2016-07-10

奈良時代の日本初の公開図書館『芸亭』伝承地 @奈良市

奈良時代の日本初の公開図書館『芸亭』伝承地 @奈良市

奈良時代の知識人「石上宅嗣」が開設した『芸亭(うんてい)』は、日本最初の公開図書館とされるものです。その位置は、奈良市立一条高等学校の敷地脇、国道24号線沿い。現在では顕彰柱と説明書があるだけですが、「平城京にはこんなものもあったのか」と、想像が膨らませてみてください!


日本初の一般公開した図書館です

歴史ある奈良には、さまざまなものの「発祥の地」でもあります。その中の一つが、「日本最初の公開図書館」があったとされる『芸亭(うんてい)伝承地』(Wikipedia)です。

芸亭を開設したのは、古代の有力豪族・物部氏の末裔となる「石上宅嗣(いそのかみやかつぐ)」(Wikipedia。729年~781年)です。書や漢詩に秀でた当代きっての知識人として知られた人物で、晩年には平城京にあった自邸を「阿閦寺」に改築し、その一角に収集した儒書や仏教の外典(経典以外のもの)などを置き、広く一般に公開しました。

奈良時代には書物自体がとても貴重なものでしたから、それを広く公開するというのは、当時としては画期的でした。平城京に暮らす人々は役人が多く、識字率の高かったといいます。たくさんの者がここに集って書を読みふけっていたのかもしれません。

日本初の公開図書館『芸亭』伝承地 @奈良市-05
芸亭(うんてい)

芸亭は今から千二百余年前、奈良朝のころ大納言石上宅嗣卿が邸宅を提供して阿閦寺とし、その一隅に設けたわが国最初の公開図書館である。そこには数多くの儒書等を備え、好学の人々に自由に閲覧させたと続日本記に書かれている。
芸亭の位置については、古来多くの学者によって研究されてきたが、現在では一条高校付近だといわれている。
奈良県図書館協会では宅嗣卿の業績を賛えるとともに、芸亭の存在をひろく世に認識され、その趣旨が今に生かされるよう、ここの顕彰柱を建ててながくこれを記念するものである。

昭和四十六年十月二十八日
奈良県図書館協会


顕彰柱が一条高校脇にひっそりと

日本初の公開図書館『芸亭』伝承地 @奈良市-01
「芸亭」が置かれた阿閦寺は、法華寺の東南あたり、左京二条三坊九・十・十五・十六坪の小字「堂の前」のあたりとされています。現在は奈良市立一条高等学校の敷地脇、国道24号線沿いになります。歩道橋からでも記念の碑が建っているのが見えます

日本初の公開図書館『芸亭』伝承地 @奈良市-02
一条高校の敷地内とはいっても、幹線道路に面した場所なので、それほど風情はありません。阿閦寺は828年ごろには廃絶していたと考えられるそうですから、その期間は短いものでした。長い時間を経て、その跡地が学校になっているというのはいいですよね

日本初の公開図書館『芸亭』伝承地 @奈良市-03
一条高校の校舎とはこんな位置関係です。829年、弘法大師空海が、一般に広く門戸を開いた教育機関「綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)」を設立しました。その際に書いた文章の中で、こうした学校の先駆として吉備真備の「二教院」、石上宅嗣の「芸亭院」の名前を挙げています。日本初の公開図書館は、さまざまな人に大きな影響を与えていたようです。顕彰柱と説明文しかありませんが、興味のあるかたはぜひ!


※マップは「ジャンボたこ焼き奈良店」さん。このすぐ北側になります


■芸亭伝承地

住所: 奈良県奈良市法蓮町
駐車場: なし
アクセス: 近鉄「新大宮駅」から徒歩10分ほど

※実際に現地に行ったのは「2016年6月21日」でした


■参考にさせていただきました

芸亭 - Wikipedia
石上宅嗣 - Wikipedia
石上宅嗣 -顕彰碑と芸亭跡-|天璽瑞宝






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