2019-08-10

7世紀の祭祀用の流水施設!『飛鳥京跡苑池』現地説明会

7世紀の祭祀用の流水施設!『飛鳥京跡苑池』現地説明会

明日香村の『飛鳥京跡苑池』北池から、飛鳥時代の天皇祭祀の遺構と見られる「流水施設」が発見されました。石敷きの空間の中央に、湧き水を流す水路がまっすぐ通っており、古代のものとは思えない美しさでした。酷暑の中で行われた現地説明会の模様をお伝えします。


飛鳥京に隣接した最古の宮廷庭園跡

国内初の本格的な宮廷庭園跡とされる、明日香村の『国史跡・名勝 飛鳥京跡苑池』。「橿原考古学研究所」(Facebook)の発掘調査で、南北2つの池(南池・北池)と渡堤、水路、掘立柱建物、掘立柱塀などが見つかっており、遺跡の範囲は、南北約280m・東西約100mです。

斉明女帝が宮殿に隣接して造った饗宴の空間であり、石が敷き詰められ、池の南側には高さ1.65mの噴水用の石造物が設置されるなどしていたとか。この庭園で海外からの賓客をもてなしていたと考えられています。

この北池から、全長10mを超える7世紀後半に流水施設が見つかりました。飛鳥時代の天皇祭祀の遺構と考えられ、2000年に「酒船石遺跡」で出土した「亀形石造物」に次ぐものとされ、「呪術的な祭祀などが行われた神聖な空間」と考えられるとか。


飛鳥京跡苑池(明日香村) 第13次調査 現地説明会-01

水路と水田など、美しい風景が広がる明日香村。向こうに見える甘樫丘まで、かつて日本の中心だったエリアです

飛鳥京跡苑池(明日香村) 第13次調査 現地説明会-02
この近くの「飛鳥京跡」(Wikipedia)は、飛鳥時代の飛鳥岡本宮・飛鳥板蓋宮・飛鳥浄御原宮などが置かれた土地です。大きな発見があった「飛鳥京跡苑池」は、ここからわずか200mほどの距離であり(奥に見える白い建物あたり)、都の中心にあったことが体感できます

飛鳥京跡苑池(明日香村) 第13次調査 現地説明会-03
酷暑の「2019年8月10日(土)」に開催された『飛鳥京跡苑池 第13次調査』の現地説明会。大変な暑さでしたが、この日は1400名以上の方が訪れたそうです。すごい人気ぶりです!

飛鳥京跡苑池(明日香村) 第13次調査 現地説明会-04
分かりやすいパネルを使って、今回の発掘調査の成果について解説がありました。

※あまりの酷暑で、スマホ本体が高温のため誤作動してしまい、思うように撮影できなかった部分もありますがご容赦ください。


遺跡の配置や航空写真など

飛鳥京跡苑池(明日香村) 第13次調査 現地説明会-05
向かって左は、『飛鳥京跡苑池』と周辺の遺跡などを示したマップです。飛鳥宮跡や川原寺、飛鳥寺の間に位置しています。右は拡大図。北池と南池という2つの人工池がありますが、今回は北池の北東部の調査で発見がありました

飛鳥京跡苑池(明日香村) 第13次調査 現地説明会-06
航空写真とアップ。東西に水路が通っているのが見て取れます。水が湧き出る「石組み枡1」(湧水部)から、溝を挟んだ「石組み枡2」(流水部)

飛鳥京跡苑池(明日香村) 第13次調査 現地説明会-07
全体図で、赤い部分が当初のもの、黄色の部分が7世紀後半に大規模に改修されたところです。階段状の遺構なども見られます。
※当日配布された「【PDF】史跡・名勝 飛鳥京跡苑池 第13次調査現地説明会 資料」も合わせてご覧ください


石敷きが美しい!古代の祭祀の場

飛鳥京跡苑池(明日香村) 第13次調査 現地説明会-08
猛暑の中で行われた現地説明会。人が集まっている部分が北池の現場です

飛鳥京跡苑池(明日香村) 第13次調査 現地説明会-09
北東側から。今回の調査現場は、北池の北東側にあたります。この写真の奥側に南池が広がっていました。今回の発見で、北池が「祭祀用」、南池が「観賞用」という、異なった目的で利用されていた可能性が高まったとか

飛鳥京跡苑池(明日香村) 第13次調査 現地説明会-10
現場を南側から見たところ。手前に州浜状の砂利敷きがあり、この左手が池だったようです。その奥には水路部分が、さらに奥には階段状の遺構が見られます。

飛鳥京跡苑池(明日香村) 第13次調査 現地説明会-11
発見された「流水施設」の周辺には、40cm~70cm大の石材が敷き詰められています。中心部から離れるほど石のサイズが小さめになっています

飛鳥京跡苑池(明日香村) 第13次調査 現地説明会-12
流水施設は、奥から水が湧き出ている「石組み枡1」、短く繋ぐ「石組み溝1」の【湧水部】と、底面に砂岩切石を敷いた「石組み枡2」、長さ約7.0mの水路「石組み溝1」の【流水部】で構成されています。

この写真ではよく分かりませんが、石組み部の枡1の部分からは、今でも水が湧き出しています。流水部には緩やかな傾斜がつけられており、長い時間を超えてまた静かに水が流れていました。感動的です!

飛鳥京跡苑池(明日香村) 第13次調査 現地説明会-13
北岸に面して、平安時代以降のものという導水用の「木樋(もくひ)」と、その奥に「階段状遺構」が見られます

飛鳥京跡苑池(明日香村) 第13次調査 現地説明会-14
階段状遺構を北側から見たところ。最上段から石敷き面まで6段あります。当初は8段以上ありましたが、少なくとも2段分が石敷きの施工の際に壊されているとか

飛鳥京跡苑池(明日香村) 第13次調査 現地説明会-15
遺構のマップにありましたが、北池のさらに北側には「水路」が見つかっています。先ほどの木樋の部分から水が流れ出ていたようですが、これはすぐお隣の空き地の部分に当たるのだとか。ちょっとした段差があり、そこに沿って水路があるそうです。ぜひ探してみてください

飛鳥京跡苑池(明日香村) 第13次調査 現地説明会-16
「流水施設」が新たに見つかった『飛鳥京跡苑池』ですが、現地で奈文研のスタッフの方に伺ったところ、「年内は発掘調査を続け、全体像を把握する。その後で一旦埋め戻して、どのような形で保存・公開するのかを話し合った上で方針が決まる」というようなニュアンスでおっしゃっていました。

現地説明会ほど近くではないにしても、少なくとも今年度いっぱいはこのまま見られそうですし、ひょっとしたらまたあらためて一般公開される機会もあるかもしれません。期待したいですね!



■飛鳥京跡苑池 第13次調査 現地説明会

日時: 2019年8月10日(土)10:00~15:00
住所: 奈良県高市郡明日香村岡


■参考にさせていただきました

【PDF】史跡・名勝 飛鳥京跡苑池 第13次調査現地説明会 資料
【朝日新聞デジタル】古墳時代から続く「水のまつり」? 飛鳥京跡苑池で発見
【産経ニュース】飛鳥京跡苑池から7世紀の天皇祭祀遺構 奈良・明日香村


■関連する記事










  • Twitterでフォローする
  • Facebookページを見る
  • Instagramを見る
  • ブログ記事の一覧を見る







メニューを表示
ページトップへ