2010-05-17

カフェ気分!女人裸形阿弥陀仏の寺『璉珹寺』@奈良市

カフェ気分!女人裸形阿弥陀仏の寺『璉珹寺』@奈良市

「女性で裸の阿弥陀さま」という珍しい御本尊を祀るお寺『璉珹寺(れんじょうじ)』へ行ってきました。こちらは、一般公開は5月のみ(2010年は10月も公開)のため、お邪魔するのは初めてでしたが、奈良らしいゆったりとした時間が流れるいいお寺さんでした!


元は紀氏の氏寺「紀寺」でした

奈良市の中心部から少しだけ外れた西紀寺町にある『璉珹寺(れんじょうじ)』。とにかく難しい漢字を使うため、ネット上では「璉じょう寺」「蓮城寺」などと表記されるケースも見受けられます。

今は規模も小さくなっていますが、創建は天平年間、聖武天皇の勅願により、行基菩薩が開基した古刹です。昔は「紀寺(きでら)」と呼ばれており、紀有常が伽藍を建立したとされるように、紀氏(紀貫之など)の氏寺として栄えていました。


璉じょう寺@奈良市-01

奈良市紀寺にある小さなお寺『璉珹寺(れんじょうじ)』さん。通常は非公開の御本尊・阿弥陀如来立像が毎年5月の1ヶ月間公開されます。2010年だけは、特別に10月の1ヶ月間も公開されることが決定しています

璉じょう寺@奈良市-06
璉珹寺の境内にいらっしゃったお地蔵様。素朴でどこにでもいらっしゃりそうなお地蔵さんですが、本当にお寺の雰囲気に合っていました


御本尊は、女性で裸で真っ白い阿弥陀さま

璉珹寺の御本尊は、お寺さんが「女人裸形阿弥陀仏」と書いているように、女性の、しかも上半身は裸(下半身は袴姿)の、そして全身が真っ白いという、ちょっと変わった「阿弥陀如来立像(県指定重要文化財)」です。

伺ったお話では、このような裸の仏さまというのは、鎌倉時代に数多く作られたそうですが、現存しているのは50数体のみで、そのほとんどがお地蔵さまとなるため(伝香寺のはだか地蔵尊などが有名です)、裸の阿弥陀さまは珍しいのだとか。

ちなみに、ガイドさんのお話では、「奈良町のとこかのお寺に『裸の弘法大師像』がある」とのことでした。ブログ「日々ほぼ好日」さんによると、高御門町の「西光院」にいらっしゃるそうです。残念ながら非公開のようですが、こちらも機会があればぜひ観てみたいですね!

写真集などでは何度もお会いしていた女人裸形阿弥陀仏さまですが、光明皇后をモデルとして作られたとされているだけに、確かに女性らしいたおやかな雰囲気のあるお方です。ただし、テレビの画面などで観て思っていたよりは、色は白くありませんでした

※仏さまのお姿はこのページで見られます。

間近で拝見して驚いたのが、指と指の間の水かきのような部分「縵網(まんもう)」が広いことですね。仏さまは衆中を漏らさず救うためにこの膜が広がっているといいますが、これまで拝見したどの仏さまよりも立派な縵網相でした。また、雲形の台座部分の立体感も素晴らしかったですね!

さらに、御本尊の両脇侍である、観音菩薩立像・勢至菩薩立像(いずれも重文)も素晴らしいんです!特に観音菩薩立像は、奈良時代末期から平安初期の作とされ、体の曲線が美しい美仏でした。

さらに、その隣には片足を軽く組んだ「地蔵菩薩座像」もいらっしゃいます。こちらは制作年代などは不明ですが、凛々しい表情の美しいお地蔵さまでした。璉珹寺の主役とは言えないかもしれませんが、ちゃんと写真も販売されていましたので、きっとファンの方が多いのでしょう!


璉じょう寺@奈良市-05

2つ目の門の前には「秘仏開扉 女人裸形阿弥陀仏」との文字が見えます。仏さまを女性だと言い切ってしまうのも珍しいですし、裸の阿弥陀さまというのも珍しいですね!

璉じょう寺@奈良市-07
璉珹寺の本堂。それほど大きな建物ではありません。中央に御本尊の女人裸形阿弥陀仏さまがいらっしゃり、脇には観音菩薩・勢至菩薩がいらっしゃる阿弥陀三尊像形式です。白い肌の御本尊も美しいのですが、脇侍の両像(重文)も素晴らしいお姿でした!

