圧倒的な「立体曼荼羅」『東寺(教王護国寺)』@京都
暮れも押し迫ったこの日、義父たちのお供で、これまでずっと行ってみたいと願っていた『東寺(教王護国寺)』へ行ってきました。
密教芸術の粋を集めた「立体曼荼羅」はとにかく圧巻!京都のランドマーク「五重塔」も見事ですし、さすがは京都を代表する寺院ですね。本当に満喫できました!
『東寺』の縁起とは
京都市南区にある『東寺』は、正式には「教王護国寺(きょうおうごこくじ)」といいます。
8世紀末(796年)の平安京で、東西から国家鎮護の役割を担う「東寺」と「西寺」の両寺院が建設されました。それから20数年経った823年、嵯峨天皇から真言宗の宗祖である弘法大師空海に下賜されたことから、名前を教王護国寺と改め、真言密教の根本道場となりました。
平安後期には衰退した時期もありましたが、鎌倉時代からは弘法大師信仰が高まり、皇族から庶民まで広く信仰を集めました。後醍醐天皇・足利尊氏などから援助を受けて栄えていきますが、
何度も災禍に見舞われてきましたが、そのたびに豊臣・徳川などの有力者からの援助があり、再建されてきました。もう創建当時の建物は一切残されていませんが、南大門・金堂・講堂・食堂(じきどう)が南北へ一直線に並ぶ、奈良時代の伽藍配置を今なお残しています。
毎月21日の弘法大師さまの命日には、「弘法市」として境内に骨董市が立ちならぶことでも親しまれています。
お堂などが一直線に並ぶ古式の伽藍
この日、私たちが『東寺』にやってきたのは、四国八十八箇所巡礼の満願を達して納経にやってきた義父・義母のお供です。しかも、後から聞いてみたら、12月21日の一年の最後の「弘法市」の前日ということで、お店は営業していないし、てき屋さんたちの準備で騒々しいし・・・と、最悪のタイミングでした(笑)
まずは納経所のある「食堂(じきどう)」から入りました。コチラは1930年の弘法市の際の失火で全焼してしまったのですが、その時に焼け焦げてしまった四天王像を、焼け焦げたまま加工して、そのまま展示してあるのです!こんな形の仏様を見たのは初めてでしたが、異様な迫力を感じました。
また、東寺の境内は、南大門・金堂・講堂・食堂が、南北へ一直線に並ぶという、奈良時代の古い伽藍配置となっています。そんなところも注意してみると面白いですよね。
京都市南区の『東寺(教王護国寺)』。この日は毎月21日の「弘法市」(しかも師走の「終い弘法」)の前日ということもあって、何やら騒がしい雰囲気になっていました
東寺の駐車場近く、拝観受付のすぐ前にあるのが「食堂(じきどう)」です。四国八十八箇所巡礼の納経所にもなっています。1930年の失火のため、焼け焦げてしまった巨大な四天王像がいらっしゃって、色んな意味で迫力がありました!
拝観受付をくぐったところ。左手奥には「五重塔(国宝)」。右手は手前から「講堂(重文)」と「金堂(国宝)」となります。お堂の数は少ないのですが、建物も仏像もものすごく貴重なものばかりです
21体の「立体曼荼羅」は圧巻です!
東寺の中心に建っている、まだ比較的新しい(1492年の再建)建物が「講堂(重文)」です。以前は、すぐ隣にたってる金堂とは廻廊で繋がっていたのですが、1486年の火災の際に焼失したままになっているのだとか。
東寺の講堂は、弘法大師の密教の教えを具現化した「立体曼荼羅」で有名です。多数の仏様を精密に書き込んだ曼荼羅絵を立体化しようというのですから、何とも贅沢な話ですが、実際に21体もの仏像が安置され、その配置によって密教的な世界観が現されているのです。
・中央には「大日如来」を中心とした<五智如来>
・向かって右には「金剛波羅蜜多菩薩」を中心とした<五大菩薩>
・向かって左には「不動明王」を中心とした<五大明王>
・それらを取り囲むように、四天王と梵天・帝釈天像が
このうちの15体が国宝で、後から補作された5体は重要文化財と、まさに貴重な仏像の宝庫となっています。これだけの様々な仏様がいらっしゃるお堂というのは、(三十三間堂などは別にして)他にはほとんど見られないでしょう。
他ではなかなか見られない「五大明王のそろい踏み」が見られたりするだけで十分に楽しいのですが、やはり注目なのは凛々しい顔立ちをした「帝釈天像」と、4面4臂の異形の「梵天像」でしょう。本当に素晴しい造形の仏様ですので、しっかりチェックしてきてください。
昔の庶民の方たちが、初めてこのきらびやかなお堂を見た時、どれほど驚いたかと思うと、ちょっと面白いですね。どれだけ見ていても見飽きない、そんな素晴しいお堂でした。
