2009-03-23

那智の滝が絶景の1番札所『青岸渡寺』@和歌山県

青岸渡寺(那智山)@和歌山

西国三十三所の秘仏ご開帳巡りのため、ご本尊の「如意輪観音坐像」が公開されている、和歌山『青岸渡寺(那智山)』へ行ってきました。

奈良からはさすがに遠くてヘビーな行程でしたが、この日は眩いほどの青空が広がるいいお天気でした。那智の滝も含めて、西国三十三所の最初の札所の荘厳な雰囲気を、たっぷりと味わってきました。


那智山「青岸渡寺」の縁起は

青岸渡寺(せいがんとじ)は、山号を「那智山」といいます。開基は、仁徳天皇の治世(4世紀ごろ)。印度天竺の僧「裸形上人」が那智大滝で修行を積み、瀧壷で観音菩薩を感得し、そこに草庵を営んだ・・・ということになっていますが、史実かどうかは不明です。

後に、推古天皇の勅願寺となり、大和の「生佛上人」が来山した際にこの話を聞き、3メートルの如意輪観世音を彫み、裸形上人が感得した八寸の観音菩薩を胎内に納め、本堂を建立しました。

平安中期からは、那智の滝を中心とした自然信仰がますます盛んになり、花山法皇が三年間山中に篭り、ここから近畿地方の三十三観音巡りを始めたことから、那智山を西国三十三所の第1番札所としたそうです。

その後、織田信長の手によって本堂は焼失、1590年、豊臣秀吉によって再建されました。お堂の高さは「18メートル」で、これは那智の大滝の高さと同じだとされています。

また、平安末期に建立された「三重の塔」は、1581年の兵火によって焼失していましたが、1972年、ほぼ400年ぶりに再建されました。


駐車場はしっかりと選びましょう!

この3月は、西国三十三所の秘仏ご開帳巡りのため、大阪・岐阜・京都と周って、和歌山が4県目となります。

いい加減、資金的にも厳しくなってきているため、下道で奈良の山中を走り(片道190km)、寄り道しながら目的地に到着。青岸渡寺の数km下にある公園の駐車場で「車中泊」!寒さでなかなか寝付けないまま、翌朝、青岸渡寺へ参拝してきました。

那智の滝の入口近くの駐車場を利用したのですが、そこからの上りは、寝不足の体にはかなりハード。駐車場代は2重になってしまいますが、青岸渡寺と那智の滝、それぞれ近い駐車場に入れ直したほうが無難かもしれません。

しかし、この日は時間と体力の関係で、熊野古道を歩くことはできなかったのですが、この道でもそれっぽい雰囲気は味わえましたので、それだけの価値はあったのかもしれませんね。


青岸渡寺(那智山)@和歌山-01

那智山周辺の案内図。今回は、青岸渡寺・熊野那智大社、そして那智の滝の全てを周る予定だったため、滝に近い下側の駐車場を利用したのですが・・・、現在地はこんな下!上り坂がかなりヘビーでした

青岸渡寺(那智山)@和歌山-02
こんな道を10分以上も上ります。しっかりとした石組みの道が続いているのが「さすが熊野古道!」と思いますが、体力に自信の無い方は、もっと上の駐車場に停めた方が安全かもしれません

青岸渡寺(那智山)@和歌山-03
暖かい和歌山ですが、まだ桜は咲き始めたばかり。このくらいの桜も可憐でいいですけどね

青岸渡寺(那智山)@和歌山-04
上り坂の途中から眺めた、桜と三重塔。快晴の空が気持ち良かったです!


「三重の塔」と那智の滝が絶景です!

細い山道を10数分上がると、見事な「三重の塔」が見えてきます!

ここは、三重の塔との背後に那智の滝を収められる撮影スポットとして有名ですね。この日は快晴だったため、空の青さと塔の朱色、山の新緑に滝の白と、とても美しい光景が見られました。

また、三重の塔は、実際には4層になっており、最上層は那智の滝を見渡す展望台のようなスペースになっています(拝観料200円)。ここからの眺めも絶景ですし、三重の塔のご本尊で、飛滝権現の本地仏とされる「千手観音像」なども拝見できます。

1972年に再建された、まだ比較的新しい塔ですので、ちゃんとエレベーターも設置されています!


青岸渡寺(那智山)@和歌山-05

青岸渡寺の「三重の塔」と那智の滝。細い山道を頑張って上がっていくと、こんな絶景が見られます。青岸渡寺で随一の絶景スポットでしょう

青岸渡寺(那智山)@和歌山-06
青岸渡寺の「三重塔」と那智の滝。天気も良くて、青空に美しく映えています

青岸渡寺(那智山)@和歌山-07
少し高い位置から見下ろすこともできます。三重の塔と言っていますが、実際には4層構造になっていて、落下防止のネットに囲まれた最上層からは、那智の滝がきれいに見えます。金属製のネットには、ちゃんと撮影用の穴が空いていて親切!

