2014-11-21

紅葉が見事な「錦の里」!『正暦寺』@奈良市菩提山町

紅葉が見事な「錦の里」!『正暦寺』@奈良市菩提山町

「錦の里」と呼ばれ、奈良有数の紅葉の名所として知られる、奈良市菩提山町の『正暦寺』。普段は静かな山間のお寺ですが、紅葉シーズンにはたくさんの観光客が訪れます。境内や福寿院客殿(重文)から見事な紅葉が楽しめるだけではなく、御本尊の秘仏「薬師如来倚像」や、美しい「孔雀明王像」などにもお会いでき、ゆったりとした時間を過ごせました!


「日本清酒発祥之地」の碑も建つ古刹

奈良市菩提山町に位置する『正暦寺』(Wikipedia)は、奈良市と天理市の間の、山深い場所に位置する寺院です。

一条天皇の勅命により、九条兼家の子・兼俊が992年(正暦3年)に創建。かつては86坊もの塔頭が並ぶ大伽藍でしたが、1180年、平重衡による南都焼き討ちの戦火がおよび全焼。鎌倉時代には、関白・藤原忠通の子、興福寺一乗院の信円僧正が、法相宗の学問所として再興しますが、江戸時代には衰退。現在は本堂・鐘楼・福寿院客殿を残すのみとなっています。

境内を流れる菩提仙川の清水を使用し、日本で初めて清酒が醸造されたと伝わっており、「日本清酒発祥之地」の碑も建っています。

中世でもっとも上質な清酒とされた大和産の「南都諸白」の中でも、正暦寺で醸した「菩提泉(ぼだいせん)」は珍重されました。その当時の酒母を復活させ、それを用いて酒造りを行う「菩提もと」も復活。境内でも清酒が販売されています(詳しくは「清酒発祥の地」から)。

また、正暦寺は「錦の里」と呼ばれ、秋の紅葉が美しいことでも知られています。普段は静かな境内ですが、秋の紅葉シーズンだけは駐車場が有料になるなど、たくさんの観光客が押し寄せます。


正暦寺の紅葉@奈良市-01

駐車場近くに建つ「日本清酒発祥之地」の碑。正暦寺では僧侶が「僧坊酒」を作っていました。3回に分けて仕込みを行う「三段仕込み」、麹と掛米の両方に白米を使用する「諸白造り」、腐敗を防ぐため火入れ作業を行うなど、ここで近代の酒造技術が確立されました。菩提もとの清酒はお寺でも販売されていますので、お土産にどうぞ!

正暦寺の紅葉@奈良市-02
正暦寺は「錦の里」と呼ばれる紅葉の名所です。境内を流れる菩提仙川に沿って、赤や黄色に色づいていました。時期にもよりますが、全山が一斉に染まるというものではなく、緑も混じった野趣も感じられる光景です

正暦寺の紅葉@奈良市-04
黄色いイチョウと赤い紅葉。この日は平日の午後からお参りしましたが、たくさんの観光客の姿が観られました。山深くに位置するため、午後早めの時間に日が陰ってしまう場所も少なくありません。紅葉を美しく撮影したい方は、午前中に行くといいでしょう


本尊「薬師如来倚像」は春秋のみ御開扉に

正暦寺の紅葉@奈良市-05
正暦寺のご本尊「薬師如来倚像」(重文)は、普段は一般公開されていない秘仏です。毎年春と秋(4月18日~5月8日、11月1日~11月30日)に御開扉されていますので、ぜひ紅葉の時期に合わせてお参りしてみてください。拝観料は、福寿院客殿と合わせて500円です

正暦寺の紅葉@奈良市-06
本堂へ上がる石段。ここの紅葉も色鮮やかでした!

正暦寺の紅葉@奈良市-08
立派な石垣の上に建つ鐘楼。境内全体にしっかりとした石垣が残り、たくさんの堂塔が立ち並んだ時代を偲ばせています

正暦寺の紅葉@奈良市-09
正暦寺の本堂。2014年の冬、背後の木が倒れ本堂の屋根が半壊していましたが、無事に修復され、2014年11月1日に記念法要が営まれました。この修繕には3000万円もの費用がかかり、「正暦寺を応援する会」さんなどが支援活動を行っていました。皆さんもぜひお参りいただいて、お賽銭を差し上げてください!

