2010-06-06

年一度の秘仏「大元帥明王」御開帳『秋篠寺』@奈良市

年一度の秘仏「大元帥明王」御開帳『秋篠寺』@奈良市

伎芸天立像で有名な『秋篠寺』へ行ってきました。この日は年に一度の秘仏・大元帥明王像の一般公開の日だったため参拝客も多めでした。迫力のある方、優美な方など、たくさんの貴重な仏さまにじっくりと向きあうことができました。


「秋篠寺」の由緒とは

奈良市郊外に建つ『秋篠寺』は、780年頃、光仁天皇の勅願により、法相宗の僧・善珠僧正が創建したとされる、奈良時代最後の官寺です。元は地元の豪族「秋篠氏」の氏寺だったと言われていますが、詳細は不明。

桓武天皇の時代まで造営が続けられ、平安遷都の頃には、金堂・講堂・東西両塔を配した大伽藍を構えるようになりました。834年には、常暁律師が唐から大元帥明王を本尊とする秘法「大元帥御修法」を伝えたことから、真言密教の霊場として栄えた時期もあったそうです。

1135年に兵火にあい、伽藍のほとんどを焼失。焼け残った講堂を、鎌倉時代に大改修を行ったものが、現在の「本堂(国宝)」にあたります。


「苔のお寺」らしく、美しい緑の絨毯が

奈良市郊外の秋篠町にある『秋篠寺』。静かで落ち着いた雰囲気の、奈良でも有数の人気のお寺でしょう。

秋篠寺の近くには専用の無料駐車場がありますが、ただでさえ道幅が狭いところに、この日は年に一度の「大元帥明王像(重文)」の一般公開日のため、とんでもない大渋滞になっていました。様子を見るつもりで駐車場へ行ってみると、意外と回転が早く、係の方の指示に従って待っていたら待ち時間5分ほどで駐車できました(できれば公共交通機関を利用した方が安心だと思います)。

境内に入ると、まずは「苔のお寺」として有名な秋篠寺らしく、フカフカした美しい苔におおわれたお庭が見られます。晴天続きで空気は乾燥していましたが、それでもやはり美しいですね。雨の降る日にお参りしたら、さらに見事な色合いになってくれると思います。


秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-01

奈良市郊外の秋篠町にある『秋篠寺』。平城宮跡の北西に位置し、閑静な住宅街の中にひっそりと建つ古刹です。無料駐車場がありますが、道幅が極端に狭いのでご注意ください。また、奈良競輪場も近く、レース開催日は周辺道路が混雑するそうです。写真は「東門」。「南門」前の方が風情がありますので、そちらもお忘れ無く

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-02
秋篠寺の境内。「苔の寺」としても有名で、落ち着いた雰囲気のお庭が広がっています

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-03

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-04

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-05


秘仏「大元帥明王」は大迫力です!

この日(6月6日)は、年に一度の秘仏「大元帥明王(重文)」ですので、普段の静かな秋篠寺のイメージとはかけ離れた、相当な数の参拝客の姿が見られました。大元堂の前には行列ができていましたが、待ち時間は30分くらいでしょうか。思ったよりも早めにお堂に入ることができました。

大元帥明王像にお会いするのは初めてのこと。行列に並んで、お厨子のすぐ目の前に立って拝見しましたが、さすがに迫力のあるお姿でした!

鎌倉時代(13世紀)の木造仏で、像高は229.5cm。鎮護国家の秘法を伝える「大元帥御修法」の御本尊だけに、とにかく力強く、厳しい憤怒の表情をしています。六臂(手が6本)で、首や足には蛇が巻き付いていて、親指を突き上げたように見える左手の印は「忿怒印」というそうです。しかし、足が短めのためか、どこかユーモラスな優しさも感じられるのが面白いところです。

大元帥明王像は、この世に一体しかいらっしゃらないとのことですので、本当に貴重な仏さまにお会いできて感激しました。

なお、2010年は平城遷都1300年祭の一環として、11月8日~11月21日の特別公開も決定していますので、ぜひ秋にお会いしてみてください。


秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-06

秋篠寺の伽藍はそれほど大きなものではありません。通常拝観できるのは、右手に見える「本堂(国宝)」のみ。有名な「伎芸天立像(重文)」をはじめ、25体の仏像が安置されています。左手に見えるのは、秘仏・大元帥明王(重文)を祀った「大元堂」。中央の小さなお堂が「開山堂」です

