2009-11-09

モダンお前立ちと花の寺『三室戸寺』@京都府宇治市

モダンな仏様が待つ花の寺『三室戸寺』@京都府宇治市

西国三十三所の秘仏ご開帳巡りのため、京都府宇治市にある十番札所『三室戸寺』へ行ってきました。

こちらにお参りするのは初めてでしたが、美しい建築物あり、素敵な仏さまあり、見事な庭園あり・・・と、本当にいいお寺でした!


皇室との縁が深い「花の寺」です

京都府宇治市にある、西国三十三所の第十番札所『三室戸寺』(みむろとじ)は、山号を「明星山」といいます。

創建は770年のこと。宮中に金色の光が差すの見た光仁天皇が、この光の源を調べるようにと、右少弁犬養に命じました。その光をたどっていくと、宇治川の支流・志津川の渓流で一尺二寸の小さな金銅の観音像を発見したのです。これを喜んだ天皇は、この地に離宮を設け、大安寺の僧・行表(ぎょうひょう)を招く、像を本尊として「御室戸寺」を開きました。

この像は秘仏として祀られましたが、805年、桓武天皇がこれを開扉。白檀でできた千手観音菩薩像を造立し、もとの像を胎内に納め、平安京鎮護の寺としました。

その後、西国観音巡礼を復活させた花山法皇もここに離宮を設け、三条天皇、白河天皇、堀河天皇が諸堂を建立するなど、皇室とのゆかりも深く、三帝が離宮を設けたことから寺の名前を「御室戸寺」から「三室戸寺」へと改めました。

しかし、1462年に食堂から出火。火は全山を焼き尽くし、堂塔が全て失われてしまいます。ご本尊を納めた白檀の像も焼けてしまいましたが、ご本尊はかろうじて無事でした。後に復興した伽藍も、戦国時代には室町幕府側の足利義昭に加勢したため織田信長に焼かれ、今の諸堂は江戸時代になってから再建されたものとなります。

境内に四季折々の花が咲き誇る「花の寺」としても有名で、春には桜・ツツジ・シャクナゲ、初夏にはアジサイ・ハスなどが見られます。


「平等院」から程近くにあります

三室戸寺は、世界遺産「平等院」から程近い、京都府宇治市内のお寺です。周囲は山に囲まれていますが、参道はそれほど長くも急でもありませんので、移動は楽でした。

この日は、秘仏の御本尊の「84年ぶり(!)」の御開帳期間(2009年11月末まで)ということもあり、次から次へと観光バスが到着するような状況で、境内は大賑わいでした。


三室戸寺@京都府宇治市-01

京都府宇治市にある『三室戸寺』。770年創建の古刹です。すぐ近くには有名な世界遺産『平等院』がありますが、三室戸寺は四季折々の花が楽しめる「花の寺」としても有名なお寺です

三室戸寺@京都府宇治市-02
駐車場からすぐに建つ「山門」。山間のお寺ですが、それほど歩く距離は長くありません。庭園・塔・仏像と、京都の寺院の魅力を十分に感じられるお寺でした

三室戸寺@京都府宇治市-08
三室戸寺の縁起を記した看板。古くから皇室とのゆかりの深いお寺であることが説明してあります。平安時代の重要文化財クラスの仏さまもいらっしゃいます

三室戸寺@京都府宇治市-04
三室戸寺の本堂前の石段。それほど長いものではありません。境内はところどころ紅葉が始まっていました

三室戸寺@京都府宇治市-06
石段を上がってすぐのところにある「手水舎」。これも蓮型でしょうか。台座のところに小さなお不動さんがいらっしゃいました

三室戸寺@京都府宇治市-23
石段を上がると左手に納経所・売店などがあります。この日はたくさんの参拝客の方がいらっしゃっていました


重厚な本堂にはモダンな仏さまが!

三室戸寺の「本堂」は、1814年の再建です。重層の入母屋造となっていて、とても重厚な雰囲気がありました。本堂前には、100種類・250鉢の蓮(ハス)が並び、夏の開花シーズンになると、見事な光景となるのだそうです。

もちろん、84年ぶりの御開帳となったご本尊「千手観音菩薩像」も拝見してきましたが(内々陣特別拝観は別途500円)、「一尺二寸」と伝わってきたように、わずか30cm強の小さな金銅像です。千手観音でありながら腕は2本で、お寺の縁起などから飛鳥時代のものではないかと推測されるそうです。

小さくて古い金銅仏だけに、裾の作りなどがシンプルに簡略化されていて、それがかえってモダンな雰囲気に見えるから不思議でした。

このご本尊の姿を模して、まだ金箔がまばゆい「お前立ち」が作られたのですが、小像のデザインをそのまま大きくしたため、とても不思議な魅力がありました。もっと細かく衣紋などを刻み込めるだけのサイズでありながら、ご本尊に従ってあえてそれをしていないところがいいんです。被り物もロールプレイングゲームの「神官」のようなデザインに見えて、どことなく西洋的な雰囲気です。

「秘仏のご本尊よりもお前立ちに惹かれる」という、ちょっと不思議な経験をしましたが、これも両者を見比べたから言えることでしょう。小さいながらも美しいご本尊にお会いできて良かったです!