正暦寺の紅葉@奈良市-10
別角度から。山間の静かな土地に建つ美しいお堂ですね

正暦寺の紅葉@奈良市-03
春と秋は秘仏のご本尊「薬師如来倚像」などが特別に公開されます(お姿はこちら)。白鳳時代末の金銅仏で、台座に腰掛ける「倚像(いぞう)」です。この時代の金銅仏としては大きめで、全体的に素朴さを感じさせる穏やかな仏さまです。この他にも大日如来像など数体の仏さまがおわします


重文「福寿院客殿」借景庭園の眺めは見事

正暦寺の紅葉@奈良市-17
正暦寺の「福寿院客殿」(重文)は、通常から一般公開されています(拝観料 大人500円、小学生200円)。秋の特別公開の際には、本堂とセットで拝観できます

正暦寺の紅葉@奈良市-19
福寿院客殿は、1681年に建て替えられた数寄屋風の建築物です。土間に入ると、菩提もとの清酒が販売されています(もちろん瓶入りで)。古い竈も残っていて、その上には狸の顔がついた茶釜も!

正暦寺の紅葉@奈良市-20
福寿院の内部から。大広間の赤い絨毯に座って、また縁側に座って、美しい紅葉を眺められるようになっています!奈良には紅葉が楽しめるお庭は多くありませんので、とても貴重ですね

正暦寺の紅葉@奈良市-21
角度を変えて。この右手奥には、福寿院のご本尊である鎌倉時代の「孔雀明王像」(県指定重文)と、その両脇に室町時代の愛染明王像が祀られています(仏さまは撮影禁止)。孔雀の上に腰掛けた四臂(腕が4本)の異形の仏さまですが、とてもお美しいんです(画像はこちら)。孔雀は毒蛇コブラの天敵であることから、心身の毒を取り除く仏さまとして信仰されてきました

正暦寺の紅葉@奈良市-22
福寿院の庭園。それほど広くありませんが、丹精込めて手入れされた、とても美しいお庭です

正暦寺の紅葉@奈良市-23
背後の山々が借景となり、室内からはとても広々と雄大に見えます。黄色く染まった大きな銀杏の木が素晴らしいアクセントになっていますね

正暦寺の紅葉@奈良市-24
建具には四季の花々が描かれています。これらは、京狩野三代目・狩野永納の作だとか。他にも襖絵などが拝見できます

正暦寺の紅葉@奈良市-25
福寿院に隣接して、白壁の「瑠璃殿」と、その奥に「護摩堂」が建っています。護摩堂のご本尊は、平成18年に開眼した、仏師・上本慶舟氏の不動明王像。こちらはいつでも拝観できます。手前の瑠璃殿は収蔵庫になっていて、春の特別公開(毎年4月18日~5月8日)のみ拝見できます

正暦寺の紅葉@奈良市-26
福寿院の裏手の小さなお庭。端正ですね!


「錦の里」正暦寺の紅葉の画像など

正暦寺の紅葉@奈良市-07

正暦寺の紅葉@奈良市-11

正暦寺の紅葉@奈良市-12

正暦寺の紅葉@奈良市-13

正暦寺の紅葉@奈良市-14

正暦寺の紅葉@奈良市-15

正暦寺の紅葉@奈良市-16



■正暦寺

HP: http://shoryakuji.jp/
Facebook: https://www.facebook.com/shoryakuji

住所: 奈良県奈良市菩提山町157
電話: 0742-62-9569
宗派: 菩提山真言宗大本山
本尊: 薬師如来倚像(重要文化財)
創建: 992年
開基: 兼俊僧正(一条天皇の発願)
拝観料: 境内無料(福寿院客殿の拝観は500円)
拝観時間: 9:00 - 17:00(12~2月は16時まで)
駐車場: あり(11月初旬~12月初旬のみ、500円の有料)
アクセス: 奈良駅から奈良交通バス・米谷町行で23分、「柳茶屋」下車、徒歩30分

※正暦寺では「人形供養」なども受け付けていらっしゃいます。


■参考にさせていただきました

【Facebook】正暦寺を応援する会
観光スポット 正暦寺【しょうりゃくじ】|奈良市観光協会公式ホームページ
正暦寺 - Wikipedia


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