2012-05-20

石室に入れる古墳(石棺あり)『艸墓古墳』@桜井市

石室に入れる古墳(石棺あり)『艸墓古墳』@桜井市

桜井市の「安倍文殊院」近くにある古墳『艸墓(くさはか)古墳』へ行ってきました。こちらは、石室内に入ることができて、しかも石棺に触れることさえできるという、とても貴重な場所なのです。かなり分かりづらい場所にあるため、これまでなかなか行けませんでしたが、ようやく発見できました。


住宅街の中にある小さな方墳です

桜井市谷の住宅街の中にある『艸墓古墳』(別名:カラト古墳)は、7世紀頃に作られた方墳です。

副葬品も見つかっていませんし、それほど大きな古墳ではありませんが、ここは「石室のサイズに比べて、石棺が大きい」ことが特徴です。分かりやすく言うと、お墓の入り口に対して棺桶が大きすぎるんですね。このため、石棺を造ったあとで周りの丘を築いたのではないか…と考えられているそうです。



艸墓古墳(国指定史跡)

墳丘は、阿部丘陵の小突起部を利用した、北西面・東南面がやや長い、長辺が約27m、短辺が約21mの、戴頭長方錐形の方墳である。埋葬施設は、南東に開口する両袖の横穴式石室に、竜山石製のくりぬきの家形石棺を安置する。

石室の規模は、全長13.16m、玄室幅2.71m、同長さ4.44m、同高さ2.0m、羨道は長さ8.72m、玄門部での幅1.9m、高さ1.5mを測る。側壁・天井石の間隙は漆喰を充填する。石棺の規模と石室の規模から、石棺を安置したのち、石室を構築し墳丘を築いたかと考えられる。

説明看板より


艸墓古墳@桜井市-01

桜井市谷にある国指定史跡『艸墓古墳(くさはかこふん)』。住宅地の真ん中にあり、丸く見えますが、長方形の方墳です(戴頭長方錐形)。副葬品などは見つかっていないため正確な年代は不明ですが、比較的遅い時代の7世紀に築かれたものと考えられています

艸墓古墳@桜井市-02
桜井市による説明。「石棺の規模と石室の規模から、石棺を安置したのち、石室を構築し墳丘を築いたかと考えられる。」これが間近で確認できます!


石室に入れます!石棺に触れます!

また、艸墓古墳が面白いのは、古墳の石室内に自由に入れるだけではなく、中に石棺が残されていて、直接触れることさえできるという点でしょう。さすがにこんな古墳はなかなかありませんので、思わずテンションが上がりますね。ただし、あくまでも人のお墓ですから、騒いだりしないようにご注意ください。


艸墓古墳@桜井市-03

石室は横穴式。羨道の入り口部分は低くなっていますが、中に自由に入れます

艸墓古墳@桜井市-04
玄室部分には、竜山石製の刳抜式の家型石棺が安置されています。玄室部分は幅2.71m、高さ2.0mのサイズですが、羨道は幅1.9m、高さ1.5mほど。石棺の蓋は全長2.4m、幅1.5mですから、羨道の入り口よりも大きな石棺が収められています

艸墓古墳@桜井市-06
石棺の蓋部分には、6個の縄掛け突起があります(ここに縄をかけて運ぶための突起)。また、玄室内が巨大で少ない石で作ってあるのも特徴なのだとか。奥が1つ、左右が2つ、天井が2つの巨石を使用しています

艸墓古墳@桜井市-05
カメラのフラッシュがなければ、この薄暗さです。気味悪く感じられるかもしれませんが、こんな完全に近い状態で古墳の内部が見られる場所は、他にはなかなかありません。とても貴重な場所なのです。なお、人のお墓ですし、周りは住宅街ですから、決して騒いだりしないようにしてくださいね


安倍文殊院のお参りと合わせてどうぞ

なお、艸墓古墳はかなり分かりづらい位置にあるため、ちょっと分かりやすいように道案内をしてみます。この道順で行けば、安倍文殊院の駐車場(有料です)から徒歩5分ほどで到着します。安倍文殊院を参拝してから足を伸ばすのがいいでしょう。

古墳に興味をお持ちの方は、安倍文殊院の境内にある「文殊院西古墳」も合わせてご覧ください。古代に作られたとは思えないほど、緻密にカットされた石が積んであって、とても美しいですよ!


艸墓古墳@桜井市-07

艸墓古墳への道順はやや分かりづらくなっています。安倍文殊院の駐車場入り口を起点に考えると、この写真を向かって左手(東側)へ進みます。徒歩5分くらいでしょうか

艸墓古墳@桜井市-08
道すがらにはこんな看板が。ちなみに「土舞台」とは、日本書紀にも登場する「日本芸能の発祥の地」と呼ばれる場所です。612年、百済人の味摩之が、聖徳太子に伎楽の舞を披露し、この地で少年たちに習わしめたのだとか。児童公園内の中に石碑がたっています

艸墓古墳@桜井市-09
道路沿いを歩いていると、民家の間にこんもりとした丘が見えます。これが艸墓古墳です。しかし、どこから近づいていいものやら分かりづらくなっていて…

艸墓古墳@桜井市-10
奈良情報商高の前の信号手前、西側を振り返るとこんな分岐があります。ここを右手に、住宅街の中に突っ込んでいくような向かいます。行き止まりになりますから、もちろん車では行けません

艸墓古墳@桜井市-11
数十メートルで民家に突き当たります。ひっそりと「史蹟 艸墓古墳」という表示が見えますが、どこへ進めばいいのやら…。実は、このブロック塀に沿って奥へ続く、まるでキャットウォークのような細い道を進みます!

艸墓古墳@桜井市-12
この先にお目当ての艸墓古墳はありますので、めげずに進みましょう!ちょっとした探検気分ですね(笑)



より大きな地図で 艸墓古墳(くさはかこふん) を表示


■艸墓古墳(くさはかこふん)

所在地: 奈良県桜井市谷
年代: 7世紀ごろ
形状: 方墳
規模: 墳丘長 約27m×22m

※実際に行ったのは「2012年4月29日」でした。


■参考にさせていただきました!

艸墓古墳 (くさはか) 国史跡 大和の古墳探索/ウェブリブログ
艸墓古墳 - 古墳マップ






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