2014-04-25

出土品の復元作業も見学できる『歴史に憩う橿原市博物館』

出土品の復元作業も見学できる『歴史に憩う橿原市博物館』

リニューアルを終えた『歴史に憩う橿原市博物館』(旧「橿原市千塚資料館」)。隣接する「新沢千塚古墳群」の資料などを中心に、縄文時代から江戸時代まで、橿原市の歴史が俯瞰できる施設になりました。また、1階の「資料整理室」は出土品の復元作業を行っている様子をガラス越しに見学できるなど、楽しい仕掛けもあります。


旧「橿原市千塚資料館」がリニューアル!

2014年4月にリニューアルオープンした、橿原市川西町の『歴史に憩う橿原市博物館』。施設名にあえて「歴史に憩う」と入っているところがユニークです(笑)

1976年に「新沢千塚古墳群」が史跡に指定されたことから、隣接地に1978年に開館した「橿原市千塚資料館」がもとになっています。古代の遺跡が豊富な橿原市において、縄文時代~江戸時代まで、藤原宮跡や今井町などの遺跡出土資料を展示しています。


歴史に憩う橿原市博物館@橿原市-01

リニューアルした『歴史に憩う橿原市博物館』(旧「橿原市千塚資料館」)。建物の外観は以前と変わっていませんが、老朽化していた設備を約4億4千万円を投じて改修したそうです。無料駐車場がこの道路を挟んだ向かい側にあります

歴史に憩う橿原市博物館@橿原市-02
看板とロゴは新しいものに変更されています。施設名がユニーク!


出土品の復元作業をガラス越しに見学可

『歴史に憩う橿原市博物館』は2階建てで、1階部分の「資料整理室」はガラス張りになっていて、中で女性スタッフの方たちが出土品の復元作業を行っている様子を拝見できます。考古学が身近に感じられる、優れたデザインですね。

また、マップを見ると、1階の奥に「体験スタジオ」というものも作られるようです。どんなものなのか楽しみですね。

2階は主に「特別展示室」と「常設展示」のスペースです。充実した図書コーナーや、橿原の歴史を分かりやすい映像で紹介する「ガイダンスホール」などもあります。

なお、館内の写真撮影についてスタッフの方に伺ったところ、(展示内容によって変わってくるかもしれませんが)このようになっているそうです。

●フロアなどは撮影可能。
●「特別展示室」の中は撮影禁止。
●「常設展示室」は、個人利用に限り撮影可能。ブログやSNSにアップすることは禁止。


歴史に憩う橿原市博物館@橿原市-03

『歴史に憩う橿原市博物館』のフロアマップ。施設自体はそれほど大きなものではありませんが、リニューアルを終えたばかりで、最新に生まれ変わっています

歴史に憩う橿原市博物館@橿原市-04
入り口部分から見たところ。ピカピカです!

歴史に憩う橿原市博物館@橿原市-05
1階の「資料整理室1」の様子。スタッフの方が事務作業をなさっていました。ガラスのすぐ近くに出土品の図面などが置いてあり、気軽に見られるようになっていたのも面白かったです

歴史に憩う橿原市博物館@橿原市-06
その隣の「資料整理室2」では、土器の洗浄や組み立てなどの作業が見られます。プロの仕事場を見学するのは興味深いですね!

歴史に憩う橿原市博物館@橿原市-07
2階にある「図書コーナー」。ほんの小さなスペースですが、郷土の資料などが充実しています

歴史に憩う橿原市博物館@橿原市-08
奈良県内の博物館・資料館の図録などがずらり!さらに大阪や京都のものも揃っています。個人的にぜひ利用したいと思います

歴史に憩う橿原市博物館@橿原市-09
「ガイダンスホール」で流れていた映像。橿原市のキャラクター「さららちゃん」とともに、こんな美少年系キャラなども登場していました


開館記念企画展「里ひらく」を開催中

現在、歴史に憩う橿原市博物館の特別展示室では、開館記念企画展「里ひらく-京奈和自動車道の築造と遺跡の新発見-」が開催されています(2014年6月1日まで)。

橿原市の西部から大和高田市・御所市など、京奈和自動車道の工事にともなって続々と遺跡が見つかり、たくさんの出土品が発見されました。

●新堂遺跡(橿原市) ●川西根成柿遺跡(大和高田市・橿原市) ●観音寺本馬遺跡(橿原市・御所市) ●玉手遺跡・秋津遺跡・中西遺跡(御所市)

