御蓋山遙拝所も!『御本殿特別参拝(新順路)』@春日大社
20年に一度の「式年造替」が進められている『春日大社』。御本殿のそばまで近づいてお詣りできる「特別参拝」に、期間限定の新順路が登場しました!「御蓋山浮雲峰の遥拝所からの参拝」「後殿御門内のお社の参拝」に加え、重文「藤浪之屋」での万燈会体験などもできます。神名備・御蓋山を拝することができて、背筋が伸びる思いでした!
式年造替が進む、紅葉に染まった春日大社
20年に一度の社殿の修築大事業「第六十次 式年造替(しきねんぞうたい)」が進められている、奈良市春日野町の『春日大社』。
この日は境内が徐々に色づいている最中で、たくさんの参拝者が美しい紅葉を愛でていました。平日の午後からお詣りに行ったのですが、いつも以上に賑やかでした。
春日大社「南門」前。まだ紅葉のピークにはやや早かったのですが、頭上は赤・黄・緑が混ざり合い、朱塗りの建物と見事なコントラストを魅せてくれました
南門の内側から。結構な混雑ぶりです。門前のイチョウが黄色く染まり、とてもきれいでした
本殿の前の「中門」は、現在修繕中のため全体が覆われています。式年造替が進められているため、春日大社の境内のあちこちで作業が進められています
聖なる「御蓋山」を浮雲峰遥拝所から参拝
伊勢神宮や出雲大社の「式年遷宮」が話題になりましたが、春日大社の「式年造替」はそれと同様の重要な制度で、春日大社の社殿や調度品などを一新する大掛かりなもの。
平成28年までかけて、「国宝の御本殿をはじめ、中門、御廊、移殿、幣殿、直会殿ほか10棟に及ぶ重要文化財指定建造物の保存修理と摂社、末社の御修理」を行っていきます(このページが分かりやすいです→「式年造替│Q&A」)。
式年造替の時期は、建物の修繕作業が進められますが、それと同時に特別公開なども積極的に行っています。
春日大社では、御本殿のそばまで近づいてお詣りできる「特別参拝」(初穂料500円)を受け付けていますが、2014年秋から「御本殿特別参拝(新順路)」として、これまで立ち入ることができなかったエリアにもお詣りさせていただけるのです!
■奈良県観光キャンペーン | 春日大社御本社特別参拝 期間限定 新順路
●禁足地の御蓋山浮雲峰遥拝所での参拝
●百四十年間閉ざされていた後殿御門内のお社の参拝
●重要文化財「藤浪之屋」での万燈会体験
・期間: 前期 2014年9月12日~12月20日、後期 2015年1月8日~3月20日
・料金: 初穂料500円
本殿の向かって右手、特別参拝入口(初穂料500円)から入場します。この参拝ルートは、基本的には常に利用できますが、現在は期間限定の「新順路」でお参りできます!
入って右手(東側)の回廊部分。普段は開いていない「影向門」が開扉され、禁足地とされているエリアへ立ち入ることができます
影向門をくぐって南側を見たところ。左手の森は、春には美しい「山藤」が咲き誇ります。普段は回廊越しに拝見していますが、その外側の神域に近い場所へ入れるというのは、とても貴重なことなのです!
そして、北側には「御蓋山浮雲峰」の遥拝所が設けられています。この鳥居は、御蓋山の山頂・浮雲峰から西に伸びる尾根線上に設置されたもので、特別に参拝が許可されました
御蓋山の遙拝所より。御蓋山は、鹿島神宮の神さまが白鹿の背中に乗ってここに鎮座したとされ、古来から聖なる山(神奈備)として崇められています。現在でも禁足地として入山が厳しく制限されています。こうして拝することができるなんて、感激しました!
御蓋山浮雲峰遥拝所の説明。「この遥拝所は、浮雲峰から春日大社の御本殿を通り、平城京大極殿まで続く神々様のお力が伝わる尾根線上にある。この尊い尾根線上から浮雲峰を遥拝ください。」
御蓋山といえば、百人一首にも収められた「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」安倍仲麿の歌で有名です。唐で重用され、日本への帰国が叶わなかった仲麻呂が、故郷の美しい御蓋山の姿を思い描いて詠んだ歌ですね(※現在の若草山との説もあります)
遥拝所の向かいにある築地。他は平安時代に回廊に改築されましたが、鬼門にあたる東北の角だけは、以前のまま板葺の築地塀のまま遺されたのだとか。特別参拝の時でないと気づかないポイントですね
140年も閉ざされた「後殿御門」が開扉
本殿前の「中門」はこの状況ですが、その裏側にまわると……
百四十年間ずっと閉ざされていたという「後殿御門」が開扉され、神聖なお社の様子が拝見できます!右手に屋根が見えているのが御本殿。白砂のお庭に五社の末社が鎮西しているそうです。真っ赤に染まった紅葉も見事で、聖域の清浄さでした
重文「藤浪之屋」では万燈会体験も
江戸時代まで神職の詰所だった「藤浪之屋」(重文)。ここを利用して、春日大社で年3回行われる「春日万燈籠」の神事を再現しています
やや傾斜のある細長い建物・藤浪之屋の中は、たくさんの美しい灯籠が吊るされていて、その間を歩けるようになっています!外の眩しい光もしっかりと遮断されていて、幽玄な灯りで包まれました
春日大社に奉納された灯籠は、およそ三千基。数が多いだけではなく、歴史的にもとても貴重なもので、現存する室町時代以前の燈籠の六割以上が春日大社にあるのだとか
2015年春は「国宝 御本殿特別公開」も!
春日大社では、式年造替に向けて、公式記念品の特設売店が開設されたり(参考「奈良)式年造替記念の特設売店を開設 春日大社:朝日新聞デジタル」)、萬葉植物園でのイルミネーションイベント『イルミ奈~ら』(紹介記事)が開催されたりしています。
平成27年になると、「国宝 御本殿特別公開」(2015年4月1日~5月31日)といった行事も控えています。20年に一度の大きな行事ですから、ぜひ注目してみてください!
パンフレット「春日大社 第六十次式年造替」より。来年春には「国宝 御本殿特別公開」(2015年4月1日~5月31日)も行われます!もちろん、神さまは他へお遷りになった状態での一般公開ですが、普段は中門からほんのわずかに拝見できるだけですから、今からとても楽しみにしています!
春日大社の参道でくつろぐ、神の使い・神鹿。可愛らしい「鹿みくじ」などもありますので、ぜひ春日大社へお参りください!
■春日大社
HP: http://www.kasugataisha.or.jp/
住所: 奈良県奈良市春日野町160
電話: 0742-22-7788
主祭神: 武甕槌命、経津主命、天児屋根命、比売神
創建: 768年
開門時間: 9:00 - 17:00(宝物殿・神苑)
入場料: 宝物殿 400円、萬葉植物園 500円 など
駐車場: 有料駐車場あり
アクセス: 近鉄奈良線「奈良駅」から徒歩約25分。または、奈良交通バス「春日大社本殿行」で10~15分
※「御本殿特別参拝(新順路)」は、前期:2014年9月12日~12月20日、後期:2015年1月8日~3月20日の期間に拝見できます。
■参考にさせていただきました
春日大社特集-春日大社御本社特別参拝が期間限定で新順路を公開- | 奈良県観光キャンペーン
世界遺産 春日大社 公式ホームページ/式年造替
春日大社第六十次式年造替奉祝行事実行委員会
奈良)式年造替記念の特設売店を開設 春日大社:朝日新聞デジタル
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