2009-10-13

安産祈願「子安地蔵尊」のお寺『帯解寺』@奈良市

『帯解寺』@奈良市

奈良市南部にある、皇室縁の安産祈願のお寺『帯解寺(おびとけでら)』さんへ行ってきました。

「戌の日」になると安産祈願の妊婦さんで賑わうそうですが、この日は静かなもの。ご本尊の巨大な半跏のお地蔵さん「帯解子安地蔵菩薩(重文)」をじっくりと拝見することができました。


霊験あらたかな「安産祈願のお寺」

奈良市今市町にある『帯解寺(おびとけでら)』さんは、山号を「子安山」といい、その名前のとおり「安産祈願のお寺」として知られています。

寺伝によると、創建当初の名前は「霊松庵」でした。世継ぎを授からずに悩んでいた文徳天皇の皇后・藤原明子が、春日明神のお告げによって帯解子安地蔵菩薩に懐妊祈願をしたところ、惟仁親王(後の清和天皇)を安産しました。それを喜んだ文徳天皇の勅願により、858年に伽藍が建立され、「帯解寺」と勅命されたのだそうです。

平安時代以降は、1181年の平重衡による「南都焼き討ち」、1567年には松永久秀によって炎上させられるなど、災禍が続きましたが、安産祈願の寺としての信仰は続き、徳川家光の側室・御楽の方が祈願し、後の4代将軍・徳川家綱を授かるなど、徳川幕府の庇護も受けてきました。

1595年の美智子皇后の御懐妊の際には、安産岩田帯と御守りを献納したところ、御所から「この度のおめでたに際して御所としては、全国200ヶ所の神社仏閣(安産霊場)の中から御霊験のあらたかな、皇室と関係の深い帯解寺と香椎宮とを選びました」との言葉があったのだとか。さらに、秋篠宮妃紀子殿下、皇太子妃雅子殿下の御懐妊の際にも、岩田帯と御守りを献納しています。

私たちは、この日、初めてお邪魔したのですが、思った以上に道が細くて驚きました。運転にはくれぐれもご注意ください。


帯解寺@奈良市-01

奈良市今市町にある『帯解寺』さん。帯解寺駅から徒歩3分ほどと、駅からのアクセスは便利です。ただし、お寺の前の通りは車のすれ違いが厳しいくらいの細い道ですので、運転にはご注意ください。無料駐車場が数ヶ所あります

帯解寺@奈良市-02
江戸初期に建てられたという帯解寺の「表門」。入ってすぐに本堂があります。「帯解子安地蔵尊」の提灯や、「美智子皇后安産帯献納所」の看板が見えるなど、安産祈願・求子祈願のお寺であることがよく分かりますね


帯解寺の安産祈願のご祈祷手順は

日本古来のしきたりとしては、安産祈願のため、妊娠5ヶ月目の最初の「戌の日」に寺社へお参りする習慣があるのだそうです。この頃から、大きくなったお腹を固定して楽になること、お腹の赤ちゃんへの衝撃をやわらげること、おなかを冷やさないことなどを目的として、「腹帯(岩田帯)」を巻き始めるのだとか。

なお、安産祈願のご祈祷については、以下のようになっているそうです。


安産祈祷

出産月までご祈祷いたします。
ご参詣当日はご本人様に直接ご祈祷いたします(代理の方でも結構です)。
ご祈祷料はお守り、お札をあわせて一万円です。
帯は別料金となっており、当山でさらしとコルセットタイプのものを取り揃えております。また持参されても結構です。

尚、ご祈祷の際には出産予定日、ご夫婦のお名前、ご住所、生年月日が必要となります。
帯解寺ホームページより

その他、混み具合などに関しては、「帯解寺について教えてください - 教えて!goo」のページが参考になるでしょう。戌の日になると、やはり1時間ほどの待ち時間は避けられないようですから、なるべく妊婦さんの体の負担が少なくなるような配慮が必要かもしれません。

なお、安産祈願のご祈祷は、代理の方でも行えますし、遠方の方は郵送での受付も可能です。帯解寺さんへ出かけるのが難しいという方は、こちらを利用されるのもいいでしょう。

また、帯解寺さんには安産祈願の守護神として「お守りワンちゃん」が販売されています。お産が軽い犬は安産の象徴であり、悪鬼から赤ちゃんを守る守り神でもあるのだそうです。妊娠された方への贈り物に最適だと思いますので、ぜひどうぞ!


