JR三輪駅から徒歩30分


■参考にさせていただきました

玄賓庵
謡蹟めぐり 三輪 みわ


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