あべのハルカス美術館 開館記念特別展『東大寺』@大阪市
高さ300mの超高層ビルの16階に『あべのハルカス美術館』がオープンしました。開館記念特別展は『 東大寺』。オープンに華を添えるように「誕生釈迦仏立像」(国宝)が出迎えてくれるなど、国宝4件、重要文化財20件が展示されています。想像以上に豪華な内容ですので、ぜひご覧ください!
日本一高い超高層ビル「あべのハルカス」
2014年3月7日に全面開業した「あべのハルカス」(Wikipedia)。60階建て・高さ300mで、国内では東京スカイツリー・東京タワーに次ぐ高さを誇る「日本一高い超高層ビル」です。
その16階に『あべのハルカス美術館』があり、3月22日にオープンしました。
奈良と繋がりの深い近畿日本鉄道さんの事業だけに、そのオープニングを飾る企画も『開館記念特別展 東大寺』です!国宝4件・重要文化財20件を含む、東大寺の至宝約70件が登場するという圧巻の内容で、ここが大阪で、しかも高層ビルの中であることを忘れてしまいそうな迫力でした。
ついに全面オープンとなった「あべのハルカス」。近鉄「大阪阿部野橋駅」、JR「天王寺駅」からすぐで、私のような奈良中部に住む人間にとってはとても身近です。見上げて撮影している方がたくさんいらっしゃいました
16階に「あべのハルカス美術館」がオープン
『あべのハルカス美術館 開館記念特別展 東大寺』ですが、想像していた以上に充実していました。
実はこの日は、本来は休館日に当たる月曜日の特別開館日だったため、閉館時間が18時までとやや早めでした。入館したのは17時ごろで、1時間もあれば十分かと油断していたのですが、とんでもない。丁寧に見ようと思えば2時間は必要でしょう。最後はかなり駆け足になってしまいました。
あべのハルカス美術館は、平日は20時まで開館していますが、土日祝は18時閉館となっていますので、お気をつけください。
『あべのハルカス美術館』は16階にあります。最上階の展望台への入場口も、同じ16階にあります。怖いくらいの超高速エレベーターで一気にのぼります
さすが開館記念特別展。素晴らしい内容でした!
『あべのハルカス美術館 開館記念特別展 東大寺』では、国宝4件、重要文化財20件など、貴重な寺宝が多数登場しています。
第一章は、東大寺創建にかかわる品々を集めた「東大寺創建と東大寺の伝説」。
第二章は、東大寺の華厳教学に基いて制作された作品を集めた「教学復興」。
第三章は、戦火からの復興をささえた重源・公慶の時代の「復興の歴史」。
時代を追って仏像や図画が展示されていて、とても分かりやすいですね。
●新しい美術館の誕生にちなんだ「誕生釈迦仏立像・灌仏盤」(国宝)が出迎えてくれます。お釈迦様の誕生日とされる「4月8日」には、東大寺でもそれをお祝いする「仏生会」(または「灌仏会」とも)が催されますが、今年のお誕生日は大阪で過ごされるんですね(笑)
●おおらかな体躯と表情で「試みの大仏」として知られる「木造弥勒仏坐像」(重文)、聖武天皇・菩提遷那・行基・良弁の四聖を描いた「絹本著色四聖御影(永和本)」(重文)など、会場に入った途端に圧倒されます。
●仏像関連では、リアルな描写の「木造重源上人坐像」(国宝)や、快慶作の美しい尊像「木造地蔵菩薩立像」(重文)など、普段はお会いできない仏さまと、間近に対面できるのがいいです。
●江戸時代の「行基菩薩坐像」「実忠和尚坐像」「弘法大師坐像」「聖宝僧正坐像」「公慶上人坐像」、鎌倉時代の「鑑真和上坐像」など、なかなかお会いできない貴重な僧像が展示されていたのも貴重です。
●大きなアフロヘア的な髪型が特徴の「五劫思惟阿弥陀如来坐像」。ユーモラスでおおらかな雰囲気の姿形の像も展示されています。また、4月15日からは、奈良市・五劫院(紹介記事)の五劫思惟阿弥陀さまも登場するとか!きっと2躯並んでの展示になるんでしょうね。楽しみ過ぎます!
●華厳経の教えを掛け軸に描いた「絹本著色華厳海会善知識曼荼羅図」、良弁僧正の伝説を描いて伽藍復興の勧進の際に使用した絵巻「紙本著色執金剛神縁起」、江戸時代の大仏殿の復興の民衆の熱狂を描いた「大仏殿虹梁木曳図」など、絵図もすごい!
●個人的にお寺の古い境内図が大好きなので、江戸時代の東大寺周辺の巨大な地図「寺中寺外惣絵図」が面白かったです。会期中の展示換えで「東大寺境内絵図」なども登場するとか。また、展示の最後に近鉄さん所蔵の「ならめい志よゑづ」などの古い図が見られたのも良かったです!
正直なところ、『東大寺ミュージアム』と展示内容がほぼ同じなのでは……などと思っていたのですが、とんでもなかったです。改めて東大寺というお寺の歴史の奥深さを感じました。
また、大阪の真ん中の、地上からはるか高いフロアで、奈良の仏さまたちにお会いできるというのも、本当に不思議な感じがして面白かったですね。なかなか出来ない貴重な体験でした!
あべのハルカス美術館 開館記念特別展『東大寺』のパンフレットや展示リストなど。新たな美術館の誕生を祝う企画ですから、メインビジュアルはもちろんお釈迦さまが生まれた時の姿をあらわした「誕生釈迦仏立像」です!
東大寺展の出品目録(PDF版はこちら)。第四期まであり、展示替えも多めです
ミュージアムショップ(ブログがあります)で購入してきた「五劫思惟阿弥陀如来坐像」のオリジナルクリアファイル(手前。見やすいように紙を挟みました)。奥の黄色いタイプは以前に東大寺で購入したもの。自分がここまで五劫思惟阿弥陀さまが好きだったとは!
■あべのハルカス美術館 開館記念特別展 東大寺
HP: http://todaiji2014.jp/
開催期間: 2014年 3月22日(土)~ 5月18日(日)
休館日: 月曜(3月24日、4月28日、5月5日は開館。18時まで)
料金: 一般-1,300円、大学・高校生-900円、中学・小学生-500円
大人気の展望台「ハルカス300」も注目です
あべのハルカス美術館では、東大寺展の後も「ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション」「デュフィ展」「新印象派 光と色のドラマ」「高野山開創1200年記念 高野山の名宝」と、年間パスを発売して欲しいほどの気合の入った企画展が続きます。詳しくは「これからの展覧会」ページをご覧ください
あべのハルカス美術館のある16階は、屋上の展望台「ハルカス300」の受付もあります。16階のあたりでも相当高いですが、やはり60階ともなるとまったく景色が違うんでしょうね
なお、オープン間もないハルカス300への入場チケットはとても貴重で、「3月31日までは当日入場券が無い」というくらいです。4月以降は入りやすくなるかもしれません
16階から降りるエレベーターからの眺め。それなりに高いです。ガラス張りなので、私のような高所恐怖症にはかなり怖いです!
夜のあべのハルカス
■あべのハルカス美術館
HP: http://www.aham.jp/
住所: 大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階
電話: 06-4399-9050
休館日: 月曜日(祝日の場合は開館)
開館時間: 10:00 - 20:00(土日祝は 18:00まで)
■参考にさせていただきました
東大寺展が開幕 大阪・あべのハルカス美術館開館記念:朝日新聞デジタル
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