名品ずらり!『高野山の名宝』@あべのハルカス美術館
大阪・天王寺「あべのハルカス美術館」で開催中の『高野山開創1200年記念 高野山の名宝』(2015年1月23日~3月8日)。運慶「八大童子」が勢ぞろいしたり、快慶「孔雀妙像坐像」や、空海の書「聾瞽指帰」が展示されたり、素晴らしい内容でした。仏像や仏教美術がお好きな方であれば必ず満足できるでしょう!ぜひ!
超高層ビルで仏教美術の粋を拝見!
60階建て・高さ300mの超高層ビル「あべのハルカス」(Wikipedia)。その16階に位置する美術館が『あべのハルカス美術館』です。
現在、あべのハルカス美術館では、「高野山開創1200年記念 高野山の名宝」が開催中です(2015年1月23日~3月8日)。
2015年は、弘法大師空海が高野山を開創してから1200年の節目の年に当たり、さまざまな法要が催されます(詳しくは「高野山開創1200年記念大法会(Facebookページ)などをご覧ください)。
今回の展覧会は、これを記念して企画された大規模なもので、特に仏像好きな方であれば見逃せない内容となっています!
超高層ビルの16階にある『あべのハルカス美術館』。近鉄「大阪阿部野橋駅」、JR「天王寺駅」からすぐで便利!展望スペース「ハルカス300」へもこの階から入場します
美術館の入口部分。運慶作の国宝「八大童子」が勢ぞろいするなど、本当に豪華な内容です。赤いゲートをくぐった右手に、100円リターン式のコインロッカーがあります。この日は平日の午後でしたが、なかなかの賑わいっぷり。混みすぎて見づらいというほどでもなく、快適に拝観できました
大仏師・運慶作「八大童子」が勢ぞろい!
「高野山開創1200年記念 高野山の名宝」のチラシ。リアルな表情の八大童子がずらりと並び、迫力がありますね!2014年秋には東京・サントリー美術館で開催され、その会期を終えて、大阪・あべのハルカス美術館へ巡回してきました
チラシは見開きになっています。注目は、偉大な仏師・快慶作「孔雀妙像坐像」と「執金剛神立像」(ともに重文)。また、書の達人とされた空海真筆の書「聾瞽指帰(ろうこしいき)」(国宝)、高野山開山の伝承を描いた「高野大師行状図絵」(重文)など、貴重な品々がずらり!
チラシ裏表紙。こちらも快慶作の「四天王立像」(重文)が掲載されています。端正な作風の快慶ですが、そればかりではないことがよく伝わってきます。見惚れますね!
快慶作「孔雀明王坐像」も圧巻でした
「高野山開創1200年記念 高野山の名宝」は、第一章「大師の生涯と高野山」、第二章「高野山の密教諸尊」、第三章「多様な信仰と宝物」の3部構成になっています。
運慶・快慶の、鎌倉時代を代表する偉大な仏師の仏像が間近に拝見できるのが素晴らしいですね。また絵図や書など、展示のバランスも良く、本当に楽しく拝見できました。
思ったことだけメモ的に記しておきます。
●運慶作の「八大童子」(国宝)は、やはり素晴らしいですね。彼らは8体で一つのチームなんですが、全員そろって登場する機会は少なく、「高野山 霊宝館」でも見られません。私も初めて拝見しました。童子らしい柔らかなか線と、力強い衣紋表現の対比がすごいです。
●八大童子のうち、2体(指徳(しとく)童子・阿耨達(あのくた)童子)は、南北朝時代に作り直されたもので、運慶の像とはかなり作風が違うのが残念。また、東京では周囲をぐるりと周って観ることが出来たようですが、大阪ではガラス内の展示で正面からのみでした。仕方ないことですが、これも残念でした。
●一室を占領して堂々と展示されていた、快慶作の「孔雀明王坐像」(重文)。像高235.2cmもある大きな像で、間近で観ると「こんなに大きかったのか!」と驚きます。金色の羽毛が丹念に描かれ、光背も羽根をかたどったもの。仏さまも4臂(手が4本)。大きな異形像ですが、まったく違和感などなく、見事な造形になっています。今回の展示の中でもっとも感動しました!
●室町~江戸時代ごろに描かれた「弘法大師入定図」(展示は2月15日まで)。弘法大師空海は、現在も高野山奥之院で生き続けているとされますが、この絵は奥之院の小さな庵に入り、座して静かに入定を迎える姿を描いています。脱いだ履物が揃えられておらず、何かを象徴しているんでしょう。こんな図像があるとはまったく知りませんでした!
●高野山の境内図、独鈷杵や五鈷杵などの金剛杖類、後醍醐天皇の御手印が入った「金剛峯寺根本縁起」(この書の存在によって、後々まで高野山の土地の所領が認められたのだとか)など、興味深い展示も多かったです
ロビーに仏具や「なで三鈷杵」の展示も
ロビーには「こうやくん」も看板も。ここは無料エリアですので誰でも一緒に記念撮影できますね。また、充実したミュージアムショップもあり、ここも展覧会に入場しなくても誰でもお買い物ができます
平安時代の「両界曼荼羅図」(重文)の複製がかけられ、その前に鎮壇具なども展示されていました。つい先日、ここでお経に旋律をつけて唱える「声明(しょうみょう)」のライブがあったとか
ガラス越しですが、今も使用されている仏具を、こんなに至近距離でジロジロと眺められる機会はなかなかありません!美しく荘厳です!
唐の国から弘法大師が三鈷杵を投げると、紫雲に乗って、高野山御影堂の前の松の枝にかかっていたという言い伝えがあります。これはそれから型を起こした「吉野蔵王三鈷杵」。実際に触れられる大きな「なで三鈷杵」です
2015年は楽しみな企画が続きます
あべのハルカス美術館では、2015年もとても興味深い企画展が続きます。いただいてきたチラシでご紹介しておきます。
「川喜田半泥子物語 ─その芸術的生涯─」
次の企画展は「川喜田半泥子物語 ─その芸術的生涯─」(2015年3月17日~5月10日)。銀行の頭取でありながら作陶に没頭し、障害をアマチュアで過ごした半泥子の作品が観られます!
2015年夏は、あべのハルカス美術館 開館1周年記念「昔も今も、こんぴらさん。」(2015年5月22日~7月12日)。讃岐の金比羅宮から、円山応挙「遊虎図」、伊藤若冲「花丸図」、近代の洋画家・高橋由一「豆腐」などが登場!
その次は、「生誕100周年 トーベ・ヤンソン展 ~ムーミンと生きる~」(2015年7月25日~9月27日)。ムーミンのシリーズを筆頭に、油彩画やイラストなども展示されるとか。楽しみですね!
■あべのハルカス美術館
HP: http://www.aham.jp/
住所: 大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階
電話: 06-4399-9050
休館日: 月曜日(祝日の場合は開館)
開館時間: 10:00 - 20:00(土日祝は 18:00まで)
■高野山開創1200年記念 高野山の名宝
HP: http://koyasan2014.jp/
開催期間: 2015年 1月23日(金)~ 3月8日(日)
休館日: 月曜(3月24日、4月28日、5月5日は開館。18時まで)
料金: 一般 1,300円、大学・高校生 900円、中学・小学生 500円
■参考にさせていただきました
高野山開創1200年記念大法会トップページ
【Facebook】高野山開創1200年記念大法会
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