なお、ご本尊の周辺には、お不動さんや閻魔さんなどもいらっしゃいまが、内々陣がかなり薄暗いため、よく見えませんでした。今回の特別御開帳の様子は、三室戸寺ホームページにも画像入りで掲載されていますので、ぜひそちらもご覧ください。


三室戸寺@京都府宇治市-09

本堂前の様子。250個・100種類というハスの大きな鉢が並んでいます。これだけの数になると、夏にはさぞ見事な眺めになるんでしょうね

三室戸寺@京都府宇治市-11
三室戸寺の「本堂」。1814年の再建で、2層になっている「重層入母屋造」という形式です。堂々とした重厚な建物ですね。この日は御本尊の御開帳日でしたが、これは何と「84年ぶり」のこと!貴重な体験をさせていただきました

三室戸寺@京都府宇治市-13
本堂前の軒。見事な彫刻とアーチです。江戸時代に再建された建物ですが、かなり手の込んだ豪勢な作りになっていました

三室戸寺@京都府宇治市-15
三室戸寺の御開帳ポスター。写真に写っているのがお前立ちで、84年ぶりの御開帳となった御本尊は、一尺二寸という小さな金銅仏でした。その姿に似せて大きなお前立ちを作ったため、どこかモダンデザインの洋風観音様になってますね


霊宝館にいらっしゃる「足裏観音」とは

三室戸寺の本堂の隣に建つ「霊宝館(拝観料300円)」。案内看板によると「拝観日:毎月17日」とありましたが、この日はご本尊の御開帳に合わせた特別拝観が行われていて、お寺の関係者の方が、大きな声で「霊宝館には『足裏観音さま』がいらっしゃいます!」というような呼び込みをされていました。

この霊宝館には、重要文化財の指定を受けた仏さまが並んでいますが、「足裏観音さま」とは、中央にいらっしゃる「木造阿弥陀如来像及び両脇侍座像(藤原時代作・重文)」の、脇侍「観音菩薩」「勢至菩薩」のこと。

このお二方は、何と正座をしている(正しくはひざまずいている姿。「跪坐」といいます)仏さまで、しかも蓮弁の部分がクルクルと回転して後姿から足の裏が見える・・・という珍しい方たちなのです!

私などが見れば、「長い間ずっと正座していたら足が痺れて大変だろうな」なんて下衆なことを考えてしまいますが、仏さまは涼しげな表情をされていましたので、きっと平気なんでしょうね(笑)

またこの他にも、像高154cmの清涼寺式の「釈迦如来立像(重文)」もいらっしゃいました。京都・嵯峨の清涼寺のご本尊「三国伝来のお釈迦さま」と呼ばれる、ドレープが多めの釈迦如来像は、たくさんの模刻像が造られており、全国におよそ100体が現存しているそうですが、その中でも最古のものなのだそうです(1098年のもの)。やや派手目で漫画チックなお顔立ちの仏さまでした!


三室戸寺@京都府宇治市-16

本堂の隣に建つ「霊宝館」(拝観料300円)。重要文化財の仏さまも並び、面白かったです。この日は秋の特別拝観ということで公開されていましたが、看板には「拝観日:毎月17日」とありましたので、拝観希望の方はご注意ください


勝運祈願「宝勝牛」や美しい「三重塔」

三室戸寺の境内はそれほど広くありませんが、重要文化財の「十八神社」や、親鸞上人の父・日野有範卿を弔った「阿弥陀堂」などがあります。

境内の端には、非常にバランスがとれて美しい「三重塔」が立っていて、色づき始めた紅葉との相まって、本当に美しい光景が見られました。


三室戸寺@京都府宇治市-12

本堂前にある勝運祈願の「宝勝牛」。あるお百姓さんの飼っていた弱々しい牛が、観音さまのご利益で地域一番の牛との戦い勝ち、その賞金をもとに牛の仲買人として成功した。そんな故事があるのだとか。隣の手形は、元横綱の貴乃花・若乃花のものでした!

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本堂裏の少し高い位置にある「十八神社」。一番奥側の「本殿」は室町時代のもので、重要文化財に指定されています

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手前に立つのが「阿弥陀堂」。小さなお堂ですが、案内によると親鸞上人の父「日野有範卿」を弔ったものなのだそうです。残念ながら、お堂の内部は拝見できませんでした

三室戸寺@京都府宇治市-19
京都府の文化財に登録されている「鐘楼」の、堂々とした釣鐘

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三室戸寺の境内に立つ銀杏の巨木。鮮やかに黄色く色づいていました

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三室戸寺の「三重塔」。1704年建立の美しい塔で、もとは兵庫県の高蔵寺にあったものを、明治時代に移築したのだそうです。それほど大きくはありませんが、バランスがいいですね。遠目からの姿も見事でした

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南天と三重塔。紅葉のピークになるとさらに美しいでしょう


ざひ春の花の季節に合わせてどうぞ!

