天理・桜井「巨大古墳群見学ツアー」!
2月11日は「建国記念日」。この日は「橿原神宮」に日本全国から右翼系の街宣車が集まってきて、とても壮観な風景が見られるそうです。特に思想的なこだわりは持たない私も、以前からその様子は見てみたいと思っていたのですが、この日は断念。また来年のお楽しみにとっておくとして・・・。
2日前の大雪がまるでウソのように、スッキリと晴れ渡った一日でしたので、トレッキング気分で、これまで立ち寄る機会の無かった天理市の巨大古墳群の見物に行ってみました。
「山の辺の道」を歩くという企画も魅力的なんですが、それはもっと季節のいい時期にとっておくとして、自家用車で古墳群をハシゴしてみます。行く先は『箸墓古墳』『景行天皇陵』『崇神天皇陵』『黒塚古墳』で、建国記念日に相応しい企画になったかもしれません(笑)
卑弥呼のお墓なのか?『箸墓古墳』
まずは、この一帯の古墳群の最も南側(桜井市になります)の『箸墓古墳(はしはかこふん)』から。
ここは3世紀半ば頃に作られた前方後円墳で、「箸中古墳群」の中心的な存在として知られています。埋葬者は、第7代の孝霊天皇の皇女「倭迹迹日百襲姫命大市(やまとととひももそひめのみことおおいち)」さんとされていますが、こここそが卑弥呼の墓だとする説もあり、考古学ファンの間でも熱い議論が交わされているのだとか。
3世紀ごろの日本の状況は詳しくは分かりませんが、確かに全長278mという巨大な古墳に埋葬されるのですから、身分の高い方なのでしょう。
ただし、ここは宮内庁の管轄ですので、外周を歩くことはできますが、古墳には立ち入り禁止。どこの古墳でもそうですが、正面に鳥居があるくらいで、古墳自体はうっそうとした森になっているだけです。正直、私のような予備知識の無い人間にとってはそれほど楽しいものではないので、「うわぁー、デカイなー」以外の言葉が見つかりませんでした(笑)
奈良県桜井市にある「箸墓古墳」。第7代の孝霊天皇の皇女「倭迹迹日百襲姫命大市墓(やまとととひももそひめのみことおおいちのはか)」とされていますが、卑弥呼の墓という説も有力視されてきているそうです
「大市墓」の文字が。宮内庁の管轄ですから、立ち入りは禁止。木々がうっそうと生い茂っているだけです
箸墓古墳の北側。池になっていますが、この日は水が干上がっていました。前方後円墳のくびれが少しだけ分かります
昭和54年ごろの箸墓古墳の航空写真(東が上)。全長は278m、高さ30m、本当に見事な前方後円墳で、鍵穴の形に見えます
スケール感が掴みにくい『景行天皇陵』
箸墓古墳から少し北上すると、すぐに天理市に入ります。国道169号線を500mも進めば、右手にはこんもりとした巨大な森『景行天皇陵』が見えてきます。この辺りはどの古墳も距離が近く、車で動くよりも歩いた方が気楽な感じです。
「景行天皇(けいこうてんのう)」は12代の天皇で、あの「日本武尊(やまとたけるのみこと)」のお父上! まだ歴史と神話が完全に分離していない1世紀ごろの天皇ですので、詳しいことは不明なのだそうです。古事記に「御陵は山邊の道上にあり」という記述があり、この「渋谷向山古墳」がそれとされているのだとか。
実際に見る『景行天皇陵』は、全長300mの前方後円墳ですが、正面から見るとそのスケール感が伝わってこないんですよね。鳥居があってお堀があって・・・と、いかにも天皇の陵墓らしい作りではあります。
天理市の「景行天皇陵」。第12代の景行天皇の陵墓です。全長300mの前方後円墳で、古墳としては「渋谷向山古墳」となります
景行天皇陵前。ちょっとした駐車場とベンチがあって、山の辺の道を歩くハイカーの休憩所にもなっています
景行天皇陵のお堀。周囲をグルリと周ることも出来そうでしたが、この日は遠慮しておきました(笑)
昭和60年ごろの航空写真(東が上)。向かって右手が「景行天皇陵」、左手が「崇神天皇陵」。その下に見えるのが「黒塚古墳」です。どれも本当に大きい!
