2008-05-22

キトラ古墳の特別公開中の『飛鳥資料館』

飛鳥資料館

毎年の恒例となってきた「キトラ古墳」の壁画の特別公開。今年は「十二支 子・丑・寅」の出番でした。一度は見てみたいと思っていましたので、会場の『奈良文化財研究所飛鳥資料館』まで出かけて、行列に並んできました!


特別公開中は本当に大混雑です!

数々の観光スポットがある明日香村の中で、『飛鳥資料館』は普段はかなり目立たない存在です。ここに来たのは初めてでしたが、いつもはこの一帯は静かでガランとしているところです。

ところが、年に一度の恒例行事となった「キトラ古墳」の壁画の特別公開時期だけは全く別!日本全国から古代史ファンが押し寄せてきてもの凄い混雑になるため、駐車場は満車になるし(500円の有料駐車場も満車!)、観覧料も「500円」の特別料金に。

実は、日曜日にここに来ようと、前の道を通ったのですが、待ち時間の表示が「200分」を超えているような有り様ですよ!平日に出直してきたこの日も、当然のように「75分待ち」の表示があったくらいですから。

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明日香村にある『奈良文化財研究所飛鳥資料館』。明日香村の中ではかなり地味目な博物館なんですが、3年前から始まった「キトラ古墳」関連の特別公開の際にはものすごい人出になります

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キトラ古墳壁画の「十二支 子・丑・寅」特別公開中。平日の昼過ぎにも関わらず、何と75分待ちの表示が!ちなみに、少し前の日曜には、待ち時間は3時間を超えたそうです!

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飛鳥資料館の前の広場。石造の遺跡が多数残されている飛鳥らしく、お庭には酒船石を模した石が


渋く楽しい常設展示コーナー

館内に入ってみると、特にもの凄い混雑だ・・・とも思わないのですが、明らかに施設のキャパシティーは超えているようでした。とにかく、メインのキトラ古墳関係は後回しにして、まずは常設展示コーナーから周ってみました。

入ってすぐ正面が、明日香村の全盛期の姿を再現した巨大なジオラマ。その左手から第一展示室が始まります。ここは、万葉集・宮殿・石造物・古墳・寺院という5つのコーナーに分かれているのですが、実は私はあまり古代史の知識が無いため、寺院コーナーが一番楽しめました。

置いてある仏像や遺物などは、ほぼ全てがレプリカなんですが、法隆寺の「夢違観音」や野中寺の「菩薩半跏像」などが間近に見れて、しかも写真撮影できるなんて、ちょっとだけ得した気分ですね。もっと古い時代の、石彫りの天女や鳳凰のデザインなどもかなり美しくて、かなり楽しめました。

その一方で、メインとなるはずの高松塚古墳やキトラ古墳関連の展示は、イマイチ迫力不足だったような・・・。ただし、キトラ古墳に関しては、地階に「キトラ特設コーナー」が新設されたそうなので、コチラに期待です。

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館内に入って真っ先に目に入るのが、床一面の巨大なパネルです。飛鳥の中心部は模型になっていて、それと連動する形で航空写真が展示されています

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全盛期の明日香村の再現模型。手前の大きな施設は橘寺と(今は亡き)川原寺。奥の方には巨大な飛鳥寺の敷地大伽藍も見えます

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飛鳥資料館の第一展示室。飛鳥に関する万葉集・宮殿・石造物・古墳・寺院、この5つのコーナーがあります

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これが何かは忘れてしまいましたが、かなり魅力的な天女さん。石を彫ったものだと思いますが、このデザインは今でも十分に通用しますね

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寺院コーナーの一部。旧山田寺の仏頭や、夢違観音さまなどのレプリカが並んでいます

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飛鳥寺コーナー。ご存知「飛鳥大仏」さんを立体的に分析した図などが展示されていました

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高松塚古墳の説明パネル。有名な「飛鳥美人」の拡大図なども見られます。こんなところに来ている方は、やっぱりみんな高松塚古墳が大好きなんですね(笑)

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キトラ古墳の説明パネル。向かって左上にある色鮮やかな「玄武」の姿は、いつ見ても見事ですね。よくこんなものが残っていたと、思わず感心してしまいます

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これは「須弥山石」というもの。7世紀ごろのもので、明治時代に掘り起こされました。当時の庭園に置かれた噴水だったのだとか

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水落遺跡の壮大な「水時計」を再現した模型。光で24時間を1分で表示しているのですが、そのあまりの気の長さに驚き!


