2012-05-20

快慶作の阿弥陀如来像のおわす『安養寺』@田原本町

快慶作の阿弥陀如来像のおわす『安養寺』@田原本町

田原本町にある『安養寺』へお参りしてきました。観光寺院ではありませんので、一般的な知名度では劣るかもしれませんが、鎌倉時代の名仏師・快慶作の「阿弥陀如来立像(重文)」がいらっしゃいます。また、ここでお勤めなさっている松島靖朗さん(またの名を「ベニー経」さん)も注目の方なのです!


インターネット寺院やツイッターでも活躍中

安養寺にいらっしゃるお坊さん「松島靖朗」さんは、超宗派仏教徒が集まったインターネット寺院「虚空山 彼岸寺」の中心的メンバーとしても活躍中。ツイッターに登録している方であれば、ユニークなつぶやきを聞かせてくれる、変わった奈良の坊さん「ベニー経 (@benniekei) 」さんとしてご存知かもしれません。

私自身、松島さんとは個人的にも親しくさせていただいていたため(一緒に三佛寺投入堂@鳥取県に行ったりしました)、色んなお話を伺いましたが、本当にユニークな方なんですよね。

田原本町の安養寺に生まれ育ちながらも、「お寺で生まれたこと」をコンプレックスとして育ち、お寺から逃げるように東京へ出て、一流企業でビジネスインキュベーション業務に携わり、後に某新興企業のWEBプロデュースを手がけ。ビジネスの第一線で活躍していながら、2008年に実家のお寺を継ぐために奈良へ戻り、厳しい修行を行い…。そんな不思議な方です。

そんな松島さんが在籍する安養寺は、奈良県田原本町の八尾にある浄土宗寺院で、客仏として鎌倉時代の名仏師・快慶( Wikipedia)作の阿弥陀如来立像もいらっしゃるという、由緒正しい古刹です。



安養寺の沿革

当寺は寛永10年(1633年)に源蓮社宝蓉上人の開祖で、山門を入って正面に本堂(宝永3年・1706)、右手に地蔵堂(享保17年・1733)、左手前に鐘楼、左奥に庫裏があり、寺地北が墓地となっている。
安養寺本尊は阿弥陀如来坐像(安土桃山時代)で、本尊とは別に鎌倉時代・前期、国重文 阿弥陀如来立像客佛が秘仏本尊として祀られて来て、当寺と寺川を挟んだ東側に在った、廃浄国寺の仏像と伝えられる。

説明看板より


安養寺@田原本町-01

田原本町の八尾集落にある『安養寺』。門前の通りは「中街道」(古代の「下ツ道」)で、古くから栄えていました。八尾の集落は、江戸時代初期の1633年開基の浄土宗寺院です

安養寺@田原本町-04
お寺前の説明文。美しい快慶仏の写真とともに、安養寺の歴史などが説明されています。「田原本御佛三十三ヶ所巡礼」というものがあって、その六番札所にもなっているそうです


静と動の美が感じられる阿弥陀三尊像

安養寺のご本尊は、阿弥陀如来坐像(安土桃山時代)。脇侍として観音菩薩・勢至菩薩の両菩薩像がいらっしゃいます。奈良は古い仏さまの宝庫ですから、安土桃山時代と聞いてもそれほど驚きませんが、とんでもない。この時代の仏さまらしく、静けさと躍動感とが共存した、美しい三尊像でした。

写真撮影を許可していただけましたので、ご紹介しておきます。


安養寺@田原本町-02

山門から境内を見たところ。正面に「本堂」(1706年)、向かって右手の近代的な建物に、快慶作の「阿弥陀如来立像(重文)」が安置されています。この他、地蔵堂・鐘楼・庫裏などが配されています

安養寺@田原本町-05
安養寺のご本尊は、阿弥陀如来坐像(安土桃山時代)。脇侍として観音菩薩・勢至菩薩の両菩薩像がいらっしゃいます。穏やかな佇まいの仏さまで、きらびやかな仏具も含めて、とても雰囲気がありました

安養寺@田原本町-06

安養寺@田原本町-07
凛とした表情、堂々とした体躯。金箔も美しく残っていて、大事に祀られてきたことが伝わってくるようです

安養寺@田原本町-08

安養寺@田原本町-09
真横から見てみると、両脇侍は強めに前かがみになっていて、今にも立ち上がらんとする片膝立ち。「すぐに救いに行きます」というありがたさを、誰にでも分かりやすく具体化したポーズとされています

安養寺@田原本町-10

安養寺@田原本町-11

安養寺@田原本町-12

安養寺@田原本町-14
本堂内には、西国三十三所のご本尊を現した仏さまもいらっしゃいました


凛とした快慶作・阿弥陀如来立像(国重文)

