2009-06-15

今現在の『キトラ古墳』と『高松塚古墳』の様子は?

高松塚古墳@明日香村

誰もがその名前を知っている『キトラ古墳』と『高松塚古墳』。石室を運び出したり、壁画を剥ぎ取ったりと、大掛かりな工事が行われていたため、「飛鳥に行けば古墳そのものを見られる」と思っている方は少ないと思います。

でも、今現在、キトラと高松塚の二つの古墳は、どんな状態になっているかご存知でしょうか?2ヶ所まとめて行って来ましたので、その様子をレポートしておきます!


『キトラ古墳』は相変らず何もナシ!

キトラ古墳』とは、明日香村阿部山にある「二段築成造」の円墳です。やや小高くなっている阿部山の斜面にあり、1983年、石室内から極彩色の「玄武」が発見された後、青龍・白虎・玄武・朱雀の四神すべてが現存していることが分かり、大きな話題となりました。また、天井に描かれた「天文図」は、東アジア最古の現存例とされています。

その後、石室内に流入した湿気のためにカビが発生し、壁画が劣化していることが判明。2007年には壁画の剥ぎ取り作業が終了し、一部は一般公開されたこともありました(私たちも見に行きました「キトラ古墳の特別公開中の『飛鳥資料館』」)。

しかし、今現在、キトラ古墳へ行ってみても、「特別史跡 キトラ古墳仮設保護覆屋」の建物が建つだけで、ほぼ何もありません。私たちは以前にもキトラ古墳に来ていますが、その時もこのままでした。まだ調査が続いているため、当分はこの状態なんでしょうね。

飛鳥観光のサイクリングのついでに立ち寄るのは楽しいと思いますが、かなり道幅が狭いため、あまり車で来るようなところではありません。せめて丘の斜面でも見られればいいのですが、苦労してきたとしても、それほど楽しい場所ではありませんので、心の準備だけしておきましょう(笑)


キトラ古墳@明日香村-01

極彩色の壁画や、それにまつわる様々なトラブルが伝えられた、明日香村の有名スポット『キトラ古墳』。現在は「特別史跡 キトラ古墳仮設保護覆屋」として、こんな建物が建っています

キトラ古墳@明日香村-02
別アングルから。何枚かのインフォメーションの貼り紙はありますが、本当にこれだけです。車もすれ違えないような道の細さですので、あまり期待しない方がベターでしょう。サイクリング途中にならいい記念になるかもしれません

キトラ古墳@明日香村-03
キトラ古墳の案内看板。石槨内部に描かれた「キトラ古墳天文図」と、横口式石槨の透視図が。いずれはここもきれいに保存されて、一般公開される日が来るんでしょうか?

キトラ古墳@明日香村-04
キトラ古墳調査の現状を伝えるインフォメーション。この建物の裏側には、大きな話題を呼んだあのキトラ古墳の本物があるかと思うと、それだけでテンションが上がるかもしれませんね

飛鳥資料館-21
こちらは、以前に『飛鳥資料館』で見た、キトラ古墳の壁画の説明パネルです。こんなに色鮮やかだったものが・・・と考えると、本当に残念です



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■キトラ古墳

HP: http://www.asuka-park.go.jp/kitora/index.html
住所: 奈良県高市郡明日香村大字阿部山


石室が撤去された『高松塚古墳』は・・・

一方、『高松塚古墳』とは、7世紀末~8世紀初めに築造された、直径23mと18mの二段式の円墳です。1972年、石槨内部から「星辰(星宿)図」「日月像及び四神図」「人物群像(女子群像・男子群像)」などが発見され、日本中に考古学ブームを巻き起こしたそうです。

高松塚古墳でも、石室内に流入した湿気のためにカビが発生し、壁画が劣化していることが判明。空調設備などを整えたのですが、事態は悪化するばかりでした。結局、2007年4月~8月に行われた解体作業により、壁石・天井石など12の石は全て撤去されて、近くにある仮設修理施設で修復作業を行っています。

私も、高松塚古墳には何度か来ていますが、見るたびに景色が変わるんですよね。今現在は、完全に工事用の柵に覆われて、人が近づかない状態になっていました。しかし、以前はそこにあったはずの石室の石などはすでに撤去されており、何も無い空間になっているかと思うと、かなり淋しいものです。

近いうちに、高松塚古墳のあった場所は仮整備されるそうです。10年後に石の修復が終わればまた戻されるのかもしれませんが、いずれにしても気長に待つしかなさそうです。

ちなみに、すぐ近くには『高松塚壁画館』があり、石室の原寸模型などもありますし、飛鳥美人(の模写)にも会うことができます。興味がある方には楽しい施設ですので、ぜひどうぞ!


高松塚古墳@明日香村-01

現在の『高松塚古墳』。周りがただの竹やぶだったり、少しだけ近寄れるようになっていたりと、来るたびに状態が変わっています。この日は、周囲を囲って完全に工事中でした

高松塚古墳@明日香村-02
裏側に周ってみるとこんな感じです。ここの整備を進めて、土に埋め戻して公園のようなものにするのだそうです

高松塚古墳@明日香村-03
シートに覆われた「高松塚古墳」。2007年4月~8月に行われた解体作業により、壁石・天井石など12の石は全て撤去されて、近くにある仮設修理施設で修復作業を行っています(10年かかるとか!)。つまり、このシートの下は何も無い状態なのです

高松塚古墳@明日香村-04
高松塚古墳の仮整備について。右下にあるような、丘のような公園にするようです。ちょっと淋しいような気もしますが・・・

高松塚古墳@明日香村-05
石室が解体された後の高松塚古墳は、埋め戻しが行われて、「旧保存施設の撤去と発掘調査」も完了。壁画と石材の修理に10年もの時間がかかるため、次の段階として「墳丘及び周溝等の外形の復元」作業へと進みます

高松塚古墳@明日香村-06
高松塚古墳のすぐ近くにある『高松塚壁画館』。この日はもう入館できませんでしたが、あの「飛鳥美人」壁画の模写や様々な資料とともに、高松塚古墳の石槨原寸模型もあります!この模型、意外と迫力がありますのでオススメです!

高松塚古墳@明日香村-07
『高松塚壁画館』の案内看板。それほどの大きさではありませんが、大人@250円と、それほど高いものではありませんので、ぜひ立ち寄ってみてください

高松塚古墳@明日香村-08
ちなみに、高松塚古墳の裏手には、こんなぬるい駐車場もあります。駐車場としても狭いですし、道もかなり分かりにくいですが、安さが魅力ですので、探してみてください!


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■高松塚古墳

HP: http://www.asuka-park.go.jp/takamatsu/
住所: 奈良県高市郡明日香村平田







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