
萬葉植物園がLEDの灯りに包まれる『イルミ奈ーラ』@春日大社
万葉集で歌われた約300種の植物を植栽する「春日大社神苑 萬葉植物園」を会場として、初のイルミネーションイベント『イルミ奈ーラ』が開催中です(9月30日まで)。約80万個を使って園内を煌めかせ、鹿や藤の花、牛車などをモチーフにした作品もありました。スマホでもきれいに撮影できますので、ぜひ足を運んでみてください!
※2014/11/24 追記
2014年夏が来場者2万人を突破するなど好評だったことをうけて、2014年冬も開催になります(2014年11月22日~2015年2月22日)。
●夏よりもエリアを拡大
●LEDを約80万個から約100万個に増量
●鹿のイルミネーションは3頭から10頭以上に
●藤棚も増やし、蓄光石の演出を加える
など、内容もパワーアップしているそうです!
萬葉植物園で初のイルミネーションイベント
奈良市春日野町の世界遺産「春日大社」の参道沿いに、万葉集で歌われた約300種の植物を植栽する「春日大社神苑 萬葉植物園」という施設があります。
ここを会場として、2014年夏、初のイルミネーションイベント『イルミ奈ーラ』(Twitterは「@illuminara2」)が開催されています!
約3ha(9,000坪)の園内の一部を使用し、約80万個のLEDが輝く、かなり大規模なもの。春日大社の雰囲気に合わせて、藤の花や鹿、牛車などをモチーフにしたものもあります。今回が初開催ですので、あまり知名度はありませんが、さっさく拝見してきました。
『イルミ奈ーラ』のホームページより。開催期間は「2014年7月19日~9月30日」。恒例となった『なら燈花会』(8月5日~14日)や、『ライトアッププロムナードなら』(7月19日~9月30日)と合わせて、夏の夜の奈良を楽しめます
約80万個のLED!まばゆい灯りに包まれます
夜の春日大社参道を進むと、萬葉植物園の入口付近は、いつもよりもちょっと賑やかになっています。
私たちは萬葉植物園へ入るのは初めてでしたが、広々とした園内は、かなりみっちりとLEDの灯りで埋め尽くされていて、とても明るかったです。被写体が明るいので、スマホのカメラでも十分にきれいに写るのが楽しいですね。
夜だったので植えられている万葉の植物たちはほとんど見えませんでしたが、会津八一や折口信夫、島崎藤村の碑があったり、藤棚や花菖蒲園、椿園などもあるとか。真夏ですから、それほど花が咲いているとも思えませんが、いつか昼間にも来たいですね。
春日大社の参道。普段は夜は真っ暗ですが、両脇の溝に落ちたりしないように、緑のライトが灯されていました。カメラの設定の関係でやや灯り増量気味に写っています(笑)
「萬葉植物園」前のテントで料金を支払います。常にあるかは分かりませんが、入口のところで虫除けスプレーを貸してくれたのがありがたかったです(それほど蚊は多くありませんでしたが)
園内に入ると、まずは親子の鹿がお出迎えしてくれます。地面や頭上、いたるところにLEDが張り巡らしてあって華やかですね!ただ、BGMが雅な「雅楽」だったのは、雰囲気と合うような合わないような……
光りに包まれた小径を通って、園内を一周します。所要時間30分ちょっとくらいでしょうか
青い噴水。その向こうに紫とピンクの屏風。噴水はやや洋風な形のような気がしますが、貴族の生活的なイメージでしょう
こんな美しい灯りも。写真では分かりませんが、光が瞬いたり、規則的に点滅したり、色が変わっていったりするものもたくさんありました
池の中央の中ノ島がステージ(浮舞台)になっています。紫に照らされているのは、「臥龍のイチイガシ」と呼ばれる奈良市指定文化財の老巨樹。地に長く臥せるように延びているそうです。その下にある石「遥拝石」には、ただ一文字「神」と書かれています!
まばゆく輝く顔出しパネル。写真では潰れて写ってしまいましたが、ちゃんと衣装の形になっています。園内に3ヶ所くらい設置してありました
貴族たちの乗り物「牛車」をモチーフにした展示。天に登って行きそうなほど華やかで、「七夕の日、織姫はこんな車に乗ってきそう」と想像してしまいました!
