ダルマだらけの「勝運の寺」!『勝尾寺』@箕面
大阪府箕面市にある、西国三十三所の第23番札所『勝尾寺』。こちらのご本尊で、普段はご開帳されていない「十一面千手観世音菩薩」が、「3月1日-3日」の短い期間だけ公開されるということで、お会いしてきました。
『勝尾寺』の縁起とは
『勝尾寺(かつおうじ)』の創建は727年のこと。藤原致房の子供である、双子の兄弟「善仲・善算」が草庵を築いたことが始まりとされています。
後に、光仁天皇の皇子「開成」が2人に師事して仏門に入り、勝尾寺の前身である弥勒寺を創建。数年後に、妙観が本尊の「十一面千手観世音菩薩」を制作したと伝えられています。
源平の乱の戦禍によって、大講堂や伽藍などは焼失しましたが、1195年、源頼朝の命により再建されました。
当初は、清和天皇の病気平癒の祈祷を行ったことから、「王に勝つ寺」として「勝王寺」の寺号を賜りましたが、あまりにも畏れ多いということで『勝尾寺』を名乗り、その故事から「勝運の寺」として信仰を集めています。
現在は、西国三十三所の第23番札所となっており、多数の参拝客によって賑わっています。
山の中に現れる、今風の豪華なお寺!
その『勝尾寺(応頂寺)』ですが、普段はご開帳されていないご本尊に会えるということで、この日は何台もの観光バスが押し寄せてきていて、大混雑でした!
私は大阪府箕面市には初めて来たのですが、かなり標高の高いところにあるんですね。3月になって、奈良でもだいぶ暖かくなってきていたというのに、まだ普通に「蝋梅」が咲いていましたし、粉雪が舞うほどの寒さでした。
また、1999年に本堂の改修が終わったばかりとのことでしたが、拝観受付の建物が妙に豪華だったり、地下駐車場(!)まで完備されていたり、お寺全体が今風な感じがするのも面白かったです。
勝尾寺の「山門」。両脇は広々とした池になっています。箕面市の山深いところにある山寺で、境内も広々としています。そして、標高が高いため、かなり寒い!当たり前のように粉雪が降ってきたりしていました
大きな池と、そこに浮かぶ「弁天堂」。境内は、遅咲きの桜が見られるそうで、下界の桜が散った頃に満開の時を迎えるのだとか。きっと見事な光景でしょう
境内の内側から見た、拝観受付とお食事処が一緒になった建物。あまりにもキレイすぎて、まるでゴルフ場みたいです(笑)
勝尾寺の石段。広々としていて、ややアップダウンがあります。真正面に「多宝塔」が見えるのがいいですね
お城のような見事な石垣ですね。上に少しだけ見えているのが「鐘楼」で、その奥には「本堂」があります。それほどきつくはありませんが、それなりに石段も多いので、歩く覚悟をしておいた方がいいでしょう
献酒奉納者の名前がありましたが、その中に「西川きよし・ヘレン」ご夫妻の名前も見えます。勝運のお寺だけに、熱心に奉納している方も沢山いらっしゃるんでしょうね
石段を上りきったところには、「勝ちダルマ」を奉納する棚が。溢れんばかりのダルマさんたちが並んでいて、かなりの迫力でした!
ご本尊は通常は公開されていません
ダルマを眺めながら石段を上っていくと、朱色が鮮やかな「本堂」が見えてきます。この日はとにかくもの凄い人出で(ご朱印をいただくのに30分近く待ったくらいです)、かなり騒々しい雰囲気でした。
そして、普段は公開されていないご本尊の「十一面千手観世音菩薩像」ともお会いしてきましたが、平安期の仏像らしく像高「147cm」の堂々とした雰囲気でした。手は42本タイプのようですし、光背もそれほど凝ったものではありませんでしたので、それほど特徴的なものではありません。
靴を持って、本堂の内部にまで入れるようになっていたのですが、やはり少し近づくだけでも、外から見る感覚とは全く違うんですよね。目の前で僧侶の方が読経している中で正面に座ってみると、吸い込まれるような不思議な感覚に襲われます。
このご本尊さまは、「秘仏というワケではないけれど、普段は公開されていない」という、ややこしいことになっているようですので、今回のご開帳を逃した方でも、またいつかお会いできるチャンスがあるかもしれませんね。
少し遠目から見た「本堂」。その前には、ものすごい人数の団体さんが列を作っていました。本堂の真向かいにあるのは、お土産屋さん(=ダルマ屋さん)です。この配置はかなり珍しいですね(笑)
勝尾寺の「本堂」。1603年に豊臣秀頼によって再建されたもの。平成に入って大改修が行われ、1999年に修復が終了したそうです。まだ真新しい感じが伝わってきますね
本堂の屋根部分。まだ朱色が美しく輝いています。トーンが明るすぎるようにも思えますが、山の緑の中にあると見事に映えるんですよね
本堂の目の前にある売店の様子。とにかく「ダルマ」「勝」「運」というようなキーワードのものがズラリ!
