2008-02-22

何と大きな「平城宮跡」を周る <前編>

遺構展示館

最近になって、次第に「平城遷都1300年」記念事業に関する話題を聞くようになりました。どれだけの規模のイベントとなり、どれだけの観光客の方がいらっしゃるかは分かりませんが、着々と準備が進められているようですね。

今回は、その舞台となる『平城宮跡』を丹念に周ってみることにしました。

全ての施設は無料ですし、お天気も良かったため散歩がわりに丁度いいかと思ったら・・・、やっぱりあの広さを一気に全部周ろうとするのはシンドいですね~。一部施設はまた後日へ持ち越すことになってしまいました。。。。

(※平城宮跡の<後編>も合わせてお読みください)


貴重な資料の宝庫「平城宮跡資料館」

今回のスタートは、平城宮跡の北西側にある『平城宮跡資料館』から。

平城京の歴史と、これまでの発掘作業の経過などを見せてくれる施設で、意外と見どころが多かったですね。説明パネルなどだけではなく、現実の遺物や立体模型なども多く飽きさせません。特に「長屋王」の邸宅跡から出土した木簡など、他ではなかなか見られないものでしょう。

平城宮跡の発掘は1924年から始まり、1959年以降は奈良国立文化財研究所が発掘を行っています。それだけ長期間ずっと発掘を続けていても、まだまだ終わらないというのですから、やはり平城京の規模が大きいということの証なんでしょう。出土品も年代によって様々で、その歴史の積み重ねには本当に驚かされます。

なお、この「平城宮跡資料館」だけではなく、平城宮跡の施設には全てボランティアガイドさんが待機していらっしゃいますので、ぜひ話を聞いてみてください。時間が無い方でも事前に「ちょっと駆け足で!」とか言っておけば、見どころだけ手短に教えてくれます。

平城宮跡の土地買収の話だとか、発掘された現場がなかなか埋め戻されなかった時の話だとか、予想外のネタが聞けたりして面白いですよ(笑)


平城宮跡資料館-01

広い平城宮跡の北西にある「平城宮跡資料館」。本物の遺物が展示してあるだけではなく、パネルや模型も豊富。入館料も無料で、かなり楽しめる施設です

平城宮跡資料館-02
入館してすぐ目に付く、平城京の大きさを航空写真に重ねたパネル。現在の跡地はほんの一部(それでも甲子園30個分!)で、当時は興福寺や大安寺スッポリと収まる巨大な都市でした

平城宮跡資料館-03
発掘現場の巨大ジオラマ。チマチマとした人形が、チマチマと発掘に従事しています。大変そうだということは十分に伝わってきますね(笑)

平城宮跡資料館-04
長屋王邸宅の復元模型(縮尺100分の1)。悲劇のヒーロー長屋王は、現在の平城宮跡のすぐ近くに邸宅を構えていたのだとか。これだけの豪邸に住んでいたら、確かに妬まれそう・・・

平城宮跡資料館-05
タイトル「鎌倉大修理後の唐招提寺講堂」。1257年の大修理から江戸時代の修理まではこのような姿だったそうです。10分の1スケールですのでかなりの迫力です

平城宮跡資料館-06
平城京周辺のお寺の屋根瓦コレクション。それぞれのお寺の色んなタイプのものが陳列されていました

平城宮跡資料館-07
非難轟々のマスコットキャラ(名前募集中)。どうせならもっとシワを伸ばしてから貼って欲しかった。職員の方からも期待されていないんでしょうか(笑)


2010年を楽しみに・・・「第一次大極殿」

平城京のシンボルである「朱雀門」から真っ直ぐに北に結んだラインは、平城京のメインだった一角です。今現在、その位置に『第一次大極殿(だいごくでん)』の正殿を復元する作業を行っています。

平城京の正門である羅城門と平城宮の正門である朱雀門を結ぶ朱雀大路の延長上、宮の中央には、南から北へ向けて緩やかに傾斜する空間が広がっています。この場所を、第一次大極殿院と呼んでいます。大極殿院は、天皇の即位や元日朝賀などの国家儀式、あるいは外国使節の歓迎の儀式がおこなわれた施設です。