周りの円形のライトは、少しずつ色合いを変えていきます。じっと見ていると吸い込まれそうでした
その奥に進むと、小さなお堂が見えてきます
これは「歌仙堂」といい、優れた万葉歌を遺した歌人・柿本人麻呂が神格化した「柿本人麿大人命」が祀られています。和歌の達人として崇められただけではなく、名前を「火止まる」と読んで火伏せ(火難除け)の神さまとしての信仰もあります
その先にあるキノコゾーン。なぜ巨大化したキノコがあるんでしょうか(笑)
春日大社の社紋は「藤」。樹齢800年という「砂ずりの藤」(紹介記事)も有名です。それをモチーフに、LEDで藤棚を再現しています!ちゃんと茎の部分を表す緑と、花の部分を表す紫がいい具合に混じって、見事なものでした
入場料は「式年造替」のお役に立ちます
この『イルミ奈ーラ』という企画は、園内にいた時間が実質40分ほど、入場料が大人1,000円です。ネットなどで「ちょっとお高い?」という意見も目にしたりします。
確かに、時間単位で考えたら安くはありませんが、園内ではかなりの枚数の写真を撮影してきましたから、「撮影枚数単位」で考えるとそれなりに納得できるかもしれませんね(笑)
なお、春日大社では、20年に一度の社殿の修築大事業『第六十次 式年造替(しきねんぞうたい)』が、平成27年・28年に執り行われます。
伊勢神宮や出雲大社の「式年遷宮」が話題になりましたが、それと同じくらいの大事業で、春日大社では建物の屋根の修理材となる「檜皮(ひわだ)」の寄進を募っています(1束 1,000円)。潤沢にご寄進が集まれば問題ありませんが、このご時世、そう簡単なことではないでしょう。
今回のようなイベントの入場料は、式年造替の費用に充てられます。「ちょっとお高いかな」と思ったとしても、その何割かは新しい社殿の檜皮の一部になって活かされますから、ある意味ではこうしたイベントに参加するのも、ご寄進の一形態とも言えます。
単にご寄進をするのはちょっと敷居が高いですが、こうした楽しみがあれば参加しやすいですからね。「お賽銭を奮発した」というくらいの気持ちでお出かけください!
「ライトアッププロムナードなら」も開催中
『イルミ奈ーラ』と同じ「7月19日~9月30日」の間、毎年恒例となった『ライトアッププロムナードなら』(紹介記事)が開催されています。
歴史的な建物などをライトアップするもので、奈良公園周辺(興福寺五重塔、春日大社一の鳥居、奈良国立博物館なら仏像館(本館)、浮見堂、猿沢池など)、平城宮跡、薬師寺といった、10ヶ所の建物が古都の夜空に浮かび上がります。
8月5日~14日の『なら燈花会』期間中もいいのですが、人が多くて騒々しいですから、その時期を外して巡ってみるのもいいですね。カメラ好きな方であれば、きっと楽しめるでしょう。
イルミ奈ーラの会場からは、春日大社一の鳥居・仏教美術資料研究センター・浮見堂などが近いですし、東大寺へ立ち寄ってみるのもいいですよ!
『ライトアッププロムナードなら』でライトアップされた「仏教美術資料研究センター」。1902年竣工の建築物で、とても美しい近代建築です。門の外側からでもこのくらい見えます
春日大社一の鳥居。ここは普段からずっとライトアップされています
奈良公園・鷺池(さぎいけ)に建てられた「浮見堂(うきみどう)」。風のない日は水面にその姿がはっきりと映ります
浮見堂をもう一枚。橋もわたれますし、中で座って夕涼みすることもできます。池の色んな角度から撮影したいですね
■イルミ奈ーラ(イルミナーラ)
HP: http://www.illumina-ra.com/
Twitter: @illuminara2
期間: 2014年 7月19日~9月30日(8月14・15日は休演)
時間: 18:00-21:30(入場は21時まで)
料金: 大人 1,000円、小人 500円、3歳以下 無料
会場: 春日大社神苑 萬葉植物園
住所: 奈良県奈良市春日野町160
電話: 090-6240-8495(イルミ奈~ら実行委員会事務局)
駐車場: 最寄りは「春日大社駐車場」(1日1,000円。イベント期間中は22時まで営業)
アクセス: 近鉄奈良駅から徒歩20分ほど
※2014年冬の追加開催が決定!「2014年11月22日~2015年2月22日」の期間です。