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-07
6月6日は、年に一度の大元堂「大元帥明王像(重文)」の御開帳日です。普段は静かな秋篠寺も、この日ばかりはこんな行列になっていました。行列の進みは早めで、待ち時間30分ほどでお会いすることができました

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-08
重厚な「大元堂」。御開扉は年に2回ですが、一般公開されるのは6月6日のみ。しかし、平城遷都1300年祭の一環として、2010年は「11月8日~11月21日」の期間も特別公開されることが決定しています

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-09
大元堂前に吊るされていた、「大元帥明王尊」と描かれた提灯

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-10
大元堂の前には、大元帥明王像のパネルも展示されていました。六臂で、首や足に蛇が巻き付いた迫力のあるお姿です。力強い憤怒の表情なのに、どことなくユーモラス。日本にこの一体しかいらっしゃらない貴重な仏さまなのだとか

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-22
販売されていたカラー写真を購入してきました(確か400円ほど)。家宝にします!


優美でたおやかな「伎芸天立像」も

そして、秋篠寺の「本堂(国宝)」では、素晴らしい仏さまの数々にお会いしてきました!

最も有名なのは、もちろん「伎芸天立像(重文)」でしょう。古仏の中で唯一の伎芸天の作例とのことで、本当に希少な、そして誰もを惹きつける魅力を持った仏さまです。

像高は205cm、首と体を少しだけひねったたおやかな佇まいで、体のラインから指先まで、どこにも力が入っていないようなゆったりとした風情です。本当に落ち着いた美しい仏さまですね。堀辰雄氏が「東洋のミューズ」と称しただけのことはあります。

ただし、この伎芸天立像は、頭部は奈良時代(8世紀)の「脱活乾漆造」という技法で造られていますが、後に体部が破損し、首から下は鎌倉時代に後補された木造です。しかし、そのつなぎ目などは全く違和感を感じさせません。全て奈良時代のものが残っていたら・・・と考えてしまいますが、その美しさは損なわれていないように思えます。

2メートルを超える大きな像で、しかもわずか数十センチの距離から見られるのですから、どこかに威圧感が感じられても良さそうなものなのですが、ただただ静かに見下ろされていて、心地よさすら感じられました。

秋篠寺の本堂には、伎芸天立像以外にも、薬師三尊像や、伎芸天と対をなす帝釈天立像、地蔵菩薩立像、十一面観音菩薩立像など、重要文化財に指定されている仏さまがズラリと並んでいます。いずれも間近で拝見できますし、お堂内には正面に椅子も置いてありますので、じっくりと時間をかけてお会いしてみてください。


秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-12

秋篠寺の「本堂(国宝)」。創建当時の講堂を、鎌倉時代に改修して本堂としたものです。基壇上に立ち、装飾物の少ないシンプルな作りは「和洋仏堂」と呼ばれる様式なのだとか。お堂内部は床板が貼っていない土間になっていて、やや歩きづらいのでご注意ください

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-13
秋篠寺・大元堂からの本堂の眺め。普段は見られないアングルです。外観は簡素ですが、「伎芸天立像(重文)」など、美しい25体もの仏さまがいらっしゃいます!

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-23
講談社『週刊 日本の仏像』第11号「秋篠寺 芸術の仏、伎芸天と西大寺」より。伎芸天さんを手前にして、諸仏がズラリ!至近距離から拝見できますので、迫力あります!