法然上人が修業した「二階堂」なども
境内がかなり広いため、本堂の周囲には様々なお堂が立ち並んでいます。建築物としては、失礼ながら、それほど楽しめるほどのものではありませんでしたが、
・日本最初の荒神社とされる「三宝荒神社」
・法然上人が4年間修業した「二階堂」
などもありますので、ぜひ丹念に見て周ってください。
右手に見えるのが「薬師堂」。境内の奥まったところにあり、正面の石段を上がっていくと奥の院のようなところに続く山道になるそうです。さすがに、この日は遠慮しておきました・・・
日本最初の荒神社とされる「三宝荒神社」。見た目は小さなお堂ですが、厄除けの神さまで、祈り続けていたら白髪が黒髪となったなどの言い伝えも残っているそうです
本堂脇にある「大師堂」。真言宗の開祖「弘法大師」様を祀っているお堂ですので、ゆかりの深い四国八十八ヶ所のお砂ふみができるようになっています
本堂近くにあった観音様(水子供養のものっぽい)は、観音様が手に持った水瓶から水が落ちるタイプの手水舎になっています。奈良ではなかなか見かけない、かなり現代的なパターンですね
本堂上の高い位置にあるお堂「二階堂」。浄土宗の開祖「法然上人」が住んで修業したお堂だそうです!・・・ただし、坂道がキツいためか、あまり観光客からの人気がなく、ヒッソリしていました
高い位置に建っている「多宝塔」。1987年に修復されたものだそうです。各面には3つずつの干支が彫られていました。お天気も良くなってきて、とても美しく見えました!
境内のいたるところに「勝ダルマ」が!
勝尾寺で最も面白かったのが、いたるところにある「ダルマ」です!
「勝運の寺」として知られている勝尾寺は、岩の上・瓦の上・石灯籠の中など、必勝祈願の「勝ダルマ」が多数置かれています。本当にそこら中にありますので、見ているだけでかなり楽しいんですよね。
自然の中にポツンと小さなダルマが置かれてある姿なんて、他では決して見ることはできないでしょう。
当山仏法の祈願力には時の朝廷の権力も及ばなかった事から、王に勝つ寺「勝王寺」と清和帝が号した。依って源氏・足利氏等各時代の覇者達が当山に勝ち運を祈り、以来人生全てに「勝つ」として勝ち運信仰の歴史をたどっている。試験・病気・選挙・スポーツ・芸事・商売等あらゆる勝負の勝ち運、成功、いわゆるサクセスの願い事に勝尾寺の「勝ダルマ」を授かり己に勝って勝運をつかんだ人々の数は、計り知れない。「己の弱さに勝つ!」の精神が、当山の勝運信仰と融合し、不屈の精神「七転び八起き」のシンボルであるダルマを己と見なし、それらを授かるダルマ信仰へと推移していったのである。
「勝尾寺」ホームページより引用
こんな由来があるそうですので、勝負事がお好きな方に限らず、何らかの「必勝」を祈願して、ダルマを奉納してみるのもいいかもしれません。
また、勝尾寺は、桜・シャクナゲ、そして紅葉の名所となっているそうですので、ぜひ時期を合わせて行ってみてください。「花とダルマ」の構図なんて、かなり面白そうですからね!
ダルマ、ダルマ、ダルマ!みんな両目が入っていますから、願いが叶った方のお宅から来たダルマさんばかりなんでしょう。楽しい風習ですよね
境内を歩いていると、何気ない岩に上にも沢山のダルマが。いたるところにいらっしゃいます
小さな滝の両脇にも、ダルマが勢ぞろい。ものすごくシュールです!
本堂前の線香台。幼児体型の邪鬼の横には、もちろん沢山のダルマさんたちがいらっしゃいました
背の低い塀の瓦の上にも、ダルマがズラリ!よく見ると、なかなか味のある顔をしてますね
勝尾寺でいただいたご朱印です
■勝尾寺(応頂山)
HP: http://www.katsuo-ji-temple.or.jp/
住所: 大阪府箕面市粟生間谷2914-1
電話: 072-721-7010
宗派: 高野山真言宗
本尊: 十一面千手観世音菩薩
創建: 727年
開基: 善仲、善算
拝観料: 400円
拝観時間: 8:00-17:00(土曜は17:30、日祝は18:00まで)
駐車場: 有料駐車場あり(500円)
アクセス: 阪急「北千里駅」「箕面駅」から車で約15分
※西国三十三所の第23番札所