玉手遺跡から出土した赤漆塗りの糸玉や、遺体を入れて埋葬した土器棺墓、観音寺本馬遺跡から出土した土偶、秋津遺跡から出土した昆虫標本のノコギリクワガタなど。

身近なエリアからこんな様々な時代の、様々な遺物が見つかっているんですね。とても興味深かったです。


歴史に憩う橿原市博物館@橿原市-10

歴史に憩う橿原市博物館で開催中の企画展「里ひらく-京奈和自動車道の築造と遺跡の新発見-」のポスター。素朴な土偶が大きく写っています。橿原市周辺の6遺跡の資料129点が展示されています


常設展示では「新沢千塚126号墳」関連も

常設展示室は、「かしはらの夜明け」「新沢千塚とその時代」「藤原京の世界」「京との決別-新たな歩み-」の4つのブースがあり、時代別に展示されています。縄文時代の土器や土偶から、中世に栄えた今井町の関連展示など、見応えのある内容です。

個人的には、『新沢千塚古墳群』(にいざわせんづかこふんぐん。Wikipedia)の関連資料がもっとも面白かったですね。

展示室の奥に大きく「新沢千塚126号墳の埋葬施設と副葬品」という、最新の映像を交えた展示があり、ほぼ原寸大で再現されています。ガラス椀・銀製の装身具など、海外からもたらされた豪華な副葬品は、国の重要文化財に指定されているとか。埋葬者と豪華な副葬品の位置関係が分かりやすく理解できました。

さらに、中央のブースには、新沢千塚126号墳から出土したガラス椀・ガラス皿のレプリカが、それぞれ単独で展示されていました。特にガラス皿が素晴らしくて、とても美しい瑠璃色です。正倉院宝物クラスの見事な宝物が、割れもせずに見つかっているんですから、すごいことですよね。本物は東京国立博物館の所蔵となっているそうです。

一括して国の重文に指定されている「新沢千塚126号墳出土品」は、このページで見られます。


歴史に憩う橿原市博物館@橿原市-11

2階フロアの様子。左手が「特別展示室」で、右手が「常設展示室」です。壁面には菖蒲池古墳の墳丘の断面が展示されています。迫力ありますね!新堂遺跡から出土した鬼の顔が描かれた土器や、木簡に仏さまが描かれたもの、皇朝十二銭(の一部)などの展示も面白かったです

歴史に憩う橿原市博物館@橿原市-13
東京国立博物館の画像ギャラリーから、新沢千塚126号墳出土の「ガラス皿」(重文)。割れもせず、こんな美しい状態で見つかったのですからすごいですね!レプリカであっても目の前で観られると興奮しますよ!

歴史に憩う橿原市博物館@橿原市-14
同じく、東京国立博物館の画像ギャラリーから、新沢千塚126号墳出土の「ガラス碗」(重文)。こちらも精巧なレプリカが展示してあります。当時は貴重だったガラス製品がいくつも一緒に埋葬されているのですから、被葬者は位の高い方だったんでしょうね

合わせて群集墳『新沢千塚古墳群』も

歴史に憩う橿原市博物館に隣接して、合計600基以上の古墳が集中する群集墳『新沢千塚古墳群』()があります。国の史跡としてきれいに整備されていますし、お散歩するだけでも不思議な気分になれる、とても楽しい場所ですから、ぜひ合わせてご覧ください!


新沢千塚古墳群@橿原市-13

国の史跡に指定されている『新沢千塚古墳群』と畝傍山。ポコポコとした小さな山は、すべてが古墳で、「群集墳」と呼ばれるものです。他ではなかなか見られない、かなり不思議な場所ですので、ぜひ散策してみてください!



大きな地図で見る


■歴史に憩う橿原市博物館

HP: http://www.city.kashihara.nara.jp/hakubutsukan/
住所: 奈良県橿原市川西町858-1
電話: 0744-27-9681
休館日: 月曜日(祝日の場合は翌日)
開館時間: 9:00 - 17:00
観覧料: 大人 500円、高校大学生 200円、小中学生 100円
駐車場: 無料
アクセス: 近鉄「橿原神宮前駅」下車、奈良交通バス 近鉄御所駅行「川西」バス停下車、徒歩2分


●開館記念企画展「里ひらく-京奈和自動車道の築造と遺跡の新発見-」

HP: http://www.city.kashihara.nara.jp/hakubutsukan/26kaikankinenkikakuten.html
会期: 2014年4月1日(火)~6月1日(日)


■参考にさせていただきました

歴史に憩う橿原市博物館 きょうオープン 記念企画展「里ひらく」 奈良 - MSN産経ニュース
「歴史に憩う橿原市博物館」が開館


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