帯解寺@奈良市-07

帯解寺さんの拝観窓口には、もちろん霊験あらたかな腹帯(岩田帯)を販売しています。昔ながらのさらしタイプはもちろん、今風のコルセットタイプなども揃っているのだとか。帯は、安産祈祷をされた方のみに販売しており、帯のみの販売はしていないのだそうです

帯解寺@奈良市-05
本堂脇の待合所の一角。ロイヤルファミリーのお写真などが飾ってありました。不安で精神状態が落ち着かない妊婦さんでも、こんな写真を見ると心強く感じるのかもしれませんね

帯解寺@奈良市-06
一緒に飾られていた、帯解寺名物の「お守りワンちゃん」(小-2,000円、大-2,500円)。多産でありながらお産が軽いため、犬は古くから安産の守護神だったのだとか。「なら・かんまき手織工房」さんの制作で、「さをり織り」という技法で織られているそうです


像高182.6cmの半跏地蔵尊「腹帯地蔵」

帯解寺さんの「本堂」は、1858年に再建された簡素なものです。拝観窓口で受付を済ませ、本堂脇にある和室で少し待っていると、帯解寺のお坊さんがいらしゃって、仏様などのご説明をしていただけます。

お堂の内部は薄暗く、ここでたくさんの方が安産を祈願してきたかと思うと、ちょっと迫力を感じました。奥にいらっしゃるのは、ご本尊の「木造地蔵菩薩半跏像(重文)」(帯解子安地蔵菩薩)です。

鎌倉時代の作の、像高182.6cm、右足を乗せた巨大な半跏像のお地蔵様でした。手を伸ばせば触れられるほどの至近距離から拝見できるのですが、話に聞いていたとおり、お腹の部分には布の上端や結び紐などが見えて、確かに「腹帯地蔵」の名前どおりですね。作成当初から腹帯として作られたのかは分かりませんが、安産祈願のお寺のご本尊らしい造形でした。

また、お堂の左右には、長谷寺式の「十一面観音像」や、江戸時代の「十一面千手観音像」が。さらに、スリランカからいらっしゃったという、獅子に乗った小さな美仏「文殊菩薩像」や、振り上げた小槌の上にもう一人の大黒さんが乗っている「大黒天像」などもいらっしゃいますので、仏像好きな方はじっくりご覧ください。お坊さんの説明付きで拝観できます。


帯解寺@奈良市-04

帯解寺さんの「本堂」松永久秀の兵火で焼失、安政の大地震で倒壊するなど、何度も建て直されています。現在の本堂は、1858年に再建されたもの。この日は拝観できませんでしたが、裏手には新しい「収蔵庫」も作られています

帯解寺@奈良市-03
帯解寺さんの本堂前。ご本尊は「地蔵菩薩像(重文)」。鎌倉時代作の半跏像で、182.6cmの大きさです。お腹の前で帯を結んだ姿をしているため「腹帯地蔵」の呼び名も。古くから熱心に拝まれていることが伝わってくるような、堂々としたお地蔵さんでした


安産・子宝祈願をお祈りしてください

帯解寺さんは、境内も狭いため、あまり見て回るようなところもありません。拝観にはそれほど時間も掛からないでしょう。

観光寺院というよりは、やはり皇室との縁も深い霊験あらたかな「安産祈願のお寺」ですので、子宝を授かったら(または授けていただくようにお願いするために)御祈祷をお願いしてみるといいでしょう。


帯解寺@奈良市-08

本堂側から見た「表門」と「鐘楼」。この少し左手に窓口があります。境内はかなり狭めですので、拝観だけならそれほど時間はかからないでしょう

帯解寺@奈良市-12
表門をくぐってすぐにある手水鉢は、かなりシンプルなタイプですが、1662年に徳川家の第四代将軍・徳川家綱から寄進されたものです

帯解寺@奈良市-13
石灯籠ともう一つの手水鉢

帯解寺@奈良市-14
境内の隅には、地蔵尊と小さなお社がありました

帯解寺@奈良市-09
帯解寺さんの境内にある十三重の石塔

帯解寺-ご朱印
帯解寺さんでいただいたご朱印です。書いてある文字は「帯解の地蔵尊」でしょうか



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■帯解寺(子安山)

HP: http://www.obitokedera.or.jp/
住所: 奈良県奈良市今市町734
電話: 0742-61-3861
宗派: 華厳宗
本尊: 地蔵菩薩(重要文化財)
創建: 858年
開基: 文徳天皇(勅願)
拝観料: 境内無料。本堂拝観は400円(3月1日-15日の秘仏公開時は500円)
拝観時間: 9:00-16:00
駐車場: 無料駐車場あり
アクセス: JR桜井線「帯解寺駅」下車、徒歩3分

※ご祈祷の受付は 8:30-16:30。「初参り(お宮参り)と七五三参りは予約制、それ以外のご祈祷は予約無しで来られた順番に受け付けています。」とのことです
※毎月の「戌の日」には、かなりの混雑となるようです。1時間以上待つことも珍しくないようですので、そのつもりで向かってください。






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