青岸渡寺(那智山)@和歌山-08
青岸渡寺の三重の塔内部の様子。内部は曼荼羅で埋め尽くされています。1972年に再建されたもので、拝観料は200円。エレベーター付きのモダンな塔ですので、年配の方でも安心です

青岸渡寺(那智山)@和歌山-09
三重の塔内部の壁画「阿弥陀如来・二十五菩薩来迎図」。塔内は狭いので、引いた位置から見ることができないのが、ちょっと残念でした

青岸渡寺(那智山)@和歌山-10
三重の塔の3層部分にいらっしゃる「千手観世音菩薩」さん。古くから霊場として崇められていた那智の滝の「飛龍権現」の本地仏となるそうです。エレベーター付きの塔に、金色に輝く仏さまがいらっしゃる姿は、不思議なほど安定感があります

青岸渡寺(那智山)@和歌山-11
三重の塔の2層部分には「阿弥陀如来像」が。手が届くほどの近さですが、もちろんガラス張りです。写真では分かりづらいですが、かなりの前傾姿勢っぷりでした

青岸渡寺(那智山)@和歌山-12
三重の塔の最上層から見た那智の滝。やや距離がありますが、滝の落ち口までしっかりと見えます。望遠レンズが双眼鏡があれば、もっと楽しめたかもしれません


第1番札所の本堂は、簡素で渋い!

三重の塔からまた少し進むと「山門(仁王門)」が、石段の先には「本堂(重文)」が見えてきます。

ご本尊のご開帳時期ということもあり、月曜日の朝からたくさんの観光客の姿がありました。また、第1番札所ということもあり、白装束がまばゆいくらいに真っ白い方が多いのも特徴です。数日前に、第33番の満願札所となる「華厳寺」を見てきたばかりだったので、その姿が初々しく映りました(笑)

青岸渡寺の本堂は、1590年に豊臣秀吉によって再建されたもの。とても簡素な作りですが、重厚な雰囲気が感じられるいいお堂でした。

この日、ご開帳されていたご本尊「如意輪観世音菩薩(秘仏)」さんは、資料によると像高約3メートルの、立派な仏様らしいのですが、何せ厨子の中にいらっしゃるので、手先や頭の部分などはほとんど見えず・・・。ただ「かなり大きい」ということだけ十分に伝わってきました。

大きめの仏さまも、そして如意輪観音さまも大好きですので、できればもっとじっくりと見たかったですね。お前立ちの写真などを見ると、いかにも如意輪観音さんらしい優雅なお姿のようですので、余計に心残りです・・・。


青岸渡寺(那智山)@和歌山-13

青岸渡寺の「山門(仁王門)」。かなり険しい参道を上って来るため、年配に方はしんどそう。青岸渡寺は第1番札所ですから、まだ慣れていない方も多いのかもしれません

青岸渡寺(那智山)@和歌山-14
青岸渡寺の「本堂(重文)」。重厚な入母屋造で、1590年に建立されたもの。ご本尊の「如意輪観音坐像」のご開帳期間でしたので、賑やかなのぼりが立ち並んでいました

青岸渡寺(那智山)@和歌山-15
青岸渡寺の本堂前。それほど華やかな造りではありませんが、木の質感といい、落ち着いた山寺の雰囲気が漂っています

青岸渡寺(那智山)@和歌山-16
青岸渡寺の本堂を横から見たところ。隣接している「熊野那智大社」の鮮やかな朱色との対比が見事でした。色落ち具合が渋いですね


青岸渡寺からの見晴らしいいですよ!

私も、前回那智山に来た時には、那智の滝だけを見て、そのまま帰ってしまったことがありました。

ここにやや山道が険しいところもありましたが、景色のいい、とても気持ちの良いお寺でした(熊野灘も見晴らせます!)。那智の滝を見に来た方は、ぜひもう少しだけ足を伸ばして、青岸渡寺(と熊野那智大社)にも立ち寄ってみてください!


青岸渡寺(那智山)@和歌山-17

境内の先からは、那智の滝をバックに記念撮影できるスポットが。有料の撮影業者さんが一番いいポジションをキープしているため、それほどキレイに撮影できませんでした

青岸渡寺(那智山)@和歌山-18
青岸渡寺の手水舎。屋根の無いシンプルタイプです。「延命の水 清浄水」と書いてありますので、美味しく飲めたのかも?

青岸渡寺(那智山)@和歌山-19
駐車場の隅にある「那智山阿弥陀堂(納骨堂)」。後から作られたものらしく、まだ朱色が鮮やかです

青岸渡寺(那智山)-ご朱印
青岸渡寺でいただいたご朱印です。力強い字体ですね



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■青岸渡寺(那智山)

HP: http://www2.ocn.ne.jp/~sanzan/NTTcontents/seigan/index.htm
住所: 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山8
電話: 0735-55-0001
宗派: 天台宗
本尊: 如意輪観世音菩薩
創建: 4世紀ごろ(伝)(仁徳天皇の時代だとされます)
開基: 裸形上人(伝)
拝観料: 境内無料(三重塔 200円)
拝観時間: 5:00-16:30(三重塔 8:00-16:00)
駐車場: 有料駐車場あり(500円ほど)
アクセス: 紀伊勝浦駅より、那智山行きのバスで「神社お寺前駐車場」まで30分、そこから徒歩15分(駅からタクシーを使うと20分ほど)

※西国三十三所の第1番札所






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