通常は秘仏となっている快慶作の「阿弥陀如来立像(重文)」ですが、この日は朝のお勤めに同席させていただく形で参拝させていただきました。



阿弥陀如来立像

安養寺の客仏として安置されている阿弥陀如来立像は、鎌倉時代の高名な仏師・快慶の作で、秘仏とされている。昭和60年に重要文化財に指定された。材質はヒノキで、像高は81.4cm。快慶の壮年期の作品で、全体に成熟した感じがあふれ、頬のふくらみは表情にふくよかさを漂わせている。衣文線(えもんせん)の特徴や粉溜(ふんだみ)技法など、随所に快慶の特徴がみられる。足ほぞには墨書銘があり、「巧匠安阿弥陀佛」と記されている。この「安阿弥陀佛」は快慶の別称である。安養寺は寛永10年に創建された浄土宗の寺院で、源蓮社宝蓉上人の開山である。本尊の阿弥陀如来像は桃山時代の作である。

説明看板より


なお、お寺でいただいたパンフレットから、快慶仏についての記述を引用します。

●以前からこの阿弥陀像が快慶作であることは知られていた。足ほぞの墨書「巧匠安阿弥陀佛」(安阿弥陀佛は快慶の別称)に多少の疑問点があったが、昭和58年から始まったX線を使用した仏像調査の結果、「快慶の真作」と確認された。

●快慶の特徴が出ている点
[1]眼奥に玉顔嵌入の際に用いる蛇腹文様がみられる [2]前後2材の木寄造り [3]前面が厚く、後面が薄い [4]像表面は、金色を艶消しする粉溜(ふんだみ)技法を用いる [5]衣の縁に二重の切金線をほどこす [6]流麗な衣文線(東大寺俊乗堂の像に一致) [7]像高が三尺三寸~二尺六寸(安養寺像は二尺七寸)

●安養寺像の制作年代は、1201~1204年ごろ。快慶の壮年期で、もっとも脂が乗り切った時期の作品とされている。快慶の同時期の作品として知られるのは、東大寺俊乗堂・阿弥陀如来像、東大寺南大門・仁王像、新大仏寺(三重県)・盧舎那仏、三宝院(京都府)・不動明王像などがある

(安養寺ホームページ「快 慶仏」ページより)


快慶が手がけた仏像は、いずれも凛とした涼やかな表情が特徴的で、運慶の作品と比べてとても自然体に見えます。この像もまさにその特徴が感じられ、像高は81.4cmとそれほど大きな像ではありませんが、どこを見ても自然でいながら、存在感が存分に伝わってきます。

私個人の感想ですが、運慶の作品が「実物よりも大きく見える」とすると、快慶のものは「より端正に、より小さくまとまろうとしている」かのように思える時があります。仏さまが迫ってくるように感じるか、吸い込まれそうに感じるかの違いですね。安養寺像でも、まさに内部の世界に吸い込まれそうな感がありました。

また、同じ日に「安倍文殊院」にもお参りして、同じ快慶作の巨像・騎獅文殊菩薩像も拝見しましたので、ちょっとした快慶仏ツアーになりました。奈良県内には、東大寺に何体かの快慶作の仏さまがおわします。ほとんどが特定のご縁日に御開扉されていますので、それに合わせて拝観予定を立ててみるのもいいですね。


安養寺@田原本町-15

安養寺に客佛として伝わった「阿弥陀如来立像」を祀る、近代的なお堂「阿弥陀堂」。ここに、国の重要文化財に指定されている、名仏師・快慶作の仏さまがいらっしゃいます。本来は秘仏となっていますが、この日は朝のお勤めに同席させていただく形で参拝させていただきました

安養寺@田原本町-16
阿弥陀堂の前にあった説明。写真には光背は写っていませんが、東大寺俊乗堂の像のような線光背ではなく、火焔光背となっていました。不動明王像のものほど荒々しいものではなく、上品な印象の火焔です。安養寺にお越しになる前には、密教系寺院で祀られていた可能性もあるのかも…とのことでした



大きな地図で見る


■法性山 専求院 安養寺

HP: http://anyouji.jp/
住所: 奈良県磯城郡田原本町大字八尾40
電話: 0744-33-0753
宗派: 浄土宗
本尊: 阿弥陀如来像
創建: 1633年
開基: 源蓮社宝蓉上人
拝観料: 志納
駐車場: 数台分あり
アクセス: 近鉄橿原線「田原本駅」、近鉄田原本線「西田原本駅」より徒歩20分ほど

※実際にお参りさせていただいたのは、「2012年4月29日」でした。


■参拝について

お参りの際には、事前予約が必要です(0744-33-0753 まで)。いつでも拝観できる観光寺院ではありませんので、お寺の方のスケジュールに合わせるようにしましょう。


■拝観料について

拝観料金は決められておらず、「志納」となっています。迷うところですが、一人500円程度を目安とするといいでしょう。なお、お釣りの用意などは無いことが多いので、事前に小銭を用意しておくようにしましょう。


■参考にさせていただきました!

安養寺の快慶仏:田原本町
せきどよしおホームページ>仏像探訪記>安養寺
安養寺の部屋








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