2011-05-22

役行者の生誕地の大トンドの寺『吉祥草寺』@御所市

役行者の生誕地の大トンドの寺『吉祥草寺』@御所市

御所市茅原の、修験道の開祖・役行者の生誕地に建つ古刹『吉祥草寺』へお詣りしてきました。お正月の「大トンド」が有名なお寺ですが、役行者関連の仏像・遺物なども多く、その時代に、またこの土地に興味がある人間にとっては特に興味深いお寺でした!


舒明天皇の創建、役小角の開基の古刹

御所市茅原の地に建つ『吉祥草寺(きっしょうそうじ)』は、修験道の開祖「役行者(えんのぎょうじゃ。または役小角)」の生誕の地であり、舒明天皇の創建、役小角の開基と伝わる古刹です。

大和盆地の南部に位置し、若き日の役小角が西にそびえる葛城山系で修行をしていたため、は、修験道の聖地となっています。



茅原山 吉祥草寺

当、茅原山吉祥草寺は、修験道の開祖「役ノ行者神変大菩薩御誕生(六三四年)の
霊地にして、第三十四代舒明天皇の創建、役小角の開基なり。」(続日本紀・大和図会などに詳しい。)

 当時、東西四キロ、南北五キロの境内には、本寺末寺四十九院を整え、茅原山金剛寿院吉祥草寺と勅称され、歴代天皇の祈願所として隆盛を極めたが、六七〇年・一三四九年の二度にわたり諸堂を焼失した。

 現存の本堂は一三九六年に再建されたものであり、現在講堂に安置される像は、これらの難を免れた佛たちで、本堂には、本尊五大明王・祖師堂には、役行者自作の三十二歳像と行者の母君(白専女)像、観音堂には、母君本地の千手観音が安置される。

吉祥草寺前の案内看板より


吉祥草寺へは、この日初めてお詣りしたのですが、カーナビに頼って行ってみたところ、お寺の入り口が分かりづらくて迷いました。玉手交差点の50mほど西側の道を入ると、正面に吉祥草寺の山門が見えてきます。お寺の東側(コンビニ側)や北側からも入れるような表示になるかもしれませんが、ご注意ください。


吉祥草寺@御所市-01

御所市茅原の地に建つ『吉祥草寺(きっしょうそうじ)』。山門に「役行者誕生所」とあるように、修験道の開祖「役行者」の生誕の地であり、境内の一角には産湯の井戸も遺されています。そして、毎年1月14日に行われ、無形民俗文化財にも指定されている「左義長法要(大とんど)」が有名なお寺です

吉祥草寺@御所市-03
山門を守っているのは、仁王像ではなく、四天王のうちの二天です。かなり年代の古い物のようですね

吉祥草寺@御所市-02
山門の壁面などは、かなり荒れが目立ちます

吉祥草寺@御所市-04
門前の案内看板。二度の大火に見舞われていますが、その難を逃れた仏像も多く遺されていました


五大明王に、32歳の若い役行者像なども

吉祥草寺には、主なお堂は3つあります。

ご本尊の五大明王(HPのトップに画像があります)が祀られている「本堂」、あご髭の無い32歳当時の姿を写した「役行者像」(画像はこちら)や、母の「役行者母公坐像(白専女)」などを祀る「開山堂」は、内陣まで拝観できましたし、十一面観音像を祀る「観音堂」はお堂の外から拝見しました。

五大明王の迫力もすごいですし、近隣のお寺が廃されていった際に集められたという、やや雑多に配された諸仏も、この地域の歴史を感じるようで味わい深かったです。また、さすがに役行者の生誕地だけに、その関連の像がすごいですし、境内にある役行者の「産湯の井戸」や「腰掛け石」など、関連のものがたくさんあって面白かったですね。

いずれも拝観料などを徴収されることなくお詣りさせていただきましたので、出来ればその分だけお賽銭として入れておくようにしましょう。

また、吉祥草寺のホームページでは、役行者をモチーフにした「役(えん)ちゃん」というゆるキャラが登場しています(ドメインも「en-chan.com」です!)。諸堂の建て直しのための浄財を呼びかけていらっしゃいますので、ぜひご協力ください!


