2014-05-03

地域の方に愛される大きな大日様『正覚寺』@橿原市十市町

地域の方に愛される大きな大日様『正覚寺』@橿原市十市町

半丈六の大きな「木造大日如来坐像」がおわす、橿原市十市町の『正覚寺』。ふくよかでおおらかな佇まいの大日さまは、地域の方たちに大事に守られていて、みんなの誇りになっているのが伝わってきました。仏さまも世話役の方たちも、みんな優しい笑顔が素晴らしかったです!(※拝観には事前予約が必要です)


小さなお堂に大きな大日如来像が!

橿原市十市町(とおいちちょう)の『正覚寺』(しょうかくじ)は、運転免許センターの近く、152号線を挟んだ北側の古い集落にあります。平安時代末期の美しい大日如来坐像が祀られており、現在は地域の方たちによって大切に管理されています。

正覚寺の歴史を記した資料は遺っておらず、創建年代や宗派などは一切不明ながら、中世には大きな寺域を持つ大寺院だったとか。江戸時代には、領主旗本の郷役人の宿舎に当てられていた記録も残っているそうです。

そんな小さなお堂ですが、中には大きな「木造大日如来坐像」(12世紀。奈良県指定重要文化財)がいらっしゃいます。古仏が多数遺されている奈良県ですが、橿原市というとあまり古い仏像が祀られているイメージがありませんが、とんでもないですね。身近なところにもものすごい仏さまがいらっしゃいました。

なお、ご住職がいらっしゃらないため、お堂の拝観は事前予約が必要です。まずは「橿原市生涯学習部文化財課(0744-47-1315)」に電話して、日時の希望などをお伝えして、管理人さんへ連絡を入れてもらってください。


正覚寺@橿原市十市町-01

橿原市十市町の『正覚寺』。運転免許センターの北側の集落の中にある小さなお堂です

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正覚寺の「阿弥陀堂」。1981年に建てなおされたもので、現在は客仏だった大日如来坐像がご本尊として祀られています

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正覚寺の堂内の様子。綺麗な花が供えられていて、地元の方たちに大切に管理されているのが伝わってきます

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堂内の「正覚寺由来記」


ふくよかで柔和な表情の「大日如来坐像」

現在のご本尊「木造大日如来坐像」(12世紀。奈良県指定重要文化財)は、像高152.0cm、半丈六の大きな坐像です。桧の寄木造で、智拳印を結び、右足を結跏趺坐した堂々たるお姿。お堂へ入った瞬間に、思わず「おぉっ!」と声が出てしまうほどの迫力でした!

十市町正覚寺の大日さまは、地区内にある「十市御縣坐神社」(とおちみあがたにますじんじゃ)の神宮寺であった藤楽寺に祀られていたもの。明治元年、廃仏毀釈のため、客仏としてこちらに移されました。

平安時代の末期(12世紀)の作とのことで、衣紋の掘り方なども浅めで上品。穏やかで柔らかな印象です。お顔はふっくらとしています。一般的な大日如来像は、もう少し細身で、しかも小さめなものが多く、やや神経質そうなイメージがあります。

しかし、この方の表情といい、恰幅といい、まるで阿弥陀さまのようにおおらかなんですよね。素晴らしいですね!


正覚寺@橿原市十市町-05

十市町正覚寺の「大日如来坐像」(県指定重文)。小さめのお堂の中央に、像高152cmという大きな大日さまがいらっしゃる姿は、本当に迫力がありました!

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ふくよかで優しい表情をなさっています。これほどの大きな尊像が、廃仏毀釈の際にほぼ無傷でここに移されたのですから、この地区の方たちの信仰心の篤さが偲ばれます

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大日さまの脇には、とても美しい宝冠が置いてありました

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下から見上げると、大日さまの肉髻と天井が近く、宝冠が天井に当たってしまうのだとか。いつか頭上に宝冠を抱いた姿も拝見してみたいですね!

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堂内に掲示してあった「奈良県文化財指定書」


美しい阿弥陀如来坐像。明王像なども

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向かって右手には、旧本尊の「阿弥陀如来坐像」(室町時代)と、大威徳明王像が祀られています

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大きな大日さまにセンターを譲っていらっしゃいますが、こちらの阿弥陀さまも素晴らしいですね。微笑んでいらっしゃるような優しい表情です。蓮華座の造りも見事!

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お隣の「大威徳明王像」。詳細は不明です。牛に乗った明王像で、頭が6つ、腕も脚も6本という、多面多臂多脚のお姿です。不思議なお姿はインパクトがありますね

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ご本尊に向かって左手には、役行者像や明王像などがいらっしゃいます。この奥にも、小さな厨子入りの大威徳明王像がおわしますが、実際に弓を引いている勇壮な姿です

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弘法大師さまや十一面観音さまなど。奈良のお寺らしく役行者像もいらっしゃいました

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パネルが展示してあった「木造天部立像」(10世紀)

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こちらは「木造地蔵菩薩立像」(9世紀後半)。いずれも十市町正覚寺の所蔵で、橿原市の指定文化財。現在は奈良国立博物館へ寄託されており、なら仏像館などでお会いできます。この地域屈指の古仏が遺るすごいお寺さんなのです!


地域の方を護り、地域の方に守られた仏さま

この日はゴールデンウィークの祝日でしたが、拝観のお願いをした私たちのために、わざわざ地区の方たちがお堂を開けてくださって、丁寧に説明までしていただけます。地域の方たちがこのお寺を大切に守り、皆さんの誇りに思っていることが伝わってきます。皆さんが笑顔で仏さまが掲載された資料を探してくださったりして、本当にありがたかったです。

このご時世、お堂を管理し続けるのも大変だと思いますが、「仏さまに会いに来てもらって、喜んでもらうことが嬉しい」とはっきりとおっしゃっていました。

十市町正覚寺は、ご住職もいらっしゃらない無住のお寺です。事前に拝観予約が必要なため、お手間をとらせて申し訳ない……という気分にもなりますが、十市町の方たちの自慢の仏さまですから、ぜひ気軽にお詣りしてください!


正覚寺@橿原市十市町-19

お堂を拝見した後、世話役さんにもともと大日さまがいらっしゃった「十市御縣座神社」(参考サイト)までご案内いただきました。ここの神宮寺であった藤楽寺に祀られていたのですが、すでにその痕跡はありません。ちなみに、大和国六御縣神社(天皇に献上する野菜を栽培する土地に祀られた神社)の一座として創建された、歴史ある式内大社です。歴史の長さがすごい!



■正覚寺

HP: 参考サイト(かしはら探訪ナビ)
住所: 奈良県橿原市十市町1007-1
電話: 0744-47-1315(橿原市生涯学習部文化財課)
本尊: 大日如来(重要文化財)
創建: 不明
開基: 不明
拝観料: 志納
駐車場: わずかにスペースあり
アクセス: 近鉄橿原線「新ノ口」駅から徒歩約20分

※拝観をご希望の方は、事前に電話予約が必要です。まずは「橿原市生涯学習部文化財課(0744-47-1315)」に電話して、日時の希望などをお伝えして、管理人さんへ連絡を入れてもらいましょう


■参考にさせていただきました

十市町・正覚寺、半丈六の大日如来像 | 念彼観音力 ―タイガースカフェの仏像・巡礼ブログ―
正覚寺(奈良県橿原市十市町)―地域を守る穏やかでおおらかな大日如来 祇是未在
奈良県 ・ 正覚寺「奈良の奥深さを思い知る大日如来の巻き」 : ひたすら仏像拝観










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