手前のやや明るい建物が、825年建立で、1492年に再建された「講堂」です。ご本尊の大日如来像を中心として、密教の教えを立体化した「立体曼荼羅」が有名なお堂です。背後の渋い色合いの「金堂」との対比も美しいですね
東寺の「講堂(重文)」。金堂と比べるとやや簡素な作りになっています
横が9間の立派なお堂ですから、この角度から見ると、特に迫力を感じます
広々した「金堂」は東大寺大仏殿のよう
講堂のすぐ隣にあるのが「金堂(国宝)」です。こちらは、これまでに何度も焼失を繰り返してきており、現在のものは、1603年に豊臣秀頼の寄進によって再建されたものとなります。東大寺大仏殿と似た建築様式の堂々たる建物で、ものすごい迫力でした。
お堂の内部も広々としており、金堂再建と同じ1603年に作られた「薬師三尊像」が安置されています。ご本尊の薬師如来像は。薬壷を持たない古いタイプで、光背に七体の化仏を配した「七仏薬師如来」という分類になるのだとか。
脇侍には、たおやかな日光・月光菩薩がいらっしゃって、ご本尊の足元を取り囲むように、小さな十二神将もいらっしゃいました。
全体的に、江戸時代初期のものとは思えないほどクラシックな雰囲気が漂っていて、心が落ち着くお堂でした。
東寺「金堂(国宝)」を正面から見たところ。屋根の中央部分が一段高くなっているあたりが、東大寺大仏殿と似ています。見上げているだけで感動するほどの素晴しいお堂なんですが、手前のテントが・・・
この角度から見たらかなりカッコイイんですが・・・、隅っこにブルーシートが写りこんでました(笑)
組物は二手先。重い屋根瓦をつんだ巨大な屋根を持ち上げ、内部の広々とした空間を維持するための様々な工夫がみられます
講堂側から見た「金堂」。建物の裏側に当たりますが、東大寺大仏殿にも似た、堂々たる威容を誇っています
日本最大の木造の塔「五重塔」
東寺のシンボルとなっている「五重塔(国宝)」は、さすがに見事ですね。総高55mと、奈良の興福寺の五重塔よりも大きな、日本最大の木造の塔ですから、首が痛くなるほどの迫力でした。
また、内部が拝観できるワケではありませんが、周囲が庭園になっていたり、金堂や講堂と一緒のアングルで見ることができたりと、様々な角度から、様々な表情を見ることができるのも楽しいですね。
東寺の、そして京都のシンボルとなっている「五重塔(国宝)」。総高55mの日本最大の五重塔で、826年の創建からたびたび災禍を受けてきており、現在のものは1644年、徳川家光の寄進によって再建されました
近くから見た五重塔。さすがに威風堂々ですね。内部には大日如来像を祀っておらず、心柱をそれに見立てているのだそうです
池に映りこんだ五重塔。こんなお庭が出てくると、急に京都っぽさを感じますね
「宝物館」の拝観は春秋のみです
東寺では、食堂のご本尊だった「千手観音立像(重文)」や「兜跋毘沙門天(国宝)」などを収蔵した「宝物館」もありますが、こちらは春秋の特別公開期間のみ拝観可能です。
また、貴重な「五大虚空蔵像」を祀る、書院作りの「観智院」や、弘法大師が住まわれたという「御影堂(国宝)」などもありますので、ぜひ季節のいい時に、たっぷりと時間をかけて見て周ってください。
九条通りに面して建っている「南大門(重文)」。1895年に、三十三間堂の西門を移築したものなんだそうです
「東寺のクスノキのほらの部分の模様がお不動さんに見える」という話題が新聞に取り上げられたそうです。実際に見てみると、確かにお不動さんに見えました!ちょっとすごいですね
1934年に再建された「小子坊」。逆光でよく写っていないのが残念ですが、門の扉がとても美しく彫られていました
弘法大師さんが開いたお寺ですから、「修行大師」という像もいらっしゃいました
東寺の売店の一角。「曼荼羅下敷き」もなかなかそそられますが、「曼荼羅ハンカチ(@800円)」がいいですね!ポスターなども販売してました
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■東寺(教王護国、または寺金光明四天王教王護国寺秘密伝法院)
HP: http://www.toji.or.jp/
住所: 京都府京都市南区九条町1
電話: 075-662-0173
宗派: 東寺真言宗
本尊: 薬師如来(重要文化財)
創建: 796年
開基: 桓武天皇
拝観料: 500円
拝観時間: 8:30-17:30(9月20日~3月19日の間は16:30まで)
駐車場: 100台分あり(2時間600円)
アクセス: 近鉄京都線「東寺駅」下車、徒歩5分
※洛陽三十三所観音霊場の第23番札所
※都七福神の「毘沙門天」