「キトラ特設コーナー」も新設

次に、地階に移って、新設された「キトラ特設コーナー」と、第三展示室で開催されている特別展「キトラ古墳壁画十二支-子・丑・寅-」を拝見しました(2008年6月22日(日)まで)。

コチラは写真撮影は禁止されているため、画像は残っていませんが、キトラ古墳の説明パネルや、今回のテーマになっている「十二支」に関しての詳細な考察などもあって、さすがにかなり充実した企画だったと思います。

ただし、それほど知識が無いため、私の中では「かっこいいなー」とかいうレベルで終わってますけどね(笑)。それなりに分かりやすい説明だったと思いますので、それほど興味の無い方も、そのプリミティブな雰囲気は十分に楽しめると思います。


肝心の壁画は・・・よく見えない!

そして、この日のメインの、キトラ古墳壁画の「十二支 子・丑・寅」特別公開。古墳から剥がした本物の壁画が見られるということで、ものすごい行列でした。

山田寺の復元模型がある第二展示室から行列がスタートするのですが、ここで数十メートル並び、実際に壁画が展示してある部屋に移動してからまた並び・・・と、しっかりと1時間近くは待たされてます。

ただし、今回の特別公開は朝日新聞さんの協賛を得ているためか、入館の時にいただいたパンフレットがかなり立派なんです。読み応え十分でしたので、1時間程度なら意外と飽きずに待つことができました。

で、実際にキトラ古墳から剥ぎ取られた壁画とご対面したのですが・・・。十二支の中でも比較的クッキリとしているはずの「寅」と、やや薄くなっている「子」「丑」の展示でしたが、肝心の寅ですらイマイチよく見えないんですよね・・・。古いものですから仕方ないことなんですが、ちょっと拍子抜けでした。

しかし、壁画に描かれている獣頭人身の十二支たちの、赤く塗られた着物の襟などはハッキリしていて、千年以上も経ったものだとは思えないくらいの鮮やかさです。元々はどんな色彩で描かれていたのかと想像してみるだけで楽しいですね。

正直な感想として、わざわざ長い行列に並んでまで生で見るほどのものでは無かったのかも・・・とは思いました。一生に一度の貴重な機会だったことは理解していますが、写真集で見た方が鮮やかですし、ゆったりできますからね。そう考えると、私のレベルでは、6月22日まで開催されている特別展(実物展示はナシ)で十分だったのかもしれません。

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飛鳥資料館の第二展示室の様子。この先でキトラ古墳の壁画の特別公開が行われているため、外までズラリと行列ができていました。この後、さらにもう一段階の行列を我慢しなくてはいけませんでした・・・

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第二展示室は、山田寺の東回廊の復元模型がメイン。641年に建てられた初期仏教寺院ですが、1982年、東回廊だけ地中に倒れた状態で見つかったのだそうです


企画展のポスターコーナーも

地階の一角には、博物館らしく過去の企画展の時のポスターがパネル展示されているコーナーもありました。この手の少し垢抜けない、中途半端にお堅いデザインが大好きですので、楽しませていただきました。

この近辺で言うならば、やっぱり橿原市昆虫館のポスターも迫力があっていいのですが、それとは別系統の魅力ですね。

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過去3年間のキトラ古墳壁画の特別公開のポスターたち。どれも部屋に貼っておきたいくらい渋い!

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飛鳥資料館の歴代の企画展のポスターを集めたコーナー。この辺りは昭和のものですが、今見ても風情があっていいですよね

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歴代企画展ポスターたち


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■画像の一覧は【Flickr】でどうぞ。



大きな地図で見る


■奈良文化財研究所飛鳥資料館

HP: http://www.asukanet.gr.jp/
住所: 奈良県高市郡明日香村奥山601
電話: 0744-54-3561
観覧料: 260円(高校・大学生は半額、中学生以下は無料)
休館日: 月曜日(祝日の場合は翌日)
拝観時間: 9:00 - 16:30
駐車場: 無料
アクセス: 近鉄「橿原神宮前駅」「飛鳥駅」から、周遊バス「飛鳥資料館前」下車

※キトラ古墳壁画の特別公開期間中は、観覧料も開館時間も特別体制になります






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