また、三室戸寺は大規模な「花の寺」としても知られています。

池泉回遊式庭園と石庭があるほか、4~5月「シャクナゲ(1,000本)」、5月「ツツジ(20,000本)」、6月「アジサイ(10,000株)」、7月「ハス(250鉢)」が、さらに春の桜や秋の紅葉も見事なのだそうです。

建物も美しく、貴重な仏さまもいらっしゃって、花も楽しめる。色々と見どころの多いお寺ですので、宇治市までいらっしゃった際には、平等院と一緒に周ってみるだけの価値はあると思います!


三室戸寺@京都府宇治市-03

参道の脇には広がる庭園の一部。手前がアジサイで、奥にはツツジが見えます。規模も大きいですし、お手入れも完璧。花の盛りの季節には、さぞ見事な眺めになることでしょう!

三室戸寺@京都府宇治市-25
参道の途中にある「三室戸寺庭園」の入口。広さは5千坪!池泉回遊式庭園と石庭があり、ツツジ・アジサイ・シャクナゲなどが植えられています

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三室戸寺の「石庭」。紅葉も始まっていて、とても美しい眺めでした。このお庭は、作庭家・中根金作氏によって1989年に竣工したもの。まだ比較的新しいお庭ですね

三室戸寺@京都府宇治市-27
お庭もほんの少しだけ紅葉していました

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こちらは池泉回遊式庭園。それほど広いワケではありませんが、よく手入れされた美しいお庭です。庭園内での飲食は禁止されていますのでご注意ください

三室戸寺-ご朱印
三室戸寺でいただいたご朱印です。力強い書ですが、何て書いてあるんでしょうか?



大きな地図で見る


■明星山 三室戸寺

HP: http://www.mimurotoji.com/
住所: 京都府宇治市莵道滋賀谷21
電話: 0774-21-2067
宗派: 本山修験宗
本尊: 千手観音
創建: 770年
開基: 行表禅師、光仁天皇(勅願)
拝観料: 500円(霊宝館は別途300円)
拝観時間: 夏期 8:30-16:30、冬季 8:30-16:00
駐車場: 有料駐車場あり(500円)
アクセス: 京阪電車宇治線「三室戸駅」下車、徒歩15分

※秘仏御本尊の特別御開帳は「2009年11月末まで」です






 【モダンお前立ちと花の寺『三室戸寺』@京都府宇治市】へのコメント
たぬき  09-11-18 22:21

御朱印は、くずれていますが「本殿」かな?このお寺、雰囲気が好きです。これからも何度も訪れようと思っています^^

naka  09-11-18 23:21

>たぬきさん

あ、確かに「本殿」って読めるかも。それなら、十一面観音さんですから「大悲閣」でいいんじゃないかと思っちゃいますが、やっぱりその場で質問してくるべきですね(笑)

たぬきさんがお好きなお寺と聞いていたので、私も期待して伺ったんですが、確かに素敵なお寺でした。奈良からも比較的近いですし、平等院と一緒のコースにしてまた行ってみたいと思います!

東本願寺  09-12-04 22:39

本堂は江戸中期以降の典型ですよね。
粉河寺本堂や紀三井寺本堂みたいに向拝がデカイ。

naka  09-12-05 1:46

>東本願寺さん

コメントありがとうございます!

三室戸寺の本堂も、ズッシリと重厚で、細部までしっかりと手が込んでいて、華美になり過ぎない。本当にいい時代のいいお堂ですよね。改めて粉河寺の本堂の画像などと見比べてみると、共通点が多いんですね。確かにどちらも向拝がデカいですし(笑)
http://small-life.com/archives/08/10/2020.php

重層になっているお堂は、仏さまに大して精一杯の敬意を払っているような気がして、個人的にも大好きなんです。

東本願寺  09-12-05 16:48

私も重層好きです^^
根来寺の大伝法堂は、板敷きの高い天井で面白かったです。
この三室戸寺本堂は内部は高い天井なのでしょうか?
このお寺はまだ行けてないんです。
平等院へ行った時は、万福寺の方へ行きました。

naka  09-12-06 0:00

>東本願寺さん

重層のお堂はいいですよね!
根来寺の大伝法堂みたいな、天井がドーンと抜けたものならなお良しですね。ただ、大伝法堂はお堂が広すぎて、3mオーバーの仏さまでも小さく見えてしまうのが難点ですが(笑)

三室戸寺の本堂は、(もうすでに記憶が薄れてきてますが・・・)内陣だけ高く抜けている形だったと思います。あまり「突き抜けた感」はありませんでした。それでも素敵なお寺ですので、ぜひ行ってみてください!

匿名  09-12-06 7:51

おお、抜けてるんですね!
ということは、板敷きで天井高し・・・・もしかして畳敷きで天井高し?
私はまだ「畳敷き+高天井」のコンビのお堂は知らないんですよ。

naka  09-12-06 12:48

>匿名さん

あ、ごめんなさい。あんまり自信ないです(笑)

天井絵もそれほど印象がないですし、かといって「天井高っ!」って印象も無いので、ひょっとしたら地味な天井板があったのかも・・・。





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