2015-03-03

穏やかな釈迦如来坐像など三尊を祀る『永豊寺』@天川村

穏やかな釈迦如来坐像など三尊を祀る『永豊寺』@天川村

天川村和田の『永豊寺(えいほうじ)』。かなり山深い静かな土地に、平安時代後期の「釈迦如来坐像」と「二天立像」(いずれも奈良県指定文化財)という三尊が祀られています。ゆったりとした体躯で、親しみやすさと威厳の両方が感じられるご本尊。そして、かつては雨の仏さま・風の仏さまとして祀られたという広目天像と多聞天像。仏さまは素晴らしいですし、お寺の方もとてもご親切にしていただいて、素敵なお詣りになりました!


「天河神社」のさらに奥のお寺さん

吉野郡天川村の和田集落に位置する『永豊寺(えいほうじ)』。有名な『天河神社(天河大弁財天社)』(紹介記事)から、さらに車で10分弱先と、かなり山奥にあります。

こんな山深い土地ながら、平安時代に刻まれた「木造 伝釈迦如来坐像」と「二天立像」(いずれも奈良県指定文化財)という三尊が祀られています。


永豊寺@天川村和田-01

天川村和田の『永豊寺』。のどかな山奥の集落に、大きな本堂が建っています。仏さまたちはその向かいの収蔵庫に祀られています。特に駐車スペースは決められていませんので、本堂側の路肩に停めましょう

永豊寺@天川村和田-03
この日はご住職が体調不良ということで、明るい奥さんが収蔵庫を開けてくださいました。普段は閉まっていますので、事前に電話で拝観予約を入れておきましょう。お寺さんがご不在のこともありますので、あまり無理は言わないように

永豊寺@天川村和田-04
まだ新しい収蔵庫の中に、三尊の仏さまがおわします。写真撮影も許可していただけました


要事前予約。収蔵庫を開けていただけます

永豊寺の仏さまは、中尊が「伝釈迦如来坐像」、脇侍に「二天立像(多聞天像・広目天像)」の三尊です。いずれも平安時代後期(11世紀後半)の作と考えられるとか。

この像には、以下のような言い伝えが遺っているそうです。



今から約1200年前、和田村に見事な桧(ひのき)の大木があった。木こりが伐採しようとしても一日では切り倒せず、翌日行ってみると伐り跡が消え、もとに戻っている。こんなことが1週間続いたため、村人と相談して、大木に「無事に伐採させてくれたら仏像を彫り、お堂を建ててお祀りします」と一心に願ったところ、その願いはかなった。その木から掘り出されたのが、この三尊の像だった。


11世紀後半という推定年代とは、やや時代がずれていたりしますが、3体ともヒノキ一材から彫りだされ、同時期・同一工房の作ということは間違い無さそうなのだとか。


永豊寺@天川村和田-02

収蔵庫の脇にたっていた説明書き

永豊寺@天川村和田-05
永豊寺の3体の仏さま。おおらかな風貌の平安仏ですが、田舎の仏師の稚拙さはあまり感じられず、堂々たるお姿です!


堂々とおおらか!「釈迦如来坐像」

ご本尊の「釈迦如来坐像」。博物館へご出陳した際に作ったらしい説明書きが添えられていましたが、そこには「伝」とありました。

簡単に説明しておくと、「ヒノキ材の一木割矧(わりは)ぎ造りで、内刳りを施してある。ずんぐりとした体躯や構造は古様だが、おぼろげな目鼻は温和で、制作は11世紀後半と想定される」とのこと。

ゆったりとした体躯、どっしりとした足まわりの表現など、親しみやすさと威厳の両方が感じられます。後補の部分もあるのかもしれませんが、指先から螺髪まで、ほぼ損傷も見られず、とても美しいですね。お顔立ちにやや歪んだような印象がありますが、その点もチャーミングに思えてしまうほどです。

背後まで周って、前後からじっくりと拝見させていただきましたが、本当に美しい仏さまでした!


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雨の仏さま。雨乞いで洗われた「広目天像」

永豊寺の「二天立像」のうちの阿形「広目天像」。「ヒノキの一材から彫り出され、内刳りは施さない。ずんぐりとした姿態、くせのある相貌は如来坐像と共通し、同時期・同一工房の作と判断される」とのこと。

この広目天像は「雨」の仏さま、相棒の多聞天像は「風」の仏さまと伝わっています。霊験あらたかで、干ばつが続くと近隣の者はもちろん、国中(大和平野)や浪速、紀州からもお詣りにきたとか。

その方法が荒っぽくて、広目天像は「雨乞いの仏さま」であるため、ご住職の目を盗んでお堂からこっそりと持ちだされ、近くの川でじゃばじゃばと洗われたりもしたそうです!今では考えられないエピソードですよね(笑)

その際に、暗いお堂に忍び込むため、ときに間違えて多聞天像が持ちだされてしまい、「風の仏さま」らしく、大きな嵐になったという逸話も伝わっています。当時は風神雷神と同じような扱われ方をしていたのでしょうね。

その広目天像は、露歯(歯が見えていること)というレベルではないほど、はっきりと美しい歯並びが見え、とても愛嬌のあるお顔をしていらっしゃいます。川の水をかけられたり大変な思いをしてきた方ですが、とてもやさしい表情に見えますね。


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風の仏さま。キリッと凛々しい「多聞天像」

二天立像のうちの吽形「多聞天像」です。風を司る仏さまのはずなのに、間違えて川に連れて行かれた可哀想な方ですね(笑)

全体的におおらかで素朴な印象ですが、とても素敵なお像です。じっくりと拝見すると、木目がそのまま活かされていて、山の仏さまあらしい印象です。獅噛(ベルトのバックルのような部分)に鬼が彫られていますが、その両頬に年輪が浮き出ていて、かなり可愛らしいです!


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足元にいらしゃった「八幡大菩薩」像

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天川村の西エリアの「秘仏三尊像」

なお、天川村の西エリアの「秘仏三尊像」というポスターを見かけます(写真は以前撮影したもの)。

●永豊寺・釈迦如来像(平安時代)
●栃尾観音堂・円空作の聖観音像など(紹介記事
●光流寺・阿弥陀如来坐像(平安時代)(参考サイト

いずれも事前に拝観予約の電話を入れておいたほうがベターです。なにせ山深い土地ですし、予約の電話をするのも面倒だと思われるかもしれませんが、こうした素敵な仏さまにお会いできますし、お寺の方もとても親切にしてくださいます。ぜひお詣りしてみてください!

永豊寺@天川村和田-25
以前に「栃尾観音堂」で撮影した、秘仏三尊像のポスター。こうした山深いところに、平安時代から脈々と貴重な仏さまが祀られてきているのですから、すごいことですよね!



■永豊寺(えいほうじ)

HP: 参考サイト:天川村役場
住所: 奈良県吉野郡天川村大字和田436
電話: 0747-65-0057
宗派: 浄土真宗
本尊: 阿弥陀如来(奈良県指定文化財)
創建: 不明
拝観料: 志納
駐車場: お寺の前の道端に駐車可
アクセス: 奈良交通バス「中和田バス停」から徒歩2分ほど

※お詣りの際には事前に電話予約をしておきましょう
※実際にお詣りしたのは「2015年2月22日」でした


■参考にさせていただきました

奈良の寺社: 永豊寺(天川村)


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