国宝の十一面観音像に会える『道明寺』@藤井寺
「葛井寺」「野中寺」と周ってきた南河内の秘仏拝観ツアーのラストは、藤井寺市に戻って『道明寺』です。
コチラのご本尊「十一面観世音菩薩(国宝)」は、毎月18日,25日しか公開されていない秘仏です。よく仏像本などにも掲載されるような美しい仏様ですので、さすがに実物も良かったです!
菅原道真公ゆかりのお寺です
大阪府藤井寺市にある『道明寺』は、この地の豪族「土師(はじ)氏」との関係が深く、元は「土師寺」という名前でした。土師氏からの寄贈を受け、広大な敷地に七堂伽藍を持つ大寺院だったそうです。
後に、菅原道真公(土師氏の末裔だとか)が、太宰府に向かう途中で、この地にいた叔母を訪ねてきて、「啼けばこそ別れもうけれ鶏の音の鳴からむ里の暁もかな」との句を残しています。道真公の死後、その号にちなんで「道明寺」に改められました。
1872年の神仏分離令によって、すぐ近くにある「道明寺天満宮」の境内から現在地に移転したそうです。
藤井寺市にある『道明寺』。菅原道真公と縁の深いお寺として知られており、ご本尊の「十一面観世音菩薩」は国宝に指定されています
道明寺の楼門。簡素で力強い門でした。シンプルですが、木の質感がいいですね
道明寺の境内の様子。お堂が3つほどの小さなお寺ですので、拝観はすぐに済ませられるでしょう
道明寺の「護摩堂」。菅原道真公との関連からか、ここにも美しい梅が植えられています
本堂脇のお堂(名前は不明)。境内の砂利石が全て掃き清められているのが美しかったです。この辺りは「さすが尼寺」というべきところかもしれません
愛らしい「十一面観世音菩薩(国宝)」
道明寺の本堂には、十一面観音像の秀作として紹介されることも多い、見事な「十一面観世音菩薩(国宝)」がいらっしゃいます。秘仏とされているため、「毎月18日,25日」のご開帳日のみ拝観可能となります。
9世紀頃の作品で、像高99.4cm。それほど大きな像ではありませんが、頭上の仏様から足元の蓮肉の部分までが一木で彫られていて、とても優美な仏像でした。かなりふくよかな印象で、お線香の煙で黒く燻されているのも、歴史が感じられていいものです。
また、国宝に指定されている仏像でありながら、厨子のすぐ目の前まで行って、手が届くほどの距離から拝見できるのも嬉しいところ。それほど観光客が押し寄せるようなお寺でもありませんので、じっくりと向き合うことができます。
同じ国宝の十一面観音像でも、「聖林寺」などのものとは違い、(言い方は悪いですが)やや寸詰まりに見えるところいいですね。神々しさよりも「愛らしさ」を感じる仏様でした。
道明寺の「本堂」。ここに数体の仏像とともに、見事な「十一面観世音菩薩(国宝)」がいらっしゃいます。像高1m弱の像ですが、すぐ目の前で見られますので、かなり迫力がありました
とても落ち着く小さな美しいお寺です
道明寺は、菅原道真公ゆかりの尼寺ということで、梅が多く植えられていました。また、水場にはさりげなく花が飾られていたり、砂利石がきれいに掃き清められていたりと、小さなお寺ながら、とても気持ちの良い雰囲気でした。
毎月18日には、すぐ近くの「葛井寺」「野中寺」も、同じ日程で秘仏を公開しているため合わせて周るといいですね。
また、この日は時間が無くて行けませんでしたが、道明寺のすぐ近くには「応神陵」などの巨大古墳の宝庫です。ぜひ合わせて散策してみてください。
拝観受付の方に教えていただいて覗いてきた寺務所前の様子。それほど広いスペースではありませんが、とても美しくキープされていました。心落ち着く光景です
梅の花のアップ。改めてまじまじと見ると、作り物のような不思議な形をしてますね
水場にあったカサブランカの花(百合の一種)。ちょっとした心遣いですね
道明寺でいただいたご朱印です。ご朱印帳が終わってしまっていたため、お寺に用意してあった半紙に書いたものをいただいたのですが、右上の「菅公御作」の判が逆さまのような・・・。ある意味、貴重かも(笑)
■道明寺(蓮土山)
HP: http://www.domyoji.jp/
住所: 大阪府藤井寺市道明寺1-14-31
電話: 0729-55-0133
宗派: 真言宗御室派
本尊: 十一面観世音菩薩(国宝)
創建: 6世紀末ごろ
開基: 土師連八嶋
拝観料: 境内無料(本尊の拝観は500円)
拝観時間: 9:00-16:00
駐車場: 無料駐車場あり
アクセス: 近鉄南大阪線「道明寺」駅から徒歩7分
※ご本尊「十一面観世音菩薩」の御開帳は1月1日-3日、毎月18日,25日のみ