刀剣や鎧など国宝がずらり!『国宝殿』@春日大社
春日大社の神宝を展示する施設『春日大社国宝殿』がリニューアルしました。平安~南北朝時代の刀剣や鎧、工芸品など、多数の神宝を所有しているだけに、見ごたえのある展示になっています。アート風の展示「神垣」、カフェショップ「鹿音(KAON)」も登場するなど、とても充実した内容でした!
1階には巨大な「鼉太鼓」を展示
20年に一度の、社殿の新調・修復事業「第六十次 式年造替(しきねんぞうたい)」が行われている『春日大社』。2014年からさまざま神事や特別公開などが催されてきましたが、いよいよ2016年11月6日の「本殿遷座祭(正遷宮)」でクライマックスを迎えます。
式年造替に合わせて、春日大社の神宝を展示する施設も改装され、10月1日より『春日大社 国宝殿』(旧称は宝物殿)としてリニューアルされました。
春日大社は、国宝352点、重要文化財971点を所有しており、平安時代の宝物が多いことからも「平安の正倉院」などと呼ばれることもあるとか。
今回のリニューアルでは、貴重な文化財を展示するのみではなく、現代的な技術を使って聖地を表現した展示室「神垣(かみがき)」や、カフェ・ショップ「鹿音(KAON)」が新設されるなど、まさに一新しています!
春日大社へ向かって参道を進むと、左手に『春日大社 国宝殿』が現れます。施設の前のトイレも新しくなり、きれいなカフェやお土産ショップも登場しました。以前はこのあたりまで来るとやや閑散としていましたが、これからは人の流れも増えるでしょう
『春日大社 国宝殿』の正面より。鹿たちもお出迎えしてくれます。
入館すると真っ先に、薄暗い展示室「神垣(かみがき)」へ進みます。床面と天井などに水の波紋が広がる「神名備(かんなび)」、糸状のものに光がほのかな像を結ぶ「春日」が見られます。どちらも厳かな現代アート風で面白かったです!
館内1階のフロア「鼉太鼓(だだいこ)ホール」では、高さ6.5mもある日本最大の鼉太鼓が展示されています。実際に例祭「春日若宮おん祭」で使用されるもので、これを展示するためにわざわざホールの床面を掘り下げているのだとか。奥には春日大社のさまざまな映像が見られるモニターも設置されています
この鼉太鼓ホールのみ、写真撮影が許されています(2階の展示物などは撮影禁止)。鼉太鼓は日と月で一対になっています。1976年に作り直したものなので、まだ色鮮やかで美しいですね。間近からまじまじと見つめていると、頭がクラクラしてきました(笑)
裏側から眺めることも。建物の正面は格子状になっていて、外の光が差し込みます。入館しなくても外から鼉太鼓を眺められる親切設計です!
開館記念展「春日大社の国宝」は圧巻!
『春日大社 国宝殿』では、2階部分に「大展示室」「小展示室」があり、ここでさまざまな企画展示が行われます。
現在は、春日大社国宝殿開館記念展「春日大社の国宝」が開催されています(2016年10月1日~11月27日)。タイトルに偽りはなく、甲冑や刀剣などを中心に、美しい工芸品など、「国宝41点、重文4点」が一挙に展示されています!
館内の照明は薄暗く落とされ、ガラスも反射の少ないとても見やすいものを使用していますので、まったく鑑賞のストレスはありません。さすがは最新ですね。騒々しい館内放送などもありませんので、ゆったりと宝物と向き合えます。
私はこの方面の知識は皆無ですが、とにかく甲冑類と刀剣類の充実度がすごかったです。
ガラスケースに入った2つの国宝の鎧「赤糸威大鎧」と「黒韋威矢筈札胴丸」(前後期で展示変えあり)が並んでいたり、平安から南北朝時代の刀剣がずらりと並ぶ展示も圧巻でした!
柄の部分がほぼ純金製だったと判明して話題になっていた国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」(参考:「国宝の金地螺鈿毛抜形太刀、極めて高純度の金を使用:朝日新聞デジタル」)なども展示されていて、まじまじと観察できます。本当に豪華な内容ですので、
御神木のテーブルもある『鹿音』
春日大社国宝殿の建物には、新たにカフェ・ショップ『鹿音(KAON)』もオープンしました(営業時間は10時~17時)。奥はカフェスペースになっていて、ちょっとしたお菓子類などもいただけます
入ってすぐ、明るいガラス窓に面したスペースには、巨大な杉のテーブル席も。これは春日大社の境内の「紀伊神社」の樹齢千年の三本杉の切り株を利用したもの。これまで大事に保存してあった切り株を、宮大工の伝統の技術でテーブルとして生まれ変わらせたのだとか!
別角度から。杉の切り株と組み合わさっている黒っぽい木は、春日大社境内に植わっていた天然記念物の「竹柏(なぎ)」の木。花山院宮司の「カフェの中にも春日の森を」というアイディアを実現したのだそうです。こういう姿に生まれ変わっても神性を感じます
せっかくですから、杉の切り株のテーブル席で、ソフトクリーム「大和茶-抹茶-」(@400円)をいただきました。トッピングの球状のものは、香川県でお祝いものとして親しまれている「おいり」(Wikipedia)というものだとか。中は空洞でさっと溶けます。小さなあられも振りかけてあって、見た目も華やか。ミルクも濃厚で美味しかったです!
ショップスペースにも、目新しいグッズがたくさん登場していました。注目は、猫をモチーフにしたもの。展示中の国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」の鞘の部分に描かれた「竹林で雀を追う猫」をデザイン化していて、かなりゆる可愛いです!展示されていた実物を見た後だときっと欲しくなるでしょう
さらに、オリジナルのマスキングテープやハンカチなども。鹿モチーフのものに加えて、猫モチーフも加わって、ますます幅広くなりましたね
和菓子類は、春日クーヘン「千年の響 鹿音」、神饌菓子ぶとの型から作った「春日詣」、バターを使用した西洋和菓子「奈良詣」など。他では買えないラインナップがそろっています
境内に暮らす猫たちもいます
猫が描かれた鞘や、それをモチーフにしたグッズなどを見て和んでいたら、春日大社国宝殿のすぐ脇のスペースに2匹の猫を発見しました。1匹はここの改修工事の前から居着いている名物猫なのだとか
エサをもらって脇目も振らずにお食事に熱中していました
参道沿いでは鹿たちものんびり
この日、春日大社の一之鳥居の塗り直しが終わって、ちょうど足場が解体されているところでした。鮮やかな朱色に戻って式年造替の完了を迎えます
参道脇の飛火野では、たくさんの鹿たちがのんびりと草を食んでいました。ずっと変わらない奈良の風景ですね
春日大社の参道を歩けば、可愛らしい鹿たちが近寄ってきます。みんなドングリが大好物なので、拾っていってあげると喜ばれますよ!
■春日大社
HP: http://www.kasugataisha.or.jp/
住所: 奈良県奈良市春日野町160
電話: 0742-22-7788
主祭神: 武甕槌命、経津主命、天児屋根命、比売神
創建: 768年
開門時間: 9:00 - 17:00(神苑)
入場料: 萬葉植物園 500円 など
駐車場: 有料駐車場あり
アクセス: 近鉄奈良線「奈良駅」から徒歩約25分。または、奈良交通バス「春日大社本殿行」で10~15分
■参考にさせていただきました
春日大社の国宝 : 春日大社第六十次式年造替奉祝行事実行委員会
国宝の金地螺鈿毛抜形太刀、極めて高純度の金を使用:朝日新聞デジタル
春日大社、新国宝殿に憩いのカフェ | Lmaga.jp
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