2010年の「平城遷都1300年」に向けて、急ピッチで復元中です。ここには「一般公開施設」があり、少し高い位置から工事の現場が見られるそうなので、急いで向かってみました。

が・・・、決してそれほど楽しい施設ではありませんでしたね~(笑)。まだ工事中なんですから当然なんですが、建築中の大極殿をスッポリと覆う「素屋根」という建物の外壁しか見えません。その周囲には「木材保管庫」「加工場」「原寸場」「彩色場」という計5棟があるのですが、どれも外から見て面白いものではありませんし・・・。

時間が無い方はスルーして問題ないと思います。それほど時間も掛かりませんので、お時間がある方はぜひどうぞ。

平城宮跡「大極殿」-01
朱雀門方面から見た、復元工事の真っ最中の「大極殿」。2010年の平城遷都1300年祭に向けて工事中です。相当に大きな建物になりそうですね

平城宮跡「大極殿」-02
「平城宮跡資料館」前から見た工事中の「大極殿」。その距離は500mくらいでしょうか?かなり真剣に歩かないと辿りつけません

平城宮跡「大極殿」-03
工事の様子が見学できる「一般公開施設」からの眺め。正面が大極殿が作られている「素屋根」、向かって左手が「原寸場(サイズの最終チェックをするところ)」だそうです。このような建物が5軒あります

平城宮跡「大極殿」-04
館内の展示物。これは大極殿の屋根を支える組物の原寸大模型です。間近で見るとさすがにデカイ!

平城宮跡「大極殿」-05
地味ながらも、色んな展示物が。これは2階ですが、1階部分には「シアターコーナー」もあります


遺構が間近に見られます!「遺構展示館」

この『遺構展示館』は、平城宮跡の北東に位置します。見どころは、「第一次大極殿」の巨大な模型と、発掘跡の遺構をそのまま保存してある一角。

他の博物館でも遺跡の跡をそのまま保存・展示してあるところはありますが、さすがに平城京はスケールが違いますね。お金も掛かったしっかりとした施設ですし、ただの地面に掘られた穴に過ぎないのですが、その一つ一つに歴史の古さを感じます。土の香りが感じられるのもいいですね。

広い平城宮跡を端から端まで歩くのも大変だとは思いますが、ここも見るだけの価値はあると思います。ただし、「遺構を展示する」というテーマ自体が地味ですから、興味とお時間の無い方はスルーしてもいいかもしれませんね。

平城宮跡「遺構展示館」-01
平城宮跡の北東側にある「遺構展示館」。入口部分からいきなり巨大模型の姿が目に飛び込んできます

平城宮跡「遺構展示館」-02
「第一次大極殿」の復元模型。現在、復元へ向けて作業中ですので、2010年にはこれと同じ姿が見られるようになることでしょう!

平城宮跡「遺構展示館」-03
屋根の一部は空いていて、内部が覗けるようになっています。仕事が細かいですね。模型自体もかなりのサイズですので、本当に迫力があります

平城宮跡「遺構展示館」-04
遺構展示館内で保存されている発掘跡。過去の歴史の中で何度も掘り返されているため、大きさも年代もバラツキがあるのだとか

平城宮跡「遺構展示館」-05
遺構を間近で見られるように、一段低いところまで降りられる階段がついています。お子さんを連れてきたら喜びそうですね

平城宮跡「遺構展示館」-06
3つ目の展示室では、建物の周囲の水路のようなものが。この時代にしっかりとレンガが使われているというのは、相当な重要建築物だった証なんだそうです


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■画像の一覧は【Flickr】でどうぞ。



大きな地図で見る


■平城宮跡

HP: http://www.nabunken.jp/site/heijo.html
住所: 奈良県奈良市二条町2-9-1
電話: 0742-34-3931
休館日: 月曜日(施設のみ。敷地には入れます)
拝観時間: 9:00 - 16:30(施設のみ。敷地には入れます)
駐車場: 無料駐車場あり
アクセス: 近鉄「大和西大寺駅」より徒歩10分ほど。JR・近鉄「奈良駅」から奈良交通バス二「条大路南4丁目」下車すぐ






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