璉じょう寺@奈良市-08
本堂に向かって左手には、渡り廊下で繋がったお座敷があります。ここでお茶をいただくことも出来ますので、ゆったりとした奈良時間を過ごしてみてください。手前に見る仏さまは、戦死者慰霊のために建立された観音像です

璉じょう寺@奈良市-09
本堂の裏手の和室では、金子みすゞさんの木版画展も開催されていました。お寺さんの本堂裏のお部屋に入る機会などなかなかありませんので、ちょっとワクワクしますね

璉じょう寺@奈良市-10
大きな仏画と、その横のケースに展示されているのは、御本尊の女人裸形阿弥陀仏さまが履いていた袴。50年に一度だけ儀式が行われ、1998年に履き替えられたものです。この儀式は、仏さまの周囲を白い幕で覆い、未婚の女性が行うことになっているのだそうです

璉じょう寺@奈良市-11
渡り廊下の一角に設けられた販売コーナー。御本尊に両脇侍、そして美形の地蔵菩薩座像など、それぞれのお写真が販売されていました。御朱印もあらかじめ書いてある別紙のものをいただくシステムです


お茶を飲みながらゆったりできます

璉珹寺の本堂脇には、短い渡り廊下でつながった、風情のあるお座敷席があります。ここでお茶とお菓子のセット(@200円)をいただきながら寛げるのですが、ゆったりとした素敵な時間が過ごせました。

お庭はそれほど広くありませんが、吹き抜ける風が心地よく、思わず肩の力を抜いてほっこりとしてしまいますね。他の大きなお寺のように騒々しくなったりしないと思いますし、言い方は良くないかもしれませんが、「奈良市内でも有数のリラックスできるカフェ」のような気分でした!

璉珹寺の一般公開は、毎年5月の1ヶ月間のみですが、2010年は10月も公開されます。どちらもとてもいい季節ですので、必ずまたお邪魔したいと思います。


璉じょう寺@奈良市-12

璉珹寺のお座敷席。ここで、お茶プラスお菓子のセット(@200円)がいただけます。着物が飾ってあったり、奈良本が置いてあったり、お庭が眺められたり。奈良市内でも有数の居心地のいいカフェだと思います!

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お座敷席を別アングルから

璉じょう寺@奈良市-14
中庭側を眺めたところ。縁側部分にも席が設けてあるのがいいですね

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お菓子はこんな紙の器に入れられていました。璉珹寺さんのネーム入り湯のみもいいですね。お茶は、ほうじ茶・びわ茶・しょうが茶の3種類。しょうが茶はややキツめの味でしたが、びわ茶はまろやかで美味しかったです!

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茶卓と観音さま。本当にのんびりとくつろげるお寺さんでした!

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奈良出身の映画監督・河瀬直美さんの書が飾ってありました。「まごころ」という文字が、どこか人の顔にも見えます


境内には色とりどりの花々が

また、璉珹寺は「花のお寺」としても知られており、ニオイバンマツリ、オオヤマレンゲなどが見られるそうです。門の脇や、本堂の隅にもちょっとしたお花がいけてあったりしますので、お花好きな方もぜひ行ってみてください。


璉じょう寺@奈良市-19

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璉じょう寺-ご朱印
璉珹寺でいただいた御朱印です。「白色阿弥陀佛」という、他ではまず見られないものですね



大きな地図で見る


■璉珹寺(紀寺)

HP: 参考サイト(平城遷都1300年祭)
住所: 奈良県奈良市西紀寺町45
電話: 0742-22-4887
宗派: 浄土真宗遣迎院派
本尊: 阿弥陀如来立像(県指定重要文化財)
創建: 天平年間
開基: 行基菩薩(聖武天皇 勅願)
拝観料: 400円
拝観時間: 9:00 - 16:00
駐車場: 数台分あり
アクセス: JR・近鉄奈良駅から市内循環バス(外回り)「紀寺町」下車、徒歩2分

※御本尊・阿弥陀如来立像は通常は秘仏になっており、毎年5月中のみの公開。2010年は、平城遷都1300年祭に合わせて、10月の1ヶ月間も特別に公開されます






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