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-11
大元堂の隣にひっそりと立つ「開山堂」。拝観不可です。調べたところでは、秋篠寺の開基とされる善珠僧正の図像が祀られているのだそうです

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-14
秋篠寺の境内にいらっしゃった、役行者と思われる石仏。向かって右手のものには前鬼・後鬼も描かれています

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-15
携帯にあった歌碑。「諸々のみ佛の中の伎芸天 何のえにしぞわれを見たまふ」。歌集『伎芸天』の作者「川田順」さんの歌とのこと


霊泉「香水閣」も振舞われていました

大元帥明王像の御開帳に合わせて、東門近くの「香水閣」の霊泉が振舞われていました。

この泉は、秋篠寺に大元帥御修法を伝えた「常暁律師」が、この井戸に尊像の姿を見て、唐へ渡った後にそれが大元帥明王だったことに気づいたという言い伝えが残されています。私たちもいただいたみましたが、とてもまろやかなお味でした。

また、秋篠寺の境内には、東塔跡・西塔跡・金堂跡の礎石も残されていますので、ぜひ探してみてください。


秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-17

秋篠寺・東門近くにある「香水閣」。近くの石碑には「大元帥尊像 御出影霊泉」とあります。普段は閉まっているようですが、6月6日の大元帥明王像の御開帳に合わせて、霊水が振舞われていました

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-18
ブルーシートで雰囲気が台無しですが、香水閣の前では、泉から柄杓で水をすくっていただけます。天皇が東京へ移るまで、毎年のお正月に御所へ奉納されていたという霊泉なのです。すっきりとしたまろやかなお味でした

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-19
香水閣をのぞき込んだところ。青く見えるのはブルーシートのためです。水深は意外と浅めで、常にこんこんと水が湧き出しているのだそうです

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-16
参道脇にあった「東塔跡」の礎石。とても不規則な並び方をしています。境内には、西塔跡・金堂跡の礎石も残されているそうで、秋篠寺が大寺であったことが偲ばれます

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-20
秋篠寺の参道に並ぶ「十三社」

秋篠寺(大元帥明王)@奈良市-21
秋篠寺の南門前に建つ「八所御霊神社」。元は秋篠寺の鎮守社でした。簡素ながらも美しいお社ですので、ぜひ合わせてお参りしておきましょう


秋篠寺の御朱印はこの日のみです

秋篠寺では、普段は御朱印は書いていないそうですが、大元帥明王の御開帳日だけ「大元帥明王尊」という御朱印をいただけます。

御朱印の受付は、拝観料を支払う窓口で受け付けていました。この日は大混雑になるため、御朱印をいただくのにも20分ほど時間がかかるとのことでしたので、拝観料を支払うときに、同時に御朱印もお願いしておくといいでしょう。番号の入った引換券が渡されます。


秋篠寺-ご朱印

秋篠寺でいただいた「大元帥明王尊」の御朱印です。秋篠寺では普段は御朱印はなく、大元帥明王の御開扉の日にだけいただけるのだそうです。とても貴重なものですね



大きな地図で見る


■秋篠寺

HP: http://narashikanko.jp/kan_spot/kan_spot_data/w_si52.html
住所: 奈良県奈良市秋篠町757
電話: 0742-45-4600
宗派: 単立
本尊: 薬師如来
創建: 780年ごろ
開基: 善珠(伝)、光仁天皇勅願
拝観料: 500円
拝観時間: 9:30 - 16:30
駐車場: 12台分(無料)
アクセス: 近鉄「大和西大寺駅」より、奈良交通バス押熊行6分、「秋篠寺」下車すぐ

※2010年11月8日~11月21日には、平城遷都1300年祭の一環として、大元帥明王像の特別公開が行われます






 【年一度の秘仏「大元帥明王」御開帳『秋篠寺』@奈良市】へのコメント
ねおねお  10-06-14 16:38

以前うかがったとき、「御朱印はないんですよ~。」と言われたのを憶えています。秋の公開のときにもいただけるんでしょうか?是非秋の公開に行きたいと思います。夏に行ったんですが、蚊取り線香が本堂に焚かれていましたが蚊にいっぱい刺されたのを憶えています。

naka  10-06-15 22:23

>ねおねおさん

「大元帥明王」の御朱印ですから、多分、秋の特別公開の時にもいただけると思います。なかなか迫力のあるお姿の方ですので、普段よりはやや騒々しいですけど、ぜひ行ってみてください!

これからのシーズンは、どこへ行っても蚊との戦いですよね。私も人一倍刺されやすいので、今から憂鬱で・・・。今までに一番ひどい目にあったのは、大和郡山の慈光院さんでした。お寺に行って、とんでもない数の蚊を殺生してしまいましたから(笑)





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