美しい巨大陵墓!『崇神天皇陵』
景行天皇陵から、わずか500mほど北の位置にあるのが『崇神天皇陵』です。
この「崇神天皇(すじんてんのう)」」は、10代の天皇で、何と紀元前の方!それ以前の天皇に関しては実在を疑問視する見方もあるそうですが、崇神天皇はほぼ実在を確実視されているのだそうです。また、初代天皇の神武天皇と同一人物とする説もあり、様々な推測がされています。
その陵墓(柳本行燈山古墳)は全長242m、景行天皇陵と比較するとやや小さめですが、比較的、周囲の見晴らしがいいため、その大きな姿を眺めることができます。近くには「天理市トレイルセンター」もあり、そこを拠点としたハイカーも多く訪れています。また、手前側にも別の古墳のような丘が見えたり、すぐ裏側に櫛山古墳があったりと、地形的にも面白いですね。この日に見て周った古墳群の中でも、一番楽しめました。
天理市の「崇神天皇陵」。景行天皇陵からも程近く、遠目からでも目立つ巨大古墳です
第10代天皇の「崇神天皇陵」。全長242mの前方後円墳で、古墳としての名称は「柳本行燈山古墳」。崇神天皇は実在が確実視されている方で、初代天皇の神武天皇と同一人物だとする説もあるのだとか
石段を上りきったところ。玉砂利もしっかりと掃き清められていました
崇神天皇陵のお堀。ここも野鳥がいっぱいで、その写真撮影に来ている方もいっぱい
『黒塚古墳』は展示館が休館日!?
古墳ツアーのラストは『黒塚古墳(くろつかこふん)』。3世紀後半から4世紀の、全長132mの中規模古墳ですが、1997年から行われた発掘調査で、「三角縁神獣鏡」33面と「画文帯神獣鏡」1面が発見されたことで、一躍有名になりました。
ここは古墳自体が公園として整備されていて、その頂上まで上ることが出来るのですが、それなりに景色も良く、天気のいい日は気持ちいいですね。これだけ身近に古墳がある生活というのも悪くないのかもしれません(笑)
また、古墳に隣接した位置に、竪穴式の石室の実物大模型などが展示された「天理市立黒塚古墳展示館」があります。放映中のドラマ「鹿男、あをによし」のロケ地としても登場していたので、ぜひ一度行っておきたかったのですが・・・、この日は何と休館日!
パンフレットなどには「休館日 - 毎週月曜日(祝日の場合は翌日)・祝日」と書いてありますが、施設入口には「月曜日が祝日の場合は月火とお休み」との張り紙がありました。入館料も無料の市営施設ですから文句を言えた筋合いじゃありませんが、皆さん、ご注意ください!
崇神天皇陵などからも近い「黒塚古墳」。、全長130m、高さ11mの中規模古墳で、「三角縁神獣鏡」33面と「画文帯神獣鏡」1面が当時のまま発見されたことで有名になりました
他の古墳などとは違い、ここは古墳の上にも上れるようになっています。目の前にはちょっとした公園もあり、子供たちのいい遊び場でしょう
古墳の頂上の様子。説明のパネルと、石室をのあった位置には石がはめられています
古墳に隣接して建てられた「天理市立黒塚古墳展示館」。入館料は無料。貴重な資料も展示されているそうですが、この日は(祝日なのに)休館日でした!
黒塚古墳の駐車場は、169号線沿いのサークルKの裏。ちょっと変わったところにあります。大きな目印もありませんので、慣れない方は迷うかも・・・
※ 2008/03/07 追記
後から「黒塚古墳展示館」に入館してみました。その模様は別のエントリでご覧ください。
古墳見物を楽しむには予習が必要!
一気に4ヶ所の古墳を周ってみたのですが、人のお墓なんですから当然のことなんですが、やはり基本的にはどれも地味ですね~(笑)
私も以前はそうだったのですが、旅行者の方などは「これだけ有名な天皇のお墓(または有名な古墳)なんだから、きっと面白いに違いない!」と思いがちです。最初は奈良県民の古墳に対するクールさに驚いたものでした。しかし、奈良に住んでみると、本当に古墳が当たり前のように存在していますし、特に目新しい展示物があったりするワケでもありません。事前にガイドブックを調べておくくらいしておかないと、それほど楽しめないかもしれません。
しかし、古代史に興味がある方には楽しいでしょう。名だたる天皇が埋葬されていて、まだ誰が眠っているのか分からないような巨大な古墳も沢山あるんです。他県に生まれ育った人間にとっては、それだけで驚くべきことなんですよね。私も次回からは、もう少しマトモに予習してから出かけたいと思います!
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※記事中で使用した航空写真は、国土交通省の「国土情報ウェブマッピングシステム」の画像データを使用しています