2009-08-17

偉大な陶芸家の個人美術館『富本憲吉記念館』@安堵町

奈良県安堵町にある『富本憲吉記念館』へ行ってきました。

この「富本憲吉」という方は、安堵町出身の日本を代表する陶芸家で、1955年に第1回の「重要無形文化財技術指定保持者」(いわゆる人間国宝)に選ばれているほどの人物です。私たちは、それほど焼き物に詳しいワケではありませんが、十分に楽しませていただきました。


※追記

富本憲吉記念館』は、2012年5月31日に閉館になり、新たに『富本憲吉文化資料館』として運営が再開されました。しかし、2014年2月いっぱいで完全に閉館となりました。


安堵町生まれの人間国宝「富本憲吉」

富本憲吉という人物は、1886年の生まれで近代陶芸に偉大な足跡を残した人物です。出身は奈良県安堵町で、その生家跡に建てられたのが『富本憲吉記念館』となります。

富本憲吉については、以下のサイトを参照してください。


奈良の魅力映像BOX「近代陶芸の巨匠 富本憲吉」
富本憲吉 - Wikipedia
「富本憲吉 作品」- Google 画像検索


この『富本憲吉記念館』は、同氏と縁があった現在の館長さんが運営する「個人美術館」です!

この日いらっしゃった副館長さん(館長さんの義弟になるそうです)にお話を伺ったのですが、これまで市や県と運営に関しての話し合いなどを行ってきたそうですが、今なお、全ての作品は個人の所有物のままなのだとか。しかも、収蔵点数は「約500点」という規模なんですから、これはすごいことですね。


富本憲吉記念館@安堵町-01

奈良県安堵町にある『富本憲吉記念館』。安堵町生まれの人間国宝の陶芸家「富本憲吉」の生家を改築した個人美術館(!)です!車は、近くの「安堵町歴史民俗資料館」前に駐車します

富本憲吉記念館@安堵町-02
門をくぐったところ。富本憲吉の生家跡に1974年に新しく建物を建ててオープンしました。とても美術館の入口とは思えないほどの落ち着いた雰囲気ですね。お庭を見ているだけでも、十分に楽しめました

富本憲吉記念館@安堵町-03
大和民家様式を取り入れて造られた「本館」。この奥には、富本憲吉が愛した「離れ屋」と、大正時代の土蔵の内部を改装した「陳列室」などがあります

富本憲吉記念館@安堵町-04
門の部分の貼り紙など。入館には「維持管理御協力金700円」が必要です。ややお高いですが、ここは個人所有の美術館と考えれば、妥当なところでしょう。また、陶芸教室「安久波窯」も開催されていますので、興味のある方はどうぞ!


誰にでも分かりやすい展示でした

『富本憲吉記念館』は、富本憲吉の生家跡に1974年に作られました。以前からこの地にある蔵を改修した「展示室」と、大阪市内から移築された大正時代の土蔵を改修した「第二展示室」と、二ヶ所の展示スペースがあります。

私たちはそれほど陶芸の知識はありませんが、それぞれ時代別に「大和時代」「東京時代」「京都時代」と分類されて展示してあり、とても分かりやすかったですね。作風も年代別に変わっていき、見ていて飽きたりもしません。

白磁の清楚な壷があったかと思えば、教科書で見たような、豪勢な金銀彩の装飾が施された作品があったりします。

富本憲吉本人は、「模様から模様を作らない」というポリシーを持っていて、安堵の自然をモチーフとした、過去の伝統に縛られない図柄を編み出していったのだとか。代表的な「羊歯文様」「大和川急雨」、安堵の風景を描いた「村落遠望」といった図案や作品をじっくりと見ることができました。

なお、富本憲吉記念館では、「作品の写真撮影はOK。それをネットに掲載するのはNG」という方針なのだそうです。作品の画像は、自宅に帰ってから自分だけで楽しみましょう。


富本憲吉記念館@安堵町-05

本館と陳列室の間の一角。展示物だけではなく、細かなところまで見事にしつらえてあります

富本憲吉記念館@安堵町-06
土蔵を改装した陳列室の前。ここには「大和時代」と呼ばれている初期の作品が展示されています。約500点の収蔵品を、ローテーションしながら常時150点陳列しているそうです。この日は、富本憲吉が手がけた本の装丁の展示もありました

