2011-12-17

春日若宮おん祭『遷幸の儀』を拝見しました@春日大社

春日若宮おん祭『遷幸の儀』を拝見しました@春日大社

春日若宮おん祭』で、17日0時に若宮神がお旅所へ移る儀式「遷幸の儀(せんこうのぎ)」を拝見してきました。極寒の深夜に執り行われる、まるで神代のような厳かな儀式は、とても神々しいものでした。


1136年から続く例祭「春日若宮おん祭」

春日若宮おん祭(かすがわかみやおんまつり)』とは、世界遺産「春日大社」の摂社「若宮」の祭礼です。

若宮の御祭神は「天押雲根命」(春日大社の第三殿「天児屋根命」、第四殿「比売神」の御子神)で、1003年に姿を現されました。1135年、時の関白・藤原忠通が、現在の春日大社本殿の南側に神殿を造営し、翌年の1136年から例祭おん祭が始まります。それ以来、大和一国を挙げるお祭りとして、870年以上も途切れること無く続けられています。

おん祭は、12月15日の「大宿所詣」から始まり、12月18日の「奉納相撲・後宴能」で終わります。メインとなるのは12月17日の一日です。この日の午前0時に、若宮本殿からお旅所へ移った若宮神のものに、時代装束を着た芸能集団が参じ(お渡り式)、次々と伝統芸能を奉納、若宮神は日付が変わる前にまた本殿へ戻られる、というのが大まかな流れになります(詳しくは
おん祭ホームページをご覧ください)。


遷幸之儀は、写真撮影・ライト・私語は禁止

おん祭は、15日~17日までの4日間あり、また17日はまる一日かけて様々な芸能が披露されるため、なかなかその全てを拝見することは難しいでしょう。私自身、毎年12月のこの時期は忙しいため、まだほとんど拝見したことが無く、昨年少しだけ雰囲気だけ感じてきた程度です。


今年は、一度その場に立ち会ってみたいと思っていた、17日午前0時から執り行われる、若宮神が若宮本殿を出てお旅所へ移る儀式「遷幸の儀(せんこうのぎ)」を拝見してきました。



 若宮神を本殿よりお旅所の行宮(あんぐう)へと深夜お遷しする行事であり、古来より神秘とされている。現在も参道は皆灯火を滅して謹慎し、参列する者も写真はもちろん、懐中電灯を点すことすら許されない。これらはすべて浄闇の中で執り行われることとなっている。神霊をお遷しするには、当祭においては大変古式の作法が伝えられ、榊の枝を以て神霊を十重二十重にお囲みして、お遷しするという他に例を見ないものである。全員が口々に間断なく「ヲー、ヲー」という警蹕(みさき)の声を発する。又、楽人たちが道楽(みちがく)の慶雲楽(きょううんらく)を奏で、お供をする。


説明にあるように、写真撮影どころか、ライトで照らすこともできず、私語も禁止です。静寂に包まれた闇の中を、ヲーヲーという低い唸り声が聞こえ、目の前を若宮神が通られる場面に立ち会うという、かなりストイックな経験になります。


おん祭「遷幸の儀」@春日大社-01

春日大社参道の一の鳥居前の交差点。16日23時ごろの様子です。極寒の深夜だというのに、周りにはたくさんの参拝客がいて、まるで大晦日のようです。しかし、一の鳥居の先はほぼ全ての灯りが消されていて、ほぼ真っ暗です。移動の際には小さなペンライトくらいを用意しておくと心強いかもしれません

おん祭「遷幸の儀」@春日大社-02
若宮神がお遷りになる直前の「お旅所」の様子一の鳥居と春日大社本殿の間にあります。正面の小さな建物がこの日一日、若宮神がお過ごしになる「行宮(あんぐう)」。その前で数々の神事が催されます。左右にある巨大な「?太鼓(だだいこ)」が迫力ですね

おん祭「遷幸の儀」@春日大社-03
暗くて何のことだか分からないと思いますが、参道の両脇に並んで春日大社本殿の方を見たところです。月明かりがある夜でしたが、二の鳥居の辺りに灯りが見える以外は真っ暗闇です。普段は鹿がのんびり歩いている参道ですが、この時だけは両脇にずらりと参拝客が並びます