吉祥草寺@御所市-05

吉祥草寺の境内の様子。向かって左手が「観音堂」、正面が「本堂」、その奥手にあるのが「開山堂」です。境内がガランとして見えますが、大とんどの行われる日には、ここが参拝客で埋め尽くされます!

吉祥草寺@御所市-06
吉祥草寺の「本堂」。1396年に再建されたもので、ご本尊は「五大明王」(またはその中尊の不動明王)です。いずれもかなり大きな像で、5体が密集した感じは迫力がありました。なお、拝観料などは徴収していらっしゃらないようですので、その分だけお賽銭としてお入れしましょう

吉祥草寺@御所市-07
こちらは「観音堂」。役行者の母「白専女」の本地仏とされる千手観音像を祀ってあります

吉祥草寺@御所市-09
看板には「お写経道場」とありますが、役行者像が祀られている「開山堂」だと思われます。この日は葛城山に登拝した山伏姿の団体さんが中で食事をなさっていました。建物の内部は古い学校の体育館のよう。そんな変わった雰囲気のお堂に、あご髭の無い32歳当時の姿を写したと言われる「役行者像」や、母の「役行者母公坐像(白専女)」など、珍しい諸仏をお祀りしています

吉祥草寺@御所市-11
吉祥草寺の境内の一角にある「役行者 産湯の井戸」。案内にはこうありました。「伝承には、役行者誕生のとき、大峰八大童子の一神・香精(こうしょう)童子が現れ、『大峰の霊水を汲みて潅浴す。その水、池にしたたりて井戸となる』と伝えています。誕生の時の泣き声は『人々を救うため天から遣わされて来たのだ』と言っている様に聞こえたそうです」

吉祥草寺@御所市-12
井戸のすぐ近くにある「役行者 腰掛け石」。説明文には、「今より一千三百有余年前、役行者は日頃、金剛葛城の峯々や大峯山で捨身修行に励み、生地茅原の里に帰っては、この石に腰掛けて精神修行をされた、有り難い石なり。皆様もこの石に座し、役行者の精神と御徳をいただかれます事を心よりお祈り致します。」とありました

吉祥草寺@御所市-13
吉祥草寺の鎮守社に勧請された熊野権現

吉祥草寺@御所市-10
江戸初期に、天河弁財天より勧請したという弁財天神もお祀りしてありました

吉祥草寺@御所市-08
慰霊碑などが集まった一角。今から300年前、木がまだ小さかった頃に三輪山より白竜大神が飛来して木に鎮座したという神木もありました

吉祥草寺-ご朱印
吉祥草寺でいただいた御朱印です。力強い字で「役小角」と書いてあります


1月14日の「左義長法要(大とんど)」も必見

なお、吉祥草寺といえば、無形民俗文化財にも指定されている、毎年1月14日の「左義長法要(大とんど)」が有名です。

この法要は、701年に、無実の罪で伊豆に流されていた役行者が無事に戻ったことを喜び、村人が大松明を焚いて祝ったのが始まりとされ、1200年以上もの歴史を持ちます。境内に作られた雌雄一体の大松明(トンド)に、五穀豊穣・厄除・修験道の悪霊払いを祈願して点火、その年の豊凶を占うそうです。迫力のある火祭りで、私もいつか必ず観てみたいと思っています。

YouTubeに動画がアップされていましたので、その迫力をご覧ください!



※ 2013/01/23 追記

2013年の「左義長(茅原大とんど。茅原のトンド)」を観てきました。高さ6mを超える雌雄一対の大松明が燃え盛る様子は壮観ですね!生憎のお天気でしたが、間近で迫力の火祭りを体感できました。ご参考にどうぞ!



大きな地図で見る


■吉祥草寺

HP: http://www.en-chan.com/
住所: 奈良県御所市茅原279
電話: 0745-62-3472
宗派: 本山修験宗
本尊: 不動明王(五大尊)
創建: 白鳳時代
開基: 役行者
拝観料: 無料(志納です)
拝観時間: 8:30 - 17:30
駐車場: 無料駐車場あり
アクセス: JR和歌山線「玉手駅」から徒歩5分

■参考にさせていただきました!

役行者霊蹟札所会 * 三十六寺社紹介 * 吉祥草寺(きっしょうそうじ)
吉祥草寺 左義長(茅原の大とんど)|K's PLAZA






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