富本憲吉記念館@安堵町-07
富本憲吉が住んでいた頃からある蔵を改装したもの。中はとてもキレイで、静かに落ち着いて展示物を拝見できます

富本憲吉記念館@安堵町-08
2階部分の展示室。ちなみに、作品の写真撮影は可能ですが、画像をネット上に公開することはご遠慮いただいています・・・とのこと。美しい作品の画像は、自分だけで自宅で楽しみましょう

富本憲吉記念館@安堵町-09
1994年に作られた「第二展示室」。こちらでは、富本憲吉の中期~晩年期に当たる「東京時代」「京都時代」の作品が展示されています

富本憲吉記念館@安堵町-10
第二展示室の内部の様子。それぞれの画像がアップできないのは残念ですが、やはり素晴らしい作品ばかりです。それほど広くありませんので、ゆっくりと見て周ってください

富本憲吉記念館@安堵町-11
第二展示室の2階部分。陶芸作品だけではなく、大きな絵や小物の展示もありました


富本憲吉が愛した「離れ屋」も

『富本憲吉記念館』の本館は1974年に建てられたもので、大和民家様式を取り入れて建てられた、とても雰囲気のある建物でした。

その奥には、富本憲吉が愛した「離れ屋」があります。終戦後の2年間をここで過ごしたという建物で、今の館長さんとの交流もこの部屋から始まったのだそうです。とても趣のある小さなお部屋ですが、ぜひゆっくりと見てみてください。


富本憲吉記念館@安堵町-12

富本憲吉記念館に遺された「離れ屋」。終戦後、2年間安堵町に戻っていた間には、常にこの部屋に居たほど気に入っていたのだとか。簡素で落ち着いた和室でした

富本憲吉記念館@安堵町-13
離れ屋から庭を眺めたところ。しっかりと手入れの行き届いた、美しいお庭でした

富本憲吉記念館@安堵町-15
本館の一部。1974年に建てられたもので、とても風情があります。この日は、座敷部分で、奈良テレビの某番組でこの施設が紹介された際のビデオも見せていただけました

富本憲吉記念館@安堵町-14
本館の床の間。立派な壷が見えますが、まさかこれは富本憲吉の作品ではないと思いますが・・・

富本憲吉記念館@安堵町-16
本館の一角では、関連書籍の販売も行われていました。興味のある方はぜひ!

富本憲吉記念館@安堵町-18
奥手にある建物では、陶芸教室「安久波窯」が開催されています。手前にあるのは、見事なしだれ桜。春になるととても見事な姿を見せてくれるのだとか


お庭もちょっと変わった雰囲気でした

また富本憲吉記念館は、敷地内はキレイに整備されていて、見ているだけでも面白かったです。それほど広いワケではありませんが、しっかりと手入れが行き届いていて、いい雰囲気なんですよね。

他ではまず見られないような「羊」の石像などがありますので、こちらもお楽しみに!


富本憲吉記念館@安堵町-17

第二展示室から本館を見たところ。踏み石の連なる様子が美しいです。個人で運営している美術館で、ここまで手入れするのは、きっと大変でしょうね

富本憲吉記念館@安堵町-19
富本憲吉記念館のお庭の一角にある石像。道祖神というワケでもないと思いますが、面白いものですね

富本憲吉記念館@安堵町-20
向かい合った羊の石像。羊がモチーフになっているというのは、かなり珍しいですね

富本憲吉記念館@安堵町-21
本館前に遺された井戸。本館を建て替える前は、このすぐ脇まで土間が伸びて、お勝手になっていたそうです

富本憲吉記念館@安堵町-22
これもお庭の一角。石像の周りの竹を短く刈り込んであるんですが、これがなかなかカッコイイんです。お手入れは大変だと思いますが、いい雰囲気ですね

富本憲吉記念館@安堵町-23
すぐ近くには「安堵町歴史民俗資料館」があります。こちらの駐車場を使用するため、時間があったら立ち寄ってみるのもいいかもしれません



大きな地図で見る


■富本憲吉記念館

HP: http://www.tsujimoto-arts.jp/index.html
住所: 奈良県生駒郡安堵町東安堵1442
電話: 0743-57-3300
定休日: 火曜日、8月1日~10日、12月21日~1月4日
開館時間: 10:00-17:00
入館料: 大人700円、学生500円
駐車場: 無料(安堵町歴史民俗資料館前の駐車場を利用)
アクセス: JR「法隆寺駅」より、奈良交通バス「かしのき台」行きバスで8分、「東安堵」下車、徒歩3分






  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