おん祭「遷幸の儀」@春日大社-04
春日大社の信仰の姿に密着したNHKの番組「神々の森へのいざない ~春日大社・悠久の杜~」から。参道の両脇を大松明が先導し、火の粉を落としながら道を清めます。その後に従って、榊の枝で幾重にも囲まれた若宮神が目の前を通りすぎていきます。低いヲーヲーという警蹕声と、焚かれた沈香の香りが漂い、とても現代の日本とは思えないような、神代の儀式に立ち会っているような心持ちになります

(※この番組は再編集されて、「NHK-DVD神が降り立った森で~春日大社・祈りの記録~」というDVDとして発売されています。素晴らしい番組でしたので、興味のある方はぜひ。春日大社でも販売されています)


暗闇の中で五感が研ぎ澄まされるよう

この夜、おん祭の「遷幸之儀(せんこうのぎ)」と、それに引き続いてお旅所で行われる「暁祭(あかつきさい)」を拝見してきましたので、その感想を記しておきます。

第876回だった2011年のおん祭は、「東日本大震災・奥吉野熊野大水害復興祈願」として執り行われました。このため、例年とはやや内容が違っている部分もあるのでご注意ください。


●私たちが二之鳥居に到着したのが23時半ごろ。すでに参道の両脇にはたくさんの人が並んでいて、ニ之鳥居からは200メートルほど離れた位置になりました。より近くで見たい方は、さらに早い時間帯に並ぶべきでしょう。ちなみに、二之鳥居からお旅所までは約1kmほどの距離があります。

●写真撮影ができないので、並ぶ位置はそれほど関係ないと思っていたのですが、後から関係してきます。目の前を若宮さまが通り過ぎた後、参拝客はその後を順番についていって、引き続きお旅所で行われる儀式「暁祭」の会場へ入れますが、そこで前列で見られるか、後列になるかでは大きく変わってきます。人垣の後方にいると、背の低い方は何をやっているのか全く見えなかったようです。

●当然のことですが、12月の深夜のことですので、とにかく寒さが厳しいです。じっと待つだけの時間が発生しますので、最大限の防寒をして参列しましょう。

●遷幸の儀は、本当に神秘的で厳かな神事でした。静まり返った真っ暗な春日大社参道を、向こうから低い唸り声が聞こえてきます。若宮さまを取り囲む一団が通りすぎるのはあっという間ですが、五感が研ぎ澄まされ、荘厳さが肌感覚で伝わってくるようでした。本当に素晴らしい体験になりました。

●遷幸の儀の間は、写真撮影はもちろん、ライトで照らしたりすることも、私語も厳禁です。厳かな神事を台無しにしてしまうことがないようにしましょう。この日も、極寒の深夜だというのに遠くから赤ちゃんの泣き叫ぶ声が聞こえてきたりしました。また、泥酔した方の姿もありましたが、寒い中でじっと立っている時間が長いだけに、アルコールで一瞬だけ体を温めても逆効果になりかねません。景気づけにお酒を飲んでくるようなものではありませんのでご注意ください。

●この夜最後の「暁祭(あかつきさい)」は、若宮さまに朝の御饌をお供えしてから、神楽を奉納するというものです(午前2時まで)。遷幸の儀に並ぶところから考えると、寒い中で3時間近く過ごすことになります。途中でトイレに行くような余裕もありませんので、無理せずに早めに切り上げて帰宅するのもいいでしょう。

●私は、事前にNHKの番組「神々の森へのいざない ~春日大社・悠久の杜~」を観たり、春日大社で行われるおん祭の講座(詳しくはこちら)を受講していたため、より興味深く参拝できました。また、毎年この時期は、「春日大社 宝物殿」や奈良国立博物館」で、おん祭り関連の展示が行われます。せっかくですから、事前にこれらを見るなど、春日若宮おん祭の意味と成り立ちなどを調べておくと、より楽しめると思います。



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■春日大社

HP: http://www.kasugataisha.or.jp/
住所: 奈良県奈良市春日野町160
電話: 0742-22-7788
主祭神: 武甕槌命、経津主命、天児屋根命、比売神
創建: 768年
開門時間: 9:00 - 17:00(宝物殿・神苑)
入場料: 宝物殿 400円、萬葉植物園 500円 など
駐車場: 有料駐車場あり
アクセス: 近鉄奈良線「奈良駅」から徒歩約25分。または、奈良交通バス「春日大社本殿行」で10~15分


■参考にさせていただきました!

春日若宮おん祭 - Wikipedia
春日若宮おん祭  WEDGE Infinity(ウェッジ)
神道と香り - 春日大社・若宮おん祭「遷幸の儀(せんこうのぎ)」 - 